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「イエスに決まってるだろ。」

そう言ってもう一度牧野の唇を奪った瞬間、
こいつの体がガクッと揺れた。

咄嗟に抱きかかえ、
「牧野?」
と、呼びかけると

「………ごめん、目眩がして」
と弱々しく答えるこいつ。

「大丈夫か?」

「…うん。」

青白い顔のこいつ。
病院に行くか?
いや、この時間なら、病院に行くよりも邸に連れて行ったほうが早いだろう。
すぐに牧野を抱えあげると、助手席に乗せ邸へと急いだ。




車の中でずっと目を閉じたままの牧野。
おでこに触れてみるが熱はない。
そっと大事に抱えあげ、俺の部屋へと運ぶ。


タマに頼んで待機させておいた邸のドクターがすぐに診察してくれ、
「今は血圧も脈も乱れはありません。
たぶん、少し貧血のような症状が出たのでは」
と言い、

それに
「もう、大丈夫です。ありがとうございます。」
と、弱々しく答える牧野。

ドクターが出ていったあと、ベッドから起き上がろうとするこいつに、
「もう少し寝てろ。」
そう言ってブランケットをかけてやる。

「…ごめんね。」

「謝るな。朝から体調悪かったのか?」

「…少し、寝不足で」

「ったく、デートの前の日くらいきちんと寝ろよ。
何かあったかい飲み物持って越させるから待ってろ。」

ドクターと一緒に俺の部屋を出ていったタマを探しに牧野のそばを離れる。


そして、タマに飲み物と軽食を頼んだあと部屋に戻ると、俺のキングサイズのベッドに小さな体のこいつがスヤスヤと眠っていた。

やっと手に入れた俺の愛しい女。
ベッド横のチェアに座りその寝顔を見つめる。

俺の告白から約1年。
好きになったら、自分からちゃんと言いたい。
その宣言どおりこいつからの告白。

そして、思う。
その相手に選んで貰えて、まじで良かったと。


そんな事を思いながら牧野を見つめていると、いつの間にか俺も眠りについていたようだ。






かすかな物音で目が覚めると、ベッドに起き上がろうとしている牧野と目があった。

「具合はどうだ?」

「うん、もう大丈夫。
ゆっくり眠らせてもらったみたい。」
そう言いながら壁の時計に目をやる牧野。

1時間以上眠っていたようだ。
もう8時を過ぎていた。

「そろそろあたし帰るね。」

「今日は、泊まっていけよ。」

「は?そんなのできる訳ないでしょ!」

「なんでだよ。」

「なんでって、泊まる理由がないでしょ!」

相変わらずのこいつ。

「ついさっき、倒れたんだぞ。
今日は、ここでゆっくり休んでいけよ。」

「ううん、大丈夫。
もうすっかり元気になったから。」

ベッドに寝かそうとする俺と、ベッドから出ようとするこいつ。
もちろん、力で俺にかなうはずもない。

あっけなく俺に押し倒されて、牧野の体の上に覆いかぶさるような形になった俺。


一気に脳裏に、さっき重ねた唇の感触が蘇る。
牧野も同じなのか、照れたように俺の視線から逃げようとする。
それを逃してやれるほど、出来た男じゃねーんだよ。


「泊まってく理由ならあるだろ。」

「だから、具合はもう…」

「そーじゃねーよ。」

「え?」

「俺らは付き合ってるんだぞ。
それが一番の理由だろ。」


こいつが返事をする前に唇を奪う。
さっきの重ねるだけのキスとは違い、
恋人同士がするようなそれを。

女と、こんな事するのは初めてなのに、
やり方も力加減も、牧野の唇に触れているだけで
分かるから不思議だ。

逃げずに、応えてくれる牧野。

「好きだ。」
キスの合間に囁くと、

「うん。」
と、吐息と共に頷く。

「ずっと、こうしたかった。」
そう言いながら、深く唇を重ね合わせると、

言葉ではなく、潤んだ目で見つめながら頷く。






その時だった。

「つくしちゃーん!!具合はどう?!」

と、慌てた声とともに、部屋の扉がドンっと開いた。
そこに現れたのは、声の主である姉ちゃん。


咄嗟のことに固まる俺ら。
もちろん、そこには、ベッドの上で牧野に覆いかぶさるようにしている俺の姿。


それを見て、
「つかさーーーーーー!!!」
という怒声と共に強烈な蹴りが俺の腰にヒットした。

その衝撃でベッドから転げ落ちる。
その俺を真上から見下ろし姉ちゃんが言った。


「あんたって人は!
弱ってるつくしちゃんになんてことするのよ!
動けないようにして襲うなんて、猛獣のする事よっ!!」

「ちげーよっ!落ち着けって姉ちゃん!」

「この状況で落ち着けですって?バカ!」

「いってぇー、殴るなって!」

「つくしちゃん、もっと大声出して助けを求めなきゃだめよ!
この男はっ、まったく、隙あれば食ってかかろうとする獣かしらっ。」

「だからっ、ちげーんだよ!」

「なにが違うのよっ!」

逆らう俺をバシバシ叩きながら暴れる姉ちゃん。
牧野も、「おねーさん」なんて何度も呼んでいるが、聞いちゃいねぇ。

「俺の話を聞けよ!
襲ってねーよっ!
大事な女に無理矢理こんな事するかよ!」

その言葉に、ようやくおとなしくなる。

「ほんと?つくしちゃん。
無理矢理襲われた訳じゃない?」

「はいっ!」

「だろ?牧野が言うんだから信じるよな?
姉ちゃん、俺たち付き合ってんだよ。
だから、」

その先を言おうとする俺を、さっきまで殺す勢いで睨みつけていた姉ちゃんが、

「え?……え、待って。
つくしちゃんと司、付き合ってるの?
って言うことは、あたし、もしかして、
……二人のお邪魔しちゃったって事かしら?」

そう言って、俺と牧野を交互に見つめる。

「ああ。これからはノックしてから入ってきてくれ。」

「分かってるわよ!
それより、いつ?いつから付き合ってるの?」

自分の失態なんてすぐに棚に上げ、興味津々な姉ちゃんが牧野に聞く。

「えーと、……今日から……です。」

「今日から?」

「はい。」

その牧野の言葉を聞いて、再び俺の方をギロッと睨んだ姉ちゃんは、

「つかさーーー!
付き合って1日目から襲ってるんじゃないわよっ!」

と、耳が破れるほど怒鳴りやがった。




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 2020_02_23





急遽、桜子も呼んで滋さんのファッションショーが開かれた。

ファッションやメイクの事なら桜子が適任。
あれよあれよと滋さんは甘い雰囲気のワンピースに着替え、髪もアップに整えて貰っている。

その様子を鏡越しに見つめるあたしに、
「先輩もメイクしてあげましょうか?」
と、桜子がにっこり笑った。

「え?」

「だって、これから道明寺さんとデートでしょ?」

「あっ!」

時計を見るともうすでに5時を回っている。

「まさか、忘れてました?」

「いや、そーじゃなくて。
滋さんと道明寺がデートするって思ってたから…」

「えっ、なんですかそれ。」

事情の知らない桜子があたしの言葉に食いつく。

「…それは、」
モゴモゴするあたしの横で、

「あのね、つくしはあたしと司が付き合うって勘違いして焦ってここに来たって訳。」
と、呆れ顔の滋さん。

「どーしてまた、そんな突拍子もない勘違いを?」

「だって、最近二人が妙に仲良かったり、ホワイトデーに約束してるの聞いちゃったり。
それに追い打ちをかけるように滋さんが『好きな人が出来た』って言うから。」

「それで、先輩は不安になったって訳ですか。
それで、もしも道明寺さんと滋さんが付き合うって言ったらどうするつもりでした?」

桜子が真面目な顔で聞く。

「おめでとうって……いうつもりで来たの。
でも、……言えなかったかもしれない。
本当に二人が付き合うって聞いたら、あたし…」

きっと、うまく「おめでとう」なんて言えなかったはず。
だけど、「取らないで」なんてもっと言えなかった。

だって、今のあたしにはそんな事、言う権利がないから。

「ごめんっ、あたし帰る!」

「はいはい、私ももう帰るので先輩も乗っていきましょう。」

桜子に手を引かれ滋さんの部屋を出るあたしたちに、
「頑張って、ぶつかってきなさーい。」
と、滋さんがにっこり笑った。





桜子の車に乗り込んで、慌ててかばんから携帯を取り出すと、着信履歴には『道明寺』の名がずらり。

思わず
「ヤバイ…」
と、呟きながらかけ直すけど、道明寺は出ない。

それを見て、
「じっくりと怒られてきたらいいですよ。」
と、にんまり顔の桜子。

「分かってる、ごめん。」

「道明寺さんに言ってあげてくださ〜い。
一瞬でも疑われたなんて、道明寺さんも可哀想に、フフ…」

「だって……、道明寺のあんな顔見るの初めてだったから。」

この間見たあの時の表情が忘れられない。

「あんな顔って?」

「大学のカフェテリアで滋さんと道明寺が二人で話してたの。
その時の道明寺、照れたような、熱っぽいような、そんな顔で滋さんを見つめて会話してた。
あたしの勘違いならいいけど、道明寺はもしかしたら、」

そこまで言ったとき、
「その先は本人に聞いてください。」
と言って桜子がゆっくりと車を止めた。

あたしのマンションの前には、見覚えのある道明寺の車が停まっていた。
桜子にお礼を言って急いでその車に近付くと、
運転席のドアにもたれかかる様に立つ道明寺。

「道明寺っ!」

「牧野。」

怒られるのを覚悟して近付くと、次の瞬間予想もしないほど強い力で抱きしめられた。

「心配したんだぞ。」

「ん、ごめん。」

「なんで電話に出ねーんだよ。」

「ごめん、滋さんに用事があって…」

そんなあたしの頭をゆっくり撫でたあと、道明寺はあたしを解放した。

こんな風に抱きしめられたのは初めて。
その腕が離れていく事が寂しいと思うのは、
あたしの気持ちが正直になった証拠。


「電話くれてたのに、ごめんね。」

「いや、俺も途中で充電切れて使えなくなっちまったし。」

「ずっとここで待ってたの?」

「ああ。
今日はおまえと約束したからな。」


いつもそう。
道明寺は、いつもあたしにまっすぐに向ってきてくれる。
それなのに、あたしは小さな事で不安になったり疑ったり。

今度はあたしが向かっていく番。


「牧野、行きたいとこ決めたか?」

「…ううん、決めてない。
でも、……欲しいものがある。」

「欲しいもの?ああ、何でも買ってやるよ。」

そう言って嬉しそうに笑う道明寺。
あたしは大きく息を吸い込んで言った。

「欲しいものは物じゃなくて、言葉なの。
今からあたしが言う事に、イエスで答えてくれる?」

「…あ?」

「道明寺、」

「……。」

「好き…なの。
あたしと付き合ってください。」


1年前、道明寺があたしに言ってくれた言葉。

『牧野、お前が好きだ。付き合うぜ。』

それをそのまま、今度はあたしから。


道明寺からの返事は、
ただ一言『イエス』を期待していたあたし、

けれど、実際は違った。



返事の代わりに、
道明寺に体ごと引き寄せられ、
そのまま唇を優しく塞がれる。

キス……、
ようやく思考が追いついた頃、
少しだけ離れた唇の隙間から


「イエスに決まってるだろ。」
と、道明寺が言った。

それを聞いた途端、なぜかあたしは力が抜けて目の前が真っ暗になった




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 2020_02_22





ホワイトデーの当日。
あたしと道明寺との約束は夕方から。

その前に、滋さんと道明寺はパーティーに出ると言っていった。
同じパーティーかは分からない。
滋さんが気になると言っていた相手が道明寺とは限らない。

けれど、考えれば考えるほど、そうだという結論しか出てこない。

昨夜からずっとこの事ばかり考えていて、頭が痛い。
あたし、何やってるんだろう。
考えてたって何も変わらないのに…。

もしも、二人が付き合うとしても、何も行動してこなかったあたしが悪い。
もう手遅れなんだよと道明寺から冷たくされても文句は言えない。

けど、……後悔する。
このままだったら、あたし絶対後悔する。
親友である滋さんに「おめでとう」と言えないなんて、辛すぎる。


部屋の時計を見るともうすぐ2時。
もうパーティーは始まっているはず。

それでも、あたしの指は動いていた。
携帯の画面で「滋さん」の文字を写し出すと、ボタンを押した。

3コール目で
「もしもし、つくし?」
と、いつもの明るい声で滋さんが出る。

「…滋さん、今どこ?」

「パーティーの途中なの。
どうかした?」

「あのぉ、……時間あったら少し会えないかな?」

「今日?いいわよ〜。
実はね、パーティーのあと、デートすることになったの。
だから、その前に一旦家に戻って着替えようと思ってるの。その時でいい?」

「うん、大丈夫。
滋さんの家の近くで待ってる。」

「分かった。あとで連絡するね。」


いつもと変わらない滋さん。
いつもあたしを優しく包んでくれる彼女に、あたしは何をしようとしてるのか。

喧嘩になりそうなのか?
西門さんの言葉を思い出す。

ううん。やっぱり喧嘩にはならなさそう。
だって、あたしにとって滋さんは大切な人だから。






電車に揺られている途中、滋さんから
「家に着いたからいつでも来て。迎えの車出そうか?」と、メールが来た。

それに、
「大丈夫。もうそっちに向かってるから。」
と、返事をして電車を降りた。


久々の大河原邸。
いつ来ても緊張するほどの御屋敷だけど、いつもどおり執事の方が優しく迎え入れてくれる。

滋さんの部屋に入ると、
「待ってたよ〜。」
と、テンション高めの滋さん。

「あたしもつくしに見てもらいたいものがあったの。どうせなら、桜子も呼ぶ?」

「あー、……今日はちょっと滋さんと二人で話したくて。」

そう返事をするあたし。
そんなあたしをじっと見つめたあと、
滋さんが
「何かあった?」
と、真面目な声で言った。



部屋のバルコニーにある二人がけのソファ。
テーブルには執事の方が入れてくれたティーセットとクッキー。

紅茶に一口くちをつけたあと、
「それで?」
と、滋さんはあたしを優しく見つめた。


「滋さん、あたし、
滋さんが本当に大好きで、滋さんと一緒にいるとほんと楽しくて、いつもその笑顔に癒やされて、」

「ん……うん。」

「これからも、ずっとずっと一緒に過ごしたいって心から思うから、」

「…うん。」

「だから、ちゃんと伝えたいと思って。」

「……ちょ、ちょっと待ってつくし。」

「へ?」

一気に話したあたしを、慌てて滋さんが止めようとする。

「あのね、えーと、……ちょっと待って。
これって、もしかして……、え?つくしってそっち系の人?」

「え?そっち系?」

「いや、だからね、
い、今更、あたしにちゃんと伝えたいって、
まさか告白って事?」

なぜか慌てている滋さん。
でも、今、ちゃんと告白しておかなきゃあたしはこれから滋さんにも道明寺にも笑って会う自信がない。

「…うん、そう。」

「えっ!なんで、どうしてっ!」

「ごめん、今更。
でも、滋さんに好きな人が出来たって聞いて、このままじゃ今のあたしは心からおめでとうって言えないなって。」

「いや、でもっ!
あたし、つくしはてっきり司の事が好きだと思ってたから。」

「……えっ……どうして?」

「そりゃ、つくし、いつもその気ない振りしてたけど、司はどこまでも諦めないし、つくしも少しづつ司に傾いてるなーって。」

滋さんはあたしが道明寺を好きだと知っていたのだ。
でも、いつまでもはっきりしなかったあたし。
それを見ていた滋さんは辛かったはず。

「ごめん、滋さんに辛い思いさせて。」

「え?あたし?
んー、ちょっと待って。
ちょっと整理させて。あたし頭がついていかないんだけど。
あたしがどうして辛いの?」

「だって、道明寺が好きなのに、友達のあたしが絡んできてたらややこしいでしょ。」

「んー、待って。滋ちゃん、ただいま整理中だから。
えーと、つくしが好きな人って誰?
司?それともまさかあたし?」

「へ?それは、……ごめん道明寺。」

「いや、だからどうしてそこで謝るのよ。」

「だって!恋愛音痴のあたしが、まさか三角関係に陥るなんて……、」

「三角関係?誰と誰が?」

「え?」

「は?まさか、つくしあんた。おかしな事考えてないわよね?
三角関係にこの滋ちゃん入ってるとか?」

「……入ってない?」

恐る恐る聞くあたしに、思いっきり睨みをきかせながら

「入る余地もないくせに!」
と、大きな声で怒る滋さん。

「あたしが司をすきだって?
それで、つくしとの三角関係?
チッ……ほんとこの事司が知ったら大激怒だと思うわよー。」

「だって!滋さん道明寺とホワイトデーデートするんじゃないの?」

「はぁ?あたしがデートする相手は的場さんって言って、司なんて比べ物にならないほどかっこよくて紳士なの。」

「じゃあ、あたしの勘違い?
でも、最近、道明寺と滋さん二人でイチャイチャしてたでしょ。」

「イチャイチャ?するわけ無いでしょ。
会うたびにつくしとのラブラブトーク聞かせられてるあたしの身にもなりなさいよ。」

「ラブラブトークって!」

「イチャイチャしてるのはそっちでしょ。
おかしな心配してるくらいなら、堂々とみんなの前でラブラブカップルアピールしなさい。
デレッとした司の顔見たら、誰も寄って来ないわよ。」


ここ数日、頭を悩ませていた心配が解けて、
思わず涙腺が緩むあたし。

そんなあたしを見て、
「司も苦労するわけだ。」
と、苦笑する滋さん。

そして、
「あっ!そうだ。
つくしに見てもらいたかったものがあるの。
デートに着ていく服、どれがいい?
一緒に選んでくれる?」

そう言って幸せそうに滋さんが笑った。




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 2020_02_21





ホワイトデーを4日後に控えた休日。
久々に滋さんと桜子とカフェでデート。

「はい、これ。」
と言って滋さんが私と桜子に、先日の温泉旅行で撮った写真をくれる。

「なかなかよく撮れてるでしょ?」

浴衣姿の3人が少しお酒のせいもあって、頬を赤らめている笑顔の写真。
残念ながら今回優紀は来れなかったけれど、あたしの親友と呼べるのは彼女たちだけ。

だからこそ、この間感じた胸の痛みは無かったことにしたかったのに……。

「あたしね、気になる人が出来て……。」
と、恥ずかしそうに滋さんが言う。

「えっ、だれ〜。」

「それは、まだ言わないっ。」

「ちょっと、言わないってそれはなしですよ。」

「ホワイトデーにちょっとしたパーティーがあって、その時に告白しようかなと思ってる。
うまく行けば、夜まで一緒にーーーなんてねっ。
だから、告白が成功したら教えるから!」

「ほんとですかー。」

キャッキャッと盛り上がる滋さんと桜子。
滋さんに好きな人か……。
初めて聞く滋さんの恋愛話。
本当なら喜んで聞きたいはずなのに、
あたしは胸が痛すぎて俯くだけ。

なぜかと言うと、昨夜の道明寺からの電話。

「14日、空いてるか?」

「14日?」

「おう。
一応、バレンタインにチョコ貰ったから、お返しにどこか好きなとこ連れてってやる。」

「好きなとこって……。」

「昼に少しだけパーティーに顔出さなきゃなんねーけど、その後は空いてるから、終わったら連絡する。」


昼のパーティー。
やっぱり滋さんの好きな人とは、道明寺だろうか。
最近の二人を見ていると、そう感じるのは間違っていないような気がする。


「つくし?」
ぼぉーっとするあたしに滋さんが笑顔で声をかける。

「あっ、ごめん。」

「つくしは?
つくしはホワイトデーどうするの?」

「えっ、」

もしも、もしも滋さんが道明寺に告白して、
もしも、もしも道明寺がOKしたら、
その後は二人で過ごすのかもしれない。

「つくし?」

「あ、あたしは…………何も予定ないよ。
誰にもチョコレートあげてないし、誰からもお返ししてもらう予定はないから!」


大きな声でそう言い切るあたしを、滋さんと桜子が困った顔で見つめた。









「西門さん。」

「ん?」

「………。」

「おい、生きてるか?」

「西門さん。」

「ん?」

「…………。」

「だからなんだよっ!」


大学の中庭。
ベンチにぼぉーっと一人腰掛けていると、ふらっとどこからか西門さんがやってきて、あたしの隣にどかっと座った。
暇なのか?とからかうように聞いてくる彼に、あたしは冒頭の「西門さん。」と無意識に名を呼ぶ。


「西門さんと美作さんって仲いいですよね。」

「あ?なんだそれ。」

「いつも一緒で喧嘩しないんですか?」

「喧嘩ばっかだろ俺たち。」
そう言って綺麗に笑う西門さん。


「美作さんと同じ人を好きになって、喧嘩になったことあります?」

「……。
喧嘩になりそうなのか?」

「え?」

「だから、誰かと好きな人がかぶって、喧嘩になりそうなのか?おまえは。」

いつものからかうような表情ではなく、優しく目を細めてあたしを見つめる西門さん。

「喧嘩……にはならないと思います。」

「どうして?」

「どうしてって……。」

「おまえも好きなら、喧嘩してでも奪わなきゃなんねーだろ。」

こんな風にきちんと答えてくれるなんて意外だと思いながら西門さんを見つめると、

「そろそろ答えてやれよ、あのクルクル男に」
と、言いながら髪の毛をクルクルと巻く仕草をする。

それがおかしくてクスッと笑うあたし。

「で?おまえが喧嘩しそうな相手って?」

「……滋さん。」

「プッ……、そりぁ、楽しくなりそうだな。」


物凄く楽しそうな西門さんと、深いため息をつくあたし。



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 2020_02_14





バレンタインが終わり次はホワイトデー。

牧野に自分からチョコが欲しいと言って貰った以上、お返しは数倍にして返したい。
何がいいだろうか……と愛しい女のために頭を悩ませていると、

「ホワイトデーにあたしの頼みをきいて。」
と、違う女が近寄ってきた。

「またおまえかよっ。」

「ちょっと!この滋ちゃんに向かってそんな言い方するの司だけだからね!」

「うるせぇ、おまえと遊んでる暇はねーんだよ。」

「司、あたしの事邪険に扱っていいと思ってるの?
バレンタインデーに何をあげたか忘れたわけじゃないわよね。」

「……、牧野に言ってねーだろーな。」

「言う訳ないでしょ。
だから、ホワイトデーにあたしの頼みを聞いてよ。」


バレンタインデーに滋から牧野の水着の写真を貰ったなんて、他のやつには口が裂けても言えない。
滋に弱みを握られているとはいえ、こいつも共犯だ。

でも、もしバレたときは滋よりも俺が怒られるのは目に見えている。
だから、こいつを敵に回すのは得策じゃねえ。


「何が欲しいんだよ。」

「ふふふ……。」

「キモいから早く言え。」

「チッ……、あのね、司って的場さんと知り合いよね?」

「的場?的場って、的場建設の息子のか?」

「そうそう、それ!
その的場さんだけど、……あたしに紹介してくれないかな。」

なんだよ、そういう事かよ。
確か、この間のパーティーで的場に会ったときにも、あいつから滋の話をふられた記憶がある。

「知り合いなら自分で連絡しろよ。」

「知り合って訳じゃなくて……。
友達の結婚式で初めて会って話したらすごくいい人だなーと思って。でも、連絡先を聞かれなかったから脈なしかな。
でもさ、やっぱりもう一度会ってみたいなぁと思って、滋ちゃんのためにセッティングしてくれない?」

「あいつの親父は一癖も二癖もあるおやじだぞ?いいのかよ。」

「別に関係ないでしょ。
あたしが知りたいのは的場さん本人なんだから。」


どっぷりと贅沢三昧で育てられたお嬢様の滋。
だけど、こいつのこういう所がどこか俺と似ていて憎めねぇ所。

好きなものは好き。
外見や肩書にとらわれず、相手にまっすぐに向き合おうとする滋はある意味カッコいい。

「分かった。連絡しとく。」

「ありがとー!」









最近、道明寺と滋さんが二人でいる所をたびたび見かける。

何年も前から変わらない光景なのに、
一度気になりだすと、見かけるたびに胸が小さく痛む。

1ヶ月前、このカフェテリアで道明寺と滋さんが二人でなにやらコソコソやっていた。
携帯を見ながら滋さんが道明寺に笑いかけると、
道明寺も携帯を見つめ顔を赤くして照れている仕草。

あんまり見かけないその道明寺の表情が気になって、
二人の後ろから
「何やってるの?」
と声をかけると、明らかに慌てたように席を立ち帰っていった道明寺。

そして、今日。
また二人はカフェテリアで隣合い話している。
「ホワイトデーに頼みを聞いて。」
そんな会話が聞こえ、
あたしはそっと二人から離れた。


滋さん、道明寺にチョコあげたんだ。
いや、そうだよね。あたしにも友チョコ用意してくれてる滋さんだもん、道明寺にだってあげてもおかしくない。

ホワイトデーの頼みってなんだろう。
もしかして、デートとか?

そもそもお互いフリーなんだから、デートしたって変じゃないし、あの二人ならどこから見てもお似合いだろう。

今までそんな素振りも見せなかった二人が、ここ最近で急接近してそういう事になったのか。

そうだとしたら……、あたしは……。



今まで自分にいろんな言い訳をして「答え」を出してこなかったあたし。
でも、今、

あたしの意志とは関係なく、この胸の痛みが
「答え」なんだと思い知らされて、逃げるようにカフェテリアから出た。





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 2020_02_05




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Author:司一筋
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