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日々、想定外。21

Category: 日々、想定外  



「てめぇ、なにやってんだよっ!」

牧野の体を押さえつけている男めがけて蹴りをくらわせ、男がその衝撃で怯んだすきに小せぇ牧野の体を抱き上げた。

そこからは正直、あんまり覚えてねぇ。

レジにいる店員に「警察呼べ!」
そう怒鳴り、男子用トイレに男を放り込んだ。
その間、唯一鮮明に覚えてるのは、一瞬にしてワイシャツの背中が冷たくなるほどイヤな汗をかいたことぐらいか。

もし俺が店内に入らなかったら……。
もし見つけるのが遅かったら……。

「大丈夫か?」

「……すみません。」

「おまえが謝ることじゃねーよ。」

「ありがとうございました。」

ようやく警察が駆けつけ、事情を聞かれた牧野の言葉から、あの男はこの間マンションに押し入った空き巣の犯人だと言うことが分かった。
偶然ここで遭遇し、牧野が男に気付いた事で犯人は牧野に騒がれるのを恐れたんだろう。

男はそのまま警察署へ連行され、俺たちももう少し事情を聞かせてほしいと署へ移動することになった。

時計を見たらもうすでに11時。

「大丈夫か?」

今日何度めかのこの台詞。

「すみません。」

牧野からも同じ返答に思わず小さく笑った。
そんな俺を見てようやく、
「副社長も大丈夫ですか?」
と、俺を見上げた牧野。

その目はまだ不安げに揺れているけれど、秘書としてではなく、一人の女として俺を心配してる気がして、

「人を蹴るっつー感触が久々すぎて気持ちわりぃ。」
と、照れ隠しの言葉が口からでた。



警察署での事情聴取は一時間ほどで済んだが、それでも牧野のマンションの前に車が着いたのは日がとっくに変わった頃だった。

林を車に待たせて、一緒にエレベーターに乗り込んだ俺に、何度も「一人で大丈夫」だと牧野は言ったが、
「うるせぇ。」と一言だけ返して部屋の前まで来た。

部屋の前で
「ありがとうございました。」
ともう一度ペコリと頭を下げるこいつに、

「部屋に入ったらすぐに鍵閉めろ。
窓も確認しろよ。それと、むやみに電話に出たりインターフォンにも反応するな。」
そう言って釘を刺してやると、

「分かってます。大丈夫です。」
と、即答しやがる牧野。

「ほんとかよ、ったく……。」

「ほんとですって、大丈夫ですから。
もう遅いので副社長も邸に戻ってください。」

「……これ以上、心配かけんなよ。」

牧野の顔を見てると、思わずそんな言葉が出てきた俺に、

「…すみません。でも、大丈夫です。」
と、今度はフッと顔を緩めて言った牧野。

そんなこいつを見たら、俺も緊張の糸が解けたかのように本音が出ちまった。

「大丈夫じゃねーよ。
全然、大丈夫じゃねぇ。」

「…副社長?」

「どんだけ心配したと思ってんだよ。」

情けなさと照れくささから、まともに牧野の顔が見れずに目線をそらす俺。

そんな俺に鈍感女は、
「以後、心配かけないよう気をつけます!
だから、大丈夫です。」
と、この日最大の『大丈夫』発言をした。

「バカ。
このままおまえを一人にさせるのが不安でしょうがねぇくらい、俺が大丈夫じゃねーんだよ。」

ヤケクソの俺は、牧野の頭をぐちゃぐちゃとかき混ぜながら言ってやった。


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