FC2ブログ

時差恋愛 14

Category: 時差恋愛  


邸の運転手に告げて向かった牧野のマンションは、三階建の小綺麗な所だった。

「おいっ、起きれるか?」

車のシートに沈み込むように眠るこいつにそう声をかけると、

「んっ……大丈夫。」
と、小さく答える。

「おまえの家に着いたぞ。」

「うん、ありがと。……お世話になりました。」

今にも転げ落ちそうになりながら車から降りた牧野は、振らなくてもいい頭を大きく下げて、
「お疲れ様でした。」
と、いいマンションへと入っていく。

しばらく牧野の後ろ姿を目で追っていると、
エレベーターのボタンを押したあと、壁におでこを付けながら微動だにしねぇ。

「ったく、そんなとこで寝んじゃねーよ。」
呆れると言うよりも笑いが込み上げてくる。

車から降りた俺は、
エレベーターが来てるのも気付かねぇで目を閉じてるこいつの体を荷物の様に抱え上げると、エレベーターに乗り込んだ。

観念したのか、無理だと自覚したのか、俺に抱きかかえられた牧野から鍵を受け取ると、三階の一番奥の部屋の鍵を開けた。


部屋はリビングの奥にベッドルームが一つ。
どれも綺麗に片付いている。

「鍵、ここに置くぞ。」
リビングのテーブルに鍵を置きながら、俺の肩に頭を置く牧野に話しかける。

「…あり…がとう。」

牧野がそう返事をした時、思いの外こいつとの距離が近くて体がソワソワする。
俺の耳元で牧野の吐息。
今更ながらこいつは女なんだと気付かされて、
ベッドルームへ直行すると、乱暴にベッドの上にこいつを下ろした。

「痛っ…もうっ、もう少し…優しく出来ないかな…」

「うるせぇ、ここまで担いでやっただけ感謝しろ。」

「相変わらず、ひっどい男。」

「ったく、立てなくなるまで呑むな女なのによ。
俺がせっかくおまえを先に帰らせようと神崎に言ったのに、大口たたいて最後まで付き合うとか言い出すからだろ。」

ベッドに寝る牧野と、それを見下ろしながら話す俺。

「だって、……あんた…、あっ!
今、何時?」

急に起き上がりそう叫ぶこいつに、

「あ?…もうすぐ1時になる。」
と俺が答えると、

「嘘っ。あんた時間大丈夫なの?」
と、赤い目で俺を見つめる牧野。

「だって、今日からNYでしょ?」

「…ああ。なんで、おまえ」

「お店の前で車から降りるときに言ってたの聞こえたから。
……呑みすぎてない?……出張なのに大丈夫?」

呑みすぎてるのも、大丈夫じゃねーのもおまえだ、と言ってやりてぇのを抑えて俺はベッドによし掛かるように床に座った。


「おまえさ、もしかして、俺の為にこんなに呑んだのかよ。」

「別に…そういう訳じゃないけど、」

それなら辻褄が合う。
神崎と酒を呑む間も、時間大丈夫?と何度も俺に小声で聞いたり、
日本酒が好きだと言って、俺の猪口まで取り上げて呑んだこいつ。
酒なんて強くないのはすぐに分かった。
それなのに、俺にはあんまり呑むなと言いながら、残った酒を必死に減らし続けたこいつ。

「自分の心配しろっつーの。」

「……。」

「バカ女。」

「……。」

何も返事がないってことは、眠りについたのか。
そっとベッドの上を覗くと、いつもより幼い顔でこいつが目を閉じている。

顔にかかる髪をそっとどけてやりながら、
「鍵、ポストに入れておくぞ。」
そう言って立ち上がった俺。

その時、
眠ったと思った牧野が言った。

「道明寺……ありがと。」


道明寺……。
こいつが呼ぶその響きに胸がギュッと縮むほど痛くなる。
道明寺と呼ぶ女は昔も今もこいつだけ。

胸のざわつきと痛みを感じながら考える。
この妙な感覚はなんなのか。

俺の中で警告音がなる。
このままここにいるべきじゃねぇ。


俺は急いで部屋を出た。



ランキングに参加しています。
いつも応援ありがとうございます!
関連記事
スポンサーサイト

 2018_05_01


Comments


 管理者にだけ表示を許可する


07  « 2018_08 »  09

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

プロフィール

司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
CPはつかつくオンリーです。
司をこよなく愛する管理人の妄想サイト。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR




PAGE
TOP.