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日々、想定外。40

Category: 日々、想定外  


半年後




あたしが大阪に赴任してもうすぐ1年。
ということは、道明寺と付き合いだして1年になる。

相変わらず月に2、3度しか会えない遠距離恋愛だが、気持ち的には十分満ち足りている。
副社長とあたしは釣り合わない…とあれほど悩んだ時期もあったけれど、付き合いだしてみると不安はほとんど感じない。

それは、全部…道明寺のおかげだと言うことも分かっている。

素直じゃないあたしを辛抱強く包んでくれる。
そんなあの人の側にずっといたい。




「牧野さん。」

仕事が終わってホテルから出たところで、声をかけられ振り向くと、

「桂木さん?」

そこには椿さんの専属秘書である桂木さんの姿。

「どうしたんですか?」

「牧野さん、これから少し時間ありますか?」

「…はい。」

突然の誘いに戸惑うあたしに、桂木さんは小さく頷くと、
「こちらに。」
と、黒塗りのなが~い車へと導いた。

「え?これに、ですか?」

「はい。中でお待ちですのでどうぞお乗りください。」

「中で?」

どういう意味か分からないままポカンとするあたしに、桂木さんが「どうぞ。」と言って車の扉を開けた。

言われるがまま乗り込むあたし。
そして、次の瞬間、心臓が飛び出すほど驚くこととなった。


「こんばんは。牧野さん。」

「こ、こ、こんばんは。」

あまりの驚きにまともに声が出ないあたしの隣で、優雅にグラスを傾けながらあたしを見つめるのは、

会社の社長であり、道明寺のお母さんである道明寺楓氏。

「桂木、このまましばらく適当に車を走らせて頂戴。」

そう言った楓氏は、グラスを置きまっすぐにあたしを見た。

「牧野さん、あなたの事は椿から聞いているわ。とても優秀な秘書のようね。」

「い、いえ、そんな。」

「それと、直接本人から聞いた訳ではないけれど、あなたと司のことも耳に入っています。」

やっぱり。
本題はそっちだろうと会った瞬間に分かった。

「付き合いは長いのかしら?」

「…1年になります。」

「司はあなたに優しい?」

「……はい、とても。」

楓氏があたしに会いに来た本当の意味はなんだろう。

それは道明寺との付き合いが長くなり順調なほど、いつも頭の隅にあった小さな不安。
それが今現実に受け止めなければならない時が来たのか。

楓氏からの次の言葉を緊張しながら待つあたしに、

「あなたにひとつ相談があるの。」
と、ニヤリと笑って楓氏が言った。

「相談…ですか?」

「ええ。
実は、今そこにいる桂木は来季から私の秘書になる予定で、あなたにはこのまま椿の専属秘書として働いて頂きたいの。」

「はぁ。」

どちらかと言えば、有り難い話に微妙な返事をするあたし。

「椿には今まで以上にホテル事業を引っ張って行ってもらうつもりです。
NYのメープルも改装を終えてここからが本番。
そこで、来季からは椿にはNYに拠点を移してもらい、私の側で働いて貰いたいと思っています。
そこで、牧野さん。」

「…はい?」

「椿の専属秘書としてNYへ来る覚悟はあるかしら?」

「へ?あたしがですか?」

「そうよ。牧野つくしさん、あなたが、よ。」


楓氏の言う、『相談』はあたしの思いもよらないものだった。
あたしがNYに……。

真っ先に頭に浮かんだのは、道明寺の顔。
東京とNY。
あたしたちの距離は更に遠くなる。


「ゆっくり考えて返事をして頂戴。
司にはこの事はまだ話していないわ。
あなたからの返事を聞いてから話すつもりよ。」




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    2018-04-09 15:44  

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