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牧野への一生に1度の提案。
それは、



「雇用期間は……終身。
病めるときも健やかなるときも24時間365日。
給料は特に決めてねーけど、おまえが苦労するようなことは絶対ねぇ。
保障は一生おまえだけを愛すると誓う。」

「……道明寺?」

「当面の仕事内容は、俺の精神的サポートと子作りか……。
そんな難しい仕事じゃねーし、他の仕事とも掛け持ちOKだから安心しろ。」

「道明寺。」

「社宅っつー訳じゃねーけど、家はこのまま邸を使いたいと思ってる。
セキュリティーの問題を考えたら邸が一番安全だからな。」

そこまで言ってようやく俺の言いたいことが分かったのか、困惑ぎみに俺を見る牧野に、ポケットに忍ばせたあれの出番だ。

「牧野、」

「ん?」

「今言った条件をのんでくれるなら、
速やかに道明寺姓に変えてこれを左薬指にはめてくれないか。」

そう言ってテーブルの上に出したビロードの箱。

「…………ほんとに?」

「ああ。
こんなこと、嘘で言うかよ。」

「……雇用期間は終身?」

「ああ。死ぬまでずっとな。」

「もちろん、正社員でしょうね?」

「クックッ……ああ。
おまえしか社員はいねーよ。」

笑う牧野の目に涙がたまる。

「牧野、就職するか?」

「うん、……します。」



こうして俺たちは結ばれた。







それから、3年後。




「パパァ~、ママ死んじゃうの?」

「ばかっ、死なねーよ。
泣くな、おまえの妹が出来るんだぞ。」


陣痛の痛みで苦しむつくしを見て、くるくる頭の長男が心配そうに俺の膝に乗ってくる。


「ママ、頑張って!
痛いの痛いの飛んでいけぇ~。」


ベッドに横たわるつくしの側には黒髪のストレートヘアーの長女が健気につくしを応援している。


3才になる双子。
あのプロポーズからすぐに入籍し、これまたすぐに妊娠したつくしは、結局転職することなく二児の母になった。

「仕事したいなら復帰してもいいんだぞ?」
そう聞く俺に、

「仕事はいつでも出来るけど、子育ては今しかできないから。」
と、惚れ直す一言。

そんな俺たちに待望の3人目が授かり今日に至る。

病室にはババァと姉ちゃんも駆けつけ、つくしの両親と今か今かと赤子を待ちわびている姿。
そして、俺の膝の上には双子。



こんな未来を俺は想像していただろうか。
あの日、ホテルであきらとつくしに会わなかったら……。
そう思うと背筋に冷や汗が流れてくるほど、



俺は今、幸せだ!!






「そろそろなので、分娩室に移動します。」
看護婦がそう言ってつくしを連れて行く。

「旦那さん、どうしますか?」


もちろん、
「立ち合います。」
俺はそう言ってつくしの手を握った。




俺はどこまでも、おまえと行くぜ。



Fin






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デンジャラスワールド、完結です。
お付き合いありがとうございました。

次回は「恋人の距離」を短編で書いたあと、長編のお話を……と考えています。
リクエストで、もう一度元夫婦という設定のお話が読みたいとありましたので挑戦してみようかと思っています。

その他にも海ちゃんが登場するお話を……や、高校生の二人で周囲の反対がなかったら……など、妄想が膨らむリクエストを頂いていますので、ゆっくり考えてみたいと思います。


17日までお休みします。
ネズミの国へしばし行って参ります。
では、ありがとうございました!


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 2016_03_12






道明寺と喧嘩して2週間がたつ。
1週間目はあいつのことを考えただけでも腹が立ち涙腺が緩む毎日だったけれど、少しずつ冷静になってみて2週間が経過した今、会って謝りたいと思うようになった。

今日、今まで勉強してきた試験が終わる。
勉強を優先して、自由な時間をほとんど費やしてきたこの3ヶ月。
正直言って……限界だった。

道明寺との時間が足りない……。
女がこんなこと言うなんて……と、笑われるかも知れないけど、道明寺と二人で過ごしその優しさに包まれたいと切に思うあたしがいる。

試験会場から出るとすぐに携帯を取りだし、今一番会いたい人へコールする。
あんな別れかたをしたから怒ってるかもしれない。
電話に出てくれないかもしれない。
もしそうなら、邸に行ってみればいい。

そう思いながらかけた電話は予想に反してワンコール目で聞きたかった声が聞けた。

「道明寺?」

「おう。」

「今、大丈夫?」

「ああ、俺も今おまえにかけようと思ってたところだ。」

そのいつもと変わらない優しい声に安堵のため息が漏れる。

「おまえ、今日仕事何時ごろ終わる?」

「え?今日は試験だったから休んだの。
だから、」

何時でも……と言おうとしたあたしの言葉を遮って、
「7時に○○で待ってる。」
と、あたしのお気に入りのレストランの名前を言って切れた電話。

時計を見るとまだ2時。
1度家に帰って、きれいな服に着替えて……、
久々に会う道明寺に心が弾む。





********************


牧野と喧嘩して2週間。
俺の言い方が間違えたのは自覚してる。
だからこそ、今度は失敗しない。

そのために2週間かけて準備した。
派手なものは嫌がるだろうあいつのために、自らデザインして最高級のダイヤを埋め込んだリング。

それを手にしてすぐ、牧野の携帯へコールすると、俺がボタンを押すより先にあいつから着信があった。

「7時に、○○で待ってる。」
今から超特急で取りかかれば7時には仕事を片付けて会社を出られる。
牧野に会えると考えただけで胸が弾む。










待ち合わせのレストラン。
遅れることなく二人揃い、オーダーした飲み物が運ばれてきて、軽く乾杯をしたあと俺が切り出した。

「牧野、この間は、」

そこまで言うと、
「道明寺、この間はあんな別れ方してごめん。」
と、頭を下げる牧野。

「おまえは謝るな。俺がわりぃ。」

「ちがう。あたしが勝手に拗ねただけだから。」
と、こんなときも強情なこいつに、クスッと顔が緩む。

「次の転職先、決めたのか?」

「……うん。
来週、面談があってそれで通れば決まる予定。
また、3年の契約をするつもり。」

そう言って持っていたフォークを置いて、俺のことをまっすぐ見つめる牧野。

「あたし正直言うと、この間道明寺に言われたこと、カチンときたの。
あんたは派遣社員を見下してるって。
でもね、この2週間考えたんだけど、派遣社員ってことに一番コンプレックスを持ってるのは…………あたしなんだって気づいちゃった。」

そう言ってへへっ……と笑うこいつ。

「パパが長年勤めた会社をあっさりクビになったのを見て、細く長く勤めるよりも、太く短く働こうって自分で派遣社員を選んだくせに、結局はあたし自身が派遣社員って立場に後ろめたさがあったのかもしれない。
だから、それを隠すために一生懸命資格を取って自分を強く見せようとしてた。
でも、道明寺が言うように、派遣社員に会社はそこまで求めてなんていないんだよね。
あんたの言うことが正しいって分かったの。」

テーブルに置いたフォークを再び掴み、
「やっぱりここのパスタ美味しいよね。」
と、ニコニコ食い出すこいつに、今度は俺がフォークを置き言ってやる。

「牧野、」

「ん?」

「俺はおまえを尊敬してて、自慢の彼女だと思ってる。」

そんな俺の言葉に、
「熱でもあるの?あんた。」
と、聞くバカ女。

「強がりだろーが、コンプレックスだろーが、そんなのどうだっていい。
今までおまえが頑張ってここまできたことに俺は心底すげーと思ってる。
けどよ、だけどな、俺がおまえにこの間言いたかったのはよ…………、」

「ん?なに?」

「だからっ、資格とかスキルとか関係なく、素のおまえでいいって言う奴もいるんじゃねーのかってことだよっ。」

「素のあたし?……素っぴんってこと?」

「ちげーよバカっ。
いや、素っぴんのおまえも可愛いけどよ、」

「道明寺、声大きい。恥ずかしいでしょバカっ。」

バカバカ言い合って話が先に進まねぇ俺たち。

「牧野、ここからはマジな話だからよく聞けよ。


「ん。なに?」

「今からおまえにある条件を出す。
それを聞いておまえがいいと思ったらそこに就職しろ。」

俺の突然の提案に、
「はぁ?あんたなに言ってんのよ。
あたし、もう転職先決めたって言ったでしょ。」
と、睨む牧野。

そんなこいつに、
俺は一生に1度の提案をした。



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 2016_03_11






あのホテルでのロマンチックな夜から約一年がたとうとしている。

牧野との交際はいたって順調。
ババァや姉ちゃんの『3ヶ月で振られる』説を一蹴し、俺たちはラブラブだ。

俺の親は勿論、牧野の親にも認められる仲になり、そろそろ俺的には『結婚』の文字がチラつく頃だが、当の牧野はたぶん何も考えちゃいねぇ。

最近のこいつの脳内を占める話題は『転職』。
今の会社が2か月後には契約の3年を迎え、契約満了で辞めることが決まっている。
あきらが言うには、今の会社は牧野を手放したくないらしく契約継続を強く望んだようだが、牧野にオファーをかけている会社が多く、派遣会社がうんと言わなかった。

あきら自身も懲りずに牧野に仕事を依頼しているけれど、相変わらず牧野の答えは同じ。
『仕事の話は派遣会社を通して下さい。』

転職にあたって最近の牧野は忙しく動き回っている。
俺とのデートもめっきり減った。
その理由は、

「道明寺、ごめんっ。
今週末もドイツ語のレッスンがあって、会えそうにないの。」

「おまえ、先週もそれだったじゃん。」

「だから、ごめんって!
でも、その代わり火曜日にはお泊まりしたでしょ!」

「だな……、あのときのおまえ酔ってていつもより大胆で可愛いか……、」

「道明寺、殴られたい?」

「…………。」


俺との時間を削ってまでスキルアップを狙うこいつに
「そんなに頑張らなくてもいいだろ。」
と、思わず愚痴ると、

「次に就職する会社で少しでも役に立てるように勉強しておきたいの。」
と、相変わらずド真面目なこいつ。

そんなこいつに、
「そのバイタリティーを彼氏である俺に向けろ。」
と願ってる俺は、久しぶりのデートで
…………失態をやらかした。



「道明寺、本屋に寄ってもいい?」

「あ?映画の時間に間に合わねーだろ。」

「予約してる本、取りに行くだけだから。」

そう言って立ち寄った本屋が予想以上に混んでいて、予約した本を取りに行った店員がなかなか戻ってこねぇ。
ようやく店からでたのは映画が始まるギリギリの時間。

「ごめんね、道明寺。走ろっ。」

「……いいよ。次の時間に変更しようぜ。」

「でも、まだいまなら間に合うから走ろっ。」

「いいって!」

思わず怒鳴っちまった俺は、今思えばすげー欲求不満だったんだろう。
俺にとってここ最近の牧野との時間は、絶対的に不足していた。
本音を言えば映画なんて見ねぇで、部屋で二人でゆっくり過ごしたかった。

それなのに、今日だって映画のあとは資格試験の授業があるためさよならだ。
せめて、俺といるときだけは俺だけを見て欲しいと思うのは幼稚なのか?



「おまえさ、仕事仕事って頭の中はそれだけかよ。」

「そんなことっ……」

「おまえは確かに数ヵ国語をしゃべれて、数字に強くて、パソコンから大型トラックまで操れるマルチスーパー上級派遣社員かもしれねぇけどよ、
そんな資格なんて必要としてねぇ奴もいるだろ?」

「……どういうこと?」

「だから、おまえがいくら資格を取ろうが、関係ねーってことだよ。」

「関係ない?」

「ああ、そんな努力しなくても、」

そこまで言った俺に、牧野が静かに言った。


「道明寺はそう思ってたんだ。」

「……あ?」

「派遣社員なんて、努力しても無駄ってことでしよ?
そんなスキルを派遣社員に求めてないってことよね?」

「ちげーよ、そんなこと、」

「日本を代表する大企業のトップがそう言うってことは、きっと他もそうだと思う。
結局、道明寺も正社員じゃないあたしたちは黙っておとなしく時間給を貰っていればいいってそう思ってるんでしょ?
あたし、帰るっ。」


すげー怒った顔で、すげー震える声で、
すげー悲しそうにそう言って走り去った牧野。

それから2週間、俺たちは音信不通。





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 2016_03_10






いつもより遅く起きた今日、お互いシャワーに入り身支度を整える今も、まともに俺と視線を合わせないこいつが、すげー可愛い。

昨夜は時間を忘れてこいつに溺れた。
その証しに、牧野の耳の下には赤い痕。
髪の毛で隠してるつもりだが、時々チラッと見えるその痕に、体が疼く。

そんなことを思っていると、部屋にチャイム音がして、ようやく牧野が俺の方を見た。

「誰かな。」

「……さぁな。俺が出る。」

牧野にそう告げて部屋の入り口へ向かい扉を開けると、秘書の柴田の姿。

「専務、おはようございます。」

「おう。」

「会長が朝食を一緒にとおっしゃっておりますが。」

「分かった。」

そう答えると、
「すぐにご用意出来ますか?
何かお手伝いしましょうか。」
と、柴田が聞いてくる。

一週間の出張を終えて立ち寄ったNY。
今日は仕事も入れず日本に帰るだけの予定だからか、いつもよりオフな印象を与える柴田は短めのスカートに胸元が開いたブラウス。
俺を伺うような目線に吐き気がする。

仕事は有能だが、プライベートでは一切関わりたくない相手。
それを教えてやりたくなった俺は、柴田の目の前で部屋の中に向かって声をかけた。

「牧野っ。」

「…………。」

返事のないあいつに、聞こえてるはずなのに居ない振りかよ……と顔がニヤけるが、もう一度

「牧野。」
と呼んでやると、

「ん?」
とやっと小さく返事が聞こえる。

「親父が朝食を一緒にって言ってるけどよ、すぐに用意できるか?」

「えっ、あ、うん。大丈夫。」

そんな牧野の返事に柴田の顔が険しく曇るのを見ながら俺は言ってやる。

「あいつ、まだ髪濡れてるからあと30分後にしてくれ。
それと、帰りの飛行機、もう一人分頼む。」

その言葉に、無言で頭を下げ去っていく秘書。









30分後、親父と姉ちゃんを加えテーブルを挟み朝食を取る俺たち。
食後のコーヒーを飲みながら俺が切り出した。

「親父、話がある。」

その言葉にカップを置き俺に頷く親父に俺は言う。

「実は、……牧野との事で親父に嘘ついてた。」

突然の告白に隣に座る牧野が驚いた顔で俺を見る。
「道明寺っ?!」

そんな牧野の手をテーブルの下で握りながら、
「大丈夫だ。」
と小さく言ってやると困った顔をしながらも頷く。

「牧野と付き合ってるって親父に言ったのは、嘘だったんだよ。
親父が俺は後継者に相応しくねぇとか、見合いをしろとか、ぐちゃぐちゃうるせぇーこと言ってくるから、こいつにも嘘ついて付き合ってる振りをさせてた。」

「牧野さんにも嘘を?」

「ああ。
親父が死にそうな病人だから安心させたいって。」

その言葉に頭を抱える親父とそれを見て吹き出す姉ちゃん。

そんな二人を見て、牧野が
「すみません。
お父さんを騙すようなことして。」
と頭を下げる。

「つくしちゃんが謝ることないわ。」

「いえ、あたしも同罪です。」

「おまえは謝るな。」

そんな会話をする俺たちに、親父がポツリと言った。

「牧野さんは女優にはなれないな。
演技力が最悪だ。」

「……え?」
「……親父?」

「私は最初から分かっていたよ。
牧野さんが司の本当の彼女ではないってことをね。」
思いがけないその発言に固まる俺たち。


「1年前から付き合ってるにしては司のことを何も知らなさすぎた。
温厚で、優しく、心が広い?
牧野さんが私に話す司は、有り得なさすぎだ。
3日一緒にいれば分かるだろ?
司が横暴で、口が悪くて、誰よりも心が狭いってことは。」

酷い言われように思わずでかい声で
「親父っ!」
と叫ぶ俺に、クックッ……と笑いながら親父が言う。

「健気に彼女の振りをして私に気を遣ってくれる牧野さんが私は大いに気に入ったよ。
それに、見てればわかる。
いくら『振り』だとは言え、司が牧野さんに惚れてることはね。」

身内に心の内を見透かされ、恥ずかしさに水を一気に空ける俺に、
「それで?」
と、聞く親父。

「あ?」

「だから、それで、今はおまえたちはどうなってる?
まだ偽装恋愛中か?」

その親父の問いに、俺は姿勢をただし真剣に答えた。

「牧野には謝って1ヶ月のペナルティー食らった。
それで、昨日許してもらって……俺たち正式に付き合うことにした。
親父が恋愛しろって言ってた意味がようやく分かったよ。」

「どんな感じだ?」

「まぁー、強いて言えば、眠ってた細胞が動き出すっつーか、よみがえるっつーか、とにかくパワーアップした感じだな。」

すげー俺的には的確に上手い言い回しをしたつもりなのに、
目の前の姉ちゃんは首を降りながらコーヒーに口を付け、親父は盛大にため息をつく。

そして、
「牧野さん、分かっただろ?
図体だけはでかいが、頭のネジは外れてる。
今後は、君が側で鍛えてやって欲しい。」
と、親父が牧野に頭を下げる。



俺たちのテーブルには姉ちゃんと牧野の笑い声が響き、不貞腐れる俺と平然とコーヒーを飲む親父の姿。
そして、テーブルの下では、俺の手の中にすっぽりと収まる牧野の小さなあったけぇ手。








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「」

 2016_03_07







「好きだ。」

「…………ん。」

「すげー会いたかった。」

「うん。…………あ…たしも。」

キスをしながらそう言ってくれる道明寺に、同じ気持ちでいてくれたことへの安心感からか、また涙腺が緩み出す。

そんなあたしに、
「泣くなって。」
と言いながら、あたしの体を持ち上げ調理台の上に座らせる道明寺。

あたしと道明寺の目線がちょうど同じ高さになり、さっきまでのキスが激しさを増す。
こんなに求められて、こんなに求めてるのは今までの恋愛でも初めて。

キスの激しさと比例するかのように道明寺の手が動き出す。あたしの頬、首、肩……ひとつひとつ確かめるように優しく伝うその指に、固くなっていた体が少しづつほぐれていく。

ドレスのままのあたしの背中に回された手が、ドレスのリボンをほどいていく。
着るときはお姉さんにしてもらったそれを、今度は道明寺が……。

すると、キスの合間に唇を少しだけ離して、
「どうなってる、これ。」
と、囁くように道明寺が言った。

「え?」

「リボンほどくだけじゃダメなのか?」

そう言うと、あたしを抱きしめるような体勢になりながら、背中を覗きこむ。

「あー、えっと、リボンの下にファスナーも隠れてて……。」

「これか?」

「うん。たぶんそう。」

あたしがそう言うと、ファスナーが下ろされる音と共に、あたしを締め付けていたドレスの圧迫間から解放されていく。
それと同時に、今まで吹っ飛んでいた恥ずかしさが一気に押し寄せてくる。

「待って!」

「んだよ。」

「ぬ、ぬ、脱ぐのあたし?」

「脱がねぇと色々この先が出来ねぇだろ。」

平然とそう言う道明寺に、
「この先?色々っ?」
と、声が裏返る。

「ああ。色々。」

「そ、そうだよね、……確かに……。
でも、ちょっとだけ待ってっ。
あ、明るすぎるでしょ。それに、こんなところで……、シ、シャワーとかそういう問題もあるし、」

ファスナーが外されて緩んだドレスを胸元で押さえながらそう言うあたしに、

「おまえ動揺しすぎだろ。」
と、呟く道明寺。

「そう言う訳じゃ……、」

「また、前みたいにソファとベッドで離れて寝るか?」

「へ?」

思わず情けない声が出る。
あんなキスをされて、それで終わるとはあたしだって思っていない。
好き合ってる男女がひとつの空間にいれば、そういうことに……。

固まったままそう考えるあたしに、
「クックッ……おまえの眉間のシワすげーことになってるぞ。
ほんと、おまえといると飽きねぇな。」
そう言ってこの人は綺麗に笑う。


そんな道明寺を見つめて思う。
あたしは、この人のこの表情が堪らなく好き。
この1ヶ月、思い出すのはいつもこの笑顔だった。


「牧野?」

またジワッと目に涙が貯まるあたしを見て、道明寺が顔を覗き込み、

「だから、泣くなって。
今日はおまえの気持ちが聞けて十分だ。
ゆっくり行こうぜ、俺たち。」
と、あやすようにあたしに言う。

そんな道明寺に、あたしは一気に想いが溢れていく。
道明寺のネクタイを掴み引き寄せると、自分からキスをする。
さっきまでのキスとは比べ物にならないほどぎこちないキスだけど、あたしの想いが精一杯詰まったキス。

それに道明寺は黙って身を任せてくれる。
調理台に座るあたしが道明寺の頬にそっと手を添えキスするのを、道明寺は調理台に両手をつきながら受け止めてくれる。

そんな甘くてロマンチックな雰囲気を破ったのは道明寺だった。


「さっき言った言葉、撤回する。」

「…え?」

「今すぐ、おまえが欲しい。」


そう言うと、あたしの腕を道明寺の首に回しそのまま体を抱き上げられ、ベッドルームへと進んでいく。
その途中、きちんと部屋の明かりを消すのを忘れない道明寺は、

「これでいいんだろ?」
と、笑いながらキスをした。









恥ずかしながら、学生の時の一時期しかこういう体験をしたことがなかったあたしは、ほんとに、ほんとに久しぶりの行為に、道明寺に身を任せるしか出来なかった。

こんなことになるなら、ちゃんとジムで体を作っておくべきだったと後悔するほど、道明寺の身体は男らしくて綺麗。

そんな人に一糸纏わぬ姿を見られて、
「むちゃくちゃ綺麗……。」
と、呟かれた時は恥ずかしくて死にそうだった。


「ゴム、用意してねーけど、危険な日か?」
繋がる直前、耳元でそう聞かれボーッとする頭で必死に生理日を計算して、

結局、
「分かんない。」
と、呟くあたしに、

クスッと笑って、
「外に出す。」
と、あたしの耳を甘噛みしながら言った道明寺と、長い長い夜がふけていった。





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