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日々、想定外。9

Category: 日々、想定外  


類の携帯を覗き込んだ俺は、思わず
「あのヤロー。」
と呟いた。

私用で3日休むと言っていた牧野が、どうみてもどこかの温泉で寛いでアイスを食ってる画像にしかみえねぇ。

「類、牧野に電話しろ。」

「ん?」

「あのヤローにかけろって言ってんだよ。」

キレかけてる俺に相変わらず呑気な類は、はてなマークの表情。

「あのヤロー、3日も会社休みやがって温泉かよ。
緊急の私用ってやつはこれか?
仕事をナメてやがるっ。」

そう言って類から携帯を奪った俺は発信履歴から牧野という文字を見つけ手早くコールボタンを押した。

「おいおいおい、司が暴走してるぞ。」
「めんどくせぇ事になりそうだな。」

そんな総二郎とあきらの声を無視して携帯を耳にあてる俺に、
「司、なに熱くなってんの?」
と、楽しそうに笑ってやがる類。

そんな奴らを無視して電話を鳴らすと、4回目のコールで
「もしもし、花沢類?」
と、いつもより小声で牧野が出た。

「おい、てめぇ、仕事サボっていい身分だな。」

「……。副社長…ですか?」

「あぁ。温泉入ってアイス食って寛いでやがるてめぇの上司の副社長だ。」

これでもかと言うほど嫌味たっぷりに言ってやる。

「どこの温泉地か知らねーけど、明日は仕事に来るんだよな?
緊急の私用っつーのは、存分に楽しんだんだろーな?」
矢継ぎ早にまくし立てる俺に、
「もう、その辺にしてやりなよ。」
と、類が俺の手から携帯を奪い取った。

そして、
「牧野、今どこ?
あれから連絡なかったから心配してたけど、その後どうなった?」
と、優しく類が聞く。


思いつくだけの嫌味は言ってやった。
3日も休んだ牧野を少しでも心配した俺が馬鹿だった。
どうせ、男とでも遊びに行ったんだろ。

類が携帯で話してるのを横目にウイスキーのグラスをガブッと空ける。そんな俺をチラッと見ながら、
「まぁ、勝手にキレて勝手に騒ぐのは司の得意技だから気にしなくていいよ。
それより、あのマンションにまた戻るつもり?
警察はなんて言ってるの?
なんなら、俺のうちにしばらくいたら?」
と、心配げに類が言う。

「犯人は捕まってないんだろ?
牧野、大丈夫?」

「鍵は新しくした?
ベランダのガラスも替えてもらった?」

牧野がなんて返事してるかは聞こえねーけど、類の言葉からは何やら物騒な単語が飛んでいる。
警察?
犯人?

「……おいっ、警察ってなんたよ。」

「……。」

「犯人ってどーいうことだよ。」

「……。」

「おいっ、類っ!」

俺の質問を完全無視して牧野との電話に集中してた類は、
「じゃあね、何かあったら連絡して。」
と、携帯を切り、一言、
「司、うるさいよ。」
と、言いやがる。

「てめぇが返事しねーからだろ。
警察ってなんだよ、犯人ってなんだよっ。」

「んー、牧野のプライベートなことだから言ってもいいのかなぁー。」

「言え。あいつは俺の部下だから俺は把握しておく必要がある。だから言え。」

「んー、でもなぁー。」

こいつ、絶対にこの状況を楽しんでやがる。
その証拠に、
「教えてほしかったらこれくれる?」
と、先月ゲットしたばかりの世界で3つしか生産していない俺の腕時計をニヤリと見つめる類。


「ふざけんなっ。
やるわけねーだろ。」

「だよね。あー、牧野、大丈夫かなぁ、また犯人に何かされたら、」

「何かってなんだよっ、」

「それは、言えないな。」

「わかった、わかった、時計はおまえにやる!
だから教えろっ!」

「ほんと?」

類、てめぇ、いつかぶっ殺す。


俺の世界に3つしかない時計を手に、類が心配そうに話した内容は、
4日前の夜、牧野が帰宅したときマンションの鍵を開け部屋に入ると見知らぬ男がそこにいてバッチリと目があってしまった。
あまりの驚きに声を上げることが出来ない牧野を突き飛ばし犯人は逃げていったが、その後の警察の調べによると玄関の鍵も窓ガラスも壊された形跡がなく、どうやって侵入したかは未だに不明。
一人暮らしの牧野は戸締まりだけは必ず確認していたらしく、考えられるのは合鍵か…。

この3日間、警察の聴取や病院、マンションの鍵の交換やらで会社も休まざるおえなかった。
犯人が捕まっていないままなので部屋に帰るのも怖く、近くのスーパー銭湯で生活していたらしい。

無事に鍵の交換が終わり、風呂に入ってアイスを食ってこれから部屋に戻るという報告のメールを類に送ったあいつ。

「牧野らしいよね。」

アイスを食ってる画像を見ながら呑気にそう言う類に、
「らしいからやべぇーんだろ!
犯人も捕まってねーのに、のこのこマンションに帰る気かよあのバカは。
類、いますぐあいつに電話してそこから動くなって伝えろ。」


ったく、あのバカ女。
なにが緊急の私用で休むだよ。
上司の俺にきちんと話せよ。

そんな愚痴をブツブツ呟き、酒を飲んじまった事に後悔しながら、店を飛び出しタクシーに乗った俺を、

「珍しく熱くなってるんじゃない?司くん。」
と、F3が笑っていたらしい。




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 2017_08_02


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    2017-08-02 23:22  

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    2017-08-03 07:19  

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    2017-08-03 08:07  

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    2017-08-03 08:30  

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    2017-08-03 10:54  

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    2017-08-03 22:35  

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    2017-08-04 09:48  

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    2017-08-04 20:18  

 

久しぶりに新作を読ませていただきました。
新しい切り口のお話が面白くて一気に読んでしまい、拍手をし忘れ慌てて初めに戻り拍手をしました。
続きが楽しみです。









MIZUTA  URL   2017-08-09 07:18  

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