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いつもと様子の違うつくしを不審に思いながらも、振動する携帯の画面を確認すると、着信は西田から。

「出ないの?」

「西田からだ。」

「切れちゃう、早く出て。」

つくしのその言葉にボタンを押して携帯を耳に当てた。

「もしもし、支社長。」

「どうした。」

固い口調の西田。

「つくし様ともうお会いしていますか?」

「ああ。」

「そうですか……。
あの、1つ支社長にお伝えしておきたいことがありまして、オフィスの方に一度戻って頂けないでしょうか。」

西田にしては珍しい。
仕事上の連絡ミスでもあったのか。

「なんだ?電話で済むなら今言え。」

「それが、…………、
実はつくし様のことでちょっと……。
支社長、奥様のご様子はいかがですか?」

その言葉に俺はピンときた。
西田の伝えたいことと、つくしの様子がいつもと違うことには何か関係がある。

「すぐに行く。」
俺は西田にそう言って電話を切った。






つくしには『すぐ戻る。』と言い残して、オフィスへと入ると、西田が先に待っていた。

「どう言うことだ?」

「実は先程…………、」

西田からの話を聞き終わった俺は、無性に腹が立っていた。
もちろん、その社員にもそうだが、一番腹が立つのは…………自分自身にだ。

「西田、あとは俺がフォローする。」

「……はい。」

「悪かったな。」

「いえ、私は何も。
ただ、……奥様は勘違いされていらっしゃいます。
ご自分がどれだけ特別な存在か……、」

そこまで言った西田に、
「ああ、分かってる。
その先は俺がちゃんと伝える。」
そう言って笑ってやると、

「私は今日はこれで帰らせていただきます。」
と、頭を下げてオフィスを出ていった。








西田からの話を聞いてプライベートルームへと戻ると、窓際に立つつくしの姿。

俺に気付き振り向いたあと、
「道明寺っ、ここからの夜景、すごいね。」
そう言ってはしゃぐ姿はいつのまにか、いつものこいつに 戻っている。

そんなつくしの隣に俺も並び、
「こうしたらもっと綺麗に見える。」
と、部屋の電気を小さなライトだけ残して消してやると、暗闇の中、夜景が浮かび上がるように輝く。

「……うん、ほんと綺麗。」

つくしはそう呟いたあと、黙ったままじっと夜景を見つめている。

「つくし。」

「ん?」

「これ。」

つくしの目の前に出したのは、二つのリングケース。
その一つを開けて、俺は小さな指輪を取り出した。

「つくし、手出せ。」

出されたその小さな指に、指輪をはめてやる。

そして、
「これはおまえから。」
そう言ってもう1つのケースをつくしに渡す。

つくしと同じデザインで作らせた一回り大きな指輪。それを今度は差し出した俺の指にはめてくれるつくし。

「つくし、この指輪の内側に日付を彫っておいた。」

「……日付?」

「ああ。
俺とおまえが結ばれたあの夜の日。
あの日の日付だ。」

その言葉に困った顔で俺を見つめるこいつ。
そんなつくしに、俺はありったけの気持ちで伝える。

「俺にとってあの夜は運命だと思ってる。
神様なんて信じてねぇ俺に、もしかしたら神様がいて、俺とおまえを結びつけてくれたんじゃないか、なんてバカなことまで考えさせるぐらい、俺は奇跡だと思ってる。
あの日から、俺はずっとおまえが頭に離れなくて、バカみてぇに会いたくて、呆れるほど好きで堪らない。
つくし、俺は……おまえを愛してる。
俺にとっておまえは、運命の女だ。」

こんなことを俺が口にする日が来るなんて、半年前までは考えもしていなかった。

「道明寺、……後悔してない?」

「アホかっ。するわけねーだろ。
その言葉、そのままおまえに聞きたい。
……俺と一緒になって後悔してねーか?」

ほんとなら、『後悔させない。』そう言いたい。
けど、不安なのは俺も一緒だ。
だから、おまえの気持ちをきちんと知りたい。

「うん。してない。
あたしも、あの日からずっと、……たぶん、……司が好きだった。」

「プッ……『たぶん』は、いらねぇ。」





お互いの薬指にはめられたそのリングが、どんな夜景よりも輝いて見える。

「これからは、俺の言うことだけ聞いてろ。
他のやつらが余計なことを言っても、全部聞き流して、俺だけを信じろ。」

その言葉に、コクコクと頷くつくしの頬を両手で包み込み、唇にキスを落とす。
1週間分……いや、半年分の我慢を吐き出すように手加減なしのそれに、

「……ンッ……つかさっ、」
と、胸を押し返してくるつくし。

「んだよ。」

「クチュ……ん……ここ会社……」

「誰も来ねーし、……クチュ……全然足りねぇ。」

つくしのブラウスのボタンを1つ外し、胸の膨らみギリギリのラインまで見えた肌に唇を滑らせていく。
そんな俺に、しがみつくように体を預けてくれるつくしが可愛くて、

「限界……、おまえを抱きたい……」
絞り出すようにそう呟いて
つくしの手をとり、俺はプライベートルームの奥にあるベッドルームへと入って行った。






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