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エンドライン 8

Category: エンドライン  


「いってぇ!!」

思わず叫ぶ俺に、

「っ!道明寺っ、大丈夫?」

と、牧野が慌てて俺を呼んだ。

道明寺……その一言だけで、俺は一気に10年前に引き戻された。






美作邸のリビングではソファに座る俺を囲み心配そうな顔をした奴らが無言で俺を見ている。

「噛まれた傷口は大したことありませんが、一応破傷風などの恐れもありますので、早急にワクチンを打ってください。」

美作家の専属ドクターが俺の腕を見てそう言うと、
「………プっ、ぶは、ぶはははぁー」
と、今までおとなしくしてやがった総二郎が吹き出してやがる。

「てめぇ。」

「司、どんだけ犬に嫌われてんだよ、
ぶはははーマジで腹痛ぇ。」


犬のトレーナーが必死に弁解するには、
いつもはおとなしくて利口な犬で、
人に危害を加えるなんて信じられないと。
牧野に向かって行ったのも、一緒に遊んでほしくて抱きついただけ。

そんな犬が俺にガブリだ。
総二郎が笑うのも無理ねぇ。


「とにかく司、病院に行け。」

あきらのその言葉に立ち上がった俺は、
くるりと体を反転させ、

「牧野、お前も行くぞ。」
そう言って真っ直ぐに牧野を見た。





※※※※※※※※※※※※※※※

「お前も行くぞ。」
そう言われて呆気にとられるあたしの背中を、花沢類が軽く押した。

言われるがまま道明寺のあとに付いて美作邸を出るあたしに、ウンウンとみんなが頷きながら手を振ってくれた。



道明寺に乗せられたのは外車ではあるけれど、意外にも地味な車で、運転する手付きも様になっている。

10年前はあのダックスフンドみたいな車に乗っていたくせに……なんて思うとおかしくなって思わずクスッと笑っちゃったあたしに、

「なんだよ。」
と、道明寺が助手席に座るあたしに言った。

「ううん。」

「笑っただろ。」

「いや。……あんたが自分で運転するなんて意外だなぁーと思って。」

そう正直に話すあたしに、道明寺が
「おまえは?」
と聞いた。

「ん?」

「運転。しねーのか?」

「あたし?しないよ、免許持ってないもん。」

「取ってねーのかよ。」

「……そんな暇なかったし。」



そう、この10年あたしは無我夢中で突っ走ってきた。
医大に行きながらも、少しでも余裕が出来たらバイトをしてパパとママを助けてきたあたしに、車の免許を取りに行く時間もお金もなかったのだ。

働き始めてからはお金に困ることはなくなったけれど、時間の余裕は全くなくなった。
そのうち、日本を離れることになって3年、あたしは車どころか免許さえ未だにない。



そんな事を考えていると、車の窓から見覚えのある景色が見えてきた。

「ねぇ、」

「あ?」

「病院には行かないの?」

「こっちの方が早いだろ。」

そう当たり前のように話す道明寺の車は、まるで国立公園かのような森林を抜け道明寺邸へと近付いていく。

「あんたが病院に行くって言うから、あたし付いてきたんだけど…」

「主治医にワクチン用意させてあるから問題ねえ。」

「いや、だから、主治医がいるでしょあんたには。」

どこかの救急外来にでも行くのかと思っていた。
怪我の状況を説明だけしてあたしは帰るつもりだったのに。


「怪我したのはおまえの責任だからな。」

「はぁ?責任って、別に助けてって頼んだわけじゃないし!」

「俺が助けに行かなきゃおまえ揉みくちゃにされて死んでたかもしんねーぞ。」

「あのね、あれはじゃれてただけなのっ。
さっきトレーナーの人も言ってたでしょ。
それなのに、犬嫌いのあんたが間に入ってきたから、びっくりして噛み付いただけ。どっちかと言うと、……あんたが悪い?」

「おまえ、この腕見て、よくそう言う事言うよな。」


拗ねたような顔であたしの前に持ってきた道明寺の腕には、小さいながらもくっきりと噛み跡が。


「い、い、痛い?」

「ああ。」

「ご……」

「あ?聞こえねぇ。」

「だから、ご……。」

「もっと大きな声で言えよ。」

「だからっ、ごめんって!」



納得はしてないけれど、助けてくれた事に変わりはないから、一応謝っておく。


そんなあたしに、

この人は、見たこともない優しい顔で
「おう。」と言って笑った。



いつも応援ありがとうございます。



『俺の彼女』のストーリーについてご質問頂きました。
拍手コメントにてご質問頂きましたので、返信が出来ませんのでこちらで回答させて頂きます♡

『俺の彼女』は一応まだ未完です。
時間のあるときにもう少し続けたいなぁと思っております。
甘っあまのストーリーを……と思って書いたのですが、
恋のライバルも現れて切ないです。
と、コメント頂き、あーそうなのかぁーと新鮮な思いで読み返してみました。
切なくて、ジレジレで、
でも一途で甘々な司をこれからも書き続けていきますので、
どうぞお付き合い頂けると幸いです!
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