彼と彼女の一年間 29





「分かるように教えてやろうか?」

そう言ってあたしの顔を覗きこむ道明寺との距離があまりにも近いことに気付き、あたしはまともに目を見ることなんて出来ない。

「道明寺っ、離して」

「…………。」

「ねぇ、道明寺っ。」

体を両足で拘束されたままのあたしは、なんとかそこから抜け出そうともがいてみると、

「動くなって。
動いたら体が反応するだろ。」
なんて言われて、完全にフリーズしてしまった。

そんなあたしを見て、
「おまえ耳まで真っ赤。」
とからかいながら耳朶を触られ不覚にも体がビクッとしてしまう。

「やめてよ。」

「やだね。」

「スキンシップ禁止だって道明寺が言ったでしょ。」

「俺からは、あり。」

「はぁー?」

どこまでもこの人の言うことは俺様発言で、道明寺の胸を思いっきり叩いてやると、
その手も拘束され体ごとまた抱き寄せられた。

そしてあたしの頭に顔を近付けながら道明寺が言った。
「この間、どうして先に帰った?」

「……え?」

「あのまま俺が戻るまで部屋で寝てろって言っただろ。」

そう言われて、この間の夜のことを言われていると気付く。

「だって……、」

「だってじゃねーよ。
探したんだぞ、おまえに、その、謝りてぇと思ったし。」

謝りたい…………、
きっとそれは、あの夜のことを後悔して。

「別にっ、……あたしは、気にしてないから、忘れて。 」

それはあたしの本心でもあるし、精一杯の強がりでもある。
その言葉に、

「忘れられるかバカっ。」
と、言葉とは逆に優しい口調で道明寺が言う。

「おまえが、……初めてだって知らなかったから、加減してやれなくて悪かった。」

「だからっ、もういいって、その事は忘れて。」

改めて謝られると恥ずかしくてたまらない。

「…………。」

「あたしの方こそきちんと言わなかったから、あんたに嫌な思いさせちゃって。」

「……嫌な思い?」

「とにかくっ、この話は終わり!
あたしも忘れるし、あんたも重く考えないで。」

お互いのため、それが一番いいと思って口にした言葉に、
なぜか道明寺が、腕を緩めあたしの顔を怒った顔で見つめてくる。

「おまえ、ふざけてんのか?」

「え?」

「さっきから忘れるとか言ってるけどよ、そんなにあの夜の事は忘れたい出来事なのかよ。」

「はぁ?なに怒ってるの。」

「そんなに俺と寝たのは嫌な事だったのか?」

「…………。」

そうじゃない。
そうじゃないけど、あんたの方こそ…………。

「あんたの方こそ、あたしと寝たことに後悔してるでしょ。」

「あ?」

「だって、あたしが初めてだって言ったら、思いっきり頭抱えてため息ついたじゃないっ。」

「…………。」


あたしの言葉に黙りこんだ道明寺。
言ったあたしも、言うはずじゃなかった言葉を口にしてしまった後悔で目の奥が熱くなる。

すると突然、
拘束されていた体が離され、ぐいっと体を引き上げられたかと思ったら、あっという間に道明寺の力でベッドに座らされた。

そして道明寺もあたしの正面にあぐらをかいて座り、あたしを見て言った。

「やっぱあのとき、招待客なんて放っておいてでもおまえのこと捕まえておくべきだった。」

「…………。」

「俺がため息をついたのは、おまえが思ってるような意味じゃなく、自分のバカさ加減に対してだ。
おまえに触れたら自制がきかなくて……、」

道明寺が何を言いたいのか分からず、じっと見つめたままその先を待っていると、

「好きな女の初めてを貰って嬉しくねぇ男なんているのかよ。
もっと大事に、もっと優しくしてやりたかったって、そう思って出たため息だっつーの。
勘違いすんな。」

そう言ってあたしをじっと見つめてくる。

「あ、あ、あんたなに言ってんの。」

「なにって、おまえに愛の告白とこの間の反省。
そしてここからは提案。」

「は?」

「今日からスキンシップ禁止令の撤回と、プライベートへの口出しを許可する。」

「…はぁーーー?」

突然の道明寺からの提案。

「スキンシップに関してはおまえが先に破っただろ。」

「は?」

「俺の背中に抱きついてきたのはどこの誰だよ。」

「それはっ…………、」

「それに、やることやったんだし、今更スキンシップ禁止もねーだろ。」

「あ、や、わ、」

なんて返していいか分からないほどストレートすぎるこの男。

「プライベートは縛るつもりはねーけど、西岡だけはダメだ。」

「はぁ?」

「あいつ、おまえに気があるだろ。」

「…………。
あんた、何言ってんの?
西岡さんがあたしに気があるわけないでしょ。」

「おまえは鈍感だから分かんねーんだよ。」

「それぐらい、あたしでも分かるっつーの!
行く、絶対明日はみんなと食事に行くから!」

「てめぇ、」

「もう遅いから出ていってよ、ホラっ、早く!」


まだ何か言いたそうな顔の道明寺を、追い立てるように部屋から追い出し、扉の前で座り込むあたし。

その背中から、
「帰りは俺が迎えに行くから、電話しろ。」
と、道明寺の甘い声が響き、

あたしは熱くなった頬を両手で押さえうずくまった。




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 2016_08_31


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    2016-08-31 07:24  

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    2016-08-31 07:29  

 

キマシタ!キマシタ!
愛の告白♡
きゃ~朝からキュンしまくりです
ありがとうございます(#^.^#)
つくしちゃん、素直になって~☆
riko  URL   2016-08-31 08:56  

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    2016-08-31 09:11  

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    2016-08-31 10:13  

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    2016-08-31 10:17  

 

坊ちゃんは、しっかり、はっきり告白したけど、つくしは、まだじゃない?
早く、口に出して~
JUJU  URL   2016-08-31 10:19  

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    2016-08-31 17:06  

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    2016-08-31 22:52  

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    2016-09-02 00:07  

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