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時差恋愛 25

Category: 時差恋愛  



昨夜、道明寺とあんな別れ方をしたのが今日一日ずっと気になっていたけれど、電話をして謝る勇気もない。

こんどあいつに会うのはいつだろう……そんな事を考えると、あたしたちには会う理由もないことを改めて思い知らされる。


仕事が終わりいつものように帰宅するとすっかり部屋は冷え込んでいた。
急いで暖房を付け、夕食の準備に取り掛かろうとしたその時、ピンポーンと部屋のチャイムが鳴った。


「はい。」
と、インターフォンを覗くと、そこにある道明寺の姿に思わず持っていた大根が手から落ちた。

「道明寺?」

「開けろ。」

相変わらずな奴。
でも、昨夜逃げるように帰ってきた手前、今日はおとなしく従うしかない。

玄関の扉を開けると、仕事帰りなのかスーツ姿の道明寺が不機嫌そうに立っていた。

「話がある。少し出よーぜ。」

「……ん、分かった。上着取ってくるからちょっと待ってて。」

そう言うと、あたしはさっき脱いだばかりの上着を取りに急いで部屋へと戻った。
上着を着込み、そのポケットに財布と携帯をねじ込んだその時、玄関から聞き覚えのある声が響いた。

「つくしー、お客さん待たせて何やってるのー」

その声は聞き間違えるはずもない。

「えっ、ママ?」

慌てて玄関に引き返したあたしの目の前には、道明寺を玄関の中まで引き入れるママの姿があった。

「ママっ!」

「つくし、外で待たせるなんてお客さんに失礼でしょ。さぁさぁ、寒いので入って。」

強引に道明寺を中に入れるママにあたしは叫ぶ。

「どーしたの突然来て。」

「突然娘の顔見にきちゃまずいかしら?
突然来たおかげでつくしの彼氏にも会えたし大成功ね。」

そう言ってニンマリ笑うママは道明寺を見て嬉しそう。

「彼氏って、ママ、この人はそういうんじゃないからっ。ちょっと話があって来ただけ。
少し外で話してくるから、ママは中に入ってて。」

そう言ってママの横をすり抜けて、道明寺の腕を取り外へ出ようとしたあたしに、

「寒いから中で話しなさい。
ママね、煮込みうどん作ろうと思って材料買ってきたの。みんなで食べましょ、ね?」

そう言ったママはあたしたちの返事なんて聞かずに道明寺を強引に部屋へと招き入れた。



10分後。
狭いあたしの部屋に、上機嫌のママと、しっかり寛ぐ道明寺がいる。
こんな状況で話なんて出来ないと思ったのか、道明寺もソファに座りテレビを見ている。

「あのね、道明寺。
今日はご覧の通りこんな状況なので、話は無理かと…、だから、明日にでもあたしから連絡する。
ね、だから、今日は帰ったら?」

ママに聞こえないように道明寺にそう言うと、
この人は相変わらず空気を読まない。

「うどん食ってく。」

「は?」

「寒みぃから体か冷えた。だからなんとかうどんっつーの食ってく。」

「煮込みうどんね。
っていうか、あんた仕事はいいの?
大企業の跡取りさんは忙しんでしょ!こんなところで寛いでないで帰りなさいよ。」

「今日は朝から何も食ってねーんだよ。
おまえの言うとおり大企業の跡取りさんは忙しくて食事も出来ねーの。だから、一食ぐらいここで食わせろ。」

ホントか嘘かは分からない。
でも、鼻歌交じりにうどんの仕上げにかかってるママから、
「つくしー、うどん出来たから、そっちも食べる用意してねー。」
と、タイミングよく声がかかり、仕方なくあたしは立ち上がった。


テレビの前にある正方形のテーブルにコンロが置かれ、そこに熱々のうどんの鍋。
ママらしい具沢山の煮込みうどんをあたしは三人分鍋皿に取り分けた。

「さぁ、食べましょ。」

ママのその声にあたしと道明寺の
「頂きます。」の声が重なった。





道明寺は意外なほどよく食べた。
朝から何も食べていないと言うのは本当かもしれない。

「おかわりする?」

「おう。」

こんなやり取りを何度もして、すっかりお鍋は残りわずか。

「うまかった。」
そう言ってお行儀よくお箸を置く道明寺は体が温まったせいか、いつも以上にツヤツヤとして見惚れてしまう。
慌てて視線を反らしたあたしの横で、じっくりと道明寺を見つめママが言った。

「もしかして、……やっぱりそうよね、
あなた、タマさんの所の坊っちゃん?」

「……あー、はい。」

「やっぱり!さっきからどっかで見たことあると思ってたのに、なかなか思い出せなくて。
そうよね、やっぱりあの時の病院であったあの坊っちゃんよね?」

「まぁ、そうですけど、その坊っちゃんって…。」

「タマさんはお元気?
あれから10年くらいかしら。」

「ああ、元気です。
まだまだくたばりそうも無い程に。」


久々にタマさんの事が聞けてあたしの顔も緩む。
あのお婆さんは強烈だったけど、でも入院中のママを楽しませてくれた人。
昔の記憶が懐かしく蘇る。

そんなほっこりした気分のあたしにママが爆弾を落とした。

「つくしとはあの頃から?
それとも大人になってたから付き合い始めたの?」

「え?」
「は?」

同時に固まるあたしたちにさらなる爆弾投下。

「この間、電話でしつこく聞いたときは彼氏と別れたなんて言ってたけど、仲直りしたの?
心配で様子見に来たのに、ただのお邪魔虫だったわね〜。」



いつも応援ありがとうございます。

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 2018_10_13


Comments

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    2018-10-13 15:09  

ありがとうございます😊 

続けての投稿ありがとうございます😊
私もうどん食べたくなりました!
いいぞーママ。どんどん突っ込んでくださいな。
今回は、つくしちゃんが別の人と付き合いはじめる‼️とドキドキ設定でしたが、そこはやはり司一筋さん。読書の気持ち、よくお分かりです(^^)!
この後の会話楽しみです!
Fum.
Fumee  URL   2018-10-15 07:01  

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    2018-12-04 16:31  

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