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欲しいのは「イエス」だけ 9




ホワイトデーの当日。
あたしと道明寺との約束は夕方から。

その前に、滋さんと道明寺はパーティーに出ると言っていった。
同じパーティーかは分からない。
滋さんが気になると言っていた相手が道明寺とは限らない。

けれど、最近の二人の様子から、違うという結論は何度考えても出せなかった。
昨夜からずっとこの事ばかり考えていて殆ど眠れず頭が痛い。


もしも、二人が付き合うとしても、何も行動してこなかったあたしが悪い。
もう手遅れなんだよと道明寺から冷たくされても文句は言えない。

今更後悔しても遅いけど、道明寺の優しさに甘えてた自分が憎い。



部屋の時計を見るともうすぐ2時。
もうパーティーは始まっているはず。

ソワソワと落ち着かない自分に、「落ち着け」と言い聞かせるよう、甘ーいピーチティーをカップに注ぎソファに座った。

とりとめない会話がテレビから流れてくる。
お茶と暖房の暖かさで体がホカホカとしてきて、
昨夜寝れなかったつけが回ってきた。

少し眠ろう……そう頭では分かっているのに、
神経が休もうとしない。






眠れずぼぉーとしたまま3時間が過ぎた頃、
道明寺からメールの着信。

「少し遅れる。
あとで迎えに行くから用意して待ってろ。」


とにかく、道明寺に会って確かめることしか今のあたしには出来ない。

考えすぎて強くなっている頭痛と、
道明寺にこれから会う緊張で、
手足の先が冷たくなってくるのがわかった。






「着いたぞ。」

メールが鳴って、窓からマンションの下を見ると、
いつもの車がとまっていて、その側に道明寺が立っている。

あたしは急いで部屋を出ると、
階段を駆け下りて行った。


「おまえっ、あぶねっ、そんなに急いでくんなって!」

「だって……、」

「転んで怪我するぞっ。」

「ん。」

あがった息を整えて、まっすぐに道明寺を見る。

「…どーした?」

「し、滋さんと会ってきたの?」

「おう、どうしてそれ知ってる?」

「滋さんから聞いてたから。」

そう答えるあたしに、道明寺はクスっと笑い、
「あいつの頼みは聞いてきた。」
と、優しく言う。

「…いいの?」

「あ?」

「道明寺、ここにいていいの?」

「どーいう意味だよ。」

あたしの言葉に眉を寄せるこの人。

「滋さんの頼みって、道明寺と一緒にいることじゃないの?」

「あ゛?」

「滋さんの気になる人って道明寺でしょ?」

一度堰を切ると溢れるのを止められない言葉たち。


「告白されたの?」

「…おまえ、」

「なんて答えたの?」

「牧野」

そして、もう一度聞く。
「道明寺、……ここにいていいの?」

泣くつもりなんてさらさら無いのに、視界がゆらゆらと揺れるから情けない。

こんな顔は見られたくない。
そう思って咄嗟に下を向くあたしに、

「どーしょもねー奴。」
そう呟いた道明寺はあたしをすっぽりと腕の中に閉じ込めた。

いつもは隣にいる道明寺から香る香水のにおいが、
今はあたしの全身を包むように香る。

「一人で勘違いして、一人で泣いたりすんなよバカ。
滋に何聞いた?」

「気になる人がいるって。
今日のパーティーで告白するって。」

「で?それが俺?」

「…違うの?」

抱きしめられたまま、少しだけ顔をあげてそう聞くと、

「滋はそんなに馬鹿じゃねーだろ。」
と、あたしの頭を軽く小突く道明寺。

「どこからどーみてもおまえにしか興味のねえ俺に、告白しようなんて思うか普通。」

「そ、それは、」

「あいつが気になってるのは、俺の知り合い。
パーティーで紹介してくれって言われて、まぁ、滋にはちょっとした借りがあるからよ」

そうなんだ。
そういう事だったんだ。

道明寺の口から真相が聞けて、一気に今までの緊張が溶けていく。

すると、道明寺の腕に包まれているこの状況が急に恥ずかしくなる。

慌てて離れようとするあたしを、さっきよりも強い力で引き寄せた道明寺は、ニヤッと笑ってあたしの耳のそばで囁いた。

「泣くほど心配だったか?」

「っ!ちょ……」

「逃げんなって。答えろ。」

耳にかかる道明寺の息と低音の声に、体が熱くなる。

抱きしめられたまま顔を上げると、あたしを見つめる道明寺と視線が絡む。

熱っぽい目でじっとあたしを見たあと、
急に腕を緩めて
「牧野、行きたいとこ決めたか?」
と、視線をそらして言う。

もっとあのままでいたかった。
道明寺の腕の中に包まれていたかった。


「…ううん、決めてない。
でも、……欲しいものがある。」

「欲しいもの?ああ、何でも買ってやるよ。」

そう言って嬉しそうに笑う道明寺。
あたしは大きく息を吸い込んで言った。

「欲しいものは物じゃなくて、言葉なの。
今からあたしが言う事に、イエスで答えてくれる?」

「…あ?」

「道明寺、
好き…なの。
あたしと付き合ってください。」


1年前、道明寺があたしに言ってくれた言葉。

『牧野、お前が好きだ。付き合うぜ。』

それをそのまま、今度はあたしから。


道明寺からの返事は、
ただ一言『イエス』を期待していたあたし、

けれど、実際は違った。



返事の代わりに、
道明寺に体ごと引き寄せられ、
そのまま唇を優しく塞がれる。

キス……、
ようやく思考が追いついた頃、
少しだけ離れた唇の隙間から


「イエスに決まってるだろ。」
と、道明寺が言った。

それを聞いた途端、なぜかあたしは力が抜けて目の前が真っ暗になった。




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