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彼と彼女の一年間 36





道明寺と気持ちが通じあってからしばらくした頃、楓社長が長期のNY出張から帰るとタマさんから聞いた。

社長とは、邸での同居生活が始まった頃以来、まともに話せていない。
忙しい人だからプライベートなことで時間を割いてもらうのは申し訳ないけれど、一度きちんと話しておきたかった。

社長の直通の携帯に電話を入れ、日本に戻ったら少し話がしたいと申し入れると、
「私も会いたかった。」
と言って貰え、帰国日の夜に二人で食事をする約束を取り付けた。

道明寺とのこと、何からどうやって話そうか。

そんなことを頭の中でグルグルと考えながら食事当日。
約束のお店に早めに行くとすでに社長の姿が。

「社長、すみません、お待たせしました。」

「いいのよ、私が早く着いたの。」

そう言って和やかに始まった食事。

私の最近の仕事のことや、社長がNYで観たミュージカルの感想など緊張しながらも楽しい時間を過ごし、デザートが運ばれてきた頃、あたしは切り出した。

「社長、あのぉ、ちょっとお話が…………。」

あたしがそう言うと、デザートスプーンをテーブルに置き、あたしをまっすぐに見つめる社長。

「実は道明寺とのことなんですけど、」

すると、スッとあたしの前に手をかざし、
「牧野さん、私から先に言ってもいいかしら?」
と、社長が言う。

「えっ、……はい、どうぞ。」

「牧野さん、まだ約束の時間の半年しか経ってないわ。
逆の言い方をすれば、あと半年も残っているの。」

「……はぁ……」

「だから、結論を出すには早いってことよ。」

そう言って社長はあたしを見てニヤリと笑う。

「あの、」

「確かに半年も一緒にいれば嫌なところも分かって答えを先に出したくもなるでしょうけど、そこを我慢してあと半年、司と向き合って貰えないかしら?」

そこまで言われ、社長が何を言いたいのかようやく気付いたあたし。

「あのっ、社長、違うんです!」

「え?」

「実は…………、」

どうやって話そうか迷い、ここ数日なんども練り上げた言葉。
でも、社長を目の前にすると、そんな作った言葉たちは嘘っぽく聞こえ、あたしは結局ありのままを話すことにした。

はじめは顔を合わすことさえ避けていたけれど、同居しているうちに道明寺のいいところが徐々に見えるようになり、いつしかあたしから惹かれていったこと。
それを道明寺も分かってくれて、今はお互い婚約者と言う認識で付き合っていること。

それを話すと、社長は無言で再びデザートスプーンを持ちジェラートを食べ始めた。

「社長……」

「なんだか面白くないわ。」

「……え?」

社長の思いがけない言葉に固まるあたし。
社長はあたしたちのことを応援してくれていたはずなのに、そんな人から面白くないなんて言われると一気に動揺してしまう、
そんなあたしに社長はイタズラっこのように笑って言った。

「あのバカ息子をもう少し苛めてやりたかったのに、あなたったら早々に降参しちゃったのね。」

「はい?」

「私はね、牧野さんには心からうちにお嫁に来てもらいたかったの。
でも、その反面、こっぴどくあなたに振られる司も見てみたかったのよ。
1年後、あなたがどんな結論を出すかはあなたに任せたけれど、そのどちらにしても私的には美味しい話だったってわけ。」

「…………はぁ……、」

社長の言っている意味がいまいち理解できない。

「あなたには絶対にうちにお嫁に来て欲しいけれど、その前にもっとあのバカ息子を苦しめなくちゃダメよ牧野さん。
なんでも自分の思い通りになると勘違いにしてる男だから、一度くらい大きな挫折を味わわせてやりたかったのよ。
婚約破棄なんてされたら、司のプライドをズタズタにしてやれるでしょ。」

「…………。」

「だから、牧野さん。
司を甘やかしちゃダメよ。
わがまま言って、どんどん振り回してやってちょうだい。」


社長からこんなことを言われるなんて予想もしていなかった。
どちらに転んでも社長にとっては美味しい話……そういうところがここまで登り詰めたビジネスマンの発言なんだろうと、変なところに感心してしまったあたし。


「そういえば、最近司からメールが来てたわ。
部屋の改装をしたいって。」

「え?」

「同居する前は『寝室は絶対に別にしてくれ』って業者に言ってやらせたくせに、もう気が変わったのかしら?」


あいつ…………。
ここ最近、二人でいるときの話題はいつも部屋の間取りのこと。
あたしはこのままでいいと言っているのに、道明寺はダメだと言い張る。

それは、寝室が別だから。
あんなにはじめは、『部屋に入るな。』なんて言ってた男が、今では当たり前のようにあたしの部屋に入りベッドに侵入してくる。
幸せな悩みなんだろうけれど、体力が持たないのも事実。

きちんと籍を入れるまではそれなりに節度をもって暮らしたいと思ってるあたしの気持ちなんてお構い無し。
なんなら、いますぐ結婚するか?
と、話はいつもそこに行き着いてしまう二人。


「社長……、あたしたちはまだ結婚したわけでもありませんし、あたし的にはそういうことはきちんと籍をいれてからでも遅くないと。」

もしかしたら、このままいけば、この目の前の人は将来の義理の母になる人。
そんな人に、節度がない、ふしだらな、なんて思われたくはない。

そう思い、言った言葉に、

「牧野さん、司に伝えて頂戴。
改装はあなたの費用持ちで好きにしなさいって。」

と、またイタズラっこのように笑った社長。

そんな社長に、あたしは思わず叫んでいた。


「社長ーーーっ!」




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 2016_09_08


Comments

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    2016-09-08 10:07  

 

更新ありがとうございます
楓様も驚く速さで、気持ちの通じ合った二人(*^o^*)
部屋の改装なんてしたら、同室間違いなし!
ひ○んしてたって、毎日じゃ、うっかり…1年たたないうちに、ご懐妊!もありじゃない?
JUJU  URL   2016-09-08 10:52  

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    2016-09-08 11:12  

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    2016-09-08 13:27  

彼と彼女の一年間 

お身体の調子は如何でしょうか?無理なさらず、永〜く連載続けて下さいね〜🙏🙏
今回、楓さんが、つくしを見込んでからのお話。段々2人の気持ちが結びついていくストーリーも素敵です💖
ラブラブモード全開で、お願いします
廣田美紀  URL   2016-09-24 07:51  

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