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「牧野とはもう遭わねーのか?」

「ああ。」

F3と会ったあの夜、あきらの問いにそう答えた俺だったが、あれから1週間、日に日に余計な思考が頭をよぎる。


10年前のあいつは、本当はどんな気持ちで俺に別れを告げたのだろうか。
金を受け取ったあいつをずっと俺は許せなかったけど、ババァはそれに値するほどの嫌がらせをあいつにしてきたのだろう。

もう一度牧野に会ったからといって、何かが変わる訳じゃねぇ。
だからこそ、きちんとあの頃の事を精算したい。




そんな悶々とした気持ちの俺に、救いの手が現れた。

「司、今週末空いてるか?」

「あ?どうした?」

「時間あるならうちに来いよ。」

「あきらのとこに?」

あきらから家に呼ばれるなんて何年ぶりか。
あきらも俺と同様、家業を継ぎ相変わらず実家で暮らしている。

「うちのおふくろがお菓子教室やってるの知ってるだろ?
そこに、三条と滋が通ってるんだけどよ、先週二人とも仕事で休んだから、特別に今週末補習をするっておふくろが張り切ってんだよ。」

「それが俺にどう関係してる?」

「まぁ、焦んなって。
実は、三条が牧野と連絡取り合ってたらしくて、あいつも連れてくるって事になったんだ。
司、久々にみんなで集合しねーか?
おまえらの事情は分かる。けどよ、もうこんな機会ねーかもしれないしよ。」


「………ああ、分かった。」


アキラの言うとおり、俺らが集まるのは正真正銘これが最後になるかもしれねぇ。






数年ぶりの美作邸。

「あら〜、道明寺さん、お久しぶりね〜。」
昔と変わらずあきらのおふくろさんはテンションが高い。

「司、みんなもう揃ってるぞ、入れよ。」

美作低のピンクを基調としたリビングには、あの頃と変わらない奴らの姿。
こんな日がまた来るなんて思わなかった。

俺が来る前に他の奴らと久しぶりの再会を果たした牧野は、滋たちと広いキッチンでお菓子作りを始めていた。

一瞬だけ視線が絡んだあとは、お互い自然と反らしそれっきり。
焼き上がったスコーンやデニッシュが運ばれてきて、ランチを取る間も俺達の視線が絡むことは一度もなかった。


中庭では美作邸の愛犬である大型のレトリバー2匹がいつものように戯れていたが、その奥の方で別の2匹見たことねえ犬がいる。

「あきら、新しく2匹増えたのか?」
総二郎が聞くと、

「いや、今日はうちのレトリバーのお見合いなんだよ。」
と、あきらが苦笑する。

「見合い?」

「ああ。
うちのレトリバーは適齢期の女の子だからさ、
そろそろお婿さんを貰って子供を生ませようかと思ってね。
犬にも人間同様、相性っつーもんが大事だっておふくろが言うからさ、ここ二ヶ月くらいずっとお見合いさせられてんだよ。」

「マジかよ…犬も大変だな。」

「ああ。」

男たちがそんな会話をしているうちに、滋と三条、それに牧野が中庭へ歩いていくのが見える。
ちょうど庭のローズガーデンが満開で綺麗だ。

それに誘われるかのようにレトリバー2匹がじゃれるように牧野たちの横を付いて回っている。
それを見て渋い顔の俺に、
『クック…司、酷い顔。』
と、類が笑いやがる。

しょーがねーだろ、相変わらず俺は犬が苦手なんだよ。
そう言い返そうとしたその時、庭の奥から、
『ロンっ!』
と、大きな声が聞こえた。

声の方を振り向くと、見合い相手だという犬が牧野たちの方へ勢い良く掛けていくのがわかる。
何が起こったのか分からない俺の横で、
『ヤバイっ、』
と、あきらの焦る声。

2匹が掛けていく先には、しゃがんだ体制でレトリバーとじゃれ合う牧野の姿が。

『牧野っ!』
と呼ぶあきらの声にこちらを向いた牧野だが、それと同時に突進してきた2匹に思いっきり体を突き飛ばされた。






理由なんて分かんねぇ。
これが牧野じゃなく他の女だったら同じ事をしたか、なんて聞かれても分かんねぇ。

ただはっきりしてるのは、
なんの迷いもなく体が動いたっつー事。
犬嫌いの俺が……笑えるぜ。



芝生に突き飛ばされた牧野の側に駆け寄り体を起こしてやると、再び2匹の大きな図体が絡まってくる。
じゃれてんのか、攻撃してんのか、こいつらの意図は分かんねぇけど、こいつらに揉みくちゃにされながらも、
犬っつーのは案外重てぇんだなー、なんて思ってると、

次の瞬間、


やられた。


腕を


ガブッと。



『いってぇ!!』




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Author:司一筋
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