彼と彼女の一年間 40




道明寺がイタリアへ旅立った。

約1ヶ月に渡る長期の出張。
ブツブツと文句を言いながらも、毎日遅くまで準備に勤しむ道明寺を見ていると、仕事にかける想いにあたしまで熱くなる。

道明寺と婚約して一年。
長かったようで、あっという間だったような。

この6月にどうしても式をあげたいと駄々をこね、ドレスや式場のパンフレットを大量に集めていた道明寺も、イタリア出張のスケジュールを見て無理だと実感したようで、

「帰ってきたらすぐに式あげるからな。」
と、渋々ジェットに乗り込んだ。


あたしだって、道明寺の前では気のない振りをしているけど、それなりに結婚への憧れはある。
シンプルなドレスに身を包み、二人だけでもいい、神父さんの前で永遠の愛を誓いたい。





道明寺がイタリアへ旅立ち2週間。
毎日欠かさず電話をくれる。
同行している西田さんからも、詳細に書かれた道明寺の行動スケジュールがメールで送られてくる。

週末、特に予定のなかったあたしは、いつものように送られてくる西田さんからのメールに目を通していた。

今週の道明寺の出張日程。
買収予定のホテル視察のため、イタリア郊外に場所を移していた。
そこは、昔の貴族が使っていた洋館を10年前に改築しホテルとして使われているところ。
昔の趣がそのまま残され、イタリア内外からも隠れた人気ホテルらしい。

さすが、西田さん。
スケジュールだけじゃなく写真つきで送られてくるメール。
道明寺が数日間泊まるそのホテルの部屋や、中庭のバラ園、隣接されたレンガ造りの教会。
どれも日本にはない古い味わいがありステキ。

そのなかでも、あたしの目を釘付けにしたのは、
…………大きな鐘が特徴的な教会。

それは、まさにあたしが小さい頃から漠然と想い描いていた、『神父さんの前で永遠の愛を誓う』場所にぴったりなところ。


パソコンの前でその画像を何時間も見つめたあと、あたしはある決心をした。


手帳を開き、自分の仕事のスケジュールを確認する。
そして、通帳を片手にイタリアまでの航空券の見積もりを計算した。
大丈夫。
時間もお金も十分にある。

それならばと、すぐにイタリア行きの空席を調べるため飛行機会社のホームページを開いた。
道明寺はあと5日しかあの場所に滞在しない。
それまでになんとか間に合わせたい。

会社へ休む許可を取る前にチケットを予約するなんて反則だとは分かっていても、一度見たあのチャペルが忘れられない。

………いや、それはただの言い訳かもしれない。
2週間、道明寺と離れていて正直寂しさが募っていた。
あの教会で式をあげたい……それはイタリア行きの優先事項ではなく、『道明寺に会いたい』が本音だろう。

いつも、あいつが
『会いたい。』
そうあたしよりも先に口にするから、言えずにいたけど、
『会いたい』のだって、
『寂しい』のだって、
『今すぐ結婚したい』のだって、
気持ちはあんたと同じ。

いつもグズグズで、気持ちと連携してすぐに行動に移すことが苦手なあたしが、
こんな夜更けに手帳と通帳を片手にイタリアまでの航空券を予約しているなんて、
奇跡に近い。

でも、あたしは、
この人生ナンバーワンとも言える、大決断に、
「待ってなさいよ、道明寺。」
と、小さく呟きながら、チケットの予約クリックを押した。




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 2016_09_14


Comments

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    2016-09-14 08:49  

 

ブラーバ!!つくしちゃん
坊ちゃんが、今までずっと先に口にしてくれただけで、つくしちゃんだって同じ気持ちでいた… そう伝えるだけで、いつも俺だけがいっぱい想っていると思ってる坊ちゃんは、昇天しちゃうかも(≧∇≦)b
JUJU  URL   2016-09-14 09:17  

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