日々、想定外。25

Category: 日々、想定外  



会議室での一件以来、正直あたしは落ち込んでいた。

秘書になって一年あまり。
西田さんとも副社長ともうまくやってきたつもりでいた。

でも、きっと違ったんだろう。
副社長と西田さんはもう長い付き合いだ。
二人だけで共有してきた時間も案件もあっただろうに、あたしは何を勘違いしていたのか、すべてを自分も把握していると思っていた。

もっともっと勉強しなくちゃ……。
西田さんから教わり、副社長に信頼されるような秘書になりたい。

落ち込んでいる場合じゃない。
雑草のつくしなんだから、前へ進まなきゃ。


気持ちを新たに仕事に打ち込むことにしたあたしの耳に同期から思わぬ噂が入り込んできた。

『マーケティング課の五十嵐さんが辞めた。』

え?
あの、五十嵐課長が?

彼とは何度か食事を一緒にした。
はじめは、社の同期の集まりに顔を出したときに、たまたま同じお店で食事をしていたマーケティング課と合流することになり、そこではじめて挨拶させて頂いた。

あたしよりも5つ上の先輩だが、気さくで話しやすくすぐに打ち解け、同じ方向だからと言う事で、同期の子と一緒にタクシーで送って頂いた。

そこまでは良かったけれど、そのあとどこから入手したのか、あたしの携帯に五十嵐さんから連絡が来るようになった。

「また食事に行こう。」
「今日は空いてる?」
「金曜日に会おう。」

かなり執拗な電話に内心嫌気がさして、直接会ってお断りしようと一度だけ食事に行った。
前回のタクシー代を出して貰っていた借りも返したかったから。

その時の印象としては、仕事熱心で向上心が強いと感じた。
強いて言えば、かなりプライドが高そうな……。
でも、副社長ほどではないから可愛げがある。

そんな彼が会社をやめた。
意外だった。
キャリアを積んで上に立ちたいと話していたはずなのに。

そしてこの話には続きがあった。

『五十嵐課長は不正な情報漏洩が原因でクビになったらしい。』
『上層部は他にも関与している社員がいないか調べている。』









五十嵐課長が会社をやめて1ヶ月ほどたったある日、あたしはあるパーティーへ副社長に同伴して行くことになった。

社の地下に用意された車に乗り込もうとしたその時、

「チッ……」
と副社長が小さく舌打ちするのが聞こえた。

「どうかしました?」

「いや……、先に乗っててくれ。」

「え?」

「時計、変えてくる。」

そう言った副社長の左手を見ると、普段つけているカジュアルなもの。
パーティーに行くときはいつも付け替えていくのだ。

「あたし、取ってきましょうか?」

「いや、いい。待ってろ。」

そう副社長が言ったとき、あたしの携帯がなった。

「はい。」

西田さんからだ。

「副社長、西田さんからです。」

副社長へ携帯を渡し、話し始めたのを確認したあと、あたしはエレベーターへ急いだ。

副社長の時計がある場所は分かっている。
前にも何度か頼まれたことがあり、デスクの引き出しの一番下。




オフィスへ入ると、デスクの引き出しを開けた。
そこには思ったとおり、時計の箱が。
でも、今までと一つ違うことがあった。

それは、引き出しを開けたとき、いつもと違う違和感があった。
いつもより扉が重いというか、開けづらいような。

よく見てみると、下から2段目の引き出しの底に、一つのファイルが張り付いている。
それが取れかかっていてスムーズな開閉を邪魔しているのだ。

ん?
このファイルは2段目の引き出しから落ちたのだろうか?

そう思いながら、それを引っ張り出し、何気なく開いてしまったあたしは固まった。
それは、あたしの調査表だったから。

そして、その最後のページはプライベーな写真も貼られていた。
五十嵐課長と食事をしているあたし。


その時、同期の言葉を思い出す。
『上層部は他にも関与している社員がいないか調べている。』



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 2018_03_16


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    2018-03-16 19:28  

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