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今日は

Category: 未分類  



今日の更新をお休みします。
積雪50センチ!
除雪車もまだ来ていません。
会社に缶詰状態。

家までたどり着くか心配ですが、なぜか食料だけはたっぷりありますよっ。
帰れないっていうのに、職場の皆さん結構楽しそうなのが救いです。

明日、更新できるよう頑張ります!
デンジャラスワールドの連載が終わったら久しぶりに『恋人の距離』を書こうかなと思っていますので、お暇なときは今までの『恋人の距離』を読んで頂けたら嬉しいです。





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 2016_02_29







「それはそれは、とんだ大失態ね、司。」


牧野が黙って邸から出ていった。
その理由を姉ちゃんに聞かれ渋々答えた俺に、タマとババァも加わった女三人の冷ややかな視線が痛い。


「なんでそんなつくしちゃんを傷つけるような事言ったのよ。」

「傷付ける気なんてねーよ。
ただ、西田から電話が入って中途半端なところで会話が途切れたのがマズかった。」

そう言いながら、携帯でもう一度牧野の番号をコールしてみるが、呼び出し音どころか電源さえ切ったあいつ。

「あー、あいつ電源も切りやがった。
ったく…………。」

思わず頭を抱える俺に、
クックッ……と珍しくババァが声を出して笑いながら言う。

「嘘をついて彼女の振りをして貰った挙げ句、本気で牧野さんを好きになったってわけね。
でも、彼女の方はただの芝居だった。
そこで猛烈にアタックして振り向かせた矢先、その嘘がバレて、不誠実なあなたはフラれた。」

「フラれてねーよっ。」

「時間の問題だね、坊っちゃん。」

「うるせっ、タマっ!」

痛いところをつかれて怒鳴る俺。

「とにかく、牧野さんは誤解して帰ったようね。
あなたは、彼女にその先の大事なことを伝えてないんでしょ。」

ババァが言うように、さっきの会話にはその先の大事な部分がある、

おまえとの出会いは偶然で、近付いた理由も自分本意のものでしかなかったが、でも、俺は気付いたらおまえに惚れていた。
おまえは俺に興味も示さず、俺を呼び捨てにして、女と言う武器を全く使ってこないくせに、
どんな女よりも居心地がよくて、守ってやりたくなる存在で、そして男としての俺をむちゃくちゃ刺激するあいつ。

安全だと思ってたあいつが、一番危険ゾーンだと気付いた時はもう遅かった。
そのデンジャラスワールドにどっぷりはまり、怒ったり笑ったり睨んだりするあいつが堪らなく愛しい存在になっていた。





「司、今まで恋愛してこなかったツケがここで回ってきたわね。」

「あ?」

「お父様が司に恋愛しろって言う意味がやっと分かったわ。
あんた、すごく今いい顔してるわよ。
手遅れにならないうちに、つくしちゃんの誤解を解いてきなさ~い。」

手をヒラヒラさせて俺にそう言った姉ちゃん。
そして、その横で無言でカップに口をつけるババァと白々しくテーブルをふくタマの顔が少しニヤけているように俺には見えた。









その夜、牧野の部屋に行ったがそこに明かりが付くことはなかった。
電話にも出ねぇ。

次の日も電話をかけるが繋がらない。
仕事帰りに部屋まで行ってみるが、やっぱりそこにはあいつの姿はなかった。

そんなことを繰り返して5日目。
ようやく部屋の前で待ち伏せしてる俺の前に、牧野が帰ってきた。

「牧野っ。」

「おっ、道明寺?」

キョトンとしてそう呼ぶこいつに思わずでかい声が出る。

「おまえ、どこ行ってたんだよっ!」

「……仕事に決まってるじゃない。」

「そーじゃねーよ。
毎日電話しても繋がらねーし、部屋にも戻ってこねーし、」

「あっ、携帯壊れちゃって。忙しくて直しにいけなかったけど、今日やっと行けたから。
それと、実家に姪っ子が遊びに来てたから数日泊まってたの。
…………っていうか、何か用だった?」


てっきり無茶苦茶怒ってて、口なんかきいてくれねーかも、なんて思ってたからこいつのこの反応は予想外。


「牧野、この間のことだけどよ、」

「この間?……あー、あんたの家でのこと?
もういいよ。分かったから。
それで、謝りに来たの?」

「ああ。……悪かった。」

「謝る人がその態度かい。」

ズボンのポケットに手を入れたまま悪かったと言う俺に、子供を叱るように言うこいつ。
そんなこいつに、
「……悪かった。」
今度はポケットから手を出して頭を垂れて言ってやる。
すると、

「……もういいよ。分かったから。
あたしもここ数日冷静になって考えてみて、自分も悪かったって思ったから。」

「おまえは悪くねーよ。」

「いやいや、あたしも悪い。
お芝居でも、誰かと恋愛するって久しぶりのことだったから、どこかで芝居だってこと忘れちゃって……そのぉ、恥ずかしいことも言った覚えあるし。
それにしても、あんた芝居上手すぎるでしょ。
二人でいるときまで付き合ってる設定しなくてもよかったんじゃない?って今更か……アハハ。」
そう言って笑うこいつ。

そして、急に真顔になった牧野は俺を見上げて言った。
「あたし、……これ以上は無理だから。」

「牧野、どういう意味だよそれ。」

「だから、……芝居はもう無理。
あんたみたいに、上手くできない。」

そう言って下を向くこいつの頭に俺は手を置いて優しく撫でながら言う。

「芝居なんておまえはしなくていい。
もうする必要もねーだろ。」

親父には嘘を付いたけど、結局はその嘘は現実になった今、こいつも俺も芝居をする必要なんてなくなった。

そう思いながら、牧野の頭を優しく引き寄せようとしたとき、急に怒った声でこいつが言い返してきた。
「あんたは、そういうことをへーきでするからあたしまで騙されるのよ。
二人でいるときまで芝居するなってさっき言ったでしょ!」

そう言って俺の手を払いのけるこいつ。
拒絶された俺は、一瞬固まったあと、
まさかな……と思いながらも、こいつに聞く。


「おまえさ、まさか、これも芝居だって思ってねぇ?」

「……は?」

「だから、おまえと二人でいるときの俺の言動も全部芝居だって?」

「そうでしょ!」

俺を睨みながら即答のこいつに俺は怒鳴ってた。

「ちげーよっ!バカっ!」


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 2016_02_28






「病気って、あれは嘘だったの?」


夕食のあと、俺の自室に戻るなりそう聞いてくる牧野。
食事の合間も俺からの視線を避けて、明らかに怒っている牧野を見て、早く二人きりになりたかった。

「悪かった。とにかく、座れよ。」
ソファにこいつを連れていき俺もその隣に座る。

「親父のこと、病気っつーのは嘘だ。」
その言葉に黙ったまま俺を睨むこいつ。

「話の流れでなんとなくそうなったっつーか、」

「なんとなくで、人を先行き短い病人にするんだあんたは?」

「そうじゃねーよ。
でも、おまえに弁解するタイミングもなかったしよ。」

「タイミングがなければそのままでいいと思ってるの?あんた。」

「だから、そうじゃねーって。」

「…………。」

「…………。」

二人の間に重い空気が流れる。

「道明寺、お父さんの病気が嘘ならどうしてそんな嘘ついてまであたしに彼女になってくれなんて言ったの?」

「それは、」

事の成り行きをはじめから話さなくちゃならない。

「親父に、俺は後継者に相応しくないって言われたんだよ。」

「後継者に?」

「ああ。
昔からあきらたち以外とは交友がなかったし、仕事でも信用できるやつは秘書の西田だけ。
近付いてくる奴等はどれも道明寺の名前に惹かれて寄ってくるハエだと思ってる俺に、親父から待ったがかかった。
道明寺の後継者になりたければ人との接し方を学べって言いやがった。
仕事はもちろん、……プライベートも。
だから、……恋愛っつーのもそこに含まれてて、見合いをしろって。」

「見合い?したの?」

「いや、……。
見合いで行ったホテルに、おまえとあきらがいて
偶然その場を写真に撮られて……。」

「……あー、そういうこと。
たまたまそこにいたあたしを彼女ってことにして嘘をついたって訳。」

「ああ。
……そう言えば、親父も見合いしろってうるせぇこといってこねーだろうって。」

「…………。」

「悪かった。」

そう言って牧野の方を向くと、こいつの目がうっすらと潤んでいるように見える。

「牧野?」

慌ててそう呼ぶ俺の胸ポケットで、耳障りなほど大きな着信音が鳴り響いた。

「道明寺、電話。」

「…………。
すぐ終わらせる。待ってろ。」

このタイミングで……、そう思いながらも仕方なく電話を耳に当てると、部屋の窓側へと移動し西田からの急ぎの用件を済ませる。
時間にして約5分。

電話を終えて、振り向くと、
…………いるはずのそこに牧野の姿はなかった。











はじめはトイレにでも行ったのかと思った。
でも、待っても待ってもあいつは戻ってこない。
さっき見た牧野の顔が頭をよぎり、俺は慌てて部屋を出ると邸の中を走っていた。


「姉ちゃんっ、牧野見なかったか?」

リビングでババァと寛いでいる姉ちゃんを見つけそう叫ぶと、

「つくしちゃん?
見なかったけど、どうしたの?
邸で迷子にでもなっちゃった?」
と呑気な答え。

「いや……俺の部屋から出て、戻ってこねーんだよ。」

「あら、困ったわね。」

その時、ババァにティーカップを渡していたタマが口を開く。

「彼女ならさっき邸から出ていきましたよ。」

「あ?いつだよっ!」

「確か10分くらいまえですかね。
ここから一番近いバス停はどこかって聞かれまして、すぐそこのバス停をお教えしました。」

「マジかよっ。」

タマのその言葉に慌てて牧野を探しに行こうとする俺に、

「坊っちゃん、もう無理ですよ。
バス停に00分にバスが来ることを教えたら、間に合うかもって走って行きましたから。」
と、タマに最終宣告をされる。


「なんで止めねーんだよっ。」

「邸に押し掛けてくる女性は、徹底的に排除しろと坊っちゃんがいつも言ってるじゃないですか。」

「あいつはちげーよっ!」

そうタマに怒鳴る俺に、

「司、タマに八つ当たりするのはお門違いよ。」
と、ババァの冷たい声が響く。

「牧野さんがあなたに何も言わずに邸を出たと言うことは、それなりの理由があってのことでしょう。
タマに怒鳴る前に自分の行動を振り返りなさい。」

ババァのその言葉が痛いほど身に染みる。
深くため息を付きながら、携帯で牧野を呼び出すが、むなしく呼び出し音が響くだけ。

「はぁーーー、……完全に間違えたな。」
思わずそう呟く俺に、

「司、何があったのよ。」
と、心配そうに姉ちゃんが言った。





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 2016_02_26







こういう時の姉ちゃんはたちがわりぃ。
俺の弱いところを一気に攻め立てて、いつも自分が優位に立とうとしやがる。

「姉ちゃん、やめてくれ。」

「なにがよっ。」

「こいつ、困ってるだろ。」

赤くなりながら下を向いている牧野を見ながらそう言うと、 アハハハ~と笑いながら姉ちゃんが牧野に言う。

「ごめんね、つくしちゃん。
司のことからかうと面白くって。
この可愛くない弟の弱味を握るのがあたしの生き甲斐なのよ。」

そんなこと生き甲斐にすんなっと言ってやりたいが、倍に反撃されるのは目に見えている。

「ということは、つくしちゃんと司はまだ付き合って間もないのね?」

「……はい。」

「そう、それで司がすでにメロメロってこと?」

「……へ?いえ、そんなっ、」

また、からかわれてるのに気付いていない牧野はなんて答えていいのか真剣に悩んでいる。

「姉ちゃん、いい加減にしろっ。」

「はいはい、分かりました。
お父様が気に入るのも分かる気がするわ。
素直でいい子ね~。」
そう言って姉ちゃんがババァの方を見る。


西田が言うように、この場に姉ちゃんがいて助かった。
口は悪いが、ババァと俺たちの間を取り持ってくてようとしている。


「NYにも二人で来ていたそうね?」
ババァが俺に向かって話しかけてきた。

「ああ。親父が強引に牧野をワインのパーティーに誘って拉致しやがった。」

「ワインはお好きなの?」

「はい。数年前に少しワインのことを勉強する機会がありまして、それから。」

「そう。主人もあなたの知識の豊かさに驚いていたわ。」

親父からワインのことについても聞いたらしい。
ババァはどこまで牧野のことを調べたのか。
調べた結果、交際を認めると言うことなのか。
そう頭の中で考えていると、

「ありがとうございます。
…………お父様はお元気ですか?
体調はその後いかがですか?」
と、牧野がババァに聞いた。

やべぇ。
この流れはヤバイだろ。

「体調?
パーティーの時は体調悪かったのかしら?」

「お父様、もしかして飲みすぎたの?
つくしちゃんに迷惑かけたとか?」

ババァと姉ちゃんが牧野に聞く。
それに言いにくそうに答える牧野。

「いえっ、そうじゃなくて、ご病気のこと聞きま……、」

牧野がそう言いかけたところで、
「あー、まー、あれだ。
親父も歳だし、その事だよな?牧野。」
と、慌てて俺が会話の中に入る。

「……え?いや、」

「大丈夫よ、つくしちゃん。
うちの父は、昔から風邪ひとつひかない人でね、忙しい時でも朝のジョギングは欠かさず30年続けてるの。
毎年、健康診断は異常なし、骨密度なんて10才も若いってこの間自慢してたばかりだから、心配しないで。」

早くも俺はこの場に姉ちゃんがいたことを後悔してる。
姉ちゃん、俺の嘘をちゃぶ台をひっくり返すように、豪快にさらけ出すのはやめてくれ。

姉ちゃんが牧野を見つめてにっこり笑うのを見ながら、俺は頭を垂れた。
そんな俺を隣からの視線が痛い。

「どーいうこと?」

「あとで話す。」

コソコソと二人で話す俺らに、
「夕食の用意が出来ました。」
と、使用人の声が聞こえた。





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 2016_02_26







待ち合わせの7時。
牧野の会社近くまで迎えに行き、そのまま車を走らせて邸の側まで来たときに、ようやく
「どこに向かってるの?」
と、助手席のこいつが口を開いた。

「飯食いに。」

「だから、……どこ?」

そんなやり取りをしているうちに、邸の門を通過する俺の車。

「ねー、凄いところに入って来たけど、ここで食事するの?
あたし、こんな服装なんだけど。」
そう言って相変わらず地味なスーツを見つめる牧野に、

「気にすんな。」
と、笑いながら言った俺は、エントランスの前に車を止めた。

渋る牧野を連れて邸の扉を開けると、そこにはいつものようにタマの姿があり、
「坊っちゃん、おかえりなさいませ。」
と、出迎える。

それを見て、やっとここがどこなのかを把握した牧野は、すげー驚いた顔をして俺を見た。

「食事になさいますか?
それとも、先に奥さまのところへ?」
そう聞くタマの言葉に少し考えたが、

「少し二人で話したい。」
そう言い、牧野の腕を取り自室へと向かった。





「どーいうことっ!」

部屋に入るなり俺のことを睨みながら詰め寄ってくる牧野。
そんなこいつの頭を軽く撫でてやりながら、

「怒るなって。黙ってて悪かった。
でも、先に言ってたらおまえここに来なかっただろ?」

図星なのか黙るこいつに続ける。

「おまえと俺の写真が今日の週刊紙に載ってる。」

「えっ!?」

「それを見て、ババァが、いやおふくろがおまえに会いたいって。」

「はぁ?」

「正式に付き合ってんだし、紹介ぐらいさせろ。」

そう言うと、さっきまでの睨み顔はやめて、すげー困った顔に変わるこいつ。

「あんたって人は、いつも勝手なんだから。
紹介ぐらいさせろって、それがどれだけ大事な事か分かってる?
少しぐらいあたしにも準備させる時間をくれてもいいでしょ。
はぁー、もうどうすんのよ、こんな格好だし手土産だって何もないし、」

「気にすんな。
おまえは隣に座っていればそれでいい。
あとは俺が話す。」

「だけどっ、」

牧野はまだ何か文句を言いたげだったが、それを遮ったのはノックの音だった。

「坊っちゃん、奥さまが書斎でお待ちです。」








牧野の手を握りババァの書斎へ行く俺たちをタマがクックッと笑い、「健闘祈っています。」
なんて言いやがるから、ますます情けない表情の牧野。

でも、いざババァの部屋を目の前にしたこいつは、さすが俺が惚れた女、「もう、どうにでもなれだわっ。」と、握りこぶしなんて作って戦闘モード。

深く息を吸い込んで部屋を開けると、デスクに座るババァが、一瞬で牧野の事を値踏みした。

「座って。」

ババァのその言葉にデスク前にあるソファに並んで座ると、その正面にババァが座る。

「牧野さん、でいいのかしら?」

「……はい。」

「主人からあなたのことは聞いているわ。」

牧野のことをかなり気に入った親父なら、ババァに悪いことは言ってないはず。

「主人の話だと、あなたたち交際しているようね。」

「ああ。」

「あなたもいい年ですから、プライベートについてどうこう言うつもりはありません。
ですが、……これは良くないわ。
自分が常に注目の的になる存在だってことを忘れずに行動しなさいって教えてきたはずです。」

そう言ってババァが俺たちの前に寄越したのは、今日発売の週刊紙。
見開き2ページに渡り俺の今までの交友関係や女嫌いの噂、そして新しい彼女とのキス写真と、その彼女の部屋から深夜に出てくる俺の写真。

それを初めて見る牧野は、その週刊紙を手に取り、小さく「なにこれ。」と呟いた。

その時、コンコンとノックの音と共に、
「入りまーす。」
と声がして、姉ちゃんが扉からピョコっと顔をだした。

「姉ちゃん。」

「司、久しぶりね~。
その隣の彼女は、牧野さん?」

「あっ、はい。牧野つくしです。」

「つくしちゃん?可愛い名前ね~。」

そう言いながらババァの隣に座った姉ちゃんは、
「それ、あたしも読んだわよ~。
つかさぁー、あんたやるわね~。
お店の中で人目も憚らずキスしたり、夜な夜なつくしちゃんの部屋に通ったり~。」

姉ちゃんが言うように、人目も憚らずキスしたわけでも、夜な夜な牧野の部屋に通ってる訳でもない。
初めてのキスと、初めての部屋訪問を運悪く記者に押さえられただけだ。

ババァの手前、反論しておこうと口を開きかけた俺の隣で、
「そう言う訳じゃありませんっ。」
と、今まで黙ってた牧野が言った。

「この……キ、キ、キス写真は、記者の人に煽られて思わずしただけですし、この時はあたしたちまだ付き合ってもいなかったんです。
それに、この部屋から出てくる写真も、深夜って書いてますけど、日付だって変わってないし変な想像されるようなことは何も……、」

牧野が必死に弁解しようとするほど、目の前の姉ちゃんの目が怪しげに光る。

「牧野、それ以上言うな。」

「へ?」

「墓穴掘るだけだ。」

俺が牧野にそう言うと、案の定、姉ちゃんが隠しきれないニヤニヤ顔で追い詰める。

「へぇ~そうなんだー、へぇ~、あらそう。
まだ付き合ってもいない仲なのに、店の中でつくしちゃんのこと襲ったのね司は。
それに、お泊まりもさせてもらえないほど、まだ清い交際なのかしら?二人は。」






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椿さんの暴走で長くなりましたので、続きは明日。





 2016_02_24







牧野と想いが通じて数日、俺の顔は緩みっぱなし。
恋愛がこんなに仕事にもいい影響を及ぼすとは誤算だったと思うほど、俺にとってあいつの存在は大きい。

そんな俺のオフィスに朝から眉間にシワを寄せた西田が現れた。

「専務、少しよろしいでしょうか。」

「ああ。」

「実は、今日発売の週刊紙にこれが掲載されるようです。」

そう言って俺に渡された用紙を見て、思わず小さく笑っちまった。

「よく撮れてるな。」

「専務っ。」

俺の言葉に困ったような声を出す西田。
それもそのはず、そこに写っている写真は、店で撮られた俺と牧野のキス写真と、この間、牧野の部屋に行った日の俺が部屋から出てくる写真。

あの俺の回りをうろついていた記者が、撮り溜めた写真を一気に公開したということか。

「前回、会長がゴーサインを出したこともあって、今回も強気で掲載してくるようです。」

「……牧野の名前は出てるのか?」

「いえ、相手の方の情報は伏せられていますが、…………、」

そこまで言って言葉を濁す西田。

「なんだよ、何か問題か?」

「いえ、それが…………。
この記事が載ることがNYにも伝わったようで、社長から連絡がありました。」

「ババァが?」

「はい。
……お二人で明日、邸に来るようにと。」

そう来たか。
今まで静観してたババァも、この記事には物申すということなのか。

どうしたものかと考える俺に、珍しく西田が口を挟む。

「専務。
明日は椿さまもNYから戻られていますので、何かとお力になってくれるのでは……。」

確かに、ババァ一人よりは話の分かる姉ちゃんがいた方が危険は少ない。

「そうだな。」
俺はそう西田に呟いて携帯を取り出した。







「もしもし。」

「はい。」

朝からかけて牧野にやっと繋がったのは昼過ぎ。

「何度もかけたんだぞ。」

「だって、仕事中だもん。」

俺の電話を何度も無視する女はこいつだけ。

「なに?なんかあったの?」

「おまえ明日、暇か?」

「暇だけど。」

「俺に付き合え。」

「なんで?」

なんでって……。
付き合いだして一週間もたってないアツアツカップルの会話とは思えねぇほど素っ気ないこいつに、胸がむちゃくちゃ鳴る俺はバカか。

「飯でも一緒に食おうぜ。」

「……いいけど。」

「7時に迎えに行く。」






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 2016_02_23






上着を脱いで牧野の前に胡座をかくと、少し遅れて俺の肩にこいつの手が乗った。

「頭が痛い時って、首や肩からきてることが多いの。」
そう言ってゆっくりと俺の首を下から上に向かってなぞっていく。

「痛くない?」

そんなちっせー手でどんなに押されても痛いはずがない。
それに、……すげぇあったかくて気持ちいい。

「道明寺?」

「……痛くねぇよ、……気持ちいい。」

そう返事をした俺に、見えねぇけど後ろにいるこいつがクスッと笑った。

「なんか、いつもやってるストレッチ体操みたいだね。」

「そーいえば、おまえさ、」

「ん?」

「今日は誰とやったんだよ、ストレッチ。」

「今日?
あんたが休んだから先生が代わりにペア組んでくれたの。」

それを聞いて一気に不機嫌になる俺。

「……ちくしょー。」

「はぁ?なにそれ。」

俺の肩を揉みながら、横からピョコっと顔を覗かせてそう言うこいつは何も分かってない。

「ストレッチだろーが、なんだろーが、おまえに他の男が触るのはやなんだよ。」

「っ、さ、さ、触るって、あんた何言って、」

「意外に近いんだよな、ストレッチの時の距離って。
初めてやったときもムカついた。
これを毎回、類とやってたのかって。」

「…………。」

あきらから、類は以前はこいつが好きだったと聞いたことがある。
それが本当なら、これだけ近い距離にいればその想いが再熱しかねてもおかしくない。

「おまえさ、……俺とのことどう考えてる?」

「……え?」

「返事、……ちゃんと考えてるか。」

牧野の手が止まる。

「焦らす気はねーけどよ、
でも、類やジムのコーチだって男なんだから気安く近付けんな。」

「……分かってる。」

そう言ってまた牧野の手が俺の首を這う。
そして、またピタリと止まった。

「道明寺、」

「あ?」

「さっきうちの家族写真見たでしょ?」

「ああ。」

「うちのパパって、いつもふざけてて冗談ばっかり言ってるし、涙もろくてママに怒られてばっかりだけど、唯一厳しいところがあるの。」

突然話し出した牧野の話に、意図が分からず黙って聞いていると、

「それはね、独り暮らししたあたしに、口が酸っぱくなるほど言う言葉があって、
『絶対に男は部屋にいれるな。
入れるときはおまえがその男を信用して、何されてもいいって思う時だけだ』って。」

「プッ……すげー親父だな。
でも、おまえの親父らしい。」

牧野の隣でピースサインをしている写真の親父がそんなことをこいつに言い聞かせてるとは、さすが女親だな、と感心していると、

「だから、……そういうことっ!」
と、俺の背中をバシッと強く叩いて、

「とりあえず、首は終わり。
背中もする?するなら、うつ伏せになって寝て。」
と、早口で言う。

言われるがまま絨毯の上にうつ伏せに寝た俺は、
背中に当たる牧野の手の動きに身を任せながら、さっきこいつが言った言葉を頭でリピートしていた。

あの、牧野の親父の話はどういう意味で、
何が、『そういうこと。』なんだ?

さっきの話をゆっくりと何度も再生した俺は、
ようやく、こいつが言いたかったことがなんとなく分かり、
「牧野っ。」
と、うつ伏せのまま叫んでいた。

「わっ、ビックリした!
何、急に叫んで。」

「おまえ、さっきの話。」

「…………。」

「親父さんに口が酸っぱくなるほど言われてるんだよな?
信用して、何をされてもかまわない男しか部屋に入れるなって。」

「…………。」

「今、この部屋に俺がいるってことは、
それがおまえの返事だって思っていいのか?」

うつ伏せのまま牧野の顔を見ずにそう聞くと、こいつからの返事はない。
堪らずに体を反転させて仰向けになると、俺の背中に手を置いていた牧野の体がぐらつく。

それを両手で受け止めて引き寄せると、
「わぁーっ」とか言いながら、簡単に俺の体の上に転がってくるちいせぇ体。

「クックッ……」

「離して。」

「やだね。」

「やっ、んっ、」

逃げようとする牧野の体を下にして、体勢を逆転させた俺は、こいつの口からきちんとその言葉が聞きたくて、目を見て言った。

「牧野、俺と付き合うってことだよな?」

「……う……ん。」

「ほんとか?」

「……ほんと。」

「俺のこと信用してんだよな?」

「ん。」

「何されてもいいって、ことだよな?」

「それは違う。」

クックッ…………。
可愛くねぇ女。
でも、最高に堪んない。

「これぐらいは、させろ。」

牧野との2回目のキス。
1回目のとは、違う。
想いが通じての甘いキス。





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 2016_02_22







電話を切ったあと、自分の言った言葉を思い返して部屋をウロウロと歩き回るあたし。

そして、
「そうよ、別に深い意味なんてないしっ。
トレーニングプランの紙を取りに来るだけなんだから。」
と自分に言い聞かせて、やっと少しだけ落ち着いた。

それからすぐに部屋のチャイムがなり、

「はい。」

「俺だ。」

と、扉の向こうからいつもの返事が聞こえ、この頃には、あんたはオレオレ詐欺か……と小さく突っ込みを入れるほどあたしは平常心に戻っていた。

扉を開けると、スーツ姿の道明寺。

「お疲れ様。」

「……おう。」

会社では普通に交わされるそんな会話も、相手に照れられると、こっちまで恥ずかしくなってくるからおかしい。

「ちょっと、待ってて。
今、持ってくるから。」

そう言ってあたしは、逃げるように部屋に戻り、片手にジムの先生から預かったトレーニングプランの紙を持って再び玄関まで急いだ。

「はい。」

道明寺にその紙を差し出すと、すぐに受け取って小さく折り畳み、胸のポケットへとしまう道明寺。
そして、

「少し休ませろ。」
と、靴を脱ごうとしだす強引なこの人。

「ちょっ、ちょーと待った!」

「なんだよっ。」

「誰が入っていいって言った?」

「客を玄関に立たせたままなんて失礼だろーが。」

「バカっ勝手に靴脱ぐなっ。」

「うるせー、近所迷惑だぞ。」

全体重を使って侵入を阻止しようとしても、この大男に敵うはずもなく、逆にズルズルと廊下を引きづられるようにリビングまで連れてこられた。

「ふーん、思ったより広いんだな。」

「キョロキョロ見ないでよっ。」

「これ、おまえの両親?」

勝手に部屋を歩き回って、棚の上にある写真立てまで物色する。
そして、一通り見て満足したのかソファにドカッと座り込んだ。

「見て満足したなら帰りなさいよ。」

「冷てぇ女。」

「はっ?」

「おまえが来いっつーから来たんだろ。
茶でも一杯出せよ。」

「あんたって人は……。」

相変わらずでかい態度に呆れて、文句を言い返そうとすると、ソファに座りながら軽くこめかみを押さえている道明寺。

「冷たいお茶?温かいの?」

「冷たいやつ。」

「飲んだら帰りなさいよ。」

そう言ってキッチンへと行き、グラスにお茶を注ぎながら道明寺を見ると、今度は目を瞑りながら
またこめかみ辺りをグリグリと押さえている。

「…………はい、お茶。」

「サンキュ。」

「道明寺、…………頭痛いの?」

お茶を手渡しながらそう聞くと、少し驚いた顔をしてあたしを見る。
そして、クスッと笑ったあと、
「おまえのこと見たら、だいぶ楽になった。」
と不意打ちに甘い言葉。

「い、い、いつから?」

「夕方くらいか。」

「薬は?」

「放っておけば治る。」

そう言いながら、ソファに背中を預けて深く息を吐く道明寺は、いつもより疲れているように見える。
どうしても抜けられない仕事が出来た……確か滋さんがそう言っていた。

どんな大変な仕事なのか、あたしには想像もつかないけれど、疲れて頭も痛いのに、こうしてあたしに会いに来た。
うぬぼれるつもりなんて全くないけど、でも、それでも、道明寺がただ単にトレーニングプランの紙を取りに来た訳ではない、それぐらいは分かってる。

「道明寺。」

「ん?」

あたしの声に、ソファの背もたれから顔だけこっちに向ける道明寺。

「……マッサージしてあげよっか?」

「マッサージ?」

「頭、痛いんでしょ。少しは楽になるかも。」

「…………。」

「一応、これでもリンパマッサージの資格持ってるから。」

そう言うあたしに、驚いた顔をして固まる道明寺。
そして、
「……マジか。
まさか、そんな資格まで持ってるのかよっ。
資格魔だな、おまえは。」
と、呟く。

せっかく少しでも楽にしてあげようと思って言ったのに、そんなことを呟かれ、こんなやつにマッサージしてあげようなんて思ったことをすぐに後悔するあたし。

「いーよ、もうしてあげないからっ。」

「なんでだよ。」

「バカにしたでしょ今。」

「してねーよっ。」

「したね、絶対した。」

怒るあたしに、道明寺は笑いながらソファから立ち上がり、床に座るあたしの側まで来て、
「悪かった、怒んなって。」
と諭すように言うからズルい。

「どうしたらいい?座ったままでいいのか?」

「え?」

「マッサージしてくれんだろ?」

「あ、………うん。
このままでいい。」


あたしのその返事に、道明寺は床に胡座をかいて座り直すと、スーツの上着を脱いだ。






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 2016_02_20








ジムに通い出して3ヶ月。
週一で道明寺と参加したクラスも今日が最終日。
結局、花沢類が投げ出したクラスを、道明寺が代役してくれて最後まで続けることができた。

今日もいつもの時間にジムに行き、道明寺の姿を待っていると、先に滋さんが小走りで近付いて来た。

「つくしっ。」

「……どーしたの?」

何か言いたげに近付いてくる滋さんにあたしがそう言うと、

「司と話した?」
と、聞いてくる。

「道明寺と?ううん、話してないけど。」

「何度もつくしの携帯に電話してるみたい。」

「えっ?」

そういえば、会社を出てバイブにしたままの携帯を一度も見ていない。

「何かあったの?」

「それがね、急に抜けられない仕事が入って、どうしてもここに来られないんだって。
つくしが電話に出ないからあたしにかけてきたの。」

「……そっかぁ。」

思わず寂しげな声が出る。
どこかで、あたしは思ってた。
道明寺は絶対に来るって。

「司も残念そうだったよ。」

「っ、べ、別にあたしは残念とか、そーいうんじゃないし、仕事なんだからしょーがないよねっ、うん。」

気持ちを見透かされたようで恥ずかしくなったあたしは、大きな声でそう言うと、
「じゃあ、今日は一人で行ってくるよっ。
最終日だからね、今日休んだら皆勤賞貰えないからっ。」
と、滋さんにVサインを送り、クラスへと急いだ。








ジムのあと、滋さんと食事をして家に帰宅したのは10時半を回っていた。
ジムで軽くシャワーも入ってきたし、食事でビールを一杯飲んだからか、テレビを見ながらウトウトしていると、バイブにしたままだった携帯が鳴った。

画面を見ると、今日何度も見たその番号。

「もしもし。」

「牧野、俺だ。」

電話で話すのは久しぶりだからなのか、耳元で聞くその声がいつも以上に脳に響く。

「仕事は?」

「今、終わった。」

そう言ったあと、黙ったままの道明寺に、あたしは小さく「……道明寺?」と声をかけると、

「牧野、少しだけ会えねぇか?」
と、柄にもなく小さな声が返ってきた。

「今から?」

「ああ。車飛ばせば、20分でそっちに着く。」

道明寺はあたしのマンションを知っている。
あの日、滋さんと道明寺とジムの帰りに3人でご飯を食べに行った帰り、車でマンションまで送ってもらったのだ。
ビールを飲んでいた道明寺は、運転手つきの車を呼んであたしを送ってくれた。

たぶん、自分の車で送ると言われていたら、
断っていただろう。
男の人に対して、隙を作るなとパパにうるさく言われてるから。



「牧野?」
電話の向こうで道明寺が呼ぶ。

「もう、遅いからやっぱ今度にする。
今日は悪かったな、行けなくて。」
そう言って電話を切ろうとする道明寺に、思わずあたしは言っていた。

「道明寺っ、」

「あ?」

「あ、あのね、ストレッチクラスの先生からあんたのトレーニングプラン預かったの。」

「トレーニングプラン?」

「そう。あんた先生の話聞いてなかったの?
最終日に、個人個人に合ったトレーニングプランを先生が作って来てくれて渡してくれるって。
クラスが終わってからも、自分でトレーニングするときに役立ててくださいって。」

「あー、そんなこと言ってたな。」

「でしよ?それあたし預かってきてるのあんたの分。
…………だから、……取りに来る?……いま。」

自分で言って、あまりの恥ずかしさに真っ赤になりながら俯くあたし。
出来ることなら、今の言葉なかったことにして欲しい。

と、頭を抱えるあたしの耳元で道明寺が言った。


「行く。
すぐ行くから、待ってろ。」







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 2016_02_19







「お疲れさま~っ!」

ジムから程近いイタリアンのレストラン。
テーブルを囲んでグラスを合わせたのは、俺と牧野、そして……滋。

「っつーか、おまえまでなんでいるんだよっ。」

「お邪魔?」

「ああ。」

先週、牧野と食事に行く約束を取り付けて、今日はマジで死ぬ気で仕事を終らせてきたっつーのに、滋のお邪魔虫が付いてきた。

「いーじゃない。
ご飯食べたら先に帰るから。」

「速攻食べろ。」

「ひっどい男っ。」

滋の文句を聞きながらも、食事が進みくだらない話にも女子二人は楽しそうに笑ってる。
そんなこいつらを見るのも悪くない。
そう思いながらビールのグラスを空ける俺に滋が聞いてきた。

「司、ジムはどう?
司の家にあるジムの方が断然いいでしょ。」

「ああ。去年、トレーニングマシンを総入れ換えしたばっかだからな。」

「じゃあ、もうやめる?」

そう言いながらニヤリと笑う滋は、俺の答えを分かってるはず。

「やめねぇ。」

「つくしがいるから?」

「ああ。」

その答えに正面に座る牧野が眉間にシワを寄せるのを見て、思わず愚痴りたくもなる。

「そんなに嫌かよ。」

「べ、べ、別に嫌じゃないけどっ。
そういう、なんていうか、……あんたのストレートなところ、慣れなくて。」

「ストレートに言わなきゃ、おまえ信じねーだろ。」

「…………。」

そう言ってやると、ますますシワが深くなるこいつの眉間を、親指でそっと触ると小さくビクッと体が揺れる。

「好きだって言ってんのに、困った顔すんなよ。」

「道明寺っ。」

赤くなる牧野がすげーツボだと思いながら、見つめる俺に、飽きれ声で滋が言った。

「司、ようやくこっち側の気持ちが分かるようになったのね。」

「あ?こっち側?」

「そう。
あんた、今まであたしを含めてどれだけの女の子を傷付けてきたと思ってるの?
好きだって告白されて冷たく突き放してきた男が、今度は好きな相手に冷たくされてる。
あー、いい気味だわ~。」

心底楽しそうに俺と牧野の顔を見比べながらグラスを傾ける滋。
その横で、牧野がすげー驚いた顔をしながら言った。

「もしかして、二人って、……そういう仲なの?」

「そういう仲?」

「だから、……付き合ってた……とか?」

その牧野の言葉に、咄嗟に半身を乗り出した俺は、
「ねーよっ。誤解すんな。」
と、でけー声で弁解する。

「ないない。まぁ、一時期、司のこと好きだって思ってた時期もあったけど、今思えばあれは勘違いかな。若気の至りって言うの?
ルックスに惑わされて中身をよく見てなかったバカなあたしがいたわけよ。」

どこから突っ込んでやろうか口を開こうとしたとき、牧野がボソッと言った。

「滋さんと道明寺なら、お似合いじゃない。」

「……どーいう意味だよ。」

「だって、お互いお嬢様にお坊っちゃんでしょ?
それに、美男美女。
今、見てても話の馬も合うし、どこから見てもお似合いの、」

くだらねぇことをぶつぶつ言ってるこいつに、俺は言ってやる。

「おまえは、そういう事が大事なのか?」

「……え?」

「おまえにとって、家柄がどうこうとか、見た目が似合ってるとか、そんなくだらねぇことが大事なのかよ。」

「くだらないって……。」

そう言ったまま下を向く牧野に、やっぱりこいつにはストレートに言ってやんなきゃわかんねぇんだろうと思う。

「仕事一筋で、だせぇスーツ着て、乱暴で強情で可愛くねぇことばっかいいやがる。
……そんなおまえでも、俺は、……むちゃくちゃ惹かれてる。
それが、ほんとの好きってことなんじゃねーの?
おまえがさっき言った後付けの理由なんて、俺には全部くだらねぇ。」


これは、おまえに出会ってから何度も自問して出した結論だった。
どうして、牧野にこんなに惹かれるのか。
家柄?仕事のスキル?外見?
結局、どれも全部違うような気がする。
そして、自分で出した結論は、……本能。


「くだらねぇことは全部置いといて、ちゃんと、俺を一人の男として見ろよ。」








「あたし、そろそろ帰ろうかな。
あとは二人でごゆっくり。」

そう言って立ち上がる滋。

そして、俺をみてニヤリと笑いながら言った。

「司、あたし司のこと勘違いしてたかも。」

「……あ?」

「草食系の男かと思ってたけど、肉食系なのね。
しかも、がっつりと。
つくしの肉しか食べない猛獣かもしれない……。」




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司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
CPはつかつくオンリーです。
司をこよなく愛する管理人の妄想サイト。

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