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欲しいのは「イエス」だけ 2




週の半分はバイト漬けの牧野。
牧野が高校を卒業するのと同時に、
父親が転職し、両親と弟は東京を離れて暮らしている。

転職先は悪くねぇ会社だからそこそこ給料は
貰っているはずだが、一般家庭で英徳に通うには
厳しいだろう。

だから、牧野自身も3人の生徒を掛け持ちして家庭教師のバイトをし、大学が終わったあとも時間的にハードな生活をしている。

今日も火曜日だからあいつはバイトの日だ。
終わるのは9時半。
マンションにつくのはだいたい10時過ぎか。

俺はいつものように携帯であいつにメールする。

「家に着いたか?」

すると、数分後、いつもの返事が帰ってくる。

「うん。今帰ってきた。」

「鍵、ちゃんと閉めろよ。」

「わかってる。」

「おやすみ」

「おやすみ」

いつもと変わらない会話。
彼氏彼女の関係でもないのにおかしいと笑われるかもしれねーけど、
いつからか俺たちの間で普通となったこの会話。

遅い時間の帰宅を心配してバイトを変えろと言い続けた俺と、変えないと言い張った牧野。
その二人が譲り合う形で、
『バイトの日は帰宅したら連絡する』
というルールが出来上がった。

今では俺にとって、たった数分のこの時間が、
24時間の中で一番大切だと感じる瞬間だ。

けど、今日はこれだけで終わらなかった。

俺の手の中にある携帯が震え、画面には
「牧野」の文字。
それだけでバカ見てぇに心臓がなる。


「もしもし。」

「道明寺、ごめんねこんな時間に。」

「ああ、どうした?」

「あのね、お姉さんって、今度いつ戻ってくる?」

「あー、確か1週間後に帰るって言ってた気がするけど、姉貴がどうかしたのかよ。」

「ん、この間会ったときに、たくさんお土産頂いちゃって。
何かお返しに…と思ってるんだけど。」

牧野と姉ちゃんは仲がいい。
感の鋭い姉ちゃんが、俺の恋愛に気付かないはずもなく、牧野を好きだという気持ちはすぐにバレた。

弟の弱みを握りたい為なのか、それとも弟の恋路を応援する為なのか、どちらかは知らねーけど
牧野を可愛がってる姉ちゃんは、俺の知らない所でもこいつと連絡を取り合うほどらしい。


「お返し、何がいいかな。」

「姉ちゃんがいつも勝手にお土産買ってくるんだから、お返しなんていらねーよ。」

「でもっ、貰ってばっかじゃ悪いし。」

少し拗ねたようにそう言う牧野の声が耳に響き、
甘く体を痺れさせる。

「道明寺?」

「……あ?」

「聞いてる?」

「ああ。」

「眠くなった?ごめんね、また今度かけ直す。」

電話を切りそうになる牧野に、
俺は慌てて言う。

「切るな。
もう少し聞かせろよ。」

「……え?」

「せっかくおまえの声聞けたのに、
勝手に切んじゃねーよ。」

他の奴に聞かれたら赤面する台詞も、
牧野には惜しみなく言ってやる。

「……。」

「何か言えよバカ。」

「ちょっ、バカって!
もう、切るからね。」

「あー、分かった、悪かった!
切るなっ、絶対切るなよっ。」

相変わらず、甘いムードも長くは続かねぇ。

「牧野、土曜日空いてるか?」

「え?」

「一緒に買いに行こうぜ、姉貴へのお返し。」

「何か案はあるの?」

「ああ。
前に、銀座に出来た有名なパティシエの作るチョコレートが食いたいって言ってたはずだ。」

「分かった、じゃあそれにする。」

「おう。
土曜日、1時に迎えに行く。」

「うん。
じゃあ、……おやすみ。」

「おう、……おやすみ。」


メールじゃなく、声を聞いての「おやすみ」


ヤバイ、眠れそうにねえ。



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 2020_01_24


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    2020-01-25 01:34  

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