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牧野からあれほど止められたというのに、黙って従えるはずもなく、目覚めるとすぐに一ノ宮にアポを取った。

仕事が終わったら連絡すると言っていたはずだが、9時を過ぎても携帯が鳴らない。
イライラしてる所にようやく一ノ宮からメールで場所を指定された。

それは人通りの多い街の中心部。
カフェや居酒屋が並ぶその通りに車で来てくれと指示され不思議に思いながらもそこへ行くと、通りの角に立つ一ノ宮の姿があった。
そして、その隣には一ノ宮と楽しそうに笑う牧野。

先手を打ったつもりが、牧野に先を越されたらしい。
それとも、一ノ宮が俺よりも牧野の方を優先したのか。

どちらでもいい。
もう、俺の話したい事は一ノ宮に伝わってるだろうから、あとはあいつに一発殴られる覚悟は出来ている。

そう思いながら二人が立つ通りに車を滑り込ませると、一ノ宮がすぐに車に気付き牧野に何かを囁いた。そして、牧野の手を取り車へ近付いてくる。

「司、こんな所に悪かったな。」

「どういう事だよ。」

助手席の窓を開け一ノ宮にそう言うと、

「牧野さんとの話が長引いちゃってね。」
と、楽しそうに笑いやがる。

隣に立つ牧野をチラッと見ると、俺が来たことに文句がありそうな顔で睨みつけてきやがるのが面白くねぇ。

「場所変えて話せるか?」

牧野の視線も無視して一ノ宮にそう言うと、

「牧野さんに話は聞いた。まぁ、二人にはかなり長い歴史があるようだから俺は潔く身を引くよ。」

と、助手席のドアを開け牧野を車に押し込む一ノ宮。

そして、
「牧野さん、お酒以外だったらいつでも付き合うから連絡して。」
そう言うと、こともあろうか牧野のおでこにチュッとキスをしやがった。

「おいっ!」

咄嗟に怒鳴る俺に、助手席のドアをバタンと閉め、
「アメリカンスタ〜イル」
と、おかしそうに笑いながらあいつは車から離れていった。








「一ノ宮と何話した?」

「別に……あんたと付き合うってこと。」

「他には?」

「他に?…特にないけど?」

牧野の部屋に向かう車中。
さっきのキスが響いて不機嫌な俺。

「歴史が長いとか訳分かんねぇこと言ってたよなあいつ。」

「あー、それね。」

そう言ったまま気まずそうに窓の外に目をやる牧野。

「なんの事だよ。」

「んー、まぁ、昔のことを少し。」

「答えになってねえ。」

「だから……んー、……高校生のときにあたしがあんたの事好きだったって話。
そしたら一ノ宮さん、あたしたちには何か隠し事があるような気がしてたけどそういう事だったのかって。」

「それが長い歴史って事か。」

「まぁ、……そんなかんじ。」

そのまま無言で車を走らせて牧野のマンションへと向かう。






「送ってくれてありがと。」

マンションの前まで来て車の駐車スペースを探す俺にそう言い放ち車から下りようとするこいつ。

「おい、待てよ。」

「ん?なに?」

「部屋に寄ってく。」

「はぁ?」

心底驚いた顔でそう叫ぶこいつに頭が痛てぇ。

「当たり前だろ。付き合ってるんだぞ俺たち。」

「でも、もう時間遅いでしょ。」

「関係なくねぇ?」

「関係大あり。」

恋人同士の会話とは到底思えねぇ。

「今日はこれで終わりかよ。」

「……まぁ、」

「明るい所で顔も見てねぇのにもう帰れってかよ。」

「そういう訳じゃ……、」

「一ノ宮にちゃんと話して、おまえの言ってた、付き合う上での壁は超えたんだろ俺たち。
だから、待ったはなしで、俺のことちゃんとみろよ。」


こんな言い方しか出来ねぇけど、この年になってようやく自分から好きだと思える女に出会えたんだ。
真っ直ぐに直球でぶつかっていきたい。




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 2018_12_12



目覚めてすぐにシャワーを浴び、バスルームから出ると、携帯の画面に赤くランプが付いている。

こんな早くから誰だ?

そう思いながらメールを開くと、
『今日、少し時間を作ってくれ。』
と珍しい奴からの連絡。

司からこうして個人的に会いたいと言ってくるのには相当な理由があるはずで、その理由に俺は見当が付いてしまうところが辛い。

『仕事が終わったら連絡する。』
とだけ返信し、クローゼットの中にある1番上質なスーツに手をかけた。







午後になってようやく仕事の目処が付き、8時過ぎなら会社を出れそうだと司にメールしようとしたその時、またまた携帯の画面に珍しい人からの着信。

「もしもし。」

「一ノ宮さん?牧野です。」

彼女から、今日時間があれば会いたいと言われ、もう聞かされることはなんとなく分かったというのに、それでも彼女に会えると思うと、上質なスーツを着てきて良かったと苦笑する。






司か牧野さんか………もちろん、牧野さんを選ぶ。
司からの誘いのほうが早かったが、牧野さん優先だ。

仕事を早めに切り上げて彼女と7時に合う約束をした。

待ち合わせのカフェ。
早めに着いたというのに彼女はもう来ていて、奥の席に硬い表情で座っていた。

「お待たせ。」

「一ノ宮さん。……お疲れ様です。」

俺を見て微笑みながらお疲れ様と言う彼女に、仕事の疲れなんか一気に吹き飛ぶ。

「あんまり時間が無いんだ。
話があるんだろ?聞くよ。」

俺はどうやらかなりのお人好しらしい。
彼女が今日、俺に何を告げるのかは薄々分かっているのだから、つい先日まで彼氏だった俺としては不快感を表してもいいはずなのに、

緊張した顔で真っ直ぐに俺を見る牧野さんに、
『頑張れ。』
なんて、心の中でエールを送ったりして。大バカだ。

「一ノ宮さん。
あたし、一ノ宮さんに嘘をついてしまって。
お付き合いを解消したいと言ったとき、一ノ宮さんあたしに聞きましたよね、好きな人がいるのかって。
その時はいないって答えたけど、後になってあの時の答えは間違ってたって分かったんです。」

「うん。」

「あたし、好きな人がいて、ちゃんとその人と向き合いたくて。
でも、一ノ宮さんに嘘をついたままじゃ、先に進めなくて。」

「好きな人って」

「道明寺です。」

分かってても、彼女から名前を聞かされると胸がチクッと痛む。

「司はそのこと知ってるの?」

「……昨日、伝えました。」

「それで今日、二人とも俺に会いに?」

「えっ?道明寺もですか?」

どうやら、司が俺に連絡してきた事は牧野さんは知らないらしい。

「司は大変だよ。」

「……分かってます。」

「泣かされて終わるかもよ。」

「たぶん……そうかも。」

俺の言葉にフフフ……と笑いながら俯く彼女は、司で苦労することはもう百も承知なのかもしれない。

「どこまで耐えられるかやってみます。」

「そっかぁ。
司にここまで好かれたら逃げ切れないもんね。」

「へ?」

俺の言葉に不思議そうな顔で聞き返す彼女。

「司が牧野さんを好きなのはもうバレバレだったから。かなりしつこく言い寄られた?」

「道明寺が…ですか?」

今度は眉間にシワまで寄せて聞き返す彼女に、俺のほうが首を傾げたくなる。

「司から言ったんだろ?」

「えーと、結果的にはそうですけど、
高校のときにあたしが告白しそびれて……。
結果的にそれを今まで引きずっていたところがあって……。」


どうやら、司と牧野さんの恋愛は今に始まったことじゃないらしい。
司があんなに牧野さんへ熱い視線を送っているのに、彼女はそれに気付かず自分の気持ちに気付くのに精一杯。

恋愛ベタな男と、鈍感女が恋愛するとこうなるものなのか。


このあと、司との約束も忘れるくらい、牧野さんから昔の話を聞き出すことにした俺は、

とっくにヤキモチという感情は消え去り、
どうしたらこんなにくっつくのに時間がかかるんだよとこの二人に呆れるしかなかった。



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 2018_12_10





「あたしも、……あんたが好き。」

小さくて聞こえないかもしれない、けど精一杯発したあたしの言葉。
それに道明寺は思いもかけない行動を返してきた。

「ちょ、ちょっと!」

「なんだよ。」

「急に……、こんなこと」

「付き合ってんだからこれ位いいだろ。」

当たり前のようにそう言ってあたしの体を腕の中に閉じ込めた道明寺。


「付き合ってるって……、」

「違うのかよ。」

「いや、そういう事じゃなくて、」

「何なら、この先もするか?」

「はぁ?!あんたバカじゃないのっ、離してっ」

「暴れるなって。」

「変態っ、痴漢っ、離せっ。」

ソファに座りながら上半身は道明寺にホールドされたままのあたし。バタバタと暴れてみてもこの図体だけは大きい男から逃げ出せそうにない。

そんなあたしにクックツ…と笑いながら、
「怒んなって。」
と言って道明寺はあたしを解放してくれた。

「牧野。」

「なによ?」

「ちゃんと俺と付き合おうぜ。」

「……うん。………でも、」

あたしもあんたが好き。
でも、素直にあんたの胸に飛び込めない理由もあって、今すぐに道明寺の目を見て返事ができない。

そんなあたしに、
「分かってる。俺からちゃんと話す。」
と、真っ直ぐに道明寺が言った。

「え?」

「一ノ宮だろ。」

「……。」

「俺もあいつにちゃんとおまえとの事話さなきゃなんねーし。だから、俺に任せろ。」

あたしの迷いをこの人はちゃんと分かっている。
でも、これはあたしと一ノ宮さんの問題だから、こうして自分の気持ちにはっきりけじめを付けた以上、自分から彼には伝えなきゃ。

「ううん。あたしの口から一ノ宮さんにちゃんと伝える。」

「やめろ。俺が一ノ宮に会ってくる。」

「でもっ、それじゃ一ノ宮さんに悪いし、」

「ダメだ。」

あたしの言葉を遮るようにしてそう言う道明寺。
せっかく気持ちを確かめあったのに、相変わらずあたしたちは喧嘩してばかり。

「おまえさ、少しは考えろっつーの。」

「はぁ?」

「あいつはおまえのことまだ好きなんだぞ。
諦めねぇって言われたんだろ。」

「……。」

「そんな奴に、好きな女をノコノコ会いに行かせるほどバカじゃねーよ俺は。」

「……どういう意味?」

道明寺が言いづらそうに言ったその言葉の意味が咄嗟に理解できないあたしに、

「だからっ、
また一ノ宮に会ったら、おまえの気持ちがグラつくかもしれねーだろ。
もう、おまえのこと……離したくねぇんだよ。」

今度は確実に照れてると分かる仕草でそう言った道明寺に迂闊にもあたしの心臓は壊れそうなほど鳴り響く。


「道明寺……、あ、ありがとね。」

「…おう。」

「でもね、」

「てめぇ、まだ言うか?」

「んー、分かってる。分かってるけどっ、でもね、あたし自分の口でちゃんと言いたいの。」

「うるせぇ、ダメだ。」

「一ノ宮さんにきちんと、道明寺が好きって伝えたいの。そうしないと、あんたと堂々と付き合えない。」


一ノ宮さんとはこれからも仕事で付き合っていくことになるだろう。
だからこそ、真実を伝えて彼に許してもらいたい。

「はぁーー。……ったくしょーがねーな。
キョトキョトすんなよっ。」

「え?」

「だから、一ノ宮の前で可愛いことしたら許さねーからな。」

「はぁ?あんた何言ってんの。」

「おまえは鈍感だから分かってねーんだよ。」

「鈍感って、どこがよっ。」

言い返すあたしの顔をジッと見つめた道明寺は、今度はゆっくりとあたしの体を引き寄せるようにして抱きしめたあと言った。


「おまえの仕草一つ一つが堪んなく可愛いと思ってんのは俺だけじゃねぇ。だから、他の男の前でフラフラしたら許さねーからな。」





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 2018_12_09





「彼氏と別れたなんて言っていたけど仲直りしたのね。」

道明寺とあたしの顔を見比べながら嬉しそうにそう言うママ。

「ママっ、それは、」
マズイ……そう思った時にはもう遅く、ママの言葉を聞いて道明寺がじっとあたしを見つめた。

無言のままあたしを見つめるその視線が痛くて、あたしは道明寺から目をそらすと、

「ママ、今日は泊まっていくでしょ?」
と、ママにヘルプを求めたというのに、

「ママはもう帰るわよ。」
と、部屋の隅においてある上着に手を掛ける。

「えっ、ちょっと、もう?」

「また来るわ。」

「ママっ」

「じゃあね。……道明寺さん、また今度ゆっくりと。」

道明寺に頭を下げてバタバタと玄関へと向かうママをあたしと道明寺が慌てて追い掛けて、
「じゃあね、戸締まりちゃんとするのよー。」
なんて言いながらあっという間に帰っていったママ。

閉められたドアを見つめながら玄関に立ったままのあたしたち。

「……道明寺は?帰らなくていいの?」

「ほんとか?」

「明日も仕事でしょ?」

「さっきの話、ほんとかよ。」

噛み合わない会話。
分かってる。道明寺が何を聞きたいのかは分かってる。

一度だけ道明寺に視線を合わせると、あたしはそのままリビングへと戻った。
テーブルには食べたあとの大きな鍋と食器がそのまま置かれてある。

あたしがその鍋に手をかけると、
「俺がやる。」
と言って道明寺がキッチンへと運んでくれる。
その後ろ姿に向かってあたしは言った。

「ごめん。一ノ宮さんに別れたいって言った。」

その言葉に、キッチンに鍋を置いた道明寺がゆっくりとあたしの方を向き、
「何があった。」と少しだけ怒ったように言った。

「別に……、」

「理由もなく別れねーだろ。」

「そうだけど、……言いたくない。」

他に好きな人がいて、それがあんただなんて口が裂けても言えない。

「一ノ宮は?あいつは納得したのか?」

「友達に戻るとは言ってくれたけど、」

「けど?」

「……諦めない、とも言われて。」

そのあたしの言葉に、はぁーーー、と盛大にため息を付く道明寺。

「ごめん。ほんとにごめん。」

「あ?」

「あたしには一ノ宮さんは勿体無いから大事にしろってあんたに忠告されたのに、結局傷つけることになって、…ほんとごめん。」

そう言うあたしに、道明寺は
「俺に謝んな。
それに、……俺的には安心したっつーか。」
と、意味不明な言葉を言いながらリビングのソファに座り、その横をポンポンと叩きあたしに座れと合図する。

「あたしの家なんですけど。」

「いいから、座れ。」

相変わらず俺様の道明寺の隣に座ると、今度は真面目な顔であたしに聞いた。

「あの日、あのパーティーの日、やっぱ一ノ宮と何かあったのかよ。」

「え?」

「おまえ泣きそうだったから。」

道明寺と椿さんのツーショットを見るのが辛くて会場を飛び出したあの日。

「違う、一ノ宮さんは関係ない。」

「じゃあ、なんで途中で抜け出した?」

「それは、……もぉー、なんか、自分でも分からなくて……、椿さんと話したり……、あんたの顔見たり……あたしには関係ないのに、……けど、それが原因って訳じゃなくて……、」

「待て待て、分かるように話せって。」

「だからっ、んー……椿さんが…素敵過ぎるっていうか、」

「姉ちゃんが?」

「うん、……そう。……えっ?姉ちゃん?」

「おまえが言ってる椿って、俺の姉ちゃんだろ?」

「えっ?……へ?」

「おまえまさか知らなかったのかよ。
道明寺椿、俺の姉ちゃんだ。」

「えっ、えぇーーー!」

自分でも信じられないくらい大きな声で叫んでた。
道明寺にお似合いだと思っていたあの優雅で美人の女性がまさか道明寺のお姉さんだったなんて。
バカみたいに悩んで苦しくなって、終いには道明寺に「人の心配してないで、彼女が取られないように自分の心配しろ」なんて暴言まで吐いたあたし。

「おまえさ、この前も思ったけどよ、姉ちゃんが俺の彼女だって勘違いしてねぇ?」

「えっ、…してないよ。」

「絶対してるだろ。
この前も彼女のこと泣かせるようなことしたら許さねぇとか言ってたよな。」

「それは……、」

至近距離で問い詰められると逃げるしかない。
これ以上聞かれないように逃げようと立ち上がりかけたあたしの手をグイッと掴み、さっきよりも近くに座らせる道明寺。

「なぁ、ちゃんと整理しようぜ。」

「ん?」

「おまえは一ノ宮と別れた。
おまえが勘違いしてた俺の彼女っつーのは姉ちゃんの事だった。」

「ん、まぁ、そう……かも。」

「そして、ここからが大事だからちゃんと聞けよ。」

そう言うと、道明寺は一度だけあたしから視線をそらし、大きく息を吐いた。

「俺はおまえと一ノ宮が別れた事にホッとしてる。
なぜなら、俺はおまえが好きだから。
そして、おまえも俺を好きだ。」

「……え?……はぁ?ちょっと待って、」

「待たねぇよ。
おまえとはこれ以上タイミングを逃したくねぇ。
高校のときも、再会してからも、きちんとお互いが言葉にしてこなかったからややこしくなっちまった。もう一度言う。
俺はおまえが好きだ。
おまえは?」

道明寺のこんな顔を見るのははじめて。
いつも自信満々なこの人が、余裕の無さそうな顔であたしを真っ直ぐに見つめてくる。

その表情と低音で伝えられた言葉に、もう嘘は付けない。

「あたしも、……あんたが好き。」



お待たせしました。
いつも応援ありがとうございます。









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プロフィール

司一筋

Author:司一筋
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