彼と彼女の一年間 22





エレベーターが上にあがるのを体に感じた頃、ようやくあたしは
『道明寺とキスをした』
という重大なことが飲み込めてきた。

スキンシップ禁止令が出されてる相手とあんなキスをして、今は手を握られたままエレベーターに乗っている。
この状況を考えれば考えるほど、頭は混乱して隣にいる道明寺の顔さえ見ることが出来ない。

そっと繋がれた手を離そうと、自分の方へ引き寄せてみると、それを感じたのか道明寺があたしを見つめて手に力をいれた。

目があった瞬間、あたしの胸が鳴る。

さっきまでの怒った顔ではなく、今はキスをした時に見た熱っぽい余裕のなさそうな顔であたしを見下ろす道明寺。
そんな目で見られると堪らなくてすぐに視線をそらすと、エレベーターが止まり扉が開いた。

無言であたしの手を引き、ひとつの階に一部屋しかないVIPルームの扉にカードキーをかざし、暗い部屋へあたしを入れた。




そこからはもう、……あまり覚えていない。

部屋に入るなり、さっきの続きのように唇を奪われ、あたしの、
「道明寺……」
なんて声もすべて飲み込まれ、気付いたら大きなベッドに組み敷かれていた。

そして、道明寺があたしを真上から見下ろし、
「これ以上、煽んなって……」
そう呟いたように聞こえたけれど、それを確かめることはさせてもらえなかった。

あたしの『初めて』がこんな形で来るなんて想像すらしてなかったけど、変に身構えることなく、変に緊張することなく、道明寺にすべてを委ねて時間が過ぎていった。




********************


パーティーが終盤になった頃、相変わらず視線の先にとらえていた牧野にピンチが訪れたことがわかった。

確か、あの客はフランス語しか話せねぇ奴だったな。

客に話しかけられ、戸惑っている牧野を見て助けに行ってやろうと体が動いたその時、牧野の後ろからやって来た別の男が牧野のピンチを救った。

その男を見た瞬間、あいつの顔がパッと華やき、嬉しそうに笑うのを見て、俺は苦々しい気持ちと同時に自分の別の気持ちに気づかさずにはいられなかった。

俺はあいつが好きだ。



そこからは暴走する自分を止められなかった。
客やスタッフがいない場所を探しメープルの小路へと入ると、モヤモヤとした気持ちを牧野にぶつけた。

「男の前でヘラヘラするな。
あいつが好きなのか?」

どこからどう見ても嫉妬にしか聞こえねぇ台詞を俺が吐くなんて。
そんな俺に、あいつが予想もしねぇことを言った。

「あんただって、滋さんとくっついてるじゃない。
滋さんが好きなの?」

自分が質問しておいて、こいつから同じ質問を返されると無性に腹が立つ。
んなわけねーだろっ。

俺が好きなのはおまえだ。

全身でこいつに分からせてやりてぇ。
余計な詮索をさせねーほど、こいつに教えてやりてぇ。

そう思ったら、咄嗟に体が動いていた。
メープルの木に体を押し付けるようにしてぶつけた唇。
勢い余って少し乱暴になったのを詫びるように牧野の手をとって絡めた指。

キスの合間の小さく漏れる吐息や、握った手にギュッと力が入る感触、一瞬唇を離した時に見た潤んだ目。
そのどれもが、俺の胸に響いて、
「こいつが欲しい」
と、全身が訴える。

その欲求に従うように俺の部屋がある西館のエレベーターへ牧野を乗せると、無言で部屋の階の番号を押した。


部屋に入ると、電気も付けずに牧野へ再び襲いかかる俺。
どんだけ余裕がねーんだと苦笑するが、さっきエレベーターの中で手を離そうとしたこいつを見て、逃がしたくねぇと思ったのも事実。

女にこんな感情を抱くなんて……。

エレベーターの中で目があったときのあいつの気間づそうな顔や、首や耳へキスをしたときに漏らした「道明寺……」という焦るような声。
そして、ベッドに寝かせ真上から見下ろしたときに見た、熱っぽい潤んだ目と俺の唾液で濡れた唇。

思わず、
「これ以上、煽んな……」
と、本音が漏れちまった。




ランキングに参加しています。
よろしければポチっとお願いいたします!
関連記事
スポンサーサイト

 2016_08_24


Comments

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
    2016-08-24 08:44  

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます
    2016-08-24 14:13  

 管理者にだけ表示を許可する


05  « 2018_06 »  07

SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

プロフィール

司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
CPはつかつくオンリーです。
司をこよなく愛する管理人の妄想サイト。

最新トラックバック

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR




PAGE
TOP.