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日々、想定外。34

Category: 日々、想定外  



大阪に赴任して1ヶ月。
その間、副社長と会ったのは2回。
あの殺人的に忙しいスケジュールの中、会いに来るのはそう簡単な事ではないはずだ。

だけど、会いに来てくれるのが素直に嬉しいと言える相手でもない事も痛いほど分かっている。

相手はあの道明寺財閥の御曹司。
あたしとは釣り合うはずもない。
副社長だって、きっと一刻の気の迷いに違いない。





「つくしちゃんはどうして異動願いを出したの?」

「え?」

仕事が一段落した夕方、オフィスに紅茶をお持ちしたあたしに、突然椿さんが言った。

「深い意味はないんだけど、ちょっと気になっちゃってね。」

「両親が…大阪なので。」

「ああ、そうだったわね。
それだけ?」

「……。」

「もしかして、司が重荷になったのかしら。」

「え?」

椿さんの言葉の意図がわからず聞き返すあたしに、なぜだか困ったような顔で言う。

「司はつくしちゃんのことが本気みたい。
でも、恋の駆け引きなんて知らないし、手加減できるような男じゃないのよあのバカは。
だから、つくしちゃんは司から逃げてきたのかしらって心配になって。」

逃げてきた……。
確かに間違ってはいない。
だけど、あたしが逃げたのは自分の気持ちから。

「いえ。違います。
色々、事情があって…距離を置いたほうがいいと思ったから」

「やっぱり。
やっぱり、司のせいなのね。」

「そうじゃなくてっ、」

「はぁーーー。
そろそろあのバカ、来る頃だと思うわよ。」

「へ?」

思わずあたしの声が裏返ったのと同時に、
オフィスのドアが開き、

「牧野、仕事終わりだろ、飯いこーぜ。」

と、二週間ぶりの副社長が現れた。






和室の一室。
テーブルを挟んで向こう側に険しい顔の椿さんが座り、あたしの隣に座る副社長を睨んでいる。

『飯いこーぜ。』
と、突然現れた副社長を引きずるように、椿さんがあたしたちをこの和食処につれてきた。

目の前に並べられた料理には手を付けず、椿さんが「司、箸置いて。」
と、恐い声で言う。

「さっきからなんだよ姉ちゃん。」

「いいから、箸置きなさい。」

「説教なら後で聞くから、」

「司、もう大阪に来ちゃダメ。」

突然の椿さんの言葉に固まるあたしたち。

「大阪にって言うより、つくしちゃんに会いにきちゃもうダメ。」

「あ゛?」

「司、あんた、れっきとしたストーカーよ。
あんたから離れたくて異動してきたつくしちゃんのこと、追いかけ回してどーするのよっ。」

「あ?」
「椿さんっ!」

慌てるあたしの声なんて聞こえていない椿さんは、さらにどんどん進んでいく。

「つくしちゃんから聞いたわよ。
色々、事情があって東京にいることが出来なくなったつくしちゃんは、泣く泣く大阪に逃げてきたって。」

「なんだよそれ。」

「あんた、上司の権限を振り回してつくしちゃんに何もしてないわよね?
上司の命令だ、俺を好きになれ。
上司の命令だ、俺と付き合え。
上司の命令だ、…裸になれ。
なんて、言ってたらただじゃおかないわよっ!」



完全にあらぬ方向へ勘違いが進んでいる椿さん。
そして、その暴走っぷりがあたしの予想を超えていく。

この姉にしてこの弟あり、か。

 

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