FC2ブログ

エンドライン 13

Category: エンドライン  



牧野が会社に来るのも最後になる今日、
午前中は取引先との顔合わせで外出していた。

昼にはオフィスに戻るはずだったのに、
「昼食を一緒に」と誘われて無下に断れる相手ではなかった。

仕方なく飯に付き合うことになり、西田に
「牧野を待たせておいてくれ」と頼んだが、
1時少し前に急いで戻ったオフィスには牧野の姿はなかった。


「申し訳ありません。副社長がお戻りになるまでお待ち頂くよう伝えたのですが、急ぎの用事があるからと、少し前に帰られました。」

その西田の言葉を聞きながら、デスクの上に置かれた1枚のガーゼを見つめて、
「…マジかよ……これで終わりかよ……」
と、柄にもなく情けねえ声がオフィスに響いた。





その夜、さんざん迷った挙げ句、滋から入手した番号で牧野に電話する。
3コール目で

「もしもし?」
と、警戒するような声。

「牧野、俺だ。」

「…道明寺?」

「おう。」

こいつと電話で話すなんていつぶりだろうか。
耳元で聞こえる、俺だけに話すその声に、
思わず目をつぶりもっと集中したいとバカみたいに思う。

「今日は悪かったな。」

「ううん、仕事でしょ。」

「あともう少し待てばオフィスに戻ったんだぞ。」

「あ、そうなの?ごめん、急いでたから。」

「おう。」

このまま電話を切れば、俺達に会う理由はもうなくなる。
終わりにする理由はたくさん出てくるのに、会う口実だけが思い浮かばない。

「牧野、」

「ん?」

「……俺、」

その先を迷う俺に、

「道明寺っごめん!あたしこれからバスに乗るところなの、だから後でかけ直すっ!」
と、牧野が早口で言う。

「あ?バス?おまえ今どこにいるんだよ。」

「え?仙台っ、今日こっちに戻ってきたの」

「仙台って、……あの東北の仙台だよな?」

「…それ以外に仙台ってある?」
呆れたようにそう答える牧野。

「帰るなんて聞いてねーぞっ。」

「バスに乗るからっ、切るね!」
と、勝手に切りやがるこいつに

「おいっ」
と、またもババァに叱られる程の声で俺は叫んでいた。


マジでありえねぇ。
さっきまで弱気で、電話する事にも躊躇して、会う口実にも悩んでたのに、
そんなのが全部アホらしく思えてくる。

何に怯えてる?
何を戸惑ってる?
またあいつを失うかもしれないから二の足を踏んでいるのか?

そんなこと、いまさらどうだっていい。
あいつとは初めから赤い糸なんて結ばれていないのかもしれない。

けど、

このムズムズとした気持ちは、誤魔化しようがない。
あいつが気になる。
会って顔が見たい。
近くで話したい。
今日も明日も明後日も。


ここまできたら、
逃げるなら追いかけるしかねーだろ。
たとえ泣きを見ることになっても、
思いのまま突き進むしかねぇ。

「西田っ!」

「はい、お呼びでしょうか?」

「週末の仕事、キャンセルしてくれ。」




良ければポチッと応援お願いします♡
関連記事
スポンサーサイト




 2019_08_17


Comments


 管理者にだけ表示を許可する


08  « 2019_09 »  10

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -

プロフィール

司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
CPはつかつくオンリーです。
司をこよなく愛する管理人の妄想サイト。

最新トラックバック

フリーエリア

お金がたまるポイントサイトモッピー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR




PAGE
TOP.