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エンドライン 11

Category: エンドライン  



道明寺の会社に来るなんて初めての事で、どうしたらいいのか分からない。
こんな事なら携帯の番号でも聞いておけば良かった…と後悔したけれど、もう遅い。

会社のエントランスをゆっくりと横断し、惚れ惚れするほど綺麗な受付嬢が並ぶカウンターへと近付く。

「あのぉー、」

「はい。」

にこやかな笑顔で対応してくれる彼女に、あたしは消えそうなほど小さな声で言った。

「道明寺司さんに会いたいんですけど。」

「はい?」

「だから、そのぉー、道明寺司さんと約束してて……」

さっきまで笑顔だった彼女が、明らかに不審な目であたしを見る。

「失礼ですが、どちら様でしょうか。」

「あっ、すみません。牧野つくしと申します。」

「どちらの牧野様ですか?」

どちらの……と言われても、この場合なんて答えたら良いのだろう…と迷っていると、

突然後ろから
「遅刻だぞ。」
と、声がして、あたしの頭を誰かがくしゃくしゃと掻き混ぜた。

「道明寺っ!」

「12時過ぎてるぞ。」

「だって、ここまで来たけど、どうしたらいいか分からなくて。」

オドオドするあたしを見て少しだけ笑った道明寺は、
「行くぞ。」
そう言って歩き始めた。

急いで道明寺の後をついていくあたし。
すると、突然道明寺が立ち止まり、あたしは思いっきりその背中に激突してしまう。

「痛ぁー。」

「わりぃ。」

今度は完全に笑い顔でそう言ったこの人は、あたしの横を抜けて受付嬢の前に行った。
そして、あたしたちをポカンとした顔で見つめる彼女たちに言った。


「こいつ、今日からしばらく毎日来るから。
顔パスで通してやって。」

丁度時間は昼休憩どき。
受付嬢だけでなく、他の社員の視線が痛すぎて、
これが毎日続くなんて…と頭が痛い。






小さなガーゼを取り、新しいものと変えていく簡単な処置。
ソファに並んで座る俺達の距離は近い。

牧野の華奢な指を見ていると、昔のことを思い出す。
こいつの手をとって、一生離さないと誓ったあの頃。

「……牧野。」

「ん?」

新しいガーゼをなぞるように貼りながら、返事だけ返す牧野。

「ちゃんと医者になったんだな。」

「……うん。」

「幸せか?」

本当は『幸せだったか?』そう聞きたかったのかもしれない。
俺と別れて10年、おまえはほんとに後悔しなかったか?

俺は……めちゃくちゃ辛かった。
目を閉じるたびにおまえの残像が浮かび上がり、寝ることさえ辛かった。

立ち直る唯一の光は、『おまえは金を受け取って俺を裏切った』という恨みだったはずなのに、
こうして医者になった牧野を見ていると、
もうそんな事どーでもいいとさえ思えてくる。


「牧野。」

「ガーゼ交換したからね。」

「牧野。」

「お風呂のときだけ気をつけて。」

「牧野、こっち見ろよ。」

ゆっくりと顔を上げて、困ったような顔で俺を見るこいつ。
その漆黒で大きな目は、相変わらず俺の身体を痺れさせる。


「なぁ、俺達もう一回はじめてみるか?」




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 2019_08_13


Comments

おはようございます 

やったあ!
一歩前進。やはり司からだよねー。

そして、素直でない?つくしちゃんがどうでるのか?
続き、めっちゃ楽しみです!
Fumee  URL   2019-08-13 09:44  

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