時差恋愛 7

Category: 時差恋愛  



あれから1ヶ月。
今日、あたしは道明寺邸へと来ている。

卒業記念と題されたパーティーは、あたしが想像していたものより何倍、いや何十倍もの凄さで、花沢類の一言がなければ一生踏み入れることのない世界が広がっている。

招待客は300人以上。
パートナー同伴だからその倍だとしても、この広大なお屋敷にすっぽりとおさまってしまう。

パーティーは道明寺のお母様の挨拶から始まり、そのあと今日の主役である道明寺がステージに上がると、どこからともなくスポットが当たりまさに王子様。

挨拶のあとはバイオリンの生演奏でダンスが始まり、花沢類に差し出された手を取りなんとかあたしも踊りきった。


慣れないことはするものではない。
履いたこともないヒールのせいで踵がズキズキと痛む。
欲張って食べたローストビーフが悪かったのか、胃がキリキリと痛む。

「花沢類、ちょっとお手洗いに行ってくる。」

「わかった。付き合おうか?」

「大丈夫。」

そうは言ったものの、あまりに広くてどこがトイレなのかも分からない。
ウロウロと探しながら歩いていたあたしは、どうやら完全に迷ったらしい。

「はぁー、ここはどこよ。
家の中で迷うなんてありえないっつーの。」

ただでさえ痛む足なのに、ウロウロ歩いている内に痛みが増してきた。
キョロキョロとあたりを見回し誰もいないのを確認すると、あたしは窮屈なヒールをそっと脱いだ。

絨毯がフカフカで気持ちいい。
痛んだ足を包み込んでくれるかのような柔らかさに、嬉しくなって小さくピョンピョン跳ねてみた、
その時、

「何やってんだよ、こんな所で。」
と、どこかで聞いたことのある声がした。

「っ、道明寺!」

「なんで、ここにいるんだよ。」

「……トイレ探してたら迷っちゃって、」

「そんで、裸足で遊んでたって訳か?」

「ちがっ、これは、足がちょっと痛くて、それで誰もいないから脱いでたら、」

事の成り行きをそこまで説明した時、廊下の向こうから人の話し声が聞こえた。
それを聞いた道明寺が、いきなりあたしの腕を掴んで、

「静かにしろ。」
そう言ってあたしたちが立つ廊下のすぐ傍にあったドアを開け、自分とあたしの体を中に押し込んだ。

「えっ、なに?」

「うるせぇ、少しの間黙ってろ。」

道明寺にそう言われコクコク頭で頷いたあたし。
押し込まれた部屋は、四畳ほどの小さな部屋で、
床から天井まである棚にびっしりと絵画がおさめられている。
棚に収まりきらない絵やポスターが床にも積まれ、あたしと道明寺が入るスペースがやっと。

キョロキョロと部屋の中を眺めていたあたしに、
道明寺が小声で言った。

「見つかったか……」

「あんたなんか悪いことして逃げてきたの?」

「あ?俺は犯罪者かよ。」

それに近いことはやってると思う…なんて言えるはずはない。

「疲れたからパーティーから抜け出してきた。」   

「はぁ?あんた主役でしょ。」

呆れるあたしの横で、絵画が積み上げられた場所に腰を下ろす道明寺。

「ちょっと、それって座ってもいいの?」

「ああ、たいした絵じゃねーから気にすんな。」

そう言うならあたしもお言葉に甘えて。
もうひとつ別のところに積み上げられていた絵の上にあたしも腰を下ろしたとき、それを見て道明寺が言った。

「一枚1000万の絵だからたいしたことねーだろ。」

「はぁっ!?」

一枚1000万なら、今あたしのお尻の下には一億の価値の絵があるってこと。

「ちょっと!それ本気っ?」

「うるせぇ、見つかるからもっと小さい声で話せって。」

「話せるかっつーの!バカっ!」

「……ックックッ……バカはおまえだろ。」


笑うなバカ。
そんな顔で笑われたら、あたしの胸が痛いほど鳴っている。
どうか、あんたに聞こえませんように。



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 2018_04_20


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