FC2ブログ

欲しいのは「イエス」だけ 3




約束の土曜日

牧野のマンションに寄ってから、目的の店へと行くと、店の前にはズラリと行列が出来ている。
その行列を見て、思わず顔を見合わせる俺たち。

「マジかよ。」

「すごい人気だね……。」

この行列なら、30分以上は待つことになるかもしれない。

「どうする?違う店にするか?」

「でも、お姉さんが言ってたのって、このお店なんでしょ?」

「……ああ。」

真冬のこの季節に30分も並ぶのは牧野にとってきついだろう。

「さすがに寒いだろおまえ。」

「あたしは大丈夫。
道明寺、車で待っててもいいよ。」

「……バカ。
一緒にいるに決まってるだろ。」

イタリア製のマフラーを首から取ると、この鈍感女の首に巻いてやる。

「えっ、いいから道明寺がしてなよ。」

「俺はダウンだからあったけー。」

「でもっ、」

そんなやり取りをしながら列に並んでいると、
俺らの前の方にいる女達がチラチラとこっちを見てくる。

何度も俺と牧野を横目で見ながら、
ヒソヒソと話している声が聞こえる。

「ねぇ、あの人、物凄くカッコいい!」
「モデルじゃない?背も高いよねー。」
「あれって、彼女かな?」
「えー、でも微妙な距離感だし。」
「女友達?」
「多分ね。お店に入ったら、後で彼に声かけてみる?」
「うん!携帯番号だけでもゲットしたいよね!」

そんなうんざりするようなヒソヒソ話しが聞こえ、チラッと隣の牧野に視線を移すと、
多分こいつも聞こえたのか、女達と視線を合わせないよううつむくように下を見ている。

俺はそんな牧野にだけ聞こえるよう小さく呟く。
「変な奴らに逆ナンされそーだが。」

すると、クスッと笑ったあと、
「どこにいても目立ちすぎるあんたが悪い」
と、横目で睨む。

「助けろよ。」

「無理。」

「薄情なやつ。」

「このまま逃げる?」

からかうように俺を見上げてそう言うこいつに、
俺は「いや。」と言いながら、
隣に立つ牧野の手をぎゅっと握り、俺のコートのポケットへといれる。

「ちょっ、道明寺っ!」
焦る牧野。

「こうしてれば彼女だと思うだろ。」

「でもっ、」

まだ文句を言いたそうな牧野の小さな手を、
ポケットの中でもう一度ぎゅっと握りしめると
一気に赤くなるこいつ。

そんな俺らの仕草に、さっきの女達が明らかに
ガッカリした顔をして視線をそらす。

「道明寺っ、」

「ん?」

「もう、あの人たち見てないから、」

「おまえにマフラー貸したからさみぃー。」

「は?」

「だから、代わりに手ぐらい貸せよ。」


俺の手の中にすっぽり入る小さなこいつの手。
冷えた体がそこからじんわり温まるのが分かる。

完璧に振られた一年前のあの日から、
俺たちの関係は「友達」から変わっていないけれど、
確実に距離は縮まっているはずだ。

それはこいつの態度でも分かる。
俺を避けていたこいつが、今は時折顔を赤くして照れたように視線をそらす。

そんな仕草が堪らなく可愛くて、意地悪するかのように距離を近づける俺。


「牧野。」

「ん?」

「俺にもチョコくれ。」

「は?」

キョトンとした顔で俺を見るこいつに、
無言で店の前にある看板を指す俺。

そこには
『バレンタインチョコレート
大切な人へ……甘い贈り物』
という文字


「っ!そういうのって、自分から催促しないからっ。」

「催促しねーとくれないだろおまえ。」

「そ、それは、」

困った顔のこいつも堪らない。
列が動き出すのと同時に、肩が触れ合うくらい距離を縮める。




よろしければポチっと応援お願い致します★

関連記事
スポンサーサイト




 2020_01_25


Comments

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
    2020-01-25 20:19  

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
    2020-01-26 03:11  

 管理者にだけ表示を許可する


06  « 2020_07 »  08

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

プロフィール

司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
CPはつかつくオンリーです。
司をこよなく愛する管理人の妄想サイト。

最新トラックバック

フリーエリア

お金がたまるポイントサイトモッピー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR




PAGE
TOP.