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彼と彼女の一年間 20





パーティー当日。


裏方に配置されたあたしは、ロビーからパーティー会場であるガーデンレストランへお客様への誘導を任された。
本社からの応援組とはいえ、リゾート施設の従業員と同じ制服に袖を通しているからには粗相は許されない。

緊張間が漂うなか、午後7時のオープニングパーティーが始まった。
華やかで優雅な招待客たち。それを眺めていると、まるで映画の世界のように別世界へと迷い込んだように感じる。
その中でも一際目立っているのが、

道明寺と大河原滋さん。

今日の主役とも言える二人は、パーティーのドレスコードとなっているパープルに合わせ、ドレスとスーツの胸元のハンカチーフを同色でお揃いにしている。
道明寺の腕に絡ませた華奢な滋さんの腕。
慣れたようにドレスとヒールを履きこなし、寄り添うように招待客へ挨拶をしている二人は、おとぎ話の王子と王女に見えて胸が痛い。

つい数日前、道明寺への気持ちを自覚したあたしには辛い光景で、逃げるようにロビーへ引き返し、仕事に没頭することにした。

そらから数時間後、招待客はレストランでの立食パーティーを終えたあと場所を移し、ブルーにライトアップされたプールとバーカウンターが配置された中庭へと移動した。

ここからは、遅くまでお酒で楽しむ人やプールで涼む人、部屋に戻ってゆっくり寛ぐ人など様々で、本社からの応援組であるあたしたちもやっと一息できる時間。
あと二時間もすれば予定の拘束時間も過ぎ、あたしたちは仕事を終え帰ることが出来る。

そんなとき、あたしは一人の招待客から声をかけられた。
見た目は30代半ばのイケメン。
ブルーアイズがあまりにも綺麗で、思わずその目に見とれてしまうほど。
でも、次の瞬間、「まずい……」と思った。

彼の口から出たのは英語ではなくフランス語だったのだ。
英語はなんとか話せるあたしでも、フランス語はそうはいかない。
挨拶程度なら交わせるが、男性の問いかけに耳も頭も付いていかない。

とりあえず、「sorry」とだけ伝えフランス語が出来るスタッフをキョロキョロと探すが、さっきまでいたはずの頼りになるスタッフが席をはずしてしまっている。

どうしよう…………。
でも、このままではお客様に失礼になる。
なんとかジェスチャーで男性を近くのソファへと案内し誰か応援を呼んでこようと思ったとき、
「牧野さん、どうかした?」
と、あたしの後ろで聞き覚えのある声がした。

「西岡さんっ!」
驚ろくあたしの目の前にいたのは、出張に行っているはずのうちの課のエース、西岡さん。

「どうしてここに?」
と、聞きたいところだけど、その前に、
「フランス語のお客様なんですけど、西岡さんお願いできますか?」
と、言うと、
「OK、任せて。」
と、心強い言葉が返ってきて、心底ホッとした。

さすが西岡さんは頼りになるだけあり、英語もフランス語もペラペラ。なんなくお客様の対応を終えあたしの隣に戻ってきた彼に、
「ほんと助かりました。」
と、頭を下げると、大丈夫だよとにっこり笑ってくれる人柄にも癒される。

「どうしてここに?」

「出張が早く終わったから寄ってみたんだ。
来てよかったよ。牧野さんの手助けできて。」

「ほんと、助かりました。
ありがとうございます。」

そう言ってもう一度頭を下げたあたしに、
「良かったらこのあと飲みにいかない?
飛行機降りてまだ何も食べてないんだ。
あと30分でここ終わるから、食事に付き合ってくれないかな。」
と、思いがけない西岡さんからのお誘い。

確かに時計をみればもう10時半を過ぎている。
本社組は11時までの手伝いだからあともう少しで上がれる時間だ。
それに、7時からのパーティーにあわせてあたしたちも夕食は6時前の早い時間に済ませていたので、そろそろお腹の虫がなり始める頃。

明日はお休みだし、今日はこのあと少し飲んでも構わないか。
そう思ったあたしは、返事を待つ西岡さんに、
「そうですね、あたしもそろそろお腹がすいてきた頃なので、ご一緒しま…………」

最後の「す」という言葉を発する前に、突然あたしの後ろで、
「勝手に帰る話、してんじゃねーよ。」
と、不機嫌な声が響いた。




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 2016_08_22


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    2016-08-22 11:43  

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    2016-08-23 09:30  

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