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同じ人間なのにどうしてこうも柔らかいんだろう…………。
そんなことを思いながら、ゆっくりと牧野の背中を上下に撫でる。

少しだけピクッと動いたあと、また小さな寝息をたてて気持ち良さそうに眠るこいつ。
あんだけガチガチに緊張してたから、疲れたんだろう。

自分から誘っておきながら、いざベッドに移動したら恐くなったのか、逃げ腰のこいつを今日は逃がしてやることが出来なかった。
それでも、寸前で
「やっぱやめるか?」
その俺の最後の助けに
「ううん。…………して。」
と、最大級の爆弾を投げてきた。







「道明寺……眠れない?」

寝ていると思ってた牧野が少しだけ目を開けて言った。

「いや、…………惜しい。」

「お……しい?」

「ああ。寝るのが惜しいんだよ。
おまえとこうしていられるのに寝ちまったらすぐに朝になるだろ。」

「ふふ……そうだね。」

「おまえは寝てろ。疲れただろ。」

そう言うと、急に恥ずかしくなったのか俺の胸に顔を埋めてくる。
俺はそんなこいつの耳にそっと口を近付けると、
「すげー綺麗だった。」
そう囁いてやる。

こいつは何も言わず、小さく俺の胸を叩いてくる
その仕草が可愛くて、更に
「すげーきもちよかった。」
追い討ちをかけるようにそう囁いて耳にキスを落とす。

まだ裸のままの俺たちは、牧野が少し動くだけでも肌が触れてさっきまでの情事を思い起こさせるには十分すぎた。
まだあれから一時間もたっていないのに、またあの快感に浸りたいと思ってる自分がいる。

寝かせてやりたい……そう思うけど、俺の体は素直に反応しすぎて、このままおとなしく寝れそうにもない。


抱き合ったままの体勢で、背中に這わせていた手を徐々に下におろしていくと、柔らかい牧野のお尻に辿り着く。
さわさわと触っていくうちに、
「……や……道明寺……」
と胸に埋めてた顔を少しだけ上げて俺と目線を合わせたこいつ。

まだ眠そうだけど、でもその潤んだ目は強烈に可愛くて、俺は堪らずにキスをした。
躊躇なく口内に入り込んだ舌で牧野の舌を誘い出す。
絡まるごとに止めどなく溢れるどちらのかも分からない唾液を、俺は甘い蜜のように飲み込んでいく。

お尻を触っていた手を太ももまで下ろすと、片足だけ持ちあげてやり、俺の腰の上まで持ってくると、自然と開かれた秘部にそっと指を当てる。

「まだすげー濡れてる」
そこはさっきまでと同様、甘い蜜でトロトロに濡れていて、俺の中指を簡単に沈めていく。

「……ん、やっ……」
抵抗して足を閉じようとするこいつの腰をホールドして、更に深く指を差し込んでやる。

「痛いか?」

小さく首をふるこいつを確認して、ゆっくりと指を動かしていく。

「道明寺……」
そんな困ったような声を出してもやめてやれそうになくて、はじめてなのに寝かせてやることも出来ないくらい俺はこいつに溺れてる。









朝方、廊下からかすかに使用人が話す声や足音が聞こえてくる。
いつもなら牧野はとっくに起きていて、まだ眠る俺を起こしに、この部屋に来る時間。
けど、今日は当の牧野はまだ俺のベッドの中。

かろうじて服は来ているけど、その重い瞼は一向に開きそうもない。
ほとんど寝かせてやれなかったし、体に無理をさせた自覚はある。

このちっせー体の隅々までキスを落とし、手を這わせ、堪能した結果、こんな時間まで起きれないぐらい疲れさせたか……。

眠る牧野の前髪をすいてやりながら、
「ごめんな。」
そう呟いて自嘲した。






トントン。
それから10分後に、俺の部屋をノックする音がした。

牧野を起こさねぇように声を出さずに扉を開けると、タマの姿。

「坊っちゃんおはようございます。
つくし、知りませんか?」
聞いておきながら、その答えはタマが一番知ってるはず。

「わりぃ。もう少し寝かせてやりてぇ。」
頭をかきながらそう答える俺に、

「無理矢理じゃないでしょうね?」
責めるような目のタマ。

「ちげーよっ。
……けど、遺言は破っちまったな。」

「ぷっ……。坊っちゃんにしては頑張ったんじゃないですか?
タマは坊っちゃんがここまで我慢強いとは思いませんでしたよ。
……それにしても、つくしが坊っちゃんをすっかり変えましたね。
昔は泣き虫だった坊っちゃんが、いつしか悪がきに成長して、ここ数年はずっと反抗期のような時期を過ごしてきたのに、つくしに出会ってすっかりいい男になってしまいましたよ。
そんな坊っちゃんももうすぐ結婚ですね。
……嬉しいような寂しいような。」
そう言いながらクスッと笑うタマ。

その顔が俺にはなんとなく泣きそうに見えた。
いつも勝ち気なタマがそんな顔をしたからなのか、俺は言うはずもなかったことまで、勝手に口から出てきちまった。そう勝手に。




「タマ、今までサンキュな。
タマがいなかったら俺はマジで…………死んでたかもしんねぇ。
ガキの頃の寂しさや、道明寺としての辛さ、孤独、怒り、……全部タマにぶつけてきた。
俺にとっては……ババァよりも母親みたいな存在だった。
悪かったな、今まで。
そんで、ほんとサンキュな。感謝してる。」




はじめてこんな恥ずいことを口にして、感謝を伝えてやって、泣くんじゃねーの?タマ。
そんなことを思った俺は、
やっぱり……甘かった。


「坊っちゃん、坊っちゃんから道明寺の名をとったら、ただの狂暴なろくでもない男になるだけですから、タマは必死に見守ってきたんです。
やっと結婚してその役目をつくしに頼めるかと思うと、ほんと目の上のたんこぶがなくなったようですっきりしましたよ。
くれぐれもつくしに逃げられないように気を付けてくださいましよっ!
タマはもう坊っちゃんのお世話はこりごりですからっ。」




そう言って俺の弁慶の泣き所を杖で一撃したあと、ニシシ……と笑いながら去っていきやがる。

「いてーなっ、タマのヤローっ!」
足をおさえてうずくまる俺に、

「坊っちゃん、ちゃんと男としてのマナーは守ったでしょうね?
10か月後にパパとママになってるなんてことになったら、遺言破ったことが知られて奥様に叱られますよっ!」

「うるせーっ、声がでけーんだよ。ボケ老婆!」





1か月後、俺たちは結婚する。
このタマが姑として付きまとうことは、
間違いない。




Fin



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昨日、「明日がラストです」とお知らせしたところ、たくさんのかたから結婚後の二人も読みたいとメッセージいただきました。
はじめから出会いから結婚までを……と思って書いていましたが、みなさんのメッセージを読んで結婚後の二人も書いてみようかなと思いました。

次回作はもう決まってます。
大人のオフィスラブ的なものかな。
でもこの二人だから大人の雰囲気になりきれないかもしれませんが……。甘め多く。

その次も決まってます。
結婚後のすれ違い的なものかな。
勘違いから溝が出来て、誤解が誤解を……。
でも、根っこはラブラブの二人です。

その次に、この二人の結婚後の生活を書こうかなと思ってます。
まだ学生の二人は結婚してどう変わる?
そしてラブラブ生活は?


妄想は膨らみますが、こんなど素人のあたしに書けるかな…………。不安はいっぱいですけど、
でも、頑張ってみたいと思ってまーす。

明後日から新連載始めます。
またお付き合いよろしくお願いいたします!

司一筋









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 2015_04_21






18歳の誕生日に突然言い渡された許婚話。
反発し言い争い拒否した翌日からの、まさかの同居。
価値観の違い、生活習慣の不一致で何度もぶつかったが、その度に俺はこいつに惹かれていった。

そして、告白。
恋愛経験ゼロの俺がする強引な告白に、これまた恋愛経験ゼロの不器用さで答えてくれたこいつ。

晴れて両想いになった俺らは、出会って半年後、ババァと牧野の両親を前に、
「許婚の話を了承したい。」
そう伝えた。

あれから1年、もうすぐ俺ははたちの誕生日を迎える。

「なぁ、やっぱもっとでけー方がいいんじゃねーの?」

「だからっ、こういうのは大きければいいってもんじゃないの。」

「けど、でけーにこしたことはねーだろ。」

邸の一室にずらりと並べられた宝石たち。
それを前に、外商たちが見守るなかこいつが選んだのは、ダイヤが控えめに飾られた華奢なリング。

「おまえが気に入ったなら俺はいいけどよ。
そんなちいせーダイヤでいいのかよ。」

「うん。あたしはこれが好き。
これなら、着けやすそうだしどんな服にも合いそう。」

そう話す牧野はどの宝石よりも綺麗だと思う。







1年前、許婚話を了承したいと伝えた俺は、すぐにでもこいつと結婚できると思ってた。
けど、そんな俺にババァから衝撃的な事実を告げられる。

「結婚はあなたの二十歳の誕生日まで出来ないわ。それも遺言で決められていますから。」

「っ!あ?」

「あら、言ってませんでしたか。
許婚の話を18歳の誕生日に伝えて、その後2年間の交際期間を経て結婚するようにと遺言で書かれています。
まさかこんなに早く結婚したいと言ってくるなんて思ってなかったから伝えてなかったわね。」

「ふざけんなっ。そんなことひとつも聞いてねーよ。どうせ結婚するんだから今すぐにでもいいだろ。」

「つくしさんは?どう思います?」

「あ、あたしは……二十歳まで待ちます。」

「てめぇーー!」



そんなすったもんだを経て、もうすぐ二十歳の誕生日を迎える俺。
その日に身内だけで式をあげることも決まっている。
今はそれに向けてドレスやリング選び、そして二人の新しい部屋に置く家具選びに奮闘中だ。




その日の夜、夕食後俺の部屋のソファにくつろぎながら、
「道明寺、明日はなんの業者さんが来るんだっけ?」眠そうな声で聞いてくる牧野。

「あー、……ソファとカーテンだったはず。」
俺はそう答えながらこいつの頭を俺の方に引き寄せてやり、優しく撫でていく。

「そっかぁ、もう毎日色々ありすぎて頭がパニック。」

「業者が勝手に来て、勝手にやって帰るから、おまえは何もしなくていいんだぞ。」

「わかってる。わかってるけど…………。」

「気になるか?」

「うん。…………だって、自分が選んだカーテンがどんな風だろうって……楽しみなんだもん。」


二人の新しい部屋の内装は全部二人で話し合って決めた。
もともと全く趣向の違う二人だったのに、いざ話し合ってみるとお互い思い描いていたものは見事に一致していて、何も揉めることなく進んでいった。
そして、それが徐々に形になってきて、もうすぐ完成しようとしている。


「おまえ、もう眠いんだろ。
部屋まで連れてってやる。」
眠そうな目のこいつを見て、俺が体を抱き上げようとすると、

「ううん。まだここにいる。」
そう駄々をこねるこいつ。

「明日も早いんだろ、もう寝ろ。」

「いや、もう少しだけ。」
こいつの体を抱き上げようとしていた俺の首に腕を絡めてきてそんなことを言ってくるから、我慢してる身としては堪らない。

「おまえ、あんまりそういうことすんなって。」

「ど……して。」

「聞くな。口にしたら抑えらんねーから。」



そう、俺たちはいまだに…………大人の関係になっていない。
付き合って半年で、あんな濃厚なキスまでしたのに、「大人の関係」になることはあの遺言で禁止されていた。

それこそ、ふざけんなっ!!となんど叫んだことか。そして何度もその禁止令を破ろうとしてきたけど、その度になぜか邪魔が入る。
もう、ほんとこれでもかってくらいにいいタイミングで入りやがる。

はじめのうちは隠しカメラがあるんじゃないかとか、盗聴でもされてんのか……なんて疑ったこともあったけど、タマからの「楽しみは最後まで」
なんて言葉を聞いたら何となく手をだしづらくなったのも本音だ。

けど、時々見せるこいつのこんな表情を見ると、抑えてたものが爆発しそうになってくる。
ここまで我慢したのに。
あと1ヶ月我慢すれば、俺のものになるのに。



「ベッドまで連れてってやるから、駄々こねるな。」
なんとか残りわずかな理性を総動員させて俺がそう言ってやったのに、どこまでも凶悪な俺の彼女。

「道明寺、…………キスして。」

その言葉に吸い寄せられるようにキスをしてしまう。

「もっと……。」

ギシッとソファがきしむ。

「もっと…………ん……もっと……。」

その声に答えるように、いや、それは言い訳で、俺の欲望のままに深くてエロいキスを仕掛ける。
いつものように『もう、ダメ……』と言わせるまで。




それなのに、今日はいつもと違った。
いつも言ってくるはずのその言葉のかわりに、

「道明寺……好き。」
めったに言わないそんなことを甘い声で言ってきやがる。

「バカっ。……我慢出来なくなるだろーが。」
なんとか返した言葉も、今日はあっさりとかわされる。

「いいよ。我慢しなくて。」

「ま……きの?」

こいつからの思いがけない言葉にキスを中断させて顔を覗きこむと、真っ赤になって目線をそらす。

「そういうこと言うと、本気にするぞ。」

「…………本気……だもん。」

「でも、遺言……」

「面白くない。」

「あ?」

「だってっ!出会いも、結婚の日取りも、ハジメテも全部遺言で決められるなんて面白くないっ。」

「日取りはおまえもそれでいいって言ったんだろ。」
急に駄々をこねだしたこいつが可愛くてからかうように言ってやる。

「でも、全部言いなりなんて面白くないっ。
そんな遺言に従ってる道明寺もキライっ。」

「おまえ、言ってくれるな。
俺だって遺言なんてくそくらえだっ。
どんだけ我慢してると思ってんだよ。」

「だから……我慢……しない、ん……くちゅ
……んぁ……くちゅ」

「我慢しないともっとエロいことするぞ。」

「……い……いよ。ん……ちゅ……」

「おまえの想像以上だからな。」

「くちゅ……ん……だい、じょー……ぶ」




あと1ヶ月待てば遺言どおりかもしれねぇけど、牧野の言うとおり、そんなのに従うのは俺らしくねえ。

そうだな。俺は好きなものは先に食べるタイプだ。
「楽しみは最後まで」
そんな性格じゃねーんだ。


「おまえの部屋?それとも俺の部屋?」

「どっちでもいい。」

俺はこいつの体を抱き上げて、俺のベッドルームへと入っていく。








「ババァにバレたらお前も共犯だからな。」

そんな言葉に二人でクスッと笑いながら、ハジメテの夜がはじまる…………。





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明日でラストです。


 2015_04_20





「坊っちゃん、坊っちゃんっ!」

扉の向こうからタマの声がする。
時間切れか…………。

「今、開ける。」
タマに向かってそう返事をした俺の体の下から、スルリと牧野が抜け出して逃げやがった。

そのままベッドルームをぬけると、部屋のドアへ走っていき、扉を開けた。

「先輩、あいつこらしめてやってくださいっ。」
それだけ言うと、自分の部屋に消えていった。

あの女っ。

開け放たれたドアからタマが非難めいた顔で俺を見つめてきやがる。
「坊っちゃん、つくしをあんまり苛めないでやって下さいまし。」

「苛めてねーよ。むしろ、可愛がってやってるというか…………。」

「顔が緩んでますよ。」

「う、うるせーっ。」

「坊っちゃん、つくしはまだお預かりしてる子なんですからね。
来週、奥様が一時帰国されたときにでも、きちんと二人の気持ちを伝えたらどうですか。」

「ふ、二人の気持ちって?」

「何を今さら。お互いバレバレなのに……。
隠してるつもりなのは本人たちだけですよ。
まったく、使用人の士気が下がるから、そのデレッとした顔、やめてくださいなっ。
とにかくっ!奥様に報告するまでは接近禁止ですからね。」
ビシッと俺に指まで突きつけてきやがる。

「わかったよっ。」










ババァが半年ぶりに日本に帰国する。
前回帰国したのは俺の誕生日の日だった。
そう、あの許婚話を聞かされた日。

あのときは、半年後、こんな風になってるとは思わなかった。

「ちょっと、もう少し離れてよ。」

「何でだよ。照れてんのか?」

「照れてないし。狭いのっ。」

「俺はこれぐらいがちょうどいいんだよ。」

半年前に俺たちがはじめて会ったメープルの和食レストランの座敷。
今日はここで半年ぶりにババァと会食をすることになっている。

「前回はお料理食べ損なったから今日は楽しみ」
そうニコニコ話す牧野は強烈に可愛くて、タマに釘を刺されてるのも忘れて 手を出したくなる。

そこに、ババァが到着した。

「お待たせしたわね。
つくしさん、お久しぶり。」

「こ、こんばんは。お久しぶりです。」
立ち上がりペコリと挨拶するこいつ。
俺はそれを座ったまま見ながら、
「いいから座れよ。」
とこいつの腕を引っ張る。

そんな俺らを見て、
「なんだか、雰囲気が変わったわね……。」
とババァが嬉しそうに言った。

それからは俺らの学校生活についてや、牧野の友達関係、弟の話など一時間ぐらい話したか。
俺はこんな風にババァと話すのも初めてだったけど、こんな穏やかな顔を見たのも初めてだった。

仲良く話してる二人を見て、じいちゃんもこんな気持ちだったのか……と思う。
ギスギスした関係だった俺とババァも、牧野がいるだけで、笑いが生まれる。
牧野と出会って俺が変わった。
そして、ババァも変わった。

きっと俺のじいちゃんも牧野のじいちゃんに出会って人生が変わったんだろう。
子孫に伝えたいと思うほどに…………。


「おふくろ、話がある。」
牧野とババァの話が途切れたのを見計らって切り出した。

「許婚の話、受けようと思ってる。」

その俺の言葉に、少しだけ驚いた顔をしたババァは無言で牧野を見つめた。

「私も同じ気持ちです。」

なんの迷いもないその言葉に、俺は咄嗟にテーブルの下でこいつの手を握った。
その小さな手がギュッと握り返してくる。




半年前、数奇な運命を呪った俺だったけど、
半年後の今日、その運命に死ぬほど感謝してる。





「そろそろ時間ね。
邸でお客様が待ってるの。
移動しましょうか。」
ババァのその言葉で会食を切り上げて邸に戻った俺らの前に、牧野の両親が待っていた。

「パパっ!ママっ!」

「つくしーーー!!」

こんな感動の再会は見たことねーよっつーぐらい抱き合って喜んでるこいつら。
そして、両親の隣に立っていた若い男にも、
「元気にしてたの?会いたかったーっ。」
そう言って抱きついた牧野。

俺はそれを見て、慌てて
「おまえ、何抱きついてんだよ。
離れろっ。誰にでも気安く抱きつくんじゃねーよ。ったく」
そう言って二人の間に入る。

無理矢理引き剥がされた牧野は俺の腕の中で、「ちょっとっ!何勘違いしてんのよ。弟だってばっ、弟の進。」
そう叫ぶ。

あー、これが牧野の弟か。

「はじめまして、弟の進です。
ねーちゃんがお世話になってます。」
そう言ってペコリと頭を下げる弟。
なかなかかわいいやつらしい。

俺は牧野を腕に囲ったまま、両親に
「前回はきちんと挨拶もせずすいませんでした。今日はゆっくりしていってください。」
そう言って腕の中の牧野を二人に差し出した。













「奥様、おかえりなさいませ。」

「タマ。」

「どうなさいましたか?部屋に入られないのですか?」

応接室のガラスの扉から中の様子を伺っている奥様に声をかけた。

「ええ、このままで。」

そう話す奥様の瞳が少し潤んでいるように見える。

「先代の先見の明はやはり素晴らしかったようですね。坊っちゃんがあんな風に変わるなんて。」

つくしの両親と話す坊っちゃんの顔は半年前までは見たことのないように穏やかで落ち着いている。

「私には何をしてもあの子の心を開くことが出来なかったけど、つくしさんはこんなに簡単に司を変えたわ。
あの遺言に賭けてみてよかった…………。」


そう話す奥様の顔は本当にほっとしていた。
数年前、タマが奥様から坊っちゃんの許婚話を聞かされた時、奥様はたぶん迷っていらっしゃったのだろう。
遺言に従うべきか、自分の息子の意思に任せるべきか。

当然、遺言に従えば、今以上に親子関係にヒビが入る。
それでも奥様は許婚話を進めた。

それは、決して坊っちゃんを苦しめるためではなかった。
荒れた坊っちゃんの心をもう一度解かしたい一心で賭けに出たのだとタマは思う。


「奥様、坊っちゃんは本当に優しい子に育ちました。それはつくしに対する接し方でもわかります。
あの二人を見ていると、まるで、昔の奥様たちを見ているようでタマは幸せです。」







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 2015_04_18






「開けろ。」

「イヤだっ。」

壁ひとつ隔てて繰り返す言い争い。
そこにタマが通りかかって、

「なんですか、二人とも。
新しい遊びでも始めたんですかっ。」
呆れたように言ってくる。

「タマ、俺の部屋の鍵よこせ。」

「ダメっ、タマさん!」

「じゃあ、開けろ。」

「それも無理っ。」

そんな俺らの会話を聞いて、
「つくし、諦めな。
坊っちゃんがこんなに楽しそうな顔してるのに、味方しないわけにはいかないんだよ。
どうせ捕まるんだから、あたしの手を煩わせないで早く出ておいで。」
扉の向こうに呼び掛ける。

「タマさんの裏切り者っ!」

「全く、この子は…………。」

タマはそう言って制服のポケットから鍵の束を取り出して、
「30分後に様子を見に来ますからね。
あんまりつくしをいじめないでやってくださいな。」
俺に鍵を手渡した。









ガチャ

部屋の扉を開けると、そこにあいつの姿はなく、俺は部屋の奥までゆっくり歩いていく。
そして、ベッドルームを覗くと、布団にくるまった丸い塊が座っている。

ブッ…………。
結局、逃げ切れなくてその体勢かよ。
俺は笑いを堪えて、

「バカ女。あんまり手焼かすな。」
そう言ってベッドに座るこいつの隣にあぐらをかいた。

「おまえは駄々っ子か。」

塊がモゾモゾ動く。

「顔見せろ。」

モゾモゾ。

「襲うぞ。」

ビクッ……モゾモゾ。
その言葉に布団の隙間から顔だけ出したこいつ。

「赤ずきんかよおまえはっ。」

暗いベッドルームの中で、隣の部屋の明かりだけがうっすらと入り込み牧野の顔を映す。

「ったく、ほんとおまえは手がかかる女だな。」

「……手がかかる女で悪かったわね。」

「おまえさ、類にあんまり、そのぉ、恋の相談とかするなよ。」

「っ!……べ、べ、別に恋の相談なんて、」

「かわいすぎるだろっ、バカ。」

照れ隠しにこいつの鼻をつまみながら言ってやると、

「なっ、なに言ってんのよ。」
そう言ってモゾモゾ顔を布団で隠そうとするこいつ。

そうはさせねえ。どこまでも往生際がわりぃ。
頭に被ってる布団をズリッと首までひん剥いてやり、こいつの顔を両手で固定しながら強制的に俺と目を合わせてやる。

「なぁ、30分たったらタマがここに乗り込んでくる。
だから、時間がねーんだよ。
俺の質問にちゃんと答えろ。」

「…………。」

「俺のことどう思ってる?」
以前も聞いた同じ質問。

「ど、どうって、……別に」

「はっきり言え。」

「だから、……そんなこと急に、」

はぁーーー。
相変わらず逃げ腰のこいつ。

「おまえさぁ、他のことならあんなに威勢がいいのに、肝心なことになるといつもそうやって逃げるよな。」

「に、逃げてなんて、」

「いや、逃げてるだろ。
俺の質問だけじゃなく、自分の気持ちからもおまえは逃げてる。
そんなに俺が好きだって認めたくねーのかよ。
そんなに俺を好きになることが屈辱的か?」

「そっ、そんなことないっ。」

「だったら、どうしたらおまえの気持ち聞かせてくれんだよ。
俺はおまえが好きだ。
好きなやつが自分のことどう思ってるか知りてぇって思うのはわがままか?」

「…………。」
困ったような顔で黙ってるこいつ。

「はぁー。…………わかったよ、もういい。
おまえが言いたくねぇなら仕方ねぇ。
……自分の部屋、戻れよ。」
両手で挟んでたこいつの顔を解放してやり、そう言うと、

「だから…………あたしも、……好きだって。」
すげーちいせぇ声で牧野がそう言った。

引っ掛かった。

「あ?」
すかさず、再び両手で頬を包み込み強制的に目線を合わせてやる。

「だからっ、……あたしもあんたが好き。」

「聞こえねぇ。」

「うぅー、……好きだってば。」

「もう1回。」

「好き。」




たぶん、にやけた顔のままキスをした。
「俺もおまえが好きだ。」

想いが通じてからのはじめてのキス。
軽くチュ、チュ……と唇を重ねて、こいつの顔を覗き込むと、潤んだ目でまっすぐ俺を見つめてくる。

そんな顔で見つめられると、我慢が効かなくなるってことをこいつは知らない。
タマが乗り込んでくるまであと何分…………。

そんなことを思いながら、俺は再び牧野の唇に食いついた。
牧野の柔らかい唇にゆっくり自分のそれを押し当てて、感触を味わうようになぞっていく。
何度も繰り返すと、こいつの唇からも体からも力が抜けてくるのがわかる。

更に柔らかくなった唇は簡単に俺の舌も受け入れ、俺の唾液と牧野の唾液でヌルヌルとした感触が俺をすげー変な気分にさせてくる。

ほどよく力の抜けたこいつの体からくるまった布団を剥がしてやり、キスをしながらゆっくりとベッドに横たわらせた。

「道明寺…………ん……」

キスの合間に漏れる、ピチャピチャと卑猥な音が部屋に響く。

「ん…………くちゅ……」

「すげーきもちぃ。」

「ちゅ…………ん、…………くちゅ」

「もっと口あけろ。」

「んん……や…………くちゅ」

「舌出して。」

「もう……ん…………くちゅくちゅ。」


今まで手加減してた分、今日はしねえ。
知れば知るほどこいつのすべてが甘すぎて、俺の脳をとかしていく。

「……道明寺……ん……も……ダメっ、」

「……もう少し。」

完全にトロトロになった俺の脳は、更に深く求めて全身をしびれさせる。
目で、鼻で、口で、手で牧野を感じたい。
後頭部に回していた手を、ゆっくりと耳から首、そして胸へと移動せようとした時、



ドンドンドンドン。

「坊っちゃん、タマです。
約束の30分です。
つくしが無事かどうか確かめにきましたよ。」





タマのやろーっ。
きっかり30分に来やがった。
俺の味方ならこういうときは空気を読めよっ!






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 2015_04_17






牧野の部屋でキスをしたあの日、
「…………ごめん。」
あいつはそう言って、キスを遮った。

「俺のことどう思ってる?」
これに対する答えがそれなのか…………。
それとも、性急すぎたキスに対しての答えだったのか…………。

あれから2週間、なんとなく気まずい俺たち。
ふいに、二人きりになったタイミングを見計らって、あいつが俺に何かを言いかけるが、
「いや、…………何でもない。」
そう言って口ごもることが何度か。

俺もそれに深く追求はしない。
『ごめん。』の意味を知るのが怖いから。








隣の部屋に好きな女がいるのに、考えれば考えるほど近付けねえ。
今日も夕食後、自室でパソコンに向き合っていると、トントンと部屋をノックする音がした。

「誰だ?」

「司、俺。開けるよ。」

姿を見せたのは類。

「おう、どうした?おまえがこんな時間に珍しいな。」

「ん、ちょっとね。」

「入れよ。」

部屋の扉の所で立ち止まったままの類にそう言うと、
「いや、司に会いに来た訳じゃないから。」
そう言って手をヒラヒラさせる。

「あ?どういう意味だよ。」

「俺、今日は牧野に会いに来たの。
そういうことだから、じゃあね、司。」

「おいっ、ちょっと待てよ。」

俺は慌てて類のところまで飛んでいく。
そんな俺を横目に、類はもう隣の部屋をノックしてやがる。

「まーきの。」

「…………花沢類?」

驚いたような声が部屋から聞こえたかと思うと、扉が薄く開いた。

「暇だったから遊びにきた。」

「えっ?」

「てめぇー、遊びにきたって何時だと思ってんだよっ。」

「司、うるさい。俺、牧野に会いに来たんだから、司は関係ないでしょ。」

「関係あるんだよっ。ここは俺の家だ。
部外者は俺の許可なく入れねーんだよ。」

「タマさんが、いらっしゃいって入れてくれたよ。」

「タマのやろーっ!」

部屋の前で言い合う俺と類。
それを見て、呆れた声で、
「とにかく花沢類、部屋に入って。」
そう言って牧野が扉を大きく開けた。

類が牧野の部屋に入るのを黙って見てるわけもなく、俺も強引に類より先に部屋に入る。
牧野の、ちょっと!とか、類の、痛いなぁーとか、そんな文句が聞こえてくるのも無視して、部屋のソファに沈みこんだ。

俺の隣に類も座り、その斜め横のソファに牧野が座る。
「花沢類どうしたの?」

「牧野に会いたくなって来た。」

「類、てめぇー。」

「花沢類、電話くれれば良かったのに。」

「顔見たかったから。」

「類、ふざけんなっ!」

「道明寺、うるさい!!」
「司、うるさい!!」

二人から睨まれても、この状況で黙っちゃいられねぇ。

「類、こいつは俺の許婚だ。
いくら類でも、こんな遅くに部屋に二人きりには出来ねぇ。
話があるなら明日にしろ。」
俺が至極全うなことを言ったはずなのに、

「司、俺は心配して来てあげたんだけど。」
当たり前のような顔で言い返される。

「心配?何のだよ。」

「あれ?牧野、この間のこと司に聞いてないの?」

突然牧野に話題を振った類に、はじめは何の事か分からない様子でボケーとしてたこいつが、急に慌て出した。

「えっ!ちょっと待って。
花沢類っ。余計なこと言わないでよっ。」
その慌てぶりが気に食わねぇ。

「何だよ。俺に言ってねぇことって。」
一気に不機嫌になった俺が牧野の顔を見て聞くと、

「いやっ、別に、何でもないし。」
あからさまに視線をそらす。

「類っ、言え!」

「ダメっ、花沢類っ!」

「いいから言えよっ。」

「だから、ダメだって!」

類を挟んで俺たち二人が言い争うのを、ケラケラ腹を抱えて笑ってやがる類。

「二人とも落ち着きなよ。
ほんと飽きないねあんたたち。」
そう言ってやっと笑いをおさえた類が、突然
「牧野、ごめん。」
と、言った。

そして、
「ねぇ司、司って今まで何人の女と付き合ってきた?」
そう楽しそうに聞いてくる。

「あ?……類、気でも狂ったか?」

「いや、まだ大丈夫。何人?」

「ふざけんなっ。おまえも知ってるだろーが。」

「知ってるけど、何人?」

「はぁーーー。だから、俺が誰とも付き合ったことなんてねぇこと類も知ってるだろ。」

「今の聞いた?牧野。
はい、次。
司、何人とキスしたことある?」

「あ?おまえ大丈夫か?」

「何人?」

「…………ひ、ひ、ひとり。」

「牧野以外で?」

「んなわけねーだろ。」

「はい、次。
好きになった女の数は?」

「類、病院行けよ。」

「司、何人?」

「だーかーらっ、こいつだけだっ!」

「クックックッ……はい以上。
お疲れさまでした。
牧野、悩みは消えた?
司って、こういうやつだから。
牧野が心配してるようなこと、何にも経験してないウブなガキなの。
そーいうことでっ、じゃあね。」





類が言いたいことだけ言って帰っていく。
残されたのは、ポカンとしてる俺と、真っ赤になってソファに体育座りをしてる牧野。

俺はそんなこいつをじっと見つめたあと、
「牧野。」
と小さく呼んだ。

そのとたん、ガバッと立ち上がり逃亡するこいつ。
俺は寸でのところで、こいつの腕を掴み損なって逃げられたっ。
逃げ足の早い牧野は追いかける俺をかわして、ドアから飛び出すと、いきなり隣の俺の部屋に入りやがった。

ガチャ。
鍵までかけやがった。



「おいっ、開けろ。」

「いやっ。」

「俺の部屋だぞ。」

「あんたがそこから居なくなったら出てくから。」

「おまえが出てくるまでここにいる。」

「バカっ!」






どっちがバカなんだよ。
人の部屋に立てこもってどうすんだバカ女。
すげー笑えて、すげー……かわいい。
ったく、類の言ってることがそのままなら、どんだけかわいい心配してるんだよおまえは。

早く開けろ。
ただで済むと思うなよ。




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