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このイタリア郊外の古いホテルに滞在して5日目。
明日の朝、またイタリアの都市まで戻る予定で仕事も最後の大詰めに入った。

思った通り、このホテルは昔の趣を残しつつ設備も悪くない。
あと少し改装すれば問題なく使えそうだ。
それに何と言ってもロケーションが素晴らしい。

自然溢れる広大な敷地に、色とりどりに管理されたバラ園。
そして、昔使われていた牛舎を改装して造られた教会は、まるで違う世界へタイムスリップしたかのように美しい。

『あいつにも見せてやりたい。』

仕事が一段落したからなのか、俺の頭によぎるのは牧野のことばかり。
もう3週間近く会っていない。
そろそろ禁断症状が出始めている。

夜寝るときは電話であいつの声を聞いて満たされたまま眠りにつくが、朝が辛い。
目覚めたときに無意識に腕の中に牧野を探している。

あと一週間で日本に帰れると思っても、あいつのことを考えると恋しさで体が疼く。
今も一日の仕事を終えてバラ園を通り、宿泊しているホテルへ戻ろうとゆっくり歩いていると、肩を寄せあい並んで歩くカップルを見かけ、あいつの顔がちらついた。

日本で他の男にフラフラしてんじゃねーだろうな。
仕事からはまっすぐ邸に帰って来てるだろーな。

そんなことを思いながら部屋へと歩いている俺の目の前、30メートルほど先に、
白いワンピースを着た女が手を振って立っている。

やべぇ。
相当疲れてんのか、俺。
目の前の女が、牧野に見えて仕方がない。

立ち止まり、バラ園に視線を移したあと、もう一度目の前を見ると、
そこにはまだ幻かのようにあいつの姿。

幻でもいい。
少しのあいだ、牧野を見ていたい……。

そう思いながら、ワンピース姿のあいつをぼんやり眺めていると、振っていた手をおろし、不機嫌そうにズンズン俺の方に近づいてくる幻。
そして、

「久しぶりに会ったのに、なにその薄い反応。」
と、俺の胸を軽く押し返すこいつ。

「…………。」

「道明寺?具合でも悪いの?」
無反応の俺に、心配そうに顔を近づける。

「牧野?……夢か?」

「はぁ?なに寝ぼけたこと言ってんのよ。
……へへ、来ちゃった。」

「…………。」

照れたように笑うこいつ。
その仕草もちっせー体も、まっすぐに俺を見上げる漆黒の目も、幻じゃなくホンモノ。

「マジかよ……。」

「マジ。」

「どうやってきた?」

「イタリアには飛行機に決まってるでしょ。
ここには、昨日泊まったホテルの人に聞いて、バスできたの。
イタリア語なんて全然話せないから、あんたにもらった電子辞書が大活躍で、」

ここまでの経緯を真剣に話すこいつが堪らなく愛しくて、話の途中なのに我慢できず俺の方に引き寄せ抱きしめた。

「マジかよ……。」

「マジだって。」

「すげぇ、会いたかった。」

「……うん。」

「今もおまえのこと考えてた。」

「……うん。」

俺の胸にあるこいつの頭がコクンと揺れる度にこれは夢じゃなく現実だと実感する。

「道明寺。」

「ん?」

「あたし、一人で頑張ってここまで来たから、
ご褒美ちょうだい。」

「ご褒美?」

いつも、俺からのプレゼントに、
「勿体無い。」が口癖のこいつからご褒美が欲しいなんて、意外な言葉に抱きしめていた腕をほどき牧野を見つめると、

「道明寺もスーツだし、このままでいいか。」
と、訳の分からないことを呟いたあと、俺の手をとりズンズンと歩き始めた。




牧野に手を引かれ連れてこられたのは、
教会の前。
さっきまで暗かったはずのそこは、中からの灯りが漏れいっそう幻想的。

俺を見つめたあと、へへへともう一度笑ったこいつは、その教会の扉を開いた。





「…………西田、なんのコントだよ。」

思わず俺がそう言うのも無理はない。
正面の壇上には神父の衣装を着込んだ西田の姿。

「副社長、コントではありません。」

大真面目に答えるところも相変わらず。

「道明寺。
あたし、夢だったの。」

「夢?」

「こういう素敵な教会で、好きな人と二人手を繋いでバージンロードを歩くこと。」

「…………。」

「あんたは、豪華なホテルで盛大に式をあげたかったかも知れないけど、あたしはこれで十分。
ドレスも指輪もなくていい。
ただ、二人で……それがあたしの望む式。」

こいつは飾り気のない白いワンピースに、俺は仕事用のスーツ。
日本でオーダーしてた指輪もここにはない。

ただ、二人で……、
その牧野の言葉が俺の胸に染み渡る。

「牧野、ここじゃドレスも指輪もねーだろ。」

「そうだけど、」

「おまえの両親にも見せれねーし。」

「うん、……でもっ、」


でも、俺はこいつにも、牧野の両親にも誓った。
『こいつが一緒なら俺はどこへでも行く。』



「牧野、ほんとにいいのか?」

「うん。」

「後悔しねーか?」

「しない。」

まっすぐに俺をみつめてそう言うこいつ。
そんな牧野の手を取り、西田が待つバージンロードを見たあと俺は言った。

「おまえを一生幸せにする。
俺と結婚してくれ。」

「はいっ。」











「誓いのキスを。」

一通りの儀式を終えて、西田がそう言った。

西田が見つめるなか、牧野を引き寄せて軽く唇を
重ねる。
そして俺はどうしても気になっていたことを呟く。



「俺ら主役がこの服装なのに、なんでおまえだけ完璧に神父の衣装なんだよっ。」

「それは、牧野さんからぜひ神父役をやって欲しいと相談されましたので、至急用意しておきました。」

平然とそう話す西田に、俺は深くため息を付きながら言った。

「そんな時間があるなら、俺と牧野の衣装を用意しておけっ!」




彼と彼女の1年間
Fin



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 2016_09_26





道明寺がイタリアへ旅立った。

約1ヶ月に渡る長期の出張。
ブツブツと文句を言いながらも、毎日遅くまで準備に勤しむ道明寺を見ていると、仕事にかける想いにあたしまで熱くなる。

道明寺と婚約して一年。
長かったようで、あっという間だったような。

この6月にどうしても式をあげたいと駄々をこね、ドレスや式場のパンフレットを大量に集めていた道明寺も、イタリア出張のスケジュールを見て無理だと実感したようで、

「帰ってきたらすぐに式あげるからな。」
と、渋々ジェットに乗り込んだ。


あたしだって、道明寺の前では気のない振りをしているけど、それなりに結婚への憧れはある。
シンプルなドレスに身を包み、二人だけでもいい、神父さんの前で永遠の愛を誓いたい。





道明寺がイタリアへ旅立ち2週間。
毎日欠かさず電話をくれる。
同行している西田さんからも、詳細に書かれた道明寺の行動スケジュールがメールで送られてくる。

週末、特に予定のなかったあたしは、いつものように送られてくる西田さんからのメールに目を通していた。

今週の道明寺の出張日程。
買収予定のホテル視察のため、イタリア郊外に場所を移していた。
そこは、昔の貴族が使っていた洋館を10年前に改築しホテルとして使われているところ。
昔の趣がそのまま残され、イタリア内外からも隠れた人気ホテルらしい。

さすが、西田さん。
スケジュールだけじゃなく写真つきで送られてくるメール。
道明寺が数日間泊まるそのホテルの部屋や、中庭のバラ園、隣接されたレンガ造りの教会。
どれも日本にはない古い味わいがありステキ。

そのなかでも、あたしの目を釘付けにしたのは、
…………大きな鐘が特徴的な教会。

それは、まさにあたしが小さい頃から漠然と想い描いていた、『神父さんの前で永遠の愛を誓う』場所にぴったりなところ。


パソコンの前でその画像を何時間も見つめたあと、あたしはある決心をした。


手帳を開き、自分の仕事のスケジュールを確認する。
そして、通帳を片手にイタリアまでの航空券の見積もりを計算した。
大丈夫。
時間もお金も十分にある。

それならばと、すぐにイタリア行きの空席を調べるため飛行機会社のホームページを開いた。
道明寺はあと5日しかあの場所に滞在しない。
それまでになんとか間に合わせたい。

会社へ休む許可を取る前にチケットを予約するなんて反則だとは分かっていても、一度見たあのチャペルが忘れられない。

………いや、それはただの言い訳かもしれない。
2週間、道明寺と離れていて正直寂しさが募っていた。
あの教会で式をあげたい……それはイタリア行きの優先事項ではなく、『道明寺に会いたい』が本音だろう。

いつも、あいつが
『会いたい。』
そうあたしよりも先に口にするから、言えずにいたけど、
『会いたい』のだって、
『寂しい』のだって、
『今すぐ結婚したい』のだって、
気持ちはあんたと同じ。

いつもグズグズで、気持ちと連携してすぐに行動に移すことが苦手なあたしが、
こんな夜更けに手帳と通帳を片手にイタリアまでの航空券を予約しているなんて、
奇跡に近い。

でも、あたしは、
この人生ナンバーワンとも言える、大決断に、
「待ってなさいよ、道明寺。」
と、小さく呟きながら、チケットの予約クリックを押した。




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 2016_09_14





牧野の両親に承諾を得た俺たちは、急ピッチで結婚へ向けて動き出した。

毎日、俺がどっさり取り寄せたウェディングドレスの雑誌や式場のパンフレット、新婚旅行のプランに目を通しながら、

「ジミ婚でいいんだけど、あたし。」
と、呟くこいつ。

「一生に一度のことだ、誰にも出来ねぇような式にしようぜ。」

「誰にも出来ないようなって、どんなのよ。」

「だから、それは、……例えばハワイを島ごと一週間貸しきって式をあげたあと俺たち二人だけで過ごすとか、それとも、ハリウッドの映画監督に頼んで俺たちの式を映画にしてもらうっていうのもいいかもな。」

俺的にはかなりマジで話してるつもりなのに、

「あり得ないっつーの。
あたし、もう寝るね。」
と、呆れ顔の牧野。



牧野がどう言おうと、結婚式もドレスもハネムーンも最高のものを用意する…………、

そう誓った俺に、

「副社長、6月はイタリアへ出張が決まってますが……。」
と、相変わらず顔色1つ変えずに西田が言う。

「あ?いつだよ。」

「月のほとんどは向こうです。」

「あ゛?」

西田の説明によれば、
再来年着工予定のホテル建設地の下見や不動産売買の会談、新しく手掛けたショッピングモールの偵察など、イタリアでの仕事を詰め込んだらしい。

「んだよっ、ちょうど婚約して一年経つのが6月だしよ、あれだろ?6月に結婚すると幸せになれるっつうジンクスがあるんだろ?」

「まぁ、そういう言い伝えもあるようですが。」

「なんとかスケジュール調整出来ねぇのかよ。」

「出来かねます。」

こういうときの西田の返しはすげぇ早い。

「チッ……」

「副社長、舌打ちはお止めください。」

「チッ……チッ……」

「…………。」




6月に最高に思い出に残る結婚式をあげたかったのに、仕事でそれどころじゃねーことが分かったし、俺は日本にさえいない。

これじゃ、あいつはすげー悲しむだろうな、なんて思いきや、
「そうなの?じゃあ、式は延期ね。」
と、いともあっさりしやがって。

「6月じゃなくてもいいのかよっ。」

「別にいいけど?」

「ジューブライドだぞ?」

「ジューン・ブライドね。」

「…………。」



俺だけか?
結婚式に向けて盛り上がりまくってるのは俺だけか?


「道明寺、もう遅いから寝るよ。」

「…………。」

「寝ないの?」

「寝るっ!」

「キャッ!……バカっ、どこ触ってるのよっ。」



俺はまだ諦めていねぇ。
この最高に愛しい女に、

最高の場所で、最高のドレスを着て、最高の式をあげさせたい。



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 2016_09_13






「パパ、ママ?…………進たちまでどうして?」

エントランスから入ってきたご一行を見て固まるあたしに、

「おまえ、何やってんだよっ。」
と、一番後ろから入ってきた道明寺がみんなを追い抜かしあたしの側まで来ると、手から掃除機を奪い取った。

「どういうこと?どうしてみんながここに?」

この状況が飲み込めないあたしに、
「道明寺さんがね、つくしがどんな生活をしているか見にいらしてくださいっておっしゃってくれて、連れてきてくれたのよ。」
と、ママが嬉しそうに言う。

それを聞いてあたしは隣に立つ道明寺を見上げると、

「おとなしく邸で待ってろって言ったら、よりによってこんな事してるなんてよ…………。
お父さん、お母さん、いつもは掃除なんてさせてませんから、今日はたまたま暇だったからだろ?
普段は使用人が全部やるので、こいつが大変な思いをしてることはありませんから。」
と、必死に弁解してるところが可愛い。

「パパ、ママ、道明寺が言うことは本当。
今日はママにも進にも断られて暇だったから、タマさんにも手伝ってもらって気分転換に大掃除したの。」

そう言って壁際に立つタマさんを紹介するとママたちはペコペコと挨拶をする。




思いがけない道明寺邸見学ツアーは、楓社長の発案らしい。

元々、きちんと挨拶に行っていなかった道明寺が、あたしと一緒に実家に挨拶に行こうと思ってたところ、NYから帰国した楓社長が、
「それなら邸にお招きして新居を見てもらったらどうかしら?」
と、言ってくれたそう。

あたしへのサプライズをかねてママとパパだけでなく進の家族まで連れてきてくれたのに、当のあたしは汗だくで掃除機を抱えていたなんて、笑えない。
道明寺が不機嫌になるのも仕方ない。


楓社長も加わり、いつもより大きなダイニングでの食事会。
「着替えてこい。」
と、道明寺に言われたあたしは掃除中の時のジーンズとTシャツから、道明寺からプレゼントされたワンピースへ着替え道明寺の隣へ座った。

誰にも聞かれないよう、
「ごめんね。」
そう道明寺に呟くと、

「似合ってるから許す。」
と、真顔で言うところがズルい。

この人の言葉や仕草、どれも狙ってやってるわけじゃないはずなのに、あたしの胸をイチイチ刺激する。
それは、部屋を共にするようになって更に加速した。

今までどんな恋愛にも中途半端だったあたしが、今では絶対口には出さないけど、この人に夢中だとはっきり断言できる。

そんな風に思うのはあたしだけだろうか………。

そんなことを思った矢先、道明寺が言った。

「牧野家の皆さん、正式なご挨拶が遅くなり申し訳ありません。
僕たちは、………出会いはどうであれ、今はお互いきちんと想い合っています。
3か月後には婚約期間の1年が過ぎます。
それを機に、つくしさんと正式に籍を入れたいと思っていますが、許して頂けますでしょうか。」

突然の結婚挨拶にパパもママも慌ててフォークをテーブルに置き姿勢を正す。
そして、チラッとあたしの顔を見たあと、パパが何かを言おうとしたとき、

「ダメだと言われても、もうお返しできないわ。」
と、呟く楓社長の言葉にその場が一斉に笑いに包まれた。



食事のあと、邸でゆっくりと時間を過ごし、牧野家一行が帰るのをあたしと道明寺はエントランスで見送った。

「道明寺さんも、今度は我が家に遊びにいらしてください。
狭いですけど、食事も用意して待ってますから。
泊まって行ってもいいですよ。」

すっかり道明寺のことを気に入ったパパとママが嬉しそうにそう話す。

「やめてよ、ママ。
道明寺があんなところで寝れるわけないでしょ。」

「そうよね~、道明寺さんに合う布団がないかもしれないわ。大きいサイズの買っておく?」

「布団を買っても敷くスペースがないじゃない。」

「確かに、そうね。
茶の間ならどう?」

そんなあたしとママのやり取りを横で聞いてた道明寺が、

一言、
「どこでも大丈夫です。」
と言った。

「え?」

「今度、必ずご実家にお邪魔します。
寝る場所はどこでも大丈夫ですし、布団が小さくても構いません。
………彼女と一緒なら、俺はどこでも行きます。」


その道明寺の言葉に、あたしは小さく
「…………バカ。」
なんて呟いたけど、


ほんとは死ぬほど嬉しかった。



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 2016_09_12






この邸で暮らすようになってもうすぐ8ヶ月。
はじめは別々だったあたしたちの部屋も、道明寺の一声であっという間に内装作業がなされ、今ではすべて共有出来る空間になった。

普段は仕事から帰ってきて数時間しか過ごせない部屋も、週末はゆっくりと時間が過ぎていく。
道明寺も、以前のように週末まで会社に行くことは少なくなった。

今日の日曜日も、紅葉が色付き出した邸の庭を散歩して、そのあとは観たかった映画を二人で部屋で観ようと約束していたのに、昨夜になって突然、

「明日は予定が入ったから少し出掛けてくる。
おまえは邸にいろ。」
と道明寺が言う。

「じゃあ、あたしも買い物に出掛けて来ようかな。」
あたしがそう言うと、

「俺もすぐに戻ってくるかもしんねーから、おまえはどこにも行かずに邸で待ってろ。」
と、いつになく強い口調で言われ抵抗出来ず。

仕方なく道明寺の言う通り、邸で過ごす今日、
あいにく外は雨で散歩することも叶わない。
暇潰しにと読書をしてみるが、なかなか続かない。

そこで、つい先日待望の赤ちゃんが生まれたばかりの進に電話をして、
「どう?赤ちゃん可愛い?
暇ならこれから会いに行ってもいい?」
と聞いてみると、

「無理無理。今日は無理。」
とつれない返事。

そこで、今度は実家のママに電話する。
「ママ、何してる?
あたし今日、暇なの。
遊びに行くね。」
いつもなら、喜んでおいでおいでと言ってくれるパパにでさえ、

「今日はこれから出掛けなくちゃならないんだ。
ね、ママ?そうだよね?」
なんてちょっと芝居かかった口調で断られる。

道明寺には置いてきぼりにされ、ママやパパにも構って貰えず、あげくの果てに天まで大雨で見方をしてくれない。

しばらく部屋でグダグダ過ごしたあたしは、
こんな日はあれしかない!と思い立ち、邸で働くお姉さんたちの部屋へ行くと、
「困ります!」
というお姉さんたちをなんとか説得し、バケツと雑巾、はたきに掃除機というお掃除セットを持って部屋へ戻り、黙々と掃除に精を出すことにした。

以前は休みの日になったら自分のマンションの部屋を掃除するのが当たり前だったのに、ここへ来てからはみんなお姉さんたちがやってくれる。
あたしが手を出す隙がないほどピカピカにしてくれるそれは、有り難いけれど、申し訳ないといつも思っていた。

せめて自分達の部屋の掃除や洗濯くらいはあたしがするのに…………。
そう思っていたから、今日は絶好のチャンス。


ベッドのリネン類をすべて引き剥がし洗濯機へ入れると、新しいリネンをかける。
本棚、机を丁寧に拭いていき、広い部屋1つ1つに掃除機をかけていくと、あっという間に三時間ほどがたっていた。

「使用人たちが困ってますよ。」

振り返るとタマさんの姿。

「掃除や洗濯はあたしらに任せておくれ。
それが仕事なんだから。」

そう言ってあたしの側まで来ると、

「疲れただろ。紅茶を淹れるから少し休んでおくれ。」
と、優しく笑う。

「使用人たちがシェフに頼んで、つくしの好きなチーズケーキも焼いてもらったようだから、食べるかい?」

「もちろんっ!」

掃除のあとのご褒美にこんな嬉しい事はない。
あのチーズケーキ、フワフワで濃厚で美味しいんだよね~なんてウキウキしながら、使い終わった掃除機と雑巾をあたしが持ち、タマさんがバケツを持ってくれ、部屋から掃除道具があるエントランス横の小部屋へと運んでいるとき、

突然、エントランスのドアが開き、思わずあたしは固まった。


「ママ?……パパ?
進まで……どうしてここに?」




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今週末、ちょっと用事がありまして更新おやすみしまーす。
月曜までしばしお待ちを~。
 2016_09_09




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司一筋

Author:司一筋
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