FC2ブログ

エンドライン 25

Category: エンドライン  



休日の昼過ぎ、実家の前に車を停めた道明寺は、あたしの隣で1つ大きく深呼吸をした。

「大丈夫?」

「ああ。」

緊張してる道明寺はかなりレアだ。
あたしもさっきまで緊張していたけれど、もう実家が見えてくる頃には落ち着いてきた。
なるようになれ。もう、それしかない。

実家の玄関の扉を開け、
「ママ、ただいまー。」
と、大きく声をかけると、

「はーい。」
と、いつもより幾分控えめな声がしたあと、
パタパタとママが出迎えに来た。

そして、あたしと道明寺を見たママは、
「どうぞ、入って。」
と言っていつものように笑った。

予想していたのと……違う。
道明寺を見て、あまり驚かなかったママ。
気付いていない?まさか、この男を見て気付かない人なんていないだろう。

隣の道明寺も同じことを思ったのか、あたしと顔を見合わせて少し首を傾けたあと、あたしの頭をクシャっと撫でて、「行くぞ。」と言った。


リビングに入ると、ママとパパそして、進と進の奥さんが赤ちゃんを抱っこして待っていた。

道明寺が入っていくと、予想通りの反応を見せたのは進だった。

「えっ!えっ、道明寺さん?」

「おう、弟元気だったか?」

「あー、はいっ!でも、えーと、なんでここに道明寺さんが?えっ?まさか、姉ちゃんの彼氏って…。」

1人パニックの進を横目に、硬い表情でソファに座っているパパ。
そんなパパに、道明寺が床に膝を付き、
「ご無沙汰しております。」
と、頭を下げた。

一瞬、静まり返るリビング。
その静寂を破ったのは、ママだった。

「道明寺さん、いいから頭を上げて、ソファに座って。」

「…はい。」

「二人共、コーヒーでいいかしら?」

「あ、うん。あたしも手伝うよ。」

「いいから、あんたは座っていなさい。」
そう言ってママはキッチンへ入った。


ママがコーヒーをみんなに配ったところで、

あたしが、
「あのね、」
と切り出したとき、道明寺があたしの手をそっと触った。

そして、
「つくしさんと、お付き合いさせて頂いています。」
と、パパとママを見つめて言う。

「昔、牧野家を苦しめてあんな別れ方をした俺がこんな事を言うのは図々しいと百も承知です。ですが、……俺はやっぱりつくしさんが好きで、どうしても忘れられなくて…。
だから、もう一度、俺にチャンスをください。
今度こそ、全力で守り抜きます。」

そう言って、もう一度頭を下げた道明寺。
それを見て、視界が揺れるあたしにパパが言った。

「つくし、おまえは幸せか?」

「え?」

「道明寺さんといる事が、おまえにとって幸せなのか?」

あたしを見つめてそう言うパパに、あたしは迷わず言う。

「うん。幸せ。」

すると、パパが思いもよらない事を言い出した。

「いやー、ほんとにあの時、お金を受け取らなくてよかったよね、ママ。」

「ね、ホント!私も思ったのよそれ。」

いきなり二人で盛り上がるママとパパ。

「ど、どういうこと?」

あたしが戸惑いながらそう聞くと、

「昔、二人が別れてつくしが仙台に来たでしょ?その時、道明寺さんのお母さんからお金が振り込まれたのよ。それも、500万!手切れ金ってやつ?もー、びっくりしちゃったけど、有り難く頂く?なんてパパと話してたのよね〜。」

「えっ!?」

「いや、でもね、結局は返したわよ。つくしにも絶対受け取るなって言われたしね。
けど、ホントあの時受け取ってたら、今回この縁談も後ろめたくて喜べなかったわよね〜。」

そう言って二人で笑う両親を見て、深くため息をつくあたし。
そんなあたしを見て進が言った。

「けど、マジで驚いた。道明寺さんと姉ちゃんがまたこういう関係になってたなんて。
親父も、まさか姉ちゃんが、彼氏に道明寺さんを連れてくるなんて驚かないのかよ。」

すると、
「手紙が届いたときは、心臓が止まりそうになったけどね。」
と、エヘヘとパパが笑う。

「手紙?」

「ああ。ママ、あの手紙持ってきてあげて。」

ママが戸棚から出してきた手紙を見て一発でそれが誰から送られてきたものか分かった。
黒の分厚い便箋に、赤い朱印で道明寺家の家紋が記されている。

「もしかして、それは…」

そう言って、道明寺の顔が一気に険しくなるのを見てパパが言った。

「道明寺さん。あなたもぜひ、この手紙読んだらいい。」

パパから手紙を受け取った道明寺は、無言で手紙を読んだあと、隣りに座るあたしにその手紙を渡し、コクンと頷いた。

道明寺から渡された手紙。
便箋5枚に綴られた直筆の文字。
それは、昔、感情のない魔女だと思っていた人の、謝罪の文から始まっていた。

10年前の過ち、そして、息子を見るたびに、あたしと引き離したことを長く後悔してきたこと。
それを神から懺悔しろ言われているかのような、アフリカでのあたしとの再会。
偶然ではあったけれど、自分にとっては奇跡だと書かれている。

二人が再び付き合いだし、牧野家に挨拶に行くと聞いたとき、もしも二人の交際を反対されるような事があるのなら、それはすべて自分のせいだ。
だから、出来る事なら会って謝罪したいのだが、その前にお手紙を送らせて頂く。

そんな内容の手紙の最後は、この一文で終わっていた。

『どうか、二人の幸せだけを考えて頂きたいと願っております。』




読み終えたあたしに、もう一度パパが聞いた。

「つくし、道明寺さんといる事が、おまえにとって1番の幸せか?」

「……はい。」




良ければポチッと応援お願い致します!

次回がラストの予定です
関連記事
スポンサーサイト




 2019_09_12


Comments

phronesis 

文体がハイセンスだねぇ。
あんまりここまで力の強いのは見たことがありません。
がんばってー。
いつか到達点に!

See you !
O(≧▽≦)O  URL   2019-09-14 15:01  

 管理者にだけ表示を許可する


08  « 2019_09 »  10

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

プロフィール

司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
CPはつかつくオンリーです。
司をこよなく愛する管理人の妄想サイト。

最新トラックバック

フリーエリア

お金がたまるポイントサイトモッピー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR




PAGE
TOP.