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日々、想定外。42

Category: 日々、想定外  



いつものように仕事が終わったあと、
いつもとは違う方角へ歩いていると、
あたしの横にすーっと音もなく車が止まった。

中からドアが開き、あたしはそれに乗り込むと、
数日前と同じ光景が広がっていた。

「答えは出たのかしら?」
そう聞く楓氏に

「はい。」
と、あたしは答えていた。


「NYへ行きます。」

「…そう。良かったわ。
それで、司に話はしたの?」

「いいえ。
明日、東京で会う約束をしているのでその時に話すつもりです。」

「そう。分かったわ。
それじゃあ。」

話は終わりということなのか、楓氏はそう言ってグラスを持ち上げた。

「あのぉ、…………」

「何か聞きたいことがあるなら言って頂戴。」

「あのぉ、
あたしと副社長が交際していることについては、何も問題はないんでしょうか?」

恐る恐るそう聞くあたしに、

「フッ……」 
と、笑ったあと、

「問題にしてほしいのかしら?」
と、まさかの質問返し。

「い、いえっ、そういう訳じゃなくて、」

慌てて否定すると、楓氏は

「牧野さん、
これから人と会う約束があるの。
悪いけど、この続きはまた今度にして頂ける?」

そう言ってグラスをゆっくり傾けた。





二週間ぶりに会う道明寺。
あたしから東京に会いに行くと伝えると、
「マジかよ。無理すんな。」
と言いながらも嬉しそう。

待ち合わせは会社の側にある大きな公園。
待ち合わせの時間の一時間前に急に道明寺から電話で、
「牧野、待ち合わせメープルに変更できるか?」
と。

「どうしたの?」

「おまえに……会わせたいやつがいるから。
まぁ、会ってから話す。
とにかく、メープルで。」
と、それだけ言って電話が切れた。



約束の時間にメープルへ行くと、道明寺もすでにカフェの奥に座っていた。

「おつかれ。」
あたしがそう言って正面に座ると、

「おう。元気だったか?」
と、こっちが恥ずかしなるほどの甘い顔。

そんな道明寺にあたしは今日、大事なことを伝えなければならない。

「道明寺。」

「どうした?」

「あのね、あたし道明寺に大事な話があるの。」

「実は俺もおまえに大事な話がある。」

「へ?あたしに?なに?」

「おまえから言え。」

「えっ、道明寺から言ってよ。」

そんなやり取りをするあたしたちの前にコーヒーが運ばれてきて、なんとなく黙る二人。
そして、
「おまえの大事な話、先に聞く。」
と、道明寺に再び言われ、
「あのね、」
と、あたしは口を開いた。


「あのね、あたし、
4月から椿さんの専属秘書としてNYに行くことにしたの。」

「……あ?」

「拠点をNYに移す椿さんに付いていこうと思って。」

「なんだよ、それ。
4月ってあと2ヶ月もねーじゃん。」

「うん。
この話を頂いてから迷ってたけど、やっぱり行くことにしたの。」

「……俺にはなんの相談もなしかよ。」

そう寂しそうに呟く道明寺。
これであたしは、この人の前からいなくなる決断をするのは2回目。

大阪へ異動すると決めたときと、今回。
でも、今回の決断は前とは違う。

「この間、おまえ変なこと言ってたよな。
仕事とおまえ、どっちが大事かって。」

「うん。」

「俺がおまえを選ばなかったから怒ってるのか?」

「違うっ、そんなわけないじゃん。」

「なら、なんでわざわざ離れ離れになる選択すんだよ。
俺、言ったよなおまえに、
俺の側から離れるなって。」

まっすぐあたしを見つめて少し怒ったようにそう言う道明寺。
この人に、今回はきちんと自分の気持ちをぶつけてから旅立つ、そう決めたあたし。

「道明寺、きいて。
この間、あんたがあたしに『側にいろ。』って言ってくれたのは凄く嬉しかった。
だけど、あたしはその前の言葉が頭から離れなくて。」

「前の言葉?」

「うん。
道明寺言ったよね。
あたしがコーヒー作りしたいとか、世界旅行に行きたいとかバカなことばっかり言ったときに、
コーヒー作りは定年まで待ってくれ、世界旅行は10年以内に考えるって。」

「……ああ。それがなんだよ。」

「道明寺にとって、あたしとの関係はそれぐらい先まで考えてくれてるってことでしょ?」

「……当たり前だろ。」

「だから、決めたの。
あたしNYに行く。
そして、スキルを磨いて、今よりももっともっと成長して、あんたに相応しい人になりたい。
10年後、いや定年まで一緒にいれるように頑張るっ。」

道明寺から離れるために行くんじゃない。
この先、この人とずっと一緒にいたいから行く。
その思いを、今あたしが言葉にできるすべてで伝えた。

つもりが、

「おまえさ、……、」

「なに?」

あたしの目の前でなぜか視線をそらして赤くなっているこの人。

「そういう事は、男から…だろ?」

「は?男から…?」

「だからっ、今のはプロポーズだろ。
俺がしようと思ってたのに、先に言うんじゃねーよ。ったく。」

そう言って道明寺は、ポカンとするあたしの前に小さな箱を差し出した。



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    2018-04-11 17:02  

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