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彼と彼女の一年間 10






道明寺邸で暮らすようになって一ヶ月が過ぎた。

今までとは別世界の生活に戸惑うことばかりで、未だに慣れることはない。
でも、タマさんはじめ、邸の方はみんないい人ばかりで、この生活に孤独感はない。

強いて言えば、この邸で生まれ育った道明寺の方が孤立していてタマさん以外誰にも心を開いていないように見える。

あたしも、初日に道明寺から言われた
『お互い干渉しないこと。』
それは、徹底的に守っている。

なぜなら、この人と深く関わるつもりはないから。

社長からは1年間道明寺と向き合って欲しいと言われたが、どうしても無理なら諦めるとも言われている。
そして、あたしの答えはすでに決まっている。

道明寺司という男を恋愛対象、もしくわその先の結婚相手としてみることはどうしても出来そうにない。
だから、時期をみて社長には正式にお断りさせていただこうと思っていた。






そんなある日、道明寺の意外な一面を見た。

この邸から近いうち出ていくとは分かっていても、どうしても耐えられなかったあたしの部屋のアンティーク時計。
それを変えて欲しいとお願いしたら、意外にもあっさり引き受けてくれた。

『あり得ねぇ』なんて言いながらも、スーツの上着を脱ぎ脚立に乗る姿は、今までのこいつのイメージとはかけ離れてて、悔しいくらい様になっていた。

元々、容姿は誰もが認めるほど完璧で、それは間近で見れば見るほど欠点が見つからない。
超陰険な性格さえ直せばいい男なのは間違いない。

だからか、こうして優しい一面をみると、『悪い奴じゃないのかも……』なんて思うけど、
あたしの部屋から出ていく間際に、
「おまえのその格好、色気のいの字もねーな。」
と、鼻で笑って行くあいつをみて、
やっぱりあの男だけは無理っ!と心の中で思いっきり叫んでやった。





それから、2週間後の日曜日。
兼ねてから用意を進めてきた弟の進の結婚式が小さな教会で行われた。

お互いの親族と、ごく近い親友のみの小さな式。
高校時代からの付き合いなので、互いの両親も打ち解けていて、終始和やかなムードで時間が過ぎていく。

そして、場所をレストランに変え食事会。
二人の幸せそうな顔をみると、結婚への憧れは募るけど、現実はかけ離れたもの。
進と彼女の顔を、道明寺とあたしの顔に置き換えて想像してみたりして、一人で首をブンブン振ってるあたしに、主役の進が近付いてきた。

「ねーちゃん、何してるの?」

「えっ?いや、何でもない。
進、おめでと。良かったね。」

「ありがと。ねーちゃんのお陰だよ。」

そう言ったあと、なぜか進があたしの腕を引き壁際まで連れて行く。

「ん?なに?」

「ねーちゃん、あのさ。」

「ん?」

「今日、教会にご祝儀届けてくれた人がいるんだけど、それが、道明寺さんの秘書の方らしくて。」

「えっ!道明寺の?」

思いがけない事実に驚くあたし。
だって、進の結婚式の話なんてしたこともなかったし、社長にも式はあげないからと嘘までついていたのに……。

「それでさ…………、」

「なによ?」

言いにくそうにしている進にせっつくと、

「実はそのご祝儀なんだけど、」


その先の言葉を聞いて、あたしは言葉を失った。
ご祝儀といえば高くても5万や、10万の世界で生きているあたしにとって道明寺が持ってきたご祝儀は桁違いの大金だったのだ。

「ねーちゃん、俺、受け取れないよ。」

「当たり前でしょ!」

「ねーちゃんから返してくれないかな。」

「…………分かった。あたしから返しておく。」


そう進に言ったあと、
「住む世界が違うっつーの!」と、
あたしは、めでたい席で悪態をついた。




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 2016_07_30


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    2016-07-30 12:03  

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    2016-07-30 18:28  

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