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『家には、泊まってくるって言ってこいよ。』

道明寺に言われたその言葉の意味を噛み締めながら、昨日から何度も顔が赤くなるあたし。

パパとママにはほんとのことは言えるはずもなく、優紀に外泊の口裏あわせをお願いし家を出た。

一日中講義が詰まってたあたしは夕方まで大学で過ごし、ようやく終わって道明寺邸に向かおうとキャンパスを出たところでバッタリと香苗さんに会ってしまった。

「牧野さん。」
いつも通り愛らしい微笑みで笑う彼女。

「香苗さん……どうしたんですか?」
キャンパスの校門の前で立つ香苗さんにそう聞くと、

「これから友達とキャンプなの。
迎えに来てくれるのを待ってるのよ。」
と、言う。

道明寺も言っていた。
香苗さんが友達と一泊で遊びに行くって。

「牧野さんは?バイト?」

「あ……まぁ、そんなところです。」

咄嗟にうまく切り返せなくて嘘をついたあたし。

それじゃあ、とお互い手を振って別れた後、心の中のモヤモヤがまた暴れだす。
その時、頭上からポツポツと雨が降りだしあたしの顔に当たりはじめた。

そういえば、今日は夕方から雨が降るって言っていた。
傘は持ってこなかったけど、あったかいパーカーを着てきてよかった。
そう思いながらパーカーの帽子をかぶりバス停まで走り始めたあたしは、もう少しでバス停というところまで来たところで立ち止まった。

頭にはさっきの香苗さんの姿が浮かぶ。
今日の香苗さんはいつものように半袖とショートパンツだったはず。
しかも上は白のシャツ。
この雨に打たれたら…………。

そう思うと勝手に足が動いてて、今来た道をダッシュで戻るあたし。
キャンパスが見えてくると、そこに香苗さんが立っているのが見えた。

「香苗さんっ。」

「牧野さん?どうしたの?」

戻ってきたあたしに驚く香苗さん。

「これっ、着てください。」

案の定、雨に打たれて濡れた香苗さんの服から、中の下着が少し透けて見えている。

「えっ、」

「あたし、鞄の中にもう一着上着ありますから、香苗さんはこれ着てください。」

「そんな、悪いわ。」

「いいんです。
これ、安物ですし、全然濡れても大丈夫ですから。」

そう言って強引に香苗さんに上着を手渡すと、さっきと同じように、じゃあまた、と手を振って走り出したあたし。

さっき、香苗さんに嘘をついた。
今日は道明寺と過ごすのに、バイトだって言ってしまった。
その罪悪感が少しだけ消え去った。



************************


さっき牧野からメールが来た。
「雨で服が濡れたので、家に戻って着替えてから行きます。」
と。

チッ……。
迎えに行ってやればよかった。

今日は二人で朝まで過ごすと分かっていても待ちきれない。
早く会いてぇ。

家まで迎えに行ってやるとメールを返すが、その後返事がなく、電話にも出ねぇ。
きっと電車にでも乗ったんだろう。

牧野が来るまでじっとしていられず、邸の書庫で一時間ほど過ごしたあと自室に戻ると、部屋の扉が空いていた。

牧野か?
そう思い足早に部屋に近づくと、俺の部屋の窓の前で外を覗き込むよにして向こう向きにたつ牧野の姿があった。

雨が振っていたからか、パーカーを頭からかぶっているこいつ。
耳が隠れているからなのか、雨音がうるさいからなのか、俺の足音にも気付かない牧野に、俺は後ろからそっと近付いた。

そして、いつものように牧野の背中を包み込むように後ろから抱きつき、
「遅かったな」
と、パーカーの上から耳元にキスをした。

パーカーから牧野の香りがして、全身が満たされていく。
俺は更に強く抱きしめて、
「迎えに行ってやったのに。」
と、呟いたとき、

……信じらんねぇことが起こった。





カタッ…………

俺の部屋の扉から音がしたのに気付いた俺は、扉の方を振り向くと、

今俺の腕の中にいるはずの牧野の姿がそこにある。
怯えたような、泣きそうな、そんな顔で俺を見つめる牧野の目。

一瞬、見つめあったあと、
「ごめん……。」
小さくそう呟いた牧野は、走ってその場から立ち去ったが、
何が起こったのか理解できない俺は、数秒間動けないままだった。






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 2016_05_31






道明寺の手があたしの手をすっぽりと包む。
そして、一度離された手は今度は指を絡めるようにして繋ぎ直された。

あたしの手よりも遥かに大きいその手は、不安だったあたしの心までもすっぽりと包み込み、モヤモヤを吹き飛ばしていく。

道明寺が好き。
香苗さんに渡したくない。

はっきりと今、そう自覚したあたし。
もう隠さずに道明寺とのことを香苗さんに話そう。
そして、堂々とキャンパス内を道明寺と歩きたい。






コンサートが終わり会場を出るとすぐに道明寺の携帯がなった。

「迎えの車が来てるから、俺らは先に行くわ。」

そう言ってあたしと花沢類に片手を上げる道明寺。
今日もこれから邸で授業がある道明寺と香苗さん。
香苗さんに道明寺とのことを打ち明けよとしたあたしの想いは呆気なく打ち消されることになった。

そんなあたしに、
「まーきの、ご飯でも食べてく?」
と、花沢類があたしの顔を覗き込みながら言う。

「……うーん、どうしよ……」

「俺、お腹ペコペコだから先に行くよ。」

「ちょっと、待ってよ!行くってばっ。」

スタスタと歩き始めた花沢類を慌てて追いかけたあたしは、すぐに自分の携帯の着信音に足を止めた。
そして、今きたばかりのメールをチェックすると、花沢類に叫んでいた。

「花沢類っ、ごめん!
ご飯は今度ねっ!」


メールの送り主は道明寺。
『このままじゃ勉強になんねぇから、おまえのこと充電させろ。
いつものとこで待ってる。』








息を切らせていつもの場所に行くと、もう日が暮れ始めた教室の、段ボールに遮られた向こう側に道明寺が立っていた。

「帰ったんじゃなかったの?」

「用事思い出したって言って戻ってきた。」

そう言ってあたしの腕を取り近くに引き寄せると、前触れもなくキスをする道明寺。
いつものような触れるだけのキスから始まるそれじゃなく、はじめから激しいキスに思わずあたしも声が漏れてしまう。

「……道明寺ぃ……ンッ……」

「牧野、力抜けよ。」

「……だって……」

「口開けて…………もっと……」

柄にもなくお願いモードで言われると弱い。
言われるがまま力を抜いて口を開けたあたしに、

「すげぇ……可愛い」
と、恥ずかしくなるような言葉を呟いた道明寺は、こういうときにだけ見せる切なそうな顔で、

「お前に貸した俺の上着、おまえのにおいがして堪んなくなった。」
と言う。

それはあたしも同じ。
今、道明寺に抱きしめられながらも、全身から香る道明寺のコロンの香りに胸が苦しくなる。

そんなあたしの気持ちを見透かすように、もう一度ゆっくり優しくキスをした道明寺は、
「ほんとは、このまま連れ去りてぇけど我慢する。
その代わり……明日、バイト休みだろ?
俺も授業がねーから、……邸に来いよ。」
と、再び道明寺のお願いモードが発令。

「明日?」

「ああ。
香苗も友達と一泊でどこかに行くって言ってたし、久々にタマにも会いに来いよ。」

「……ん、分かった。」

また、香苗さんに言うタイミングを逃しちゃうけど、久しぶりに道明寺と二人でゆっくりできる。
そう思ったあたしの可愛い想像より、道明寺はその先を考えてたみたいで、



「家には、泊まってくるって言ってこいよ。」


と、一気にあたしの顔が熱くなるようなことを言った。





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 2016_05_27







頭の中が負のループから抜け出せないあたしに、追い討ちをかけるように嫌な噂が耳に入ってくる。

『道明寺と香苗さんが付き合っている。』

確かに、何も知らない人から見れば、仲良くカップルで勉強してるようにしか見えない二人。
そんな噂が流れるのはしょうがない。
それに、今まで散々、あたしたちの仲を秘密にしてきた手前、今さら道明寺はあたしの彼氏だ、なんて言いたくても言えない。




「なんか、煮詰まってる?」

キャンパスのひとけの少ない場所にあるベンチに座ってぼぉーっとしていると、いつの間にか側まで来ていた花沢類。

「花沢類。どうしたのこんなところで。」

「それはこっちの台詞。
この辺は静かで昼寝するにはいいんだけど、今日は難しい顔した先客がいたからさ。」
と、あたしの顔を見て苦笑いをする。

「牧野、なんか考え事?」

「ううん。そうじゃない。」

「じゃあ、心配事だ。」

そう言って笑う花沢類はきっとあたしの心の中を見抜いてる。

「…………花沢類……あたしね、」

この心の中のモヤモヤを花沢類に聞いてもらおうか……、
そう思って口を開いた時、
あたしたちの後ろから聞き覚えのある声がした。

「おまえら、何してんだよ。」

不機嫌そうなその声に振り向くと、そこには見慣れた二人の姿。

「司と香苗こそ、こんなところで何?」

「あたしたち、これからピアノのミニコンサートを聞きにいくところだったの。
あたしの友達が出演するのよ。」

そう言ってキャンパス内にある演芸ホールを指す香苗さん。
道明寺はなぜか不機嫌なままで、小さく
「電話したんだぞ。」
と、あたしと花沢類に言う。

「二人も一緒に行かない?
類はピアノなら興味あるでしょ?」

そう言ってニコッと笑う香苗さんは相変わらず可愛い。
トレードマークのショートパンツは今日は封印しているが、逆に細身のダメージデニムが色っぽさを増してため息が漏れるほど。

そんな香苗さんを見て、あたしは顔が熱くなる。
なぜなら、今日のあたしの服装は、似合いもしないのにショートパンツだから。
香苗さんのように大胆な短さではないけれど、それでも膝が全部見えるほどの長さ。

無意識に……いや、香苗さんを意識しまくって、
こんなあたしらしくない服装をしてる自分が、顔から火が出るほど恥ずかしい。

「牧野はどうする?」

「え?」

「ピアノ聞きにいく?」

あたし顔を覗き込むようにして聞いてくる花沢類は、あたしの返事を聞く前に、
「行こう。心配事が解決するかもしれないしね。」
と、また笑って歩き出した。




ホールにつくと結構客席は埋まっていた。
後ろの方の空いてる場所に並んで座るあたしたち。
道明寺がスマートな仕草で先に香苗さんを座らせたから、自然と香苗さん、道明寺、あたし、花沢類の順。
ついこの間、ここで道明寺と密会して濃厚なキスをした記憶が頭をよぎり顔が熱くなる。

そんなふしだらな考えもコンサートが始まるとすぐに頭から消え去った。
本格的なピアノの音色を聴いたのは初めて。
その美しさに、クラッシックに全く疎いあたしでも引き込まれるほどすばらしい。

夢中で聞いているあたしの横で、相変わらず花沢類は熟睡。
そして、香苗さんは時々道明寺に何かを耳打ちして楽しそうにしている。

そんな二人が気になり出すと、さっきまであんなに引き込まれていたはずのピアノの音も耳に入ってこず、肌寒いほどのクーラーの効きに、ショートパンツで着たことを改めて後悔したあたし。

手元にあるプログラムに目を落とすと、残りあと3曲。
この曲が終わったら、
「先に帰るね。」そう言って出ようか…………、

そう思った時、
突然道明寺が上半身を少しずらし着ている上着を脱ぎ始めた。
そして、何も言わずあたしの膝にその上着をかけた。

驚いて、思わず道明寺の顔を凝視するあたしに、
「寒いんだろ?掛けてろ。」
そう小さく呟いて、



その上着の下に隠れたあたしの手を強く握った。





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 2016_05_25






道明寺と香苗さんの3ヶ月におよぶ集中授業が始まった。
週に4日の授業は、邸に先生を呼んで3時間びっしりと指導を受けたあと、宿題もどっさり出るらしい。

その結果、今まではあたしのバイト終わりに迎えに来てくれて、束の間の夜のデートを楽しんでいたのも出来なくなり、日中も宿題を片付けるためキャンパスでは香苗さんといることが多くなった道明寺。

必然的にあたしたち二人の時間は大幅に減った。

3ヶ月の我慢だから……そう自分に言い聞かせても、頭の中はモヤモヤする一方。
その原因は……香苗さんの人柄にもよる。

彼女はとにかく、……可愛いのだ。
見た目も去ることながら、性格も◎。
常に彼女の周りは人で溢れている。
あたしと変わらない身長なのに、メリハリのある体型も羨ましい限りで、薄着の今の季節には男子たちの目の毒だ。

NY仕込みのファッションなのか、色白の手足を大胆に出した服装が多く、Tシャツにショートパンツが彼女の定番。
同じような服装の学生はたくさんにいるの、なぜか香苗さんは色っぽく見える。

そんな香苗さんと、道明寺は四六時中一緒にいるのだ。
隣の部屋にこんなに可愛い人が寝起きしていたら、どんな気持ちだろう…………。

そんなことを考えちゃうと、頭のモヤモヤはMAX。
『あたしは全然、平気。』
そう道明寺に言った手前、こんなに嫉妬してることは知られたくない。





今日もキャンパスの図書館には並んで座る道明寺と香苗さんの姿がある。
机の下で組まれた香苗さんの足は相変わらず綺麗。
ほんの少しずらせば、道明寺の足と絡まりそうなその距離に胸がキュッと苦しくなるあたし。
そんな二人にチラッと視線を送ると、道明寺もそれに気付いてすぐに携帯を取りだしなにやら操作している。

すると、あたしの携帯にメールの着信。

『いつものところで5分後に会おうぜ。』

『分かった。』




5分後に待ち合わせた場所は、今は使われていないキャンパス内の教室。
新しいキャンパスが建ったため今は資料室として使われているけれど、天井高く積み上げられた段ボールを見れば、要らないものを詰め込んだただの物置だということは分かる。

そこがあたしたち二人の秘密の場所。
キャンパス内で唯一二人きりになれる場所なのだ。


「ごめん、遅くなった。」

待ち合わせより5分遅れて到着した道明寺は、そう言ってあたしの頭を優しく撫でる。

「勉強はいいの?」

「ああ。まだ出された課題は終わってねぇけど、息抜きもしねーと。」

ニヤッと笑いながらあたしの体を後ろからすっぽりと抱きしめた道明寺は、あたしの耳元で、
「今日もバイトだろ?」
と、聞いてくる。

「うん。」

「今日も迎えに行ってやれねぇけど、大丈夫か?」

「大丈夫。」

「運転手に迎えに行かせるから、車に乗って帰れ。」

「いいって、大丈夫。
そんなに遅くならないし、暗い道は通らないから、心配しないで。」

背中に張り付いている道明寺にそう言うと、
「心配に決まってんだろ。」
そう呟いて、耳元にキスをする。

最近の道明寺はこういう仕草が増えた。
前まではキスは唇に……が定番だったのに、ここ最近は耳や首にすることも多くなって、自然とその先を連想させるような動作が増えた。

しかも、その動作がスマートすぎる。
心臓が破裂するほどドキドキしてるあたしとは逆に、道明寺はいつも余裕で、あたしの戸惑いをからかうように優しく攻めてくる。

そんなとき、あたしはバカみたいに少しだけ思ってる。
もしかして、道明寺はこういうこと初めてじゃないのかも……。
そして、相手はもしかして香苗さん?

道明寺を決して疑ってる訳じゃない。
でも、心のど真ん中には常に同じ思いがあって、
「香苗さんには敵わない。」
そう自分でも完敗を認めているから、


だから、尚更、
嫉妬してるなんて恥ずかしいこと……言えそうもない。



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 2016_05_23







次の日、香苗を連れてキャンパスに行くと、いつものカフェテリアにF3が揃っていた。

「久しぶりだな。1年ぶりか?」

「そうかも。あきらにはこの間のパーティーで会ったわよね。」

「ああ。それで?こっちにはいつまでいる?」

「とりあえず3ヶ月の予定だけど、そのあとのことは未定かな…………。」
と、俺を見て意味深に笑う香苗。

そんなやつらの会話を横で聞きながら、俺はさっきから何度も腕時計を見ている。
そろそろだな。

そう思ったとき、カフェテリアに入ってくる牧野の姿を見つけて思わず顔が緩む。
牧野も俺の存在に気付いたのか一瞬小さく微笑んだが、すぐに隣の香苗に視線を向けたあとクルッと体勢を変えて離れていきやがる。

昨日、電話を切る間際、
「香苗さんにもあたしたちのこと内緒だからね。」
と、牧野が言った。

「なんでだよ。あえて言うつもりはねーけど、内緒にする理由もねーだろ。」

「香苗さんって英徳に知り合いたくさんいるんでしょ?
どこからあたしたちのことバレるか分からないじゃない。
3ヶ月しかこっちにいないんだから、あんたの言う通りあえて言うつもりはないでしょ。」

そう言って俺たちのことを内緒にしろと言った牧野。
その言葉の通り、せっかく会えたというのにカフェテリアから出ていこうとする牧野を見て小さくため息が漏れた。

と、その時、
「まーきのっ。」
と、隣に座る類が叫んだ。

その声に、牧野は固まり、香苗とあきらたちは牧野の方へ視線を向ける。

「ここ、席空いてるよ。」

「えっ、……あ、うん。」

突然の類の誘いに戸惑う牧野はその場に立ち尽くしたままだが、
「混んでて座れないならここに座りなよ。」
と、いつになく強引な類。

そんな二人のやり取りに、
「こっちに来いよ。」
と、総二郎が面白いオモチャを見つけたように目をキラキラさせやがって食い付く。

「香苗、こっちは俺らのダチの牧野つくしちゃん。
庶民の代表で、俺らにいつもくどくどと貧乏節を聞かせてくれる面白れぇ奴なわけ。
そんで、いつも勤勉に励む勤労処女……」

「西門さんっ!」
「総二郎っ!」

それ以上ありがた迷惑な紹介を言わせねぇように俺と牧野が慌てて割り込むと、それにクスクスと笑った香苗は、
「有働香苗です。よろしく。」
と、誰もが虜になる人懐っこい笑顔を牧野に向けた。





「牧野さんは私たちと同じ歳?」

「いえ、ひとつ下です。」

「そう。東京の生まれ?」

「はい。」

そんな会話をしながらも、さっきから牧野の隣に座る類が甲斐甲斐しく牧野のコーヒーにミルクを入れたり、口についたパンのカスを取ったりしてやがる。
牧野も牧野でされるがままだ。

それを見て腹が立った俺が
「牧野に触るんじゃねぇ!」
と怒鳴ろうとしたとき、

香苗が、
「もしかして、類とつくしちゃんは付き合ってるの?」
と、とんでもねぇことを言いやがった。

「ふざけんなっ!」
思わずそう叫ぶ俺に、

「どうしたの、司。」
と、香苗が不審な目で俺を見る。

「類と付き合ってるわけねーだろ。」

「そうなの?凄い仲がいいからもしかしてって思っただけじゃない。なに司が怒ってるのよ。
もしかして、司の彼女だったりして?」

そう言って俺を見つめる香苗に、

「ちっ、違いますっ!んなわけないじゃないですかっ。
こんな横暴でわがままで、図体と態度だけがでかい男と付き合ってるわけ、……」

と、まくしたてるように否定する牧野。

「おいっ!てめぇ、ずいぶんひでぇこと言ってくれるな。」

「うっ…………。」

「こっち見ろよ。」

目線をそらす牧野と、ジッと獲物を捕らえる俺。そんな険悪な雰囲気の俺たちに、
「まぁ、喧嘩すんなって。相変わらずめんどくせぇなおまえたちは。」
と、呆れ顔であきらが言う。



結局、牧野とは二人きりになることも出来ず今日はこの会話が最後だった。

夜、ベッドに入る頃、珍しく牧野から電話。

「道明寺、……今日はごめん。」

「悪いと思ってんのかよ。」

「思ってる!………ごめんね……怒ってる?」

「……怒ってねーよ。」

反則だろ。
いつもは可愛くねぇのに、こういうときは素直でめちゃくちゃ堪んないこいつ。

「でも、類とあんまイチャイチャすんなよ。」

「イチャイチャなんてしてないって。」

「おまえがそうでも、類はおまえに馴れ馴れしいんだよっ。
類と二人きりになるな。」

「はぁ?なんの心配してんのよ。」

電話の向こうでキャハハと笑う牧野に、思わずため息をつきながら、
「バカ女。」
と呟くと、

「類は友達。
……あたしは、あんたしか好きじゃないから。」
と、ポツリとこいつが言う。



ったく、体が火照るようなこと言うんじゃねーよ。
このまま素直に寝れるかよ……。





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なにも障害がなく、素直に道明寺が好きだと自覚してるつくしちゃんは、意外にツンデレのデレの部分が多いんじゃないかなぁーと勝手に想像してます。
そんなところに、司もメロメロで……。
バカップルですけど?



 2016_05_20






自室に戻りソファに座ると、すぐに携帯を取りだし牧野に電話する。

さっきまで一緒にいたのに、また声が聞きたい。
電話する理由があるなら遠慮することもない。

「もしもし?」
牧野の声が耳元で甘く響く。

「俺だ。少しいいか?」

「うん。」

ババァにフォローしろと言われた通り、早速牧野に香苗のことを話すと、

「別にあたしは気にしないから大丈夫。」
と、相変わらず嫉妬のしの字も出さねぇこいつ。

「ババァがおまえが変な誤解したら困るからフォローしとけって。」

「誤解?お母さんが?」

「ああ。おまえが嫉妬に狂ったら困ると思ったんだろ。」

そう言う俺に、
「嫉妬に狂うって……」
と、ケラケラ笑い声をあげてやがる。

「ったく、嫉妬ぐらいしろよ。」

「クスクス……
とにかく、あたしは変な誤解なんてしないから心配しないで。道明寺も勉強頑張ってね。」

「おう。」

そこまで言ったとき、突然俺の部屋の扉がノックされ、答える間もなく、
「司~入るね~。」
と、香苗の声。

「おいっ、」

「ごめん、電話中だった?」

「勝手に入ってくんじゃねーよ。」

牧野と繋がってる携帯を握りしめながら香苗にそう言うと、

「ごめんごめんっ。」と言いながらも、
「部屋、左隣のゲストルーム使わせてもらうことにしたから。
それと明日、久しぶりに総二郎たちにも会いたいから、大学に一緒に連れてってね。
じゃ、おやすみ~。」
そう勝手に言いたいことだけ言いやがって出ていく香苗。

残された俺は恐る恐る携帯を耳に当て、
「牧野?」
と、呟くと、

「道明寺、……香苗さんって美人?」
と、唐突に聞くこいつ。

「あ?」

「美人なの?」

「なんだよそれ。」

思わず苦笑する俺に、
「だって!……3ヶ月とはいえ、可愛い人がそばにいたら、そのぉ、……目移りというか、心移りというか……、」
と、さっきまでの威勢はどこにもねぇ。

「全然、平気だったんじゃねーの?」

「…………。」

「嫉妬なんかしねぇんじゃねーの?」

「だって……」

牧野の拗ねたようなその声が堪らなく愛しい。

「牧野、」

「ん?」

「俺はおまえしか眼中にねーよ。
だから、くだらねぇ心配すんな。」

「ん。」





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 2016_05_18







ある日、いつものようにバイト終わりの牧野を家まで送り届けて邸に戻ると、ババァの書斎から賑やかな声が漏れてくる。

出迎えたタマに
「誰か来てるのか?」
そう聞くと、

「有働さまです。」
と返事が返ってくるがその名前にピンとこねぇ。

「有働?」

「はい。香苗さんとおっしゃった方が分かりますか坊っちゃんには。」

「香苗……?
もしかして、あの香苗か?」


有働香苗。
有働コンサルティングの一人娘で、俺たちF4とは幼稚舎から小学校までの9年間を共に過ごした云わば幼馴染みのような存在。

中等部からは父親の仕事の拠点がNYに移ったことからアメリカに移住してほとんど会うこともなかったが、それでも年に数回はパーティーで顔を合わせる仲。

そんな香苗がなぜここに?

その俺の疑問を見抜いたかのように、自室へ向かおうとした俺の背後から、

「司!」
と、香苗の声がした。

「おう、来てたんだな。」

「来てたんだなじゃないわよ、待ってたんだから帰ってきたなら声かけてよ。」

そう言うなり、俺の腕を取りババァの書斎へと入る。

「おかえりなさい。遅かったわね。」

「ああ。」

「話があるから、そこに座って。」

そう言ってババァは香苗の隣に俺を座らせ、ゆっくりとコーヒーカップに口をつけたあと話し始めた。

「司には前に話しておきましたけど、そろそろビジネスのことにも本腰を入れて取り組んで貰わなくちゃいけないと思って、来月からその道のプロにレッスンをお願いしたわ。」

「レッスン?」

「ええ。
1日3時間、週に4日。
邸に先生が教えに来てくれるわ。
……そこで、ここからが本題なんだけど、そのレッスンを香苗さんも受けることになったの。」

「おまえが?」

香苗の方を見てそう聞くと、嬉しそうにコクンと頷くこいつ。

「有働社長にこの話をしたら、是非香苗さんにもその授業を受けさせたいって。
ちょうど、向こうの大学は夏休みに入るから、休みを利用して日本に滞在することになったわ。」

「そういうことで、よろしく司。」

「……ああ。」

よろしくの意味を深く考えることもなく頷く俺に、なぜかババァは微妙な顔をしてやがる。

「司の部屋は昔と変わらず東の角部屋?」

「ああ。」

「じゃあ、私も東棟の部屋をお借りしようかな。」

その言葉を聞いて俺は固まる。

「まさか、おまえ……ここに?」

「そう。日本にいる間、ここでお世話になることになったの。だから、よろしくね!」


ようやく「よろしく」の意味を理解した俺は、ババァに冷たい視線を送ると、
「香苗さん、タマに部屋に案内させるわ。
司は話があるから少し残ってちょうだい。」
そう言って俺からの視線を避けてやがる。


香苗が部屋から出ていったあと、珍しくババァが俺に言い訳をするように早口で話しはじめる。

「有働社長に言われたら断れないのはあなたも知ってるでしょ。
夏休みの間の3ヶ月だから、我慢してちょうだい。
それと、……変な誤解を与えないように、彼女のことはあなたがフォローしてあげて。」

ババァがいう『彼女』とは牧野のことだということはすぐに分かった。
そのことが、俺にはくすぐったいくれぇ嬉しくて、
「心配ねーよ。」
と、強がってみたが、

香苗の存在が俺たちの関係に徐々に影を落としていくとはこのときはまだ気付いてなかった。





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 2016_05_17






牧野が言う『秘密の関係』というものに、F3のヤローたちは大爆笑。

「話しかけるなって言われたのかよ。」

「ああ。
他人のふりをしろだってよ。」

「ぶっ……、ただでさえ牧野欠乏症のおまえに、それは酷だよなぁ~。」

そう言いながらも、すげぇこの状況を楽しんでやがるこいつら。


でも、そんな「秘密の関係」に俺が黙って従うと思うか?




「道明寺っ、」

「やっぱここにいたのかよ。」

キャンパス内にある演芸ホール。
学生のサークル活動やプロを招いたコンサートなど多岐にわたり使われるそこは、普段使われていないときは派手な照明が落とされて間接照明だけがたかれている静かな空間。
牧野はこのホールの客席に座り、講義の合間によく勉強をしている。

「講義、終わったの?」

「ああ。おまえは?」

「午後からもうひとつ。」

「なら、少し時間あるな。」

そう言って牧野が座る座席の隣に腰を下ろす。

「誰か来たらどうすんのよ。」

「来ねーよ。
今日は誰もここ使う予定がねえって係員が言ってた。」

「聞いたの?」

「ああ。
おまえとの時間邪魔されたくねぇから、誰も入ってくんなって脅しといた。」

「はぁ?」

薄暗闇のなかでも牧野の呆れた顔が分かる。
そんな顔でさえ可愛いと思っちまう俺は、隣に座る至近距離のこいつの顔をじっと見つめていると、その先を想像したのか、照れたように慌てて目線をそらす牧野。

「逃げんじゃねーよ。」

「は?」

手元のノートを見ながらとぼけるこいつの肩に腕を回し、ぐいっと俺の方に引き寄せると、

「道明寺っ、」
と、焦る仕草がめちゅくちゃツボる。

「誰も来ねーから、してもいいだろ?」

「はぁ?」

「最近してねーだろ。」

「ちょっ……なに言ってんのよ。」

「いいだろ?」

聞いておきながら、イエス以外の言葉は受け付けねぇとばかりに顔を近づける俺に、照れたときに見せる牧野の困った顔が堪らない。

軽く唇を重ねると、抵抗せずおとなしいこいつに、我慢してる俺も限界。

軽く合わせるだけのキスは徐々に深くなり、静かな空間に響く水音と牧野が時々漏らす声に、キスだけじゃ足りなくて、自然と手が動きはじめる。

頬に添えてた手は徐々に下りていき、なだらかな胸の膨らみに差し掛かかると、ピクッと牧野が反応したが、それでもいつもみたいに暴れることはねえ。

それを肯定と受け取った俺は、さらに手を膨らみの上に乗せ軽く揉むと、その予想以上の弾力と柔らかさに俺の体がやべぇ。

ここまで触らせてもらったのは初めてだ。
今まではキスどまりで、ようやく最近そのキスもディープなものに慣れてくれた牧野。

「講義、休めよ。」

「えっ、……ダメ。」

「俺の部屋に行こうぜ。」

「クスッ……無理だって。」



俺にもそろそろ春が来そうだ。
焦るつもりはねぇけど、
牧野のすべてが俺を刺激する。


「牧野、……もう一回……」




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 2016_05_16


俺の彼女

Category: 俺の彼女  


大学生の二人。
もしも、楓さんの反対がなく順調に交際を進めていたら…………、
そんな幸せいっぱいのお話をお届けします。




**************************





「ちょっと……道明寺……ダメだって……」

「なんでだよ。」

「なんでって………んッ……だれか来たら……困るでしょ……」

「誰も来ねーよ。」


ここは英徳大の図書館の3階。
一番奥の天井まで伸びる本棚にこいつのちっせぇ体を張り付けて、俺はその甘くて蕩ける唇にキスをする。

クチュクチュ……
静かな館内に響くやらしい音。
執拗なまでに続くそれに、イヤイヤ……と首を振って抵抗する俺の彼女。
そう、俺の腕の中には、はじめて出来た『彼女』と呼べる存在がいる。
その名は……牧野つくし。


「道明寺……もうっ、ダメ!」

やっと渾身の力で俺を引き離したこいつは、でけぇ目をさらにでかくして上目使いに俺を睨んでくる。

「誰か来たらどーすんのよっ!」

「うるせぇな、デカイ声だすなって。」

「う゛……まさか、誰か来た?」

「来てねぇ。だから、もう一回……、」

そう言って再び牧野の唇に食いつこうとした俺に、
「バカっ、変態っ。
あたし、バイトあるから先帰るねっ!」
そう捨て台詞を残して走っていきやがる。

その後ろ姿を見ながら、俺はクスッと笑うと、
無意識に呟いていた。
「むちゃくちゃ可愛いすぎだろバカ。」



この俺が、この俺様が、
まさかこんなに女に惚れるなんて思っても見なかった。
牧野に出会うまでの俺は、女という生き物が目障りでしかなかったし、何に対しても怒りしか感じてなかった日々なのに、あいつに出会って180度世界が変わった。

牧野に赤札を貼った幼稚な苛めをきっかけに、あいつに興味をひかれ、次第に女として意識し、気づけば常に目で追っている片想いが始まった。

牧野が類を好きだと知り、荒れ狂った時もあったが、それでも俺の一途な想いが通じたのか高校を卒業する時にはじめてあいつから「好き」という言葉を聞いて舞い上がったのを覚えている。

それから1年、牧野も高校を卒業し、念願の同じキャンパスでの生活が始まった。
これからはいつでも一緒にいれる。
甘い学生生活が始まる…………、

そんな期待に胸を踊らせていた俺に、こいつはとんでもねぇ提案をしてきやがった。


「あんたと付き合ってることは内緒だからね。」

「…………あ?」

「だから、学校ではあたしたちの仲は秘密ってことで。」

「ふざけんなっ!
ようやくここから恋人らしい生活がはじまるっつーのに、なんで秘密にしなきゃなんねぇんだよ。」

付き合って今日まで半年以上、高校と大学のキャンパスの違いや、こいつのバイトのシフトの関係でほとんどデートすらしてねぇ俺たち。
ようやく牧野が大学生になり、少し時間に余裕ができ、俺たちの距離も近付いたと思った矢先の「交際秘密宣言」。

「あんたのお母さんからも言われたでしょ。
あんまり目立つような付き合いはするなって。
ただでさえあんたは目立つんだから、あたしと付き合ってるなんて知られたら相当騒ぎになるよ。」

「関係ねぇよ。騒ぎたいやつらには勝手にさせとけ。」

「そういう訳にはいかないの。
英徳大は高校の時より学生の人数も増えてるでしょ。
あんたと付き合ってるなんてバレたら、また嫌がらせを受けるのはあたしなんだからねっ!」


確かに今までも俺と牧野が付き合ってると噂がある度に、こいつに嫌がらせをする連中が後をたたない。
俺は全世界のやつらに牧野と付き合ってることを大声で言ってやりてぇけど、それで牧野を傷付ける訳にはいかねぇ。
ババァもそれを心配して派手な行動は取るなと俺に釘をさしてきている。

「おまえの言う秘密っつーのはどこまでだよ。」

「え、全部?」

「全部っつーことは、校内では話すことも手を繋ぐことも、キスすることも、ダメなのかよ!」
そう真剣に聞く俺に、

「あんたの脳ミソは、想像の域を越えてるわ。」
と、呆れてやがるこいつ。


ここ最近になって、キスすることにも慣れてくれた牧野。
二人の時は自然と距離が縮まって、俺的には次のステップへと進みたい願望がメラメラと沸き上がってるっつーのに、キャンパスでは話すことさえ許されねぇのかよ。


「今まで通り、花沢類と一緒の時は話せるでしょ。」

「ふざけんな。
類の存在が一番邪魔なんだよ。」

「道明寺っ。」


類とこいつの仲がいいってことが周知の事実のように他のやつらにも知られてることが無茶苦茶頭に来る。
俺と一緒にいるのはダメなのに、類と二人で歩くのは何も問題ねーのか。

「とにかく、学校では付き合ってることは秘密だからねっ。
……その代わり、バイト減らしてるから夜は少し自由な時間はあるから。」

そう言って照れたように俯くこいつに、俺ははぁーー、とため息を漏らしながら、
「ずりぃ女。」
と呟きその小さい体を腕の中に閉じ込めた。





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 2016_05_14


近況

Category: 未分類  



こんにちは。
いつもご訪問ありがとうございます。
『何度でも……』が無事に完結してホッとしています。

次回作ですが、若い二人のラブラブを書きたいと思います。
原作そのままに、もしも楓さんからの反対がなく交際が順調に進んだら……そんな甘い学生生活もいいかな~と思っています。

それとですね、実は更新が遅れている理由なんですが、私、妊娠が発覚しまして、ただいまつわりまっ最中でございます。。。
前回の妊娠では全くつわりがなかったのに、今回は性別が違うのか、ダウンしてしまいました。

仕事も5月いっぱいで辞めることになりましたので、これからは益々、司一筋でいきたい予定なんですが、つわりがおさまるまで、もう少しゆっくり更新させていただきますので、どうぞお付き合いください。



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皆さんに感謝です!




 2016_05_13




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プロフィール

司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
CPはつかつくオンリーです。
司をこよなく愛する管理人の妄想サイト。

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