日々、想定外。35

Category: 日々、想定外  



「俺はいつからおまえのストーカーになった?」

「……いや、」

「俺がおまえを追いかけ回して、おまえは泣く泣く大阪に来たのかよ。」

「……そういう訳じゃ、」


怒ったような、拗ねたようなそんな顔であたしを見つめる副社長に、返す言葉が見つからない。

そんなあたしの代わりに椿さんが、
「つくしちゃん、この際はっきり言ってもいいのよ。
迷惑なら迷惑だって、はっきり言わないと司には伝わらないの。」
と、大きく頷く。

「いや、だから、そのぉ、……誤解というか、」

「誤解?」

「あたしが異動願いを出したのは、……」

どうやって説明すべきか…、悩むあたしの隣で副社長が先に口を開いた。

「おやじさんが具合悪いんだろ?」

「そうなの?つくしちゃんのお父様?」

「……。」

「だから、実家のある大阪に戻りたいって言ったよな?」

「……それは、……えっとぉ、」

「お父様、御病気なの?」

「んー、病気では、……」


咄嗟についた嘘がこんな形で自分を苦しめることになるとは。
あたしの嘘を信じていた副社長と、その嘘を心配して気遣ってくれる椿さんに、心の底から申し訳ない。

「実は……、父の具合が悪いって言うのは、嘘で……、」

「あ?嘘?」

「咄嗟に仕方なく…。
あー、でも、咄嗟でも仕方なくでも、嘘ついたあたしが完全に悪くてっ。
あの時は、副社長に仕事のことで疑われてると思ってたし、このまま側にいたら迷惑がかかるだろうなって。
副社長から逃げたっていうか、自分の気持ちが抑えられなくて、自分から逃げたって言う方が当たってるっていうかっ、」

話し始めると、一気に言葉が押し寄せてきて、自分でも支離滅裂な事を言っているのは分かっているけれど、止まらない。

そんなあたしに、
「牧野、ちょっと落ち着け。」
と、副社長があたしのオデコをコツコツとつついた。

「なんだか、話が複雑なようね。
時間はたっぷりあるわ、まずは整理させて。」

正面に座る椿さんが、なぜかにんまりと笑いながらそう言ったあと、
「つくしちゃん、司に疑われてるってどういうことかしら?」
と、長い長い取り調べが始まった。







2時間たっぷりと椿さんの取り調べを受けたあたしたち。
やっと開放されてお店から出たのは10時近く。

結局、二人とも椿さんから説教を受けた。
勝手にあたしの調査を依頼した副社長も、なんの相談もなしに異動願いを出したあたしも。

夜道を隣に歩く副社長はお店を出てから黙ったまま。
きっと、怒っているのだろう。
嘘をついて異動を決めたこと、その理由を結局あたしは椿さんの前でも言わなかった。


「副社長、」

「あ?」

「…ごめんなさい。」

「反省してんなら、許す。」

意外にすんなりそんな返事を聞けてホッとした直後、副社長があたしの方に体を向けて言った。

「牧野、おまえが俺から逃げた理由つーのは、ほんとはなんだよ。」

「えっ、……」

「おまえ、さっき言ってたよな。
自分の気持ちが抑えられなくて自分から逃げたって。
あれって、どーいう意味だ。」

「……。」


真剣にあたしを見つめる副社長。
自分の気持ちに素直になって言葉にしたい。
そう思う反面、なかなか言葉が出てこない。

そんなあたしを見ていた副社長がフッと小さく笑ったあと、急にあたしの手をとって歩き出した。
そして、しばらく黙ったまま歩いてた副社長が突然止まり、「なぁ」と小さくつぶやいた。

「牧野、おまえが否定しねーなら、あの言葉、俺は自分に都合よく解釈するぞ。」

「え?」

「俺はおまえが好きだ。
おまえも、……俺を好きだって、そういう気持ちを抑えらんねーから、迷惑かける前に俺から逃げたって、……そういうことでいいんだよな?」

「……。」

どう答えていいのか分からない。
そんなあたしに、優しく笑ったあと、

「何も否定しねぇのがおまえの答えだっつーことで。」

そう言って、あたしの手を自分のポケットの中にしまい、

「もう逃げんじゃねーよ。」
と、副社長が長い指を絡ませた。




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