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彼と彼女の一年間 14






パーティー会場のホテルに到着したのは、ちょうど7時ジャストだった。
遅れないように……そう思って早くから用意したはずなのに、慣れないドレスやハイヒールに苦戦して、邸を出るのがギリギリになってしまった。

どうせ、道明寺は遅れてくるし、誰も知り合いのいないあたしは早く着いたからといって話し相手もいない。

ホテルの入り口には次々と高級な車が横付けされ、中からは着飾ったマダムや紳士が降りていくのを見ながら、今更ながら場違いなところに来てしまったと車から降りる勇気がでないあたしに、無情にも運転手さんが優しい笑顔で車の扉を開けた。

ここまで来たら、やるしかないっ。

あたしは意を決して、ホテルマンが開けてくれているホテルの入り口へと慣れない足付きで近づいた。

と、その時…………、
目の前に突然人影が。

咄嗟にぶつかりそうになり、
「っ、ごめんなさい、」
と、避けようとしたあたしの腕をその人が掴んだ。

「っ!道明寺っ。」

「危ねーな。前、よく見て歩け。」

予想していなかった道明寺の登場に驚くあたしなんてお構いなしに、相変わらず憎たらしいこの男。

「どうしてっ?」

「会場で合流する予定だろ。」

「でも、仕事は?」

「ギリギリ終わらせた。」


7時には間に合わないと言っていたはずの道明寺がここにいる。
道明寺か来るまでどうしたらいいのか不安でいっぱいだったあたしの気持ちは、いっきに和らいだ。

「行くぞ。」

「うん。」

並んで歩きロビーへと入る。

「おまえ、その歩き方なんだよ。」

「え?」

「ロボットみてぇーじゃん。」

「だって、こんな7㎝のヒールなんて履いたことないし。」

自分だって分かってる。
歩き方がぎこちなさ過ぎる。

そんなあたしの腕を取り、
「頼むからコケるような失態はするなよ。」
と、憎まれ口を叩きながらも、道明寺は自分の腕にあたしの腕を絡めてくれた。





パーティーはあたしの想像よりもかなり大規模なものだった。
出席者も入れ替わり立ち替わり、果たして何人ぐらいいるのかも分からないくらい。

隣の道明寺は、ひっきりなしに声をかけられ挨拶をされているけれど、ほとんど軽く頭を下げるだけで素通り。
自分から挨拶に行くのはほんと数人で、その方たちにはあたしのことを婚約者だと紹介した。


『婚約者』という言葉にあたし自身が一番困惑してる。
婚約を喜んでお祝いの言葉をくれる人もいるが、あからさまにあたしへの敵意を見せる女性もいる。
それを知ってか知らずか、当の道明寺は淡々と挨拶を交わすだけ。

一通り挨拶を済ませたあと、あたしのお腹は正直で、腹の虫が騒ぎ出してきた。
それを道明寺にも気付かれたようで、

「おまえ、とりあえずなんか食ってこい。」
と、呆れ顔。

「あんたは?」

「俺は後でいい。
食い過ぎんなよ。それ以上、幼児体型は勘弁してくれ。」

「うっさい!」

そんな会話をしたあと、あたしはさっきから気になっていた料理が並ぶ一角へと急ぐ。
こんなパーティーでしか食べられない料理が盛りだくさん。
見ただけで目移りして、どこから手をつけていいか分からない。

そんなとき、
「何かお取りしましょうか?」
と、後ろから声がして振り向くと、確かさっき道明寺に挨拶に来た男性。

「いえ、大丈夫です。」
そう返すと、

「これが絶品ですよ。」
と、鮮やかに盛り付けられたローストビーフを指してにっこりと言う。

「わぁ、ローストビーフ。
ほんと美味しそうですね。」


ローストビーフなんて、久しぶり。
確か、随分前に友達の結婚式で食べて以来。
あたし、大好きなんだよね、これ。

自分でも自覚するほど顔がにやけてたと思う。
そんなあたしに、

「おいっ、何ボーッとしてんだよ。」
と、聞き慣れた憎たらしい声。
振り返らなくてもこの声の主は分かる。

「欲張って全種類とるんじゃねーぞ。」


紳士的な男性とは正反対のこの男。
道明寺があたしの横に並んだ。




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 2016_08_04


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    2016-08-04 15:39  

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    2016-08-04 22:55  

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