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だりぃ…………。


朝起きてなんとなく体がだりぃと思ったが、ここにきて完全に熱が上がってきた。

「支社長、このあとの予定ですが…………、」

淡々と昼からのスケジュールを告げる西田の声も上の空。
それぐらい体があちぃ。
疲れがたまってたせいか、久々にやられたな。

「支社長?」

「……あ?」

「もしかして、具合が悪いのでしょうか?」

「いや、たいしたことねぇ。続けろ。」

そう言ってみたが、かなりヤバイ。
今日は役員会議があるだけで、あとはデスクワークが大半だから助かった。

「会議の時間になったら呼んでくれ。」

西田にそう言って、デスクに積み上がっている決算処理待ちの書類に手を付けた。



2時間後。
ジワジワと熱が上がって来るのが分かり、目の奥までも熱い。

「さすがにやべぇな。」
そう呟いて時計を見ると会議まであと30分。

仕事中はなるべく控えているあいつへの電話も、こういうときは無性に声が聞きたくなる。
デスクの上にある携帯を取り上げ、牧野へとコールする。

「………………もしもし。」

電話に出た牧野の声を聞いて、すぐに失敗したと気付く。

「わりぃ。おまえ夜勤明けだったか。」

「……ん。どしたの?」

舌足らずなこいつの話し方で、寝ていたと分かる。

「起こしてわるかったな。
少し時間空いたからおまえの声聞きたくなった。」

いつものように直球でぶつける言葉も、
「暇潰しかい、あたしは。」
と、えへへと笑うこいつ。

熱さとだるさで辛かったはずの体も牧野の声を聞いただけで薄れていくから不思議だ。

「道明寺?」

「ん?」

「なんか声がいつもと違うけど、もしかして具合悪いの?」

そんなこいつの言葉に、
「すげぇーなおまえ。」
と笑う俺。

「ほとんど話してねーのに分かるのかよ。」

「やっぱりっ!風邪っ?いつから?熱は?」
と、矢継ぎ早に質問してくる牧野。

「朝起きたらだるかった。
熱も上がってきたみてぇだな。」

「薬は?」

「のんでねぇ。」

「大丈夫?あたし、薬届けようか?
前に風邪で貰った薬が残ってるからとりあえず会社に届けてあげる。」

そんな牧野の声が電話から聞こえてくるが、それと同時にオフィスの扉から西田が現れた。

「大丈夫だ。
これから役員会議があるから時間がねぇ。
おまえの声聞いたら少しは良くなった。
起こして悪かったな。」

そう言って束の間の癒しの時間は終わった。





それからまた3時間後。
役員会議が終り、全員が退室した会議室で一人、
「完全にやべぇ。」
と呟く俺。

体の熱さに加え、節々に鈍痛が響く。
久々に寝込む風邪か…………。

ガキの頃はよくこんな風邪を引いた記憶がある。
朝起きると体がだるくて、徐々に寒気と共に熱が出て、そんな俺に一番最初に気が付くのはいつもタマだった。

「坊っちゃん、具合が悪いのですか?」

「うん。
タマ、……お母さんは?」

「奥さまはお仕事でNYですよ。
さぉ、タマが側にいますから薬をのんでゆっくり休みましょう。」

あの頃は、俺も普通のガキと同じように具合が悪いときはババァの存在を求めていた可愛い時期もあったが、俺の記憶にあるかぎりそこにババァがいたことは一度もなかった。

そんな昔のことを思い出していると、ポケットの携帯が鳴り出した。

「もしもし。」

「道明寺?」

それは俺が一番聞きたかった声。
そして、一番求めている唯一の存在。

らしくもなく弱気になった俺は呟いていた。

「牧野、……具合わりぃから、……側に来てくれ。」

「……道明寺?」

「会社にいる。
すぐ来れるか?」


こいつが夜勤明けで疲れてるっつーことも、
会社までこの時間なら車でも30分はかかるっつーことも、
私用でオフィスにくることをこいつは好まないっつーことも、

全部分かってる。
分かってるけど、
会いたくてたまんねぇ。


「牧野、俺、……風邪で死ぬかも。」


会議室のテーブルに突っ伏してそう呟いた俺に、



「バカなこと言ってないで早く会議室から戻ってきて。
あんたのオフィスで帰る支度して待ってるんだから。」

と、予想外の言葉。


「おまえ、今どこ?」

「だーから、あんたのオフィスっ。」

「マジ?」

「マジ。
西田さんから、もう帰っていいって了承得たから、さっさと帰って寝るわよっ。
薬も持ってきたし、来る途中でゼリーとポカリと冷えピタも買ってきたし……」


ポカリだか冷えピタだか、俺の聞いたこともねぇ単語を並べて説明する牧野の声を聞きながら、
さっきまで立ち上がる気力さえなかったはずなのに、会議室から出る俺の足取りはすげー軽かった。





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 2016_03_19







本音を言うと、この部屋は私の実家の愛犬パーサーの部屋よりも狭い。
数歩歩けば玄関からベランダまで行けるその空間。
そんな窮屈な場所なのに、なぜかここはあたしを癒してくれるとっておきの場所。

「つくし、ベッド変えた?」

「ほんとだ、先輩のベッドって前までシングルでしたよね?」

「あー、まぁ、古くなったから新しくしたの。」

「へぇ~~~、シングルからセミダブルにランクアップしたのは司のため?」

「ちっ、ちがうって!」


毎月1回開催されるつくしのマンションでの部屋飲み。
メンバーはあたしと桜子とつくしの3人。
何かと多忙な3人がこうして集まる日は、飲み物とつまみをたくさん買い込んで、仕事のことから恋愛話まで夜が明けるまで語るのが恒例の楽しみ。

「滋さん、何飲む?」

「梅酒!」

「またぁー?梅酒にハマって随分たつけどまだブームは続いてるんだ。」

そう言いながらグラスに梅酒を注ぎ、氷を2つカランっといれてくれるつくしは、さすが自分の部屋だけあってくつろぎ方が半端じゃないわ。

乾杯の前に、
「顔だけ洗ってくる。」
とバスルームに消えたつくしは、出てきたときは前髪をゴムでしばりツルッツルの素っぴん。
化粧水をパシャパシャと顔に乗せて、着ているトレーナーの袖を肘までまくり、
「さぁ、乾杯しよっか?」
と、グラスを持ち上げ体育座り。

「先輩、色気ゼロですね……。」
そんな桜子の呟きも、

「自分の部屋だからいいじゃない。」
と、聞き流し笑うつくしは出会った頃からなにも変わらない。


飲み会が始まって3時間。
だいぶ梅酒が効いてきて、最近付き合い出したダーリンとのラブトークでも聞いてもらっちゃおうかと思ったとき、つくしの携帯が鳴り出した。

「誰?」

「……道明寺。」

そう答えながら電話に出たつくしは、
「うん、……あるよ。今から?……わかった。」
と、話終え電話を切った。

「司、なんだって?」

「この間、手帳を忘れていったから取りに来るって。」

「今から?」

「ん。
あっ、でも滋さんたち来てるの話してあるから大丈夫。すぐ帰るよ。」

そう言って呑気にグラスに口をつけるつくし。

「…………先輩?もしかして、その格好で道明寺さんに会うつもりですか?」

「へ?」

「へ?じゃありませんよっ。
滋さんからもきちんと言ってください!」

呆れ顔で、あたしに助けを求める桜子。
桜子、あんたの言いたいことはよくわかるよ。
あたしたちの目の前には、トレーナーとジーンズ姿で頭の上にはチョコンと小さなちょんまげ。
素っぴんの肌はお酒のせいか天然のチークがかかり、普段より幼く見えるつくしの姿。

そんな女に今から会いに来ると言っているのは、あの道明寺司なのに、全く焦る気がないこの子は…………。

「せめて、着替えたら?」

「えー?なんで?いつもこれだもんっ!」

「そこ威張るとこじゃありませんよ先輩。」

そんな会話をしているうちにあっという間に玄関のチャイムがなり、
「鍵くらいかけろよ。」
と、言いながら司の登場。

仕事帰りなのかスーツ姿で、相変わらずこの男は……格好いい。
横に座る桜子も見とれているのがわかるほど。

そんな司はつくしの隣に座り、小さく笑いながら頭のちょんまげを指で弾き、
「いつものやつだな。」
と甘い声で言う。

それだけで、他の女ならノックアウト確実なのに、当の彼女は、
「はい、これ。」
と、忘れ物の手帳を手渡し甘い視線もスルー。

気の毒。
司が気の毒すぎる。
もし、この滋ちゃんが彼女だったら、甘い言葉に可愛く照れてお返しのキスでも……。
そんな妄想をブンブンと頭を振り必死に消して、心のなかでダーリンに謝る。

「道明寺さんも何か飲みます?」

「いや、俺車だから。」

桜子の誘いを断る司に、
「お茶淹れるね。」
と、つくしが立ち上がりキッチンへ。

「おまえらと会うの久しぶりじゃね?」

「そだね、確かあきらくんの家にみんなでお邪魔した時からだから、3ヶ月くらい?」

「そうですね。先輩とは毎月会ってますけど道明寺さんと会うのは久しぶりかも。」

そう言うあたしたちに、
「あいつもおまえらと会うのすげー楽しみにしてるから、……助かる。」
と、らしくないことを言う司。

「あいつの夜勤とか俺の出張とかでなかなか飲みに連れて行ってやること出来ねーし、かといって他のやつらと出掛けられるのは面白くねぇ。
おまえらとは家飲みだから心配いらねぇから助かる。」

そう言って戻ってきたつくしからお茶を受け取る司はどこまでも彼女に一途な男。
そんな司に、

「手帳なくて、ここ数日大丈夫だったの?」
とつくしが聞く。

「ああ。」

司の手には少し大きめなサイズの皮の手帳。
淡いブルーの皮が司にしては珍しい。
桜子もそう思ったのか、

「道明寺さんがそういうカラーの小物持ってるのなんか新鮮ですね。」
そう言って、
「ラッキーカラーですか?」
と、聞くと、

即答で
「すげー苦手な色だ。」
と答える司。

そんな司の横で、
「なら返してよっ。」
と、その手帳を奪おうとするつくし。

「クックッ……一度貰ったんだから俺のもんだろ。」

「でも、苦手なんでしょっ。
新しいの買うからそれ返せっ。」

「やだね、離せ。返さねーよ。」

どうやら、その手帳はつくしからのプレゼントらしい。
本気で苦手だと言う言葉を信じてるつくしと、そんなつくしが可愛くてしょうがない司。
ほんとこの二人は喧嘩しながらも無意識にイチャイチャするんだからっ。


結局、力で司に敵うはずもなく一度も手帳に触れることも出来ず拗ねるつくしの頭を、優しく数回撫でて、
「じゃ、俺行くわ。」
と立ち上がる司。

「朝、起きたら電話しろ。」

「ん。」

「飲みすぎんなよ。」

「わかってる。」

「玄関まで送れ。」

「だから、行くって今。」

そんな会話をしながらリビングから出ていく二人を見つめながら、

「飲みましょ、滋さん。」
と桜子が呟いた。

「ん、飲もう。
今日はとことん飲もう。
梅酒でいい?」

「またですかぁ~、いいですよ梅酒で。
とことん付き合います。」

「乾杯」

「乾杯」

「………………滋さん、私思ったんですけど、あの手帳、」

「あたしも思ってた。」

「ですよね、絶対そうですよね。
道明寺さん、確信犯ですよね。」

「間違いないわ。
今日、ここに来るために忘れていったんだよあいつ。
そこまでしてつくしに会いたいか?」

「でしょうね。
目の中に入れても痛くないって顔してましたから。」


「…………。」

「…………。」


そんなあたしたちの目の前に再び現れたのは、
相変わらずちょんまげスタイルでさっきよりも頬を赤くしたつくし。

「なにした?」

「玄関で道明寺さんとなんかしました先輩?」

「し、し、してないっ!」





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 2016_03_17





恋人の距離のリクエストを頂きましたので、
久々に登場です。
恋人の距離13を読んでからこちらを読むと、登場人物が分かりやすいかと…………。



*****************************************


「坂田さん、司様にお茶出してもらえる?」

「えっ、私ですかー。」

「そんな嫌な顔しないっ。」

そう言って先輩の吉川さんは苦笑いしながらリネン室へと行ってしまった。


私がこの邸でお仕えする旦那様は、
私と同じ年の、道明寺司様。

司様は道明寺財閥の一人息子で日本支社の副社長という凄すぎる肩書きをお持ちになりながらも、
それに恥じない美貌と頭脳、立ち振舞い、
すべてが完璧のお人。

そんな司様に私はこの邸に来る前から、密かに憧れ、淡い恋心を持っていた。




トントン。
「お茶をお持ちいたしました。」

司様のプライベート空間へ入れるのは、お茶を出すときか、お掃除の時だけ。
お掃除は司様のいない時にやってしまうので、唯一私が司様のお近くに寄れるのはこのお茶の時だけなのだ。

だから、嬉しくないはずがない。


だけど、…………
「そこに置いといてくれ。」
そう言ってデスクに向かいお仕事に励む司様のお部屋には、今日もピリピリとした空気が流れている。
ここ数日、邸に戻られてからも寝る時間を惜しんで仕事に向かわれている司様。

先輩の吉川さんによると、今までも何度かこういうことがあったそうで、その努力のあとは必ず大きな取引を成功させ世間を驚かせてきた司様。

今回も使用人たちすべてが成功を祈って、司様にお仕えしているわけだが…………
それにしても、…………心臓に悪い。

お茶を出す手が震えるくらい、張り詰めた空気が部屋を包み込む。
キーボードを打つ音だけが、鳴り響く。

あー、もうっ、緊張した!
次は絶対吉川先輩にやってもらおう。

そう思いながら、司様の部屋を出て使用人の休憩室に行こうと歩いていると、廊下の向こうから牧野様がこちらに歩いて来るのが見えた。

牧野さまと目が合い、立ち止まり深く頭を下げる私に、
「坂田さん、こんにちは。」
と彼女も頭をピョコンと下げる。

「道明寺、います?」

「はい、いらっしゃいます。」

私の返事にニコッと笑った牧野様は、もう一度頭を下げて司様の部屋へと歩いていった。



そう、彼女こそが
『司様の最愛の彼女。』
どこぞのお嬢様でもなく、特別美人でもない。
本当に、そこらにいる『普通の人。』
だけど、私たち使用人は知っている。
牧野さまの凄さを。

誰にでも礼儀と感謝を忘れず、常に周りを明るくする牧野様。
さっきだってそう。
「坂田さん、こんにちは。」
何気なく普通に言った挨拶だけど、私は驚いた。

個人的にお話ししたことなんかなかったし、自己紹介をする機会なんてなかったはずなのに、私の顔を見てすぐに名前を呼んだのだ。

そんなちょっとしたことの積み重ねで、今では私たち使用人は牧野さんのファンになってしまった
。司様だけじゃなく、私たちまで彼女が邸に来ることを心待ちにしている今日この頃。







「どうだった?」

「相変わらず。」

休憩室に戻った私に使用人仲間が声をかけてくる。

「あっ、でも牧野さまと廊下ですれ違ったから、今日は機嫌いいんじゃないかなー。」

「ほんとっ?よかったー。
司様のピリピリモードを癒せるのも牧野さましかいないしねー。
とりあえず、司様の仕事が片付くまで牧野さまには泊まり込みでいてもらいたいくらいだわっ。」

「あははー、ほんとそうだよね。
でも、牧野さまも看護士の仕事で忙しいからそうもいかないでしょ。」

タマさんがいないことをいいことに、好き勝手なことを話す私達。
と、その時、トントンと部屋をノックする音がした。

「どうぞ。」

「あのぉー、少しお邪魔してもいいですか?」
扉の隙間から顔を出したのは、……牧野様だった。

慌てて立ち上がり、身だしなみを整える私たちに
「あっ、いや、暇だから皆さんとお茶でもしようかなーと思って。
これ、クッキーなんですけど一緒に食べません?患者さんから差し入れで貰ったものなんですけど、うちの病棟、甘いものが苦手な人が多くて自然と私に集まってきちゃうんですよ。
嬉しいけど、太っちゃうでしょ。だから、皆さんにも食べるの手伝って貰おうと思って。」

そう言ってクッキー缶2つを嬉しそうに掲げて見せる牧野さまは、やっぱり年下の無邪気な女の子にしか見えない。


結局、使用人5人と牧野さまも加わり女子トークに花が咲き、一時間近くも話し込んでしまった。
そろそろ仕事に戻らなければ……

「司様を一人にして大丈夫ですか?」
吉川先輩が牧野さま聞く。

「ん、大丈夫。たぶんあともう少しだから。」
たったそれだけの言葉だったけど、牧野さまは司様のことをすべて理解してるんだなぁと思わせるには十分な言葉だった。






それから30分たった頃、
「またここにいたのかよ。」
そう言って、司様が使用人部屋に入ってきた。
一瞬にして部屋の空気が張り詰める。

なぜなら、当の牧野さまはソファで座りながら……眠っているのだから。

「お疲れのご様子でしたので、そのままにしておりました。申し訳ありません。」
吉川先輩が司様に頭を下げると、

「いや、いい。
悪かったな、おまえらの休憩室なのに。」
そう言って牧野さまの横に起こさないようゆっくりと座った司様。

私たちはそんな二人を視界にとらえながらも、邪魔にならない距離をとる。

すると、司様は眠る牧野さまの髪を一束つかむと、指先でクルクルと弄びながら、小さな声で
「起きろよバカ。久しぶりに会ったのに寝てんじゃねーよ。」と呟いた。

その声があまりにも甘くて優しくて、私は胸がキュンと苦しくなる。たぶん他の使用人も同じだろう。
起きろよ、と言いながらも髪を触る指も話しかける声も、どれもが牧野さまを起こさないように大事に大事に気遣われている。

その時、たぶん司様の携帯なんだろう。
ピピピ…………と、くぐもった機械音が部屋に響いた。
慌ててズボンのポケットから携帯を取り出した司様は、牧野さまを起こさないようにすばやく電話に出ると、
「ああ、…………そうだ…………ああ、
わかった。…………あとは、任せる。」
そう短い会話で電話を切った。

そして、私たちにも聞こえるくらいの音で一つ大きく息を吐き、携帯をソファに放り投げると、
再び牧野さまに視線を戻した。

「おまえも疲れてるんだな。
やっと俺も一段落したから、二人でゆっくりしようぜ。」
そう牧野さまに話しかける司様の顔は、さっきまでのピリピリした雰囲気は全く感じられず穏やかなものに変わっていて、一つの大きな仕事が終わったことを意味していた。






そんな二人を横目に私たちは仕事へと戻った。
そして、再び私が休憩室に戻った頃、
そこには、ソファの上で座る牧野さまの膝に頭をのせて眠っている司様の姿。

驚いた私に、
「ごめんなさい。道明寺、全然起きなくてっ。」
そう言って顔を赤らめる牧野さま。

「いえ、いいんです。ゆっくり休んでください。」
私はそう言って、再び二人と距離をとった。


私と牧野さまと司様。
とんでもない組み合わせで戸惑っていると、司様が少し寝返りをうった。

「道明寺?…………道明寺、起きて。」
と牧野さまが呼び掛けるが、司様は起きる気配がない。

それを見て、牧野さまは諦めたのか
「もうっ、久しぶり会ったのに寝ちゃった。
…………疲れたんだね。
でも、よかった。仕事終わったんでしょ?
…………少し二人でゆっくりしたいな……。」
そう呟いて、司様の髪を撫でていく。


どこかで聞いたような言葉。
そう、さっき牧野さまが寝ているときに司様が話しかけていた言葉とほとんど同じことを牧野さまも話しかけている。
二人で会話したわけでもないのに、顔を見ただけで 分かるなんて…………。




あぁ、私がお仕えする方がこのお二人で良かった。
想い想われ
愛し愛されているお二人。






私は、そっと部屋を出た。
…………部屋の入り口にこんなメモを残して。

『王子様とお姫様がお休み中です。お静かに。』









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 2015_03_21



俺はこいつの寝顔を見つめながら考える。
今日、おまえに何があった?
結局、最後まで何も話さなかった牧野。

今も眠っているはずなのに、俺の体にぴったりくっついて、離れようとしねぇし、眠りにつくまで不安そうな目をしていた。

明日だってお互い仕事なのは変わりねえし、一日中側にいてやることなんて無理なのはわかってるけど、こんなこいつを一人にしておきたくねえ。

明日、牧野が目覚めたらもう一度きちんと話をしよう。
内容によっては、こいつを邸に連れてくことも考える。
そんなことを考えながら、俺は眠りについた。



次の日の朝、牧野の携帯の音で目が覚める。
時計を見ると、朝6時。
そろそろ起きる時間だからしょうがねぇけど、誰だよっ、朝から。

「もしもし?あっ、野沢さん?お疲れ様です。
…………えっ!ほんとっ?
どーいうことそれっ!」

朝っぱらの電話だっつーのに、でけー声で話し始めた牧野。

「うん…………うん…………配線?
そうなのーっ!ハハハハーハハハァ~……。
ちょっと!怖かったんだからー!」

笑ったり怒ったり忙しー奴だなっ。
上半身を起こしてベッドに座る俺に気付いた牧野は、声は出さずに口だけで、
「おはよ」と、動かす。
俺は返事の代わりに、チュッとキスをする。

「それで?なおったの?
そっかぁー…………うん…………うん、
ほんとに怪奇現象だと思ったんだからっ!
あたし、あんな怖い思いしたのはじめて。
うん…………わかった。はーい、じゃあね~」

電話を切った牧野が、ギュッとおれに抱きついてくる。
さっきの電話で何となくこいつの気分が浮上したのはわかる。

「それで?おまえの不安はなくなったのかよ?」

「……うん!」

「全部?」

「全部。」

「じゃあ、もう何があったか話してくれるんだよな?」

「…………あのね、」



昨夜牧野は準夜勤務だった。
夜10時、消灯時間も過ぎた頃、ナースセンターにコールが響いた。
部屋番号を確認して、コールのあった患者部屋へ向かったが、部屋に入るとそこは誰にも使われていない部屋。
おかしいと思いながらも、一応部屋のなかに入り、異常がないことを確認するとナースセンターに戻るが、またしても10分後にコールが響く。
間違いなくさっきの部屋。
再び確認に行くが、もちろん誰もいない。
そんなことを4~5回繰り返しつつも、勤務交代の時間になり、先輩看護婦にその事を話すと、
「昔からあの部屋は幽霊部屋で有名なの。
だから、今は誰にも使わせていない。
あの部屋で人影を見てしまった人は、呪われる」
それを聞いた牧野は、怖くなって…………。


それが、こいつを挙動不審にさせてた原因。
そうなんだよっ。
こいつは、あの、誰もが恐れるうちのくそババアには全くひるまねぇっつーのに、幽霊とかには意外に弱いんだよなっ。

まさか、こんなことであんな弱った小鹿のような目で怯えてたのかと思うと、すげー笑える。
けど、それと同時に俺の体から緊張が解けるのがわかる。

どんだけ余裕ぶってても、牧野に何かあったと考えるだけで、俺は知らねえ内に体に力が入っちまう。

今日だって、牧野の側にいながらも、まさかストーカーか?ババアになんか言われたか?
俺と別れてーと思ってんのか?とか、色々くだらねぇことも考えた。

だから、結局幽霊騒ぎだったと聞いて、めちゃめちゃ安心する。

「そんで、幽霊はほんとだったのかよ?」

「それがね、昼間に電気の配線工事があったらしくて、ナースコールも配線ミスだったらしいの!あんまりあたしが怖がるもんだから、先輩面白がって、幽霊話を作り出したんだって。
もうっ!今日先輩に会ったら、許さないっ!」

頬を膨らませて一人怒ってる牧野がすげー可愛くて、俺はそのままベッドに押し倒すと、

「俺はその先輩とやらに感謝だな。」

「えっ?」

「おまえが俺に甘えてくるなんて、滅多にねえし、すげー可愛かったから。」

「っ!道明寺…………側にいてくれて……ありがと。」




そのままベッドで出勤前の残り少ない時間をじゃれあって過ごす俺ら。
言葉には出さなかったけど、

なぁ、牧野。
俺が一番嬉しかったこと、何かわかるか?

おまえが不安に思ってるとき、一番に俺に頼ってくれて、一番に側にいてほしいって思ってくれて、一番に甘えてくれた。


そう、
俺はいつだっておまえの一番がいいんだよっ。





Fin




こんなオチでしたが、うちの司とつくしにはシリアスな展開は似合いませんので~。
幽霊ぐらいでご勘弁を!

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 2014_11_17



牧野が作ったハンバーグを囲み、ローテーブルで食事する俺らだが、いつもは向かい合ってすわるのに、今日は俺のとなりにくっついてくる牧野。

9時半過ぎての夕食になっちまったが、泊まっていいと了承を得てるから、時間を気にせずゆっくり食える。

食事も終わり、さっきスーパーで買ったぶどうを皿に乗せて持ってくるこいつは、
「ねぇ!道明寺、見て見て!
すごい大きい粒のぶどう。あたしこんな巨峰食べるのはじめてかも!」
俺にとってのぶどうなんていつもこんなもんだけど…………と、思ったがそこはあえて口にしねえけど、目を輝かせて喜ぶこいつはすげー可愛い。

一つ一つ丁寧に巨峰の皮を剥いて口に入れる牧野を見て、俺も隣で同じように皮を剥くと、牧野の口へ入れてやる。

「んっ!自分でたべなよっ。
道明寺、ぶどう、好きなんでしょ?」

「いいんだよ、俺は。」

そう言って、更にもう一つ入れてやると、

「すっごく甘くておいしいよ~。
あたしが剥いてあげるから、食べてみて。」

俺のために巨峰を一粒取ろうとしてる牧野の頭に手を回し、後ろから押さえ込むと、

「おまえの味わうから、それでいい。」

そう言って、俺は強引にキスをした。
口内を舐めまわすと、ほんとに甘ぇ。
牧野の舌も絡めとり、甘さを全部吸いとると、

「すげー甘い。」と、やっと唇を離す。

「もうっ!バカ……。」

真っ赤になりながら呟く牧野に俺は抑えがきかねぇ。
再び牧野に襲いかかり、絨毯の上に押し倒すと、先程よりも深くて長いキスを繰り返す。

右手は服の上から体をまさぐり、胸を優しく刺激する。
「んっ…………ん……やっ…………」
胸のふくらみの先端が固く立ち上がり、服の上からも存在を主張している。
その赤いつぼみを口に含みたいと、服の中に手を入れようとしたとき、

「道明寺、待って……」

「んだよっ。」

「シャワー、入ろっ?」

「一緒に入るか?」

「…………うん。」

今までも風呂に一緒に入ったことはあったが、俺が強引に牧野が入ってるところに乱入するか、情事の後で足腰が立たないこいつの体を綺麗に洗ってやる時ぐれーしか許されなかった行為なのに、

「ほんとに、いいのか?」

「…………、今日だけだからね。」

その言葉を聞くか聞かないかの内に、俺は牧野を抱き上げてバスルームへと向かった。





一緒に風呂に入るっつーことは、自然とそうなるっつーことで、いくら我慢強い俺でもこんな目の前にエサを出されれば、我慢なんて通用するはずもなくて…………。

ようするに、さきほどからバスルームで情事に至る俺ら。
牧野はもちろん「ベッドまで待って。」と言ったが、「最後まではしねーから、少し挿れさせろ。」と、すでにトロトロになってる牧野の中へ俺のいきり立ったものを挿入する。

牧野を背中から抱きしめ、バックでするそれは、ベッドでするときよりも、野性的で恥ずかしいらしい。

後ろから二つのふくらみに手を伸ばし、揉みしだきながら律動を速めてやると、必死に押し殺してた甘い声が漏れ始めてくる。

俺もヤバイ…………と感じてきた頃、牧野の脚がピクピクと痙攣し、体を弛緩させていく。
イッタな…………。
「気持ちよかったか?」わざと聞いてやる

「やっ…………んっ……ダメ」

「ダメじゃねぇ。俺も気持ちよくなりてぇから。」
そう言って、最後のスパートに入る。

最後まではしねーって言ったのに。
ゴムさえもしてねーのに。
そんな雑念が頭をよぎる間際、全身に快感が走った。







「ごめん。悪かったって。
もうたぶんしねーから。」
たぶんを付けるのは忘れない。

情事を終えたあと、牧野の右足を風呂のふちに乗せて足を開かせ、俺の指2本を牧野の秘部に挿れる。
さっき牧野の中に吐き出した白濁の液体を、指で掻き出してやると、ドロドロと中から溢れ出してくるそれ。

「んっ……、道明寺っ。
自分でやってみるから、もう離して……。」

おまえが自分の中に指を入れるところは、そりゃ見てみてぇけど、

「もうすぐ終わる。
大人しくしてろ。」

「……んっ……や……んっ」

一度イッタこいつの中は、驚くほどやわらけぇ。
掻き出してやるって言いながら、なかなか指を抜いてやれねぇ俺は…………鬼畜だな。

それでも甘えてくる今日の牧野は、
すげー可愛い。





つづく





思いの外、長くなってしまい、明日完結です。
こんなことしてるから長くなってるんだよっ司くん!
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 2014_11_17




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