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時差恋愛 11

Category: 時差恋愛  



一週間後、一ノ宮からメールで教えられた料亭の前で車を降りた。

神崎社長との会食の日。
一ノ宮の他にもプロジェクト開発チームのメンバーも来ているらしい。

『仕事の話が一段落した頃に顔を出す』と、予め一ノ宮には伝え、料亭についたのは会食が始まって一時間ほどした頃だった。

車を降りた俺に、西田が
「明日からNYですので、朝、邸にお迎えに参ります。」
と、頭を下げた時、俺の後ろを誰かが通った気配がした。

店の門をくぐり、両側に広がる庭園を抜けた先に入り口が見えてくる。
そこへ近付いた時、俺よりも頭1つ分小せえ女が女将に、
「一ノ宮さんのお席は……」
と、聞いているのが聞こえ、
「こちらでございます。」
と、女将に案内されるところだった。

後ろの俺に気付いた女将が、
「いらっしゃいませ。」と、頭を下げ、それに女も振り向いた。

「……どうも。」

「……おう。」

濃紺のワンピースに華奢なヒール。
髪はいつもより高めに結い、はじめて見る女らしい姿の牧野。

「道明寺も一ノ宮さんに?」

「ああ。」

それだけで話が成立する。
女将に促され長い廊下を進むと、奥の『椿』という部屋に案内され、思わず笑っちまった。

「え?なに?」

「いや、なんでもねぇ。」

「思い出し笑いとか、不気味なんですけど…。」

「思い出してねーし、不気味とか…てめぇ。」

そんな言い合いを小声でしてる俺たちを横目に、
女将が「失礼致します。」と、椿の部屋のふすまを開けた。
その直後、その目の前に広がる光景にア然とする俺たち。

プロジェクトのメンバーだろう女たちが4人。
そして、その中に一ノ宮と神崎社長がいるが、どうやらこの一時間で相当酒が回ったらしい。

神崎社長の両側には女が座り、ホステスさながら社長が二人の腰に手を回している。
他の二人も困惑と疲労で顔が引きつっているのが分かる。
そして、当の一ノ宮は呑めない酒を飲まされたのか赤い顔でテープルに突っ伏してやがる。


「おぉーー、道明寺様のおでましかー。」

「遅くなりました。神崎社長。」

「待ってたぞ。」

クソっ、ニヤついたエロおやじがっ。
こんな席に来たことに早くも後悔し、くたばってる一ノ宮の背中を軽く蹴ってやる。

「司、来てくれたんだ。」

「おまえ、呑んだのか?」

「ああ。少し。」
そう答えるこいつの酒の弱さはピカイチだ。

俺に目で助けを求める女たちと、この光景にタジタジしている牧野を見て俺は神崎社長に言った。

「社長、ここからは内密な話もあるので、女性たちは先に帰らせてもいいですか。」

「どうして、女の子が帰ったら楽しくないよー。」

「一度社長とじっくりサシで話がしたかったんですよ。今日がその機会なんで、二人で。」

「よーし、分かった。
じゃあ、今日は道明寺くんと呑むとしようか!」

「はい。」

クソジジィの気が変わらない内に、女たちに帰れと合図を送り、一ノ宮の事も頼むと一番近くにいた女に伝え、俺は社長の正面にあぐらをかいて座った。

そして、社長のグラスにビールを注ごうとしたその時、このクソジジィがとんでもねぇことを言った。

「あー、そこの女の子、今来た女の子いたよね?その子は残って。」

「……はい?」

「まだその子とは話してないからね。
お酌もしないで帰るなんてダメだよ〜。」

酔ってるように見えてこのクソジジィは意外に冷静かもしれねぇ。
遅れてきた牧野の事を真っ直ぐに見つめ、コイコイと手を振ってやがる。

「神崎社長、今日は俺とサシで、」

「こんなかわいい子の名前も聞かずに帰すなんて失礼だよ。
ね?ここに座って。」

社長の正面に座る俺の横を指してそう言う神崎社長に、牧野も黙って従うしかねぇ。
俺の隣に座った牧野と、俺、神崎社長の3人だけを残し、グダグダに酔ったままの一ノ宮を抱えた女たちが、申し訳なさそうに部屋を出ていった。



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 2018_04_25


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    2018-04-25 15:43  

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