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このイタリア郊外の古いホテルに滞在して5日目。
明日の朝、またイタリアの都市まで戻る予定で仕事も最後の大詰めに入った。

思った通り、このホテルは昔の趣を残しつつ設備も悪くない。
あと少し改装すれば問題なく使えそうだ。
それに何と言ってもロケーションが素晴らしい。

自然溢れる広大な敷地に、色とりどりに管理されたバラ園。
そして、昔使われていた牛舎を改装して造られた教会は、まるで違う世界へタイムスリップしたかのように美しい。

『あいつにも見せてやりたい。』

仕事が一段落したからなのか、俺の頭によぎるのは牧野のことばかり。
もう3週間近く会っていない。
そろそろ禁断症状が出始めている。

夜寝るときは電話であいつの声を聞いて満たされたまま眠りにつくが、朝が辛い。
目覚めたときに無意識に腕の中に牧野を探している。

あと一週間で日本に帰れると思っても、あいつのことを考えると恋しさで体が疼く。
今も一日の仕事を終えてバラ園を通り、宿泊しているホテルへ戻ろうとゆっくり歩いていると、肩を寄せあい並んで歩くカップルを見かけ、あいつの顔がちらついた。

日本で他の男にフラフラしてんじゃねーだろうな。
仕事からはまっすぐ邸に帰って来てるだろーな。

そんなことを思いながら部屋へと歩いている俺の目の前、30メートルほど先に、
白いワンピースを着た女が手を振って立っている。

やべぇ。
相当疲れてんのか、俺。
目の前の女が、牧野に見えて仕方がない。

立ち止まり、バラ園に視線を移したあと、もう一度目の前を見ると、
そこにはまだ幻かのようにあいつの姿。

幻でもいい。
少しのあいだ、牧野を見ていたい……。

そう思いながら、ワンピース姿のあいつをぼんやり眺めていると、振っていた手をおろし、不機嫌そうにズンズン俺の方に近づいてくる幻。
そして、

「久しぶりに会ったのに、なにその薄い反応。」
と、俺の胸を軽く押し返すこいつ。

「…………。」

「道明寺?具合でも悪いの?」
無反応の俺に、心配そうに顔を近づける。

「牧野?……夢か?」

「はぁ?なに寝ぼけたこと言ってんのよ。
……へへ、来ちゃった。」

「…………。」

照れたように笑うこいつ。
その仕草もちっせー体も、まっすぐに俺を見上げる漆黒の目も、幻じゃなくホンモノ。

「マジかよ……。」

「マジ。」

「どうやってきた?」

「イタリアには飛行機に決まってるでしょ。
ここには、昨日泊まったホテルの人に聞いて、バスできたの。
イタリア語なんて全然話せないから、あんたにもらった電子辞書が大活躍で、」

ここまでの経緯を真剣に話すこいつが堪らなく愛しくて、話の途中なのに我慢できず俺の方に引き寄せ抱きしめた。

「マジかよ……。」

「マジだって。」

「すげぇ、会いたかった。」

「……うん。」

「今もおまえのこと考えてた。」

「……うん。」

俺の胸にあるこいつの頭がコクンと揺れる度にこれは夢じゃなく現実だと実感する。

「道明寺。」

「ん?」

「あたし、一人で頑張ってここまで来たから、
ご褒美ちょうだい。」

「ご褒美?」

いつも、俺からのプレゼントに、
「勿体無い。」が口癖のこいつからご褒美が欲しいなんて、意外な言葉に抱きしめていた腕をほどき牧野を見つめると、

「道明寺もスーツだし、このままでいいか。」
と、訳の分からないことを呟いたあと、俺の手をとりズンズンと歩き始めた。




牧野に手を引かれ連れてこられたのは、
教会の前。
さっきまで暗かったはずのそこは、中からの灯りが漏れいっそう幻想的。

俺を見つめたあと、へへへともう一度笑ったこいつは、その教会の扉を開いた。





「…………西田、なんのコントだよ。」

思わず俺がそう言うのも無理はない。
正面の壇上には神父の衣装を着込んだ西田の姿。

「副社長、コントではありません。」

大真面目に答えるところも相変わらず。

「道明寺。
あたし、夢だったの。」

「夢?」

「こういう素敵な教会で、好きな人と二人手を繋いでバージンロードを歩くこと。」

「…………。」

「あんたは、豪華なホテルで盛大に式をあげたかったかも知れないけど、あたしはこれで十分。
ドレスも指輪もなくていい。
ただ、二人で……それがあたしの望む式。」

こいつは飾り気のない白いワンピースに、俺は仕事用のスーツ。
日本でオーダーしてた指輪もここにはない。

ただ、二人で……、
その牧野の言葉が俺の胸に染み渡る。

「牧野、ここじゃドレスも指輪もねーだろ。」

「そうだけど、」

「おまえの両親にも見せれねーし。」

「うん、……でもっ、」


でも、俺はこいつにも、牧野の両親にも誓った。
『こいつが一緒なら俺はどこへでも行く。』



「牧野、ほんとにいいのか?」

「うん。」

「後悔しねーか?」

「しない。」

まっすぐに俺をみつめてそう言うこいつ。
そんな牧野の手を取り、西田が待つバージンロードを見たあと俺は言った。

「おまえを一生幸せにする。
俺と結婚してくれ。」

「はいっ。」











「誓いのキスを。」

一通りの儀式を終えて、西田がそう言った。

西田が見つめるなか、牧野を引き寄せて軽く唇を
重ねる。
そして俺はどうしても気になっていたことを呟く。



「俺ら主役がこの服装なのに、なんでおまえだけ完璧に神父の衣装なんだよっ。」

「それは、牧野さんからぜひ神父役をやって欲しいと相談されましたので、至急用意しておきました。」

平然とそう話す西田に、俺は深くため息を付きながら言った。

「そんな時間があるなら、俺と牧野の衣装を用意しておけっ!」




彼と彼女の1年間
Fin



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 2016_09_26


更新

Category: 未分類  



昨日は更新おやすみしましてごめんなさい。
ここ数日、お腹の張りが強く、安静にしています。
旦那さんの監視の目も強く(笑)、家でのんびり過ごしています。

そろそろ彼と彼女の1年間も最終話です。
連休明けには更新したいと思っていますので、もうしばらくお待ちくださーい。

司一筋

 2016_09_16





道明寺がイタリアへ旅立った。

約1ヶ月に渡る長期の出張。
ブツブツと文句を言いながらも、毎日遅くまで準備に勤しむ道明寺を見ていると、仕事にかける想いにあたしまで熱くなる。

道明寺と婚約して一年。
長かったようで、あっという間だったような。

この6月にどうしても式をあげたいと駄々をこね、ドレスや式場のパンフレットを大量に集めていた道明寺も、イタリア出張のスケジュールを見て無理だと実感したようで、

「帰ってきたらすぐに式あげるからな。」
と、渋々ジェットに乗り込んだ。


あたしだって、道明寺の前では気のない振りをしているけど、それなりに結婚への憧れはある。
シンプルなドレスに身を包み、二人だけでもいい、神父さんの前で永遠の愛を誓いたい。





道明寺がイタリアへ旅立ち2週間。
毎日欠かさず電話をくれる。
同行している西田さんからも、詳細に書かれた道明寺の行動スケジュールがメールで送られてくる。

週末、特に予定のなかったあたしは、いつものように送られてくる西田さんからのメールに目を通していた。

今週の道明寺の出張日程。
買収予定のホテル視察のため、イタリア郊外に場所を移していた。
そこは、昔の貴族が使っていた洋館を10年前に改築しホテルとして使われているところ。
昔の趣がそのまま残され、イタリア内外からも隠れた人気ホテルらしい。

さすが、西田さん。
スケジュールだけじゃなく写真つきで送られてくるメール。
道明寺が数日間泊まるそのホテルの部屋や、中庭のバラ園、隣接されたレンガ造りの教会。
どれも日本にはない古い味わいがありステキ。

そのなかでも、あたしの目を釘付けにしたのは、
…………大きな鐘が特徴的な教会。

それは、まさにあたしが小さい頃から漠然と想い描いていた、『神父さんの前で永遠の愛を誓う』場所にぴったりなところ。


パソコンの前でその画像を何時間も見つめたあと、あたしはある決心をした。


手帳を開き、自分の仕事のスケジュールを確認する。
そして、通帳を片手にイタリアまでの航空券の見積もりを計算した。
大丈夫。
時間もお金も十分にある。

それならばと、すぐにイタリア行きの空席を調べるため飛行機会社のホームページを開いた。
道明寺はあと5日しかあの場所に滞在しない。
それまでになんとか間に合わせたい。

会社へ休む許可を取る前にチケットを予約するなんて反則だとは分かっていても、一度見たあのチャペルが忘れられない。

………いや、それはただの言い訳かもしれない。
2週間、道明寺と離れていて正直寂しさが募っていた。
あの教会で式をあげたい……それはイタリア行きの優先事項ではなく、『道明寺に会いたい』が本音だろう。

いつも、あいつが
『会いたい。』
そうあたしよりも先に口にするから、言えずにいたけど、
『会いたい』のだって、
『寂しい』のだって、
『今すぐ結婚したい』のだって、
気持ちはあんたと同じ。

いつもグズグズで、気持ちと連携してすぐに行動に移すことが苦手なあたしが、
こんな夜更けに手帳と通帳を片手にイタリアまでの航空券を予約しているなんて、
奇跡に近い。

でも、あたしは、
この人生ナンバーワンとも言える、大決断に、
「待ってなさいよ、道明寺。」
と、小さく呟きながら、チケットの予約クリックを押した。




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 2016_09_14





牧野の両親に承諾を得た俺たちは、急ピッチで結婚へ向けて動き出した。

毎日、俺がどっさり取り寄せたウェディングドレスの雑誌や式場のパンフレット、新婚旅行のプランに目を通しながら、

「ジミ婚でいいんだけど、あたし。」
と、呟くこいつ。

「一生に一度のことだ、誰にも出来ねぇような式にしようぜ。」

「誰にも出来ないようなって、どんなのよ。」

「だから、それは、……例えばハワイを島ごと一週間貸しきって式をあげたあと俺たち二人だけで過ごすとか、それとも、ハリウッドの映画監督に頼んで俺たちの式を映画にしてもらうっていうのもいいかもな。」

俺的にはかなりマジで話してるつもりなのに、

「あり得ないっつーの。
あたし、もう寝るね。」
と、呆れ顔の牧野。



牧野がどう言おうと、結婚式もドレスもハネムーンも最高のものを用意する…………、

そう誓った俺に、

「副社長、6月はイタリアへ出張が決まってますが……。」
と、相変わらず顔色1つ変えずに西田が言う。

「あ?いつだよ。」

「月のほとんどは向こうです。」

「あ゛?」

西田の説明によれば、
再来年着工予定のホテル建設地の下見や不動産売買の会談、新しく手掛けたショッピングモールの偵察など、イタリアでの仕事を詰め込んだらしい。

「んだよっ、ちょうど婚約して一年経つのが6月だしよ、あれだろ?6月に結婚すると幸せになれるっつうジンクスがあるんだろ?」

「まぁ、そういう言い伝えもあるようですが。」

「なんとかスケジュール調整出来ねぇのかよ。」

「出来かねます。」

こういうときの西田の返しはすげぇ早い。

「チッ……」

「副社長、舌打ちはお止めください。」

「チッ……チッ……」

「…………。」




6月に最高に思い出に残る結婚式をあげたかったのに、仕事でそれどころじゃねーことが分かったし、俺は日本にさえいない。

これじゃ、あいつはすげー悲しむだろうな、なんて思いきや、
「そうなの?じゃあ、式は延期ね。」
と、いともあっさりしやがって。

「6月じゃなくてもいいのかよっ。」

「別にいいけど?」

「ジューブライドだぞ?」

「ジューン・ブライドね。」

「…………。」



俺だけか?
結婚式に向けて盛り上がりまくってるのは俺だけか?


「道明寺、もう遅いから寝るよ。」

「…………。」

「寝ないの?」

「寝るっ!」

「キャッ!……バカっ、どこ触ってるのよっ。」



俺はまだ諦めていねぇ。
この最高に愛しい女に、

最高の場所で、最高のドレスを着て、最高の式をあげさせたい。



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 2016_09_13






「パパ、ママ?…………進たちまでどうして?」

エントランスから入ってきたご一行を見て固まるあたしに、

「おまえ、何やってんだよっ。」
と、一番後ろから入ってきた道明寺がみんなを追い抜かしあたしの側まで来ると、手から掃除機を奪い取った。

「どういうこと?どうしてみんながここに?」

この状況が飲み込めないあたしに、
「道明寺さんがね、つくしがどんな生活をしているか見にいらしてくださいっておっしゃってくれて、連れてきてくれたのよ。」
と、ママが嬉しそうに言う。

それを聞いてあたしは隣に立つ道明寺を見上げると、

「おとなしく邸で待ってろって言ったら、よりによってこんな事してるなんてよ…………。
お父さん、お母さん、いつもは掃除なんてさせてませんから、今日はたまたま暇だったからだろ?
普段は使用人が全部やるので、こいつが大変な思いをしてることはありませんから。」
と、必死に弁解してるところが可愛い。

「パパ、ママ、道明寺が言うことは本当。
今日はママにも進にも断られて暇だったから、タマさんにも手伝ってもらって気分転換に大掃除したの。」

そう言って壁際に立つタマさんを紹介するとママたちはペコペコと挨拶をする。




思いがけない道明寺邸見学ツアーは、楓社長の発案らしい。

元々、きちんと挨拶に行っていなかった道明寺が、あたしと一緒に実家に挨拶に行こうと思ってたところ、NYから帰国した楓社長が、
「それなら邸にお招きして新居を見てもらったらどうかしら?」
と、言ってくれたそう。

あたしへのサプライズをかねてママとパパだけでなく進の家族まで連れてきてくれたのに、当のあたしは汗だくで掃除機を抱えていたなんて、笑えない。
道明寺が不機嫌になるのも仕方ない。


楓社長も加わり、いつもより大きなダイニングでの食事会。
「着替えてこい。」
と、道明寺に言われたあたしは掃除中の時のジーンズとTシャツから、道明寺からプレゼントされたワンピースへ着替え道明寺の隣へ座った。

誰にも聞かれないよう、
「ごめんね。」
そう道明寺に呟くと、

「似合ってるから許す。」
と、真顔で言うところがズルい。

この人の言葉や仕草、どれも狙ってやってるわけじゃないはずなのに、あたしの胸をイチイチ刺激する。
それは、部屋を共にするようになって更に加速した。

今までどんな恋愛にも中途半端だったあたしが、今では絶対口には出さないけど、この人に夢中だとはっきり断言できる。

そんな風に思うのはあたしだけだろうか………。

そんなことを思った矢先、道明寺が言った。

「牧野家の皆さん、正式なご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
僕たちは、………出会いはどうであれ、今はお互いきちんと想い合っています。
3か月後には婚約期間の1年が過ぎます。
それを機に、つくしさんと正式に籍を入れたいと思っていますが、許して頂けますでしょうか。」

突然の結婚挨拶にパパもママも慌ててフォークをテーブルに置き姿勢を正す。
そして、チラッとあたしの顔を見たあと、パパが何かを言おうとしたとき、

「ダメだと言われても、もうお返しできないわ。」
と、呟く楓社長の言葉にその場が一斉に笑いに包まれた。



食事のあと、邸でゆっくりと時間を過ごし、牧野家一行が帰るのをあたしと道明寺はエントランスで見送った。

「道明寺さんも、今度は我が家に遊びにいらしてください。
狭いですけど、食事も用意して待ってますから。
泊まって行ってもいいですよ。」

すっかり道明寺のことを気に入ったパパとママが嬉しそうにそう話す。

「やめてよ、ママ。
道明寺があんなところで寝れるわけないでしょ。」

「そうよね~、道明寺さんに合う布団がないかもしれないわ。大きいサイズの買っておく?」

「布団を買っても敷くスペースがないじゃない。」

「確かに、そうね。
茶の間ならどう?」

そんなあたしとママのやり取りを横で聞いてた道明寺が、

一言、
「どこでも大丈夫です。」
と言った。

「え?」

「今度、必ずご実家にお邪魔します。
寝る場所はどこでも大丈夫ですし、布団が小さくても構いません。
………彼女と一緒なら、俺はどこでも行きます。」


その道明寺の言葉に、あたしは小さく
「…………バカ。」
なんて呟いたけど、


ほんとは死ぬほど嬉しかった。



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 2016_09_12






この邸で暮らすようになってもうすぐ8ヶ月。
はじめは別々だったあたしたちの部屋も、道明寺の一声であっという間に内装作業がなされ、今ではすべて共有出来る空間になった。

普段は仕事から帰ってきて数時間しか過ごせない部屋も、週末はゆっくりと時間が過ぎていく。
道明寺も、以前のように週末まで会社に行くことは少なくなった。

今日の日曜日も、紅葉が色付き出した邸の庭を散歩して、そのあとは観たかった映画を二人で部屋で観ようと約束していたのに、昨夜になって突然、

「明日は予定が入ったから少し出掛けてくる。
おまえは邸にいろ。」
と道明寺が言う。

「じゃあ、あたしも買い物に出掛けて来ようかな。」
あたしがそう言うと、

「俺もすぐに戻ってくるかもしんねーから、おまえはどこにも行かずに邸で待ってろ。」
と、いつになく強い口調で言われ抵抗出来ず。

仕方なく道明寺の言う通り、邸で過ごす今日、
あいにく外は雨で散歩することも叶わない。
暇潰しにと読書をしてみるが、なかなか続かない。

そこで、つい先日待望の赤ちゃんが生まれたばかりの進に電話をして、
「どう?赤ちゃん可愛い?
暇ならこれから会いに行ってもいい?」
と聞いてみると、

「無理無理。今日は無理。」
とつれない返事。

そこで、今度は実家のママに電話する。
「ママ、何してる?
あたし今日、暇なの。
遊びに行くね。」
いつもなら、喜んでおいでおいでと言ってくれるパパにでさえ、

「今日はこれから出掛けなくちゃならないんだ。
ね、ママ?そうだよね?」
なんてちょっと芝居かかった口調で断られる。

道明寺には置いてきぼりにされ、ママやパパにも構って貰えず、あげくの果てに天まで大雨で見方をしてくれない。

しばらく部屋でグダグダ過ごしたあたしは、
こんな日はあれしかない!と思い立ち、邸で働くお姉さんたちの部屋へ行くと、
「困ります!」
というお姉さんたちをなんとか説得し、バケツと雑巾、はたきに掃除機というお掃除セットを持って部屋へ戻り、黙々と掃除に精を出すことにした。

以前は休みの日になったら自分のマンションの部屋を掃除するのが当たり前だったのに、ここへ来てからはみんなお姉さんたちがやってくれる。
あたしが手を出す隙がないほどピカピカにしてくれるそれは、有り難いけれど、申し訳ないといつも思っていた。

せめて自分達の部屋の掃除や洗濯くらいはあたしがするのに…………。
そう思っていたから、今日は絶好のチャンス。


ベッドのリネン類をすべて引き剥がし洗濯機へ入れると、新しいリネンをかける。
本棚、机を丁寧に拭いていき、広い部屋1つ1つに掃除機をかけていくと、あっという間に三時間ほどがたっていた。

「使用人たちが困ってますよ。」

振り返るとタマさんの姿。

「掃除や洗濯はあたしらに任せておくれ。
それが仕事なんだから。」

そう言ってあたしの側まで来ると、

「疲れただろ。紅茶を淹れるから少し休んでおくれ。」
と、優しく笑う。

「使用人たちがシェフに頼んで、つくしの好きなチーズケーキも焼いてもらったようだから、食べるかい?」

「もちろんっ!」

掃除のあとのご褒美にこんな嬉しい事はない。
あのチーズケーキ、フワフワで濃厚で美味しいんだよね~なんてウキウキしながら、使い終わった掃除機と雑巾をあたしが持ち、タマさんがバケツを持ってくれ、部屋から掃除道具があるエントランス横の小部屋へと運んでいるとき、

突然、エントランスのドアが開き、思わずあたしは固まった。


「ママ?……パパ?
進まで……どうしてここに?」




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今週末、ちょっと用事がありまして更新おやすみしまーす。
月曜までしばしお待ちを~。
 2016_09_09






道明寺と気持ちが通じあってからしばらくした頃、楓社長が長期のNY出張から帰るとタマさんから聞いた。

社長とは、邸での同居生活が始まった頃以来、まともに話せていない。
忙しい人だからプライベートなことで時間を割いてもらうのは申し訳ないけれど、一度きちんと話しておきたかった。

社長の直通の携帯に電話を入れ、日本に戻ったら少し話がしたいと申し入れると、
「私も会いたかった。」
と言って貰え、帰国日の夜に二人で食事をする約束を取り付けた。

道明寺とのこと、何からどうやって話そうか。

そんなことを頭の中でグルグルと考えながら食事当日。
約束のお店に早めに行くとすでに社長の姿が。

「社長、すみません、お待たせしました。」

「いいのよ、私が早く着いたの。」

そう言って和やかに始まった食事。

私の最近の仕事のことや、社長がNYで観たミュージカルの感想など緊張しながらも楽しい時間を過ごし、デザートが運ばれてきた頃、あたしは切り出した。

「社長、あのぉ、ちょっとお話が…………。」

あたしがそう言うと、デザートスプーンをテーブルに置き、あたしをまっすぐに見つめる社長。

「実は道明寺とのことなんですけど、」

すると、スッとあたしの前に手をかざし、
「牧野さん、私から先に言ってもいいかしら?」
と、社長が言う。

「えっ、……はい、どうぞ。」

「牧野さん、まだ約束の時間の半年しか経ってないわ。
逆の言い方をすれば、あと半年も残っているの。」

「……はぁ……」

「だから、結論を出すには早いってことよ。」

そう言って社長はあたしを見てニヤリと笑う。

「あの、」

「確かに半年も一緒にいれば嫌なところも分かって答えを先に出したくもなるでしょうけど、そこを我慢してあと半年、司と向き合って貰えないかしら?」

そこまで言われ、社長が何を言いたいのかようやく気付いたあたし。

「あのっ、社長、違うんです!」

「え?」

「実は…………、」

どうやって話そうか迷い、ここ数日なんども練り上げた言葉。
でも、社長を目の前にすると、そんな作った言葉たちは嘘っぽく聞こえ、あたしは結局ありのままを話すことにした。

はじめは顔を合わすことさえ避けていたけれど、同居しているうちに道明寺のいいところが徐々に見えるようになり、いつしかあたしから惹かれていったこと。
それを道明寺も分かってくれて、今はお互い婚約者と言う認識で付き合っていること。

それを話すと、社長は無言で再びデザートスプーンを持ちジェラートを食べ始めた。

「社長……」

「なんだか面白くないわ。」

「……え?」

社長の思いがけない言葉に固まるあたし。
社長はあたしたちのことを応援してくれていたはずなのに、そんな人から面白くないなんて言われると一気に動揺してしまう、
そんなあたしに社長はイタズラっこのように笑って言った。

「あのバカ息子をもう少し苛めてやりたかったのに、あなたったら早々に降参しちゃったのね。」

「はい?」

「私はね、牧野さんには心からうちにお嫁に来てもらいたかったの。
でも、その反面、こっぴどくあなたに振られる司も見てみたかったのよ。
1年後、あなたがどんな結論を出すかはあなたに任せたけれど、そのどちらにしても私的には美味しい話だったってわけ。」

「…………はぁ……、」

社長の言っている意味がいまいち理解できない。

「あなたには絶対にうちにお嫁に来て欲しいけれど、その前にもっとあのバカ息子を苦しめなくちゃダメよ牧野さん。
なんでも自分の思い通りになると勘違いにしてる男だから、一度くらい大きな挫折を味わわせてやりたかったのよ。
婚約破棄なんてされたら、司のプライドをズタズタにしてやれるでしょ。」

「…………。」

「だから、牧野さん。
司を甘やかしちゃダメよ。
わがまま言って、どんどん振り回してやってちょうだい。」


社長からこんなことを言われるなんて予想もしていなかった。
どちらに転んでも社長にとっては美味しい話……そういうところがここまで登り詰めたビジネスマンの発言なんだろうと、変なところに感心してしまったあたし。


「そういえば、最近司からメールが来てたわ。
部屋の改装をしたいって。」

「え?」

「同居する前は『寝室は絶対に別にしてくれ』って業者に言ってやらせたくせに、もう気が変わったのかしら?」


あいつ…………。
ここ最近、二人でいるときの話題はいつも部屋の間取りのこと。
あたしはこのままでいいと言っているのに、道明寺はダメだと言い張る。

それは、寝室が別だから。
あんなにはじめは、『部屋に入るな。』なんて言ってた男が、今では当たり前のようにあたしの部屋に入りベッドに侵入してくる。
幸せな悩みなんだろうけれど、体力が持たないのも事実。

きちんと籍を入れるまではそれなりに節度をもって暮らしたいと思ってるあたしの気持ちなんてお構い無し。
なんなら、いますぐ結婚するか?
と、話はいつもそこに行き着いてしまう二人。


「社長……、あたしたちはまだ結婚したわけでもありませんし、あたし的にはそういうことはきちんと籍をいれてからでも遅くないと。」

もしかしたら、このままいけば、この目の前の人は将来の義理の母になる人。
そんな人に、節度がない、ふしだらな、なんて思われたくはない。

そう思い、言った言葉に、

「牧野さん、司に伝えて頂戴。
改装はあなたの費用持ちで好きにしなさいって。」

と、またイタズラっこのように笑った社長。

そんな社長に、あたしは思わず叫んでいた。


「社長ーーーっ!」




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 2016_09_08






デパートのベンチに腰かけ携帯を見ていたあたしの目の前に影ができ、はっとして顔をあげると道明寺が立っていた。

「道明寺。」

スーツ姿の道明寺はこういう場所ではかなり目立つ。
案の定、通りすぎる人達が道明寺を見て色めき立ってるのが分かるほど。

それなのに、この人はそんな周りの目なんてお構いなしに、
「足、痛ぇのか?」
と、あたしの足元にひざまずく。

「道明寺っ!」

「なんだよ、うるせーな。」

突然大きな声を出したあたしに、道明寺は顔をしかめるけど、そんなことは構ってられない。

「ちょっと、みんなが見てるっ。
行こうっ。」

あたしは道明寺の手を取るとデパートから逃げるように出て、人混みの中に紛れた。

「飯は?」

「まだ。」

「どっかで食ってくか?」

「……帰ってからでいい。」

あたしがそう言うと、道明寺は無言であたしの手を取った。






邸に戻りいつものようにダイニングでの食事。
でも、いつもと違うのは、今日は道明寺が一緒だってこと。

でも、道明寺はさっきからほとんど話さない。
邸へ帰ってくる車のなかでも、帰ってきてからも必要最小限の会話のみ。

タマさんも口には出さないけど、
「坊っちゃんを怒らせたのかい?」
と、目で聞いてくる。

怒らせたつもりはない。
けど、あたしの何かが道明寺を悲しませたのかもしれない。
あたしを見る目がなぜかそんな気にさせる。

食事を終えて部屋に戻ると、あたしは堪らずに
「道明寺、ごめん。」
と、口にした。

「あ?」

「なんか、怒ってるでしょ。」

「……怒ってねーよ。」

「…………。」

嘘つき……そんな目で道明寺を見上げると、
あたしの頭をグシャグシャとかき混ぜるこの人。
そして言った。

「恋愛なんてしてこなかったからどうしていいか分かんねーんだよ。
買い物を邪魔されたくねぇっつう女の気持ちも分かんねーし、強引に迎えに行くって言ったから怒って食事もしねぇで帰るって言う女の気持ちも分かんねぇ。」

そう言ってあたしの顔を不服そうに見つめる道明寺。

「それって……、あたしのこと?」

「おまえ以外に誰がいるんだよ。」

道明寺が言う、買い物を邪魔されたと思ったり、強引に迎えに来たから怒ったりしてる女と言うのはあたしのことなのか…………。

「…………ちがう!ちがうよっ!」

「あ?」

「あんた、なんか勘違いしてるっ。」

道明寺の勘違いに気付いたあたしは、慌てて否定する。

「あたし、別に怒ってないし。」

「迎えに来んなとか、二人で街を歩くのも拒否っただろ。」

「それはっ…………、」

色々と誤解が多すぎてどこから正せばいいのか分からず迷っていると、

「俺が焦りすぎてんだろ、おまえとの関係。」
そう呟く道明寺。


全く、この人は……何も分かっていない。
あんたが恋愛してこなかったと言うならば、あたしはどうなるの?
超に更に超がつくほど恋愛初心者。
だから、うまく立ち回れないし、あんたにも誤解される。


「道明寺、……あたし買い物は邪魔されたなんて思ってない。
ただ、……あんたに知られたくないものを買おうとしてたから恥ずかしかっただけで、……それに、迎えに来てくれたのも嬉しかったよ?
でも、あんた無駄に目立つでしょ。
見た?おば様たちの視線。
あたし貧乏性だから、…………大事なものは独り占めしたいタイプなの。
だから、邸で二人で食事したかっただけっ。
いい?分かった?」



このあと、道明寺から何を買おうとしていたか、
白状させられるまで離してもらえなかったのは言うまでもない。




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 2016_09_07






「それ、あり得ないでしょ……。」


久しぶりに来る優紀のマンション。
いつもなら会社帰りに落ち合うことが多いあたしたちだけど、今日はたまたま休みが重なってマンションでまったり女子トーク。

優紀と彼氏がこの夏二人で旅行に行ったときの話を聞きながら、デパ地下で買ってきたケーキを食べていたあたしに、今度はあんたの番とばかりに、あたしと道明寺の「その後」を優紀が聞いてきた。

優紀にはリゾートホテルでのあの一夜のことは話してあった。
成り行きでそうなったけど、道明寺のことを好きになり始めていたあたしは一夜限りでも後悔していないこと。
初めてがあいつで良かったこと。
親友の優紀には隠さずに話せた。

そして今日。
優紀にしつこく「その後」を聞かれ、2回目を迎えたことも話した後の優紀の言葉が冒頭のあれ。

「あり得ないでしょ……。」

「やっぱり?」

「つくし、あんたその状況で、もしかして2回目がこのあとあるかも、なんて思わなかったの?」

優紀にそう言われて頭を抱えるあたし。
確かに車のなかでキスはしたけど、部屋に戻って一緒にお酒を飲んでそのあと2回目があるなんて想像してなかったあたし。

「まぁ、そうだけど…………、」

「中学の指定Tシャツを着てる女に、よく道明寺さんも発情したわ。」

「は、発情って!」

今日の朝、目覚めたあともなかなかベッドから離してくれなかった道明寺。
優紀との約束の時間が迫り、道明寺も仕事が残っているから会社に行くと言っていたので、ようやくベッドから出たあたしは、昨夜脱ぎ捨てた自分の服を回収して唖然とした。

見た目は黒のTシャツとはいえ、胸元には小さく『牧野』の文字。
しかも、昨日自分で中学の指定シャツだと得意気に話した記憶すら残っている。
一瞬にして恥ずかしさと自分のバカさ加減に頭を抱え逃げるように自分の部屋へ戻った。


「道明寺、がっかりしたかな……。」

「……忘れた方がいいよ。」

優紀でさえフォローのしようがないらしい。

「でも、つくし。
これからは一緒に暮らしてるんだし、気を抜いちゃダメ!
道明寺さんクラスの男なら、綺麗な女性をたくさん見てきてるんだから、つくしも常に自分を磨いておかないと!」

優紀のその言葉に、
『もう手遅れでは?』と思ってしまうあたし。

だって、今までもあいつの前では素っぴんでウロウロしてたし、『おまえは色気が全くねーな。』とも言われた記憶が…………。
そんなあたしが今さら何をしたって……と思ってしまうが、

それでも、道明寺のあの甘い顔や声を思い出すと、少しは可愛く思われたいと思うのは女心だろうか。


「優紀、あたし今日は早めに帰るね。」

「夕飯食べていかない?」

「うん、……ちょっと買い物してから帰ろうかな。」

「フッフッ………
かわいいパジャマ、買いなさいよっ。」


やっぱり、親友の優紀には全部お見通しらしい。





優紀のマンションを出て、もうこれでデパート巡りも三件目。
とっくに日も落ち空腹と足の疲れでフラフラだけど、お目当ての『可愛いパジャマ』を見つけれないあたし。

どれもしっくりこないのだ。
ヒラヒラとネグリジェのようなパジャマを着る自分も想像できないし、かといって自分の好みで選ぶと相変わらず可愛いげがない。

あまり頑張っていると思われるのも嫌だし、逆にせっかく買うなら少しはこんなあたしでも色気があると思われたい。

そんなことをグチャグチャ考えていると、なかなか買えないのだ。

もう今日は諦めようかと思った頃、鞄の中の携帯が鳴り響いた。
……道明寺から。


「もしもし。」

「俺だ。おまえ今どこにいる?」

「…………ちょっと買いものしてて。」

あたしが今何をしているかを一番知られたくない人。

「タマに聞いたらまだ帰ってねぇって言ってたから。俺も今仕事終わったから、そこまで迎えに行く。」

「えっ、いやっ、いいよ。
大丈夫、自分で帰れるからっ!」

「……なんでそんなに慌ててる?
誰かと一緒なのか?」

一気に声が低くなる道明寺。

「一人だよ!あたし一人。
まだ買いもの終わってないし、お腹も空いちゃったから、何か食べてから帰るから道明寺は先に帰ってて。」

早口でそう言うと、

「ますます怪しいんだよ、そのキョトリ具合が。
どこにいる?言え。
言わねーと、おまえを探すのに何百人ってやつらが動くことになるぞ。」

と、冗談とも思えない発言。

そのあとも5分くらい押し問答の末、結局居場所を教えることになったあたしは、今日の買い物は諦めておとなしくデパートの入り口にあるベンチで足を休めることにした。




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 2016_09_06






眠りについたのは3時頃だっただろうか。

道明寺の部屋へ手を引かれ入ったのが日付が変わる頃。
それから、…………、

思い出すだけで顔が熱くなる。

一回目の時は何も分からず、無我夢中のまま時が流れて行ったけれど、今回は違った。
道明寺に一つ一つ丁寧に触られていく快感と恥ずかしさに、どうにかなってしまいそうだった。



カーテンから漏れる光に目が覚め壁時計をみると7時。
ほとんど寝ていないから瞼が再び落ちかけた時、今自分が置かれた体勢にはっとして眠気が覚めた。

あのまま何も身に付けずに眠ってしまったあたしたち。
道明寺の腕枕に頭を乗せ、抱きしめられるような体勢に今さらながらドキドキが止まらない。

そっと顔をあげ道明寺を伺うと、穏やかな顔で眠っている。
艶のある綺麗な肌も、長いまつげも、ほんの少しだけ伸びた髭も、こんな間近で見る日が来るなんて。

道明寺が起きたらなんて言ったらいいんだろう。
おはよう?
それとも、
お邪魔してます?

あり得ない…………。
想像しただけで、挙動不審な自分が目に見える。
ならば、このまま道明寺が眠っている隙に自分の部屋に戻ろう。

そう思い、あたしの体の上に置かれた道明寺の腕をそっとよけ、腕枕から頭をあげたとき、
「んー…………、」
と小さく唸りながら道明寺が動いた。

それと同時にせっかくよけた腕がまたあたしの体に巻き付き、さっきよりも密着させられてしまう。
目の前には道明寺の胸。
巻き付かれた腕を離したくても今度はガッチリと絡み付いていて気付かれないように動かすのは無理そう。

そこで、今度は下から這い出る作戦に変更。
道明寺の両腕でホールドされているあたしは、そこから抜け出すため少しずつ足元の方へ抜け出すことにした。
これなら道明寺の腕を動かさずに済む。

道明寺を起こさないよう慎重にゆっくりと作戦開始。
徐々に下に潜り込み、あと少しで道明寺の腕から頭が抜ける……と思った瞬間、

「逃げられると思ってんのか?」
と、頭上から道明寺の声がして、あっという間にさっきまでの密着体勢へと引き戻されたあたし。

「お、お、起きてたの?」

「当たり前だ。
こそこそ逃げようとしてる獲物の様子を観察してた。」

そう言って更に足まであたしの体に巻き付けてくる。
あたし同様、この人だって何も身に付けていない。

「ど、道明寺っ」

「おまえ顔真っ赤。」

「っ、もう……」

恥ずかしくて死にそう。
この体勢にもそうだけど、道明寺が見せる甘い顔や、何気なくする髪を撫でたり背中に触れる手の感触が甘く痺れる。

「今日の予定は?」

「え?」

突然、道明寺にそう聞かれ頭が付いていかない。

「出掛けるのか?」

「ああ、うん。
優紀と約束してたんだ。」

「俺も少し会社に行かなくちゃなんねーから、送ってく。」

そう言って道明寺が体を起こし起き上がるのかと思ったら、あたしの体に覆い被さってきた。

「どうみょう………んっ……」

その先を言わせてもらえないようなキス。
服だって何も身に付けていないから、道明寺の手があたしの体を自由に這い出す。

「ん…………道明寺ぃ、」

「力、抜けって。」

そう言ってあたしの片足を立て、昨夜は何度も触れられたそこへまた道明寺の指が入り込んでくる。

そのなんとも言えない感覚に思わず、
「ふぅ……ん…………」
と、声が漏れると
道明寺の指が器用に動き始めた。


あたしたちが、ベッドから出るのはもう少し後になりそう。




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 2016_09_05




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