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時差恋愛 9

Category: 時差恋愛  


「牧野、ほんとに行かなくていいの?」

「うん。」

「後悔しない?」

「うん。」


ここは英徳の非常階段。
あたしは空を見上げ、一ヶ月前のことを思い出す。

道明寺邸で開かれたパーティーで、あたしはあいつに好きだと伝える寸前だった。
それなのに、

「答えるな。答えるんじゃねーぞ。
聞かなかったことにする。」

そう言われ、好きだと言うことさえ拒絶され、あたしの恋は呆気なく終了した。

あれから一ヶ月。
今日、あいつはNYへと旅立つ。


「空港に急げばまだ間に合うよ。」

非常階段で空を見上げるあたしに、そう言う花沢類。

「花沢類こそこんな所で寝てないで、空港に行きなよ。」

「俺はいいの。司とはいつでも会えるから。」

「あたしも、……いいの。
あいつとは、もう会わなくていいから。」


はじめから実るはずのない恋。
あたしも、あいつに熱い視線を送る女性たちのほんの一人、それは分かっていた。

だから、欲張らない、出しゃばらない。
ファンはファンとして遠くから見つめよう。
そして、恋はきちんと現実味のあるものを。








***************************

それから8年。



今日、俺はNYで知り合った大学の同期の結婚パーティーに出席していた。
NYから帰国して1年。
26歳になった俺の周りでは、結婚ラッシュが続いている。

向こうの大学で親しくなった奴らは道明寺財閥ほどではないが、日本の大企業の息子たちばかり。
そんな奴らが今年に入って3人もバタバタと結婚を決めた。

「司もそろそろ相手ぐらい探したら?」

「うるせぇ。」

大手通販会社社長の息子である櫻井が俺をからかうが、俺には全くその気はねえ。
結婚どころか夢中になれる恋愛さえ未経験。
いざとなったらどこか条件のいい令嬢と、形だけの結婚でもするしかねーか。


「司、一ノ宮が来たぞ。」

櫻井のその言葉に披露宴会場の入り口を見ると、製薬会社の跡取り息子である一ノ宮がいる。
俺たちに気付くと軽く手を上げ近付いてきた。

「久しぶりだね。」

「おう、NY以来だな。」

「司のことは新聞や雑誌でいつも見てるよ。
相変わらず、仕事のスケールが俺らとは違うね。」

そう言って笑ったあと、会場内をキョロキョロと眺める一ノ宮。

「誰か探してるのか?」
櫻井がそう聞くと、

「ああ、連れがいるんだけど、はぐれたか……。」
そう言って心配そうにあたりを見る。

「連れ?彼女でもできたか?」

「いや、……でも、時間の問題かな。」

「おー、マジかよ。」

「まぁ、彼女の返事待ちって所だ。
見つけたらお前らにも紹介するよ。」

櫻井と一ノ宮のそんな会話を黙って聞いていた俺に、
「そういえば、今日の新婦って英徳の後輩だろ司。」
と、一ノ宮が言った。

「ああ。そうらしいな。」

「俺の連れも英徳の出身なんだ。
新婦とも親交があったそうで、それで今日呼ばれてる。」

「んー、……俺の知ってる奴か?」

そう聞いたとき、
目の前の一ノ宮の顔がパッと明るくなる。

そして、大きく手を上げ「こっち」と、誰かに合図を送った。



「牧野さん、こっち!」

「あっ、はいっ。」

一ノ宮の呼びかけに答えるように、俺らの傍に小走りで近付いてきた女を見て、俺は固まった。

「……おまえ、」

「…道明寺?」



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    2018-04-24 15:02  

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    2018-04-24 22:36  

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