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彼と彼女の一年間 37





この邸で暮らすようになってもうすぐ8ヶ月。
はじめは別々だったあたしたちの部屋も、道明寺の一声であっという間に内装作業がなされ、今ではすべて共有出来る空間になった。

普段は仕事から帰ってきて数時間しか過ごせない部屋も、週末はゆっくりと時間が過ぎていく。
道明寺も、以前のように週末まで会社に行くことは少なくなった。

今日の日曜日も、紅葉が色付き出した邸の庭を散歩して、そのあとは観たかった映画を二人で部屋で観ようと約束していたのに、昨夜になって突然、

「明日は予定が入ったから少し出掛けてくる。
おまえは邸にいろ。」
と道明寺が言う。

「じゃあ、あたしも買い物に出掛けて来ようかな。」
あたしがそう言うと、

「俺もすぐに戻ってくるかもしんねーから、おまえはどこにも行かずに邸で待ってろ。」
と、いつになく強い口調で言われ抵抗出来ず。

仕方なく道明寺の言う通り、邸で過ごす今日、
あいにく外は雨で散歩することも叶わない。
暇潰しにと読書をしてみるが、なかなか続かない。

そこで、つい先日待望の赤ちゃんが生まれたばかりの進に電話をして、
「どう?赤ちゃん可愛い?
暇ならこれから会いに行ってもいい?」
と聞いてみると、

「無理無理。今日は無理。」
とつれない返事。

そこで、今度は実家のママに電話する。
「ママ、何してる?
あたし今日、暇なの。
遊びに行くね。」
いつもなら、喜んでおいでおいでと言ってくれるパパにでさえ、

「今日はこれから出掛けなくちゃならないんだ。
ね、ママ?そうだよね?」
なんてちょっと芝居かかった口調で断られる。

道明寺には置いてきぼりにされ、ママやパパにも構って貰えず、あげくの果てに天まで大雨で見方をしてくれない。

しばらく部屋でグダグダ過ごしたあたしは、
こんな日はあれしかない!と思い立ち、邸で働くお姉さんたちの部屋へ行くと、
「困ります!」
というお姉さんたちをなんとか説得し、バケツと雑巾、はたきに掃除機というお掃除セットを持って部屋へ戻り、黙々と掃除に精を出すことにした。

以前は休みの日になったら自分のマンションの部屋を掃除するのが当たり前だったのに、ここへ来てからはみんなお姉さんたちがやってくれる。
あたしが手を出す隙がないほどピカピカにしてくれるそれは、有り難いけれど、申し訳ないといつも思っていた。

せめて自分達の部屋の掃除や洗濯くらいはあたしがするのに…………。
そう思っていたから、今日は絶好のチャンス。


ベッドのリネン類をすべて引き剥がし洗濯機へ入れると、新しいリネンをかける。
本棚、机を丁寧に拭いていき、広い部屋1つ1つに掃除機をかけていくと、あっという間に三時間ほどがたっていた。

「使用人たちが困ってますよ。」

振り返るとタマさんの姿。

「掃除や洗濯はあたしらに任せておくれ。
それが仕事なんだから。」

そう言ってあたしの側まで来ると、

「疲れただろ。紅茶を淹れるから少し休んでおくれ。」
と、優しく笑う。

「使用人たちがシェフに頼んで、つくしの好きなチーズケーキも焼いてもらったようだから、食べるかい?」

「もちろんっ!」

掃除のあとのご褒美にこんな嬉しい事はない。
あのチーズケーキ、フワフワで濃厚で美味しいんだよね~なんてウキウキしながら、使い終わった掃除機と雑巾をあたしが持ち、タマさんがバケツを持ってくれ、部屋から掃除道具があるエントランス横の小部屋へと運んでいるとき、

突然、エントランスのドアが開き、思わずあたしは固まった。


「ママ?……パパ?
進まで……どうしてここに?」




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今週末、ちょっと用事がありまして更新おやすみしまーす。
月曜までしばしお待ちを~。
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 2016_09_09


Comments

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    2016-09-09 16:28  

 

連日の更新ありがとうございます
北海道方面、雨の被害が、聞こえてきますが、大丈夫ですか?
坊ちゃん、つくしちゃんに内緒で、つくしちゃんの家族にご挨拶に行ったんですかね?
いよいよ、結婚に向かって!
来週の更新楽しみに待っています
JUJU  URL   2016-09-09 17:09  

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    2016-09-09 18:16  

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