何度でも……32

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ステージの上から満面の笑みで俺を見ながら、
「司、婚約おめでとう!」
と、いい放つ姉ちゃん。

開いた口が塞がらねぇ。
あれほど姉ちゃん自身が言ってただろーが。

つくしをこの場に連れてくるつもりはねぇと言った俺に、久しぶりに姉ちゃんの旦那である義兄さんもつくしに会いたがっているから、少しでいいから顔を出してほしい。
目立たないようにパーティーの終盤でいいから。
シンプルなドレスで俺と離れていれば気付かれることはないから…………、

そう言っていたのは姉ちゃんだよな?

それなのに、ステージの上から俺とつくしを交互に見ている姉ちゃんの視線で、俺から離れた場所にいるつくしの存在に周りのやつらも気付きはじめてザワつきだした。

そんな俺らに追い討ちをかけるように姉ちゃんが言う。

「つくしちゃん、ステージに上がってくれない?
皆さんにご紹介したいの。」

「えっ!」

戸惑うつくしに俺も黙っちゃいねぇ。

「姉ちゃんっ!」

怒鳴る俺を無視して更に姉ちゃんが続ける。

「いいから、こっちに。」

その有無を言わせねぇような口調に、さすがのつくしも恐る恐るステージに上がり、それを他の奴らが固唾を飲んで見つめる。

「つくしちゃん、今日は私のバースデーパーティーに来てくれてありがとう。
せっかくだから、皆さんに自己紹介していただけるかしら?」

「えっ……お姉さん。」

「そうだわ。
NYから私のお友達もたくさん来てくれてるの。
だから、せっかくなら英語でお願いできるかしら。」

その姉ちゃんの言葉に固まるつくし。
ちくしょー、姉ちゃんっ!
何がしてーんだよっ!

ステージの上で固まるつくしを助けに行こうと動き出そうとした俺の肩に、いつのまにか側まで来ていたババァが手を乗せ、
「最後まで見届けましょう。」
と静かに言った。


ステージ上では困った顔のつくしがそれでもマイクの側まで行き、
「こんにちは。牧野つくしと申します。
……自己紹介といっても、医師をしているくらいで、特に……。
あっ、それに、ごめんなさい。
英語は中学生レベルなので、……勘弁してください。」
そう言ってペコリと頭を下げる。

そんなつくしに周囲から渇いた笑いが洩れ、ヒソヒソと棘のある言葉が聞こえてくる。

「じゃあ、つくしちゃん。
私からひとつお願いがあるの。
誕生日プレゼントが欲しいんたけど。」

「えっ?プレゼントですか?」

「そう。
そこにピアノがあるから、一曲私のためにひいてくれないかしら。
選曲はつくしちゃんに任せるわ。」

俺はその姉ちゃんの言葉を聞いて、頭を抱える。
つくしの音楽センスは最悪だ。
結婚してた当時もグランドピアノを前に「チューリップ」でさえ弾けなかったあいつ。
そんなつくしを姉ちゃんも知ってるはずなのに。

「お姉さんっ、あたし無理です!」

「簡単なのでいいのよ?
バースデーソングは?」

「無理です無理ですっ。
猫踏んじゃったでさえ弾けないのにあたし。」

その言葉に今度は会場がドッと沸く。
つくしはしきりにペコペコと頭を下げ、最後は俺の方を見て「ごめん。」と小さく口を動かした。

「つくしちゃん、相変わらずで私は嬉しいわ。」

「え?」

「皆さん、改めてご紹介します。
こちらが司の婚約者であり元の奥さんであるつくしちゃんです。
ご覧になった通り、つくしちゃんは英語はもちろん日本語以外はからっきしダメ、ピアノも弾けないどころか、クラッシックを聞けばすぐに睡魔に襲われちゃうような子なんです。
けど、私も司も……そんな彼女が大好き。
彼女の明るい性格と、芯の強さ、清い心に惹かれっぱなしなんです。」

そう言ってつくしの肩を抱く姉ちゃん。

「家柄や財産、教養など、皆さんの噂話は尽きないようですけど、今後一切、そのようなことはご心配していただかなくて結構よ。
司が選ぶ女性は昔も今もつくしちゃんしかいない、それが答えです。
つくしちゃんは今のままで充分魅力的だし、司は呆れるほど彼女しか見えないみたい。
皆さん、今後、彼女を苛めるようなことがあれば、道明寺を敵に回すことになるってことを忘れないで頂きたい。」

そこまで強い口調で会場のやつらに言ったあと、
「さぁ~、では、最後にダンスでパーティーを締めたいと思いま~す。音楽お願いできる?」
そうスタッフに合図を送ったあと、

いつものテンションで、
「つくしちゃん、もちろんダンスも苦手だったわよね?」
と、マイク越しに聞く姉ちゃんに、

俺もババァも、もう苦笑するしかなかった。




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 2016_05_07


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    2016-05-07 20:49  

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    2016-05-07 22:21  

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    2016-05-09 18:22  

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