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欲しいのは「イエス」だけ 4




30分後、ようやく店内に入れた俺たち。
まるで宝石のようにショーケースに並ぶチョコレートを見て牧野の目が輝いている。

姉貴にはカラフルにコーティングされた店一番の人気の詰め合わせを一箱。
そして、

「道明寺は?」
と、俺を睨んで聞いてくるこいつ。

「くれるのか?」

「欲しいんでしょ。」

「おう。」

素直に頷く俺に、クスッと笑う牧野。

2粒だけ入ったチョコレートのケースを指差して
「これ。」
と言うと、

「これだけ?」
と小さな声で聞いてくる。

「たくさんはいらねーし。」

「でも、せっかくなら、」

「いーんだよ。
チョコが食いてぇんじゃなくて、俺はおまえから欲しいだけだから。」

いつも直球でぶつける俺。
それをいつも通り睨みでかわす牧野。
このやり取りもくすぐったくて堪んねぇ。


混み合う店内からようやく外に出た俺たちは、
車を停めた駐車場までゆっくりと歩く。

「どこかでお茶でも飲んでくか?」

「道明寺、時間はいいの?」

「ああ。ババァからの呼び出しは今のところねぇし、チョコのお礼に奢ってやる。」

俺の手には貰ったばかりのチョコの紙袋がさげられている。

「あったかいものが飲みたい。」

「だな。」

「あの通りまで出たらお店あるんじゃない?」

「歩けるか?」

「うん。」

少し先の大通りまで出て、どこかのカフェに入ればいい。
そう思いながら歩き始めたとき、今すれ違った男の顔に少しだけ違和感があった。

どこかで見た顔だ。
会社の社員か?
いや……、

そう思いながら、振り向いてすれ違った男の方を確認すると、
その男も俺を見ていて目があった。

あの男は、記者だ。

見覚えがあった。
何度かプライベートの写真を撮られたこともある。
でも、記事ネタになるような現場を押さえられた事はなく、結局その写真も世に出ることはなかった。

付けてきてたのか?
それとも、偶然?

どちらにしても、今日の写真はかなりのネタになるだろう。

「牧野。」

「ん?」

「少し走るけどいいか?」

「え?」

「記者にバレた。
撮られる前に撒くぞ。」

俺は牧野にそう言うと、直進しかけていた道をとっさに右に曲がり、
牧野の手を掴むとダッシュで細い道を駆け出した。

途中、振り返ると、さっきの男も急いで追いかけてきているのが見える。
あの仕草からすると、チョコレートの店では撮られていないだろう。
多分偶然すれ違って、俺に気づいたに違いない。

古着屋や雑貨店などがひしめく細い道を走り、
その先の小さなビルが立ち並ぶ入り組んだ道へと入っていく。

ここまでくれば大丈夫だろう。
古いビルの影に牧野の体を隠し、その体を覆うようにして俺が立つ。

走ってきたから息が上がっている牧野は、肩を揺らしながら俺のことを不安そうに見上げている。

「大丈夫か?」
牧野にだけ聞こえるようにそう呟くと、
コクコクと頷くこいつ。

その距離が近くて、走ってきたからだけじゃなく、動機が激しくなる。

「まだいる?」

「いや、多分まいた。
けど、その変にまだいるはずだ。」

記者が簡単に諦めるはずはない。
まだこの辺りをウロウロしているだろう。


人通りのない暗い場所で、好きな女と密着している。
ピンチとはいえ、絶好のチャンス。

向かい合うようにして密着する俺たち。
少し下を向けば、牧野のおでこに唇が当たってしまいそうなほど近い。

それをこいつも今更気付いたのか、慌てて体をずらそうとして動くから、牧野の足が俺の足を少しだけ踏みつけた。

「ごめんっ。」
勢いよく顔を上げて謝る牧野。

バカ、そんなに顔上げたら、マジでキスするぞ。

俺と牧野の唇の距離は数センチ。
一気に顔が赤くなる牧野に、俺もクラクラする。

「クッ……すげぇ顔真っ赤。」

「っ!うっさい。」

「バカっ、押すなって。まだいるかもしれねーぞ。」

俺の体を押し返すこいつの手を握り、さらに距離を近付けてやると

「ちょっと、道明寺っ!近いっ。」
と、暴れだすこいつ。

「分かった、暴れんな。
もう少しだけ、あと少し隠れていようぜ。」

「……。」

「牧野、寒いから近くに来い。」




良ければ応援お願い致します★

司、暴走せずにすんだね。
いや、逆にずっと暴走しまくってんなこいつ……。
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 2020_01_26


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    2020-01-26 16:00  

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    2020-01-26 23:32  

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