日々、想定外。38

Category: 日々、想定外  



椿さんの秘書になってもうすぐ半年。
前任の桂木さんは腰の怪我も回復して度々職場にも来ているけれど、なぜか復帰する気配はない。

桂木さんが職場復帰すれば、私は元々の移動先である大阪支社に戻るはずなのに、未だにそんな話も一切出ていない。

「来週、NYに行くから、つくしちゃんも出張の用意しておいてね。」
先日、突然椿さんからそう言われ、初の海外出張も決まった。

道明寺楓会長と共にメープルホテルを任されている椿さん。
今年は老舗メープルNYを大々的に改装し、マスコミからも大きく取り上げられている。

普段のおおらかで優しい椿さんを見ていると、つい忘れがちになってしまうけれど、この人もまた道明寺財閥の一人娘で、雲の上の存在なのだ。







「あたし、来週出張だから。」

「あ?どこに」

「NYだって。」

「聞いてねーぞっ。」

付き合いだして半年。
ようやく恋人らしい会話にも慣れてきたあたしと副社長。

「突然椿さんから言われたんだもん。」

「マジかよ……。来週の火曜は会議があんだよな……。」

「ちょっと!なんで道明寺の会議とあたしの出張が関係あるのよ。
まさか、道明寺っ、NYまで付いてこようとしてないわよねっ?」

嫌な予感がする。
半年付き合って分かったことがある。
この男は、自分で言うのも恥ずかしくなるけれど、……仕事以外はすべて
あたしが優先なのだ。

「調整してみる。」

「調整しなくていいっつーの!
あたしも仕事で行くんだからねっ。」

「分かってる。
けどよ、NYで少しくらい一緒にいてーじゃん。」

「……来なくていい。」

「プッ……冷てぇ女。」


相変わらず素直じゃなくて、可愛くないあたし。
付き合って半年なのに、甘えるどころかまともに好きだとも口にしていない。

そんなあたしにこの人はいつも、冷てぇとか可愛くねぇとか言いながら、それでも笑ってくれて、相変わらず激甘。

会えば手を握り、すきがあればキスをする。
日に日に深くなるキスは、もう次の段階を知らせている。





NY出張3日目。
明日の帰国を前に、ようやく仕事から開放され自由な時間が出来た。

「つくしちゃん、NYを案内してあげるわ。
着替えて一時間後にここに集合ね。」
そう言ってあたしにウインクする椿さんに、

あたしもはじめてのNYを味わえると、
「はいっ」
と元気に返事をして、ウキウキで椿さんが用意してくれたメープルの部屋に戻った。

その数分後、あたしの部屋のチャイムが鳴る。
スーツからプライベート用のワンピースに着替えようとしていたあたしは、ベルの音に固まり顔をしかめる。

誰だろう……。

頭の中で知ってる顔を次々と思い浮かべていく。
そんなあたしの耳に、

「牧野。」
と、小さく、聞き慣れた声がした。

「道明寺っ?」

「おう。」

返事を聞かない内に、部屋のドアを開けるあたしに、

「……すげぇ、大胆な歓迎だな。」
と、小さく笑いながら目をそらす道明寺。


「え?あっ、ウソっ、ごめん待ってて!」

慌てて出てきたあたしといえば、着替え途中のひどい格好。
下はスーツのスカートのままで、上はブラウスを脱いでキャミソールの下着だけ。

急に恥ずかしさがこみ上げてきて、
「ちょっと待ってて!」
そう言って慌てて部屋に戻ろうとしたあたしに、

「待てねぇ。」
そう言ってあたしの腕を取り、そのまま壁に体を追い込む。

そして、
「この状況で待てるほど俺はお利口じゃねーよバカ。
おまえが悪い。おまえが完全に、」

その後の
『悪いだろ。』
という言葉は、あたしとのキスの中にとけていく。


一時間後に椿さんと約束しているのに……。
頭の中で何度もそれをリピートしながらも、
道明寺の潤んだ目と熱い唇、そしてあたしの体を優しく這い始めた大きな手に、思考が止まり始めていく。




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    2018-04-06 16:29  

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