日々、想定外。17

Category: 日々、想定外  


今日は3日ぶりの仕事だ。
いつものように邸へ副社長をお迎えに行くと、相変わらず完璧でスマートな出で立ちに、鞄に忍ばせた小さな小箱が滑稽に思えてくる。

いつ渡そうか。
会社で渡すのも気が引けるから、邸にいるときに…。
そう思って来たけれど、実際はお見送りのタマさんや使用人の方もいて、変な誤解をされても困る。

小箱を取り出す事がないまま目の前に副社長が現れ、
「おはようございます。」
といつものように頭を下げた。

「おう。」
短い返事のあとそのまま車へと乗り込む副社長。

あたしもタマさんに小さく『行ってきます。』と挨拶し副社長の後を追う。


車の中ではいつも通り今日のスケジュール確認をした後、各社の新聞を手渡し副社長はそれに目を通す。

今日も新聞の束から1紙に目を通していた副社長が、目線はそのままであたしに言った。

「もう落ち着いたのか?」

「はい?」

「引っ越し。」

「あー、はい。おかげさまで。
色々お世話になり感謝してます。」

副社長からこの話題に触れらるとは思っていなかったから、あまりに事務的な返答になってしまい、
あぁ、間違ったなぁー、と思った矢先、

「プッ…おまえ、全然感謝してねーだろ。」
と、横目で睨まれる始末。

「し、してます、してます!
ほんとに、感謝してます。」

「嘘くせぇな。思いっきり社交辞令ってバレバレだ。」

「ち、違いますよっ!
ほんとに、
副社長には何から何までお世話になってしまって。
本当にありがとうございました。」

あたしは頭を下げながら、今度は事務的でも社交辞令でもなく素直に伝えた。
それに対して副社長は
「分かればいい。」
と、相変わらず憎まれ口をたたきながら大きく頷き新聞へ視線を戻した。


優しくない男。
優しさが一番似合わない男。

それなのに、ふとした仕草や言葉があたしを包んだり逃したりする。

そんな副社長の横顔をチラッと見たあと、あたしは鞄からあの小箱を取り出した。
そして、
「副社長、これ、今回のことでお世話になったお礼です。」
そう言ってゆっくりと差し出した。

「……俺に?」

「はい。」

「お前から?」

「はい。」

「……。」

無言であたしの手から箱を奪い取った副社長は、お店の人が頼んでもいないのにプレゼント仕様にしてくれた赤いリボンを乱暴にほどき、中を見た。

そして、もう一度、
「俺に?」
と、当たり前のことを聞き返す。

「はい。」




突然のプレゼントなんて、受け取らないかもしれない。鼻で笑われて終わりかもしれない。
そんな予想をしていたのに、
実際の副社長は、



「マジかよ、……すげぇ嬉しい。
マジでくれるんだよな?俺にだよな?」



そう言って、あり得ないぐらい喜んで、
わざとなのか、ってぐらいはしゃいでて、
勿体無いって思えるほど、
綺麗に笑った。



「そんなに、このカフスピン欲しかったんですか?」

「…あぁー、すげぇ、欲しかった。」




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    2017-12-21 02:34  

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    2017-12-21 08:45  

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