花沢類の突然のダンス発言があったあの日から、あたしたちの休憩場所である非常階段はダンス練習場となった。

ダンスなんて踊ったこともないあたしは手取り足取り何から何まではじめての事。
なんであたしが踊らなきゃなんないのよ……と愚痴を言いたくもなるけれど、

「牧野、司の家に行ってみたくない?」

その花沢類の悪魔の声に黙るあたしは、どんだけあいつがいいんだろう。
時々思い出すあの笑顔に、いまでもこの小さな胸がドキッと鳴るから始末が悪い。

「牧野、ステップは完璧。
あとは力を抜いて俺に合わせてくれれば大丈夫。」

「うん。」

この2週間、びっちりと花沢類からダンスのステップを習った。
大勢の人がいる中で恥をかきたくないし、花沢類にもかかせたくない。

「花沢類、ありがとね。」

ダンスの体勢のまま彼を見上げてそういった時、
突然非常階段の扉が開けられた。

扉から顔を出したのは、最悪にも道明寺。
でも、あいつはあたしたちを一瞬見たあと、
「おっっ、わりぃ。」
そう言ってすぐに出ていった。

何が起こったのか分からず固まったあたしは、次の瞬間慌てて花沢類から体を離した。
これは、完全に誤解されるでしょ。
ダンスの練習だと知らなければ、ただの抱き合ってるカップルにしか見えない。

そんな慌てるあたしとは対象的に、花沢類が扉に向かって言った。

「司、そこにいるんでしょ。
入っていいよ。」

その言葉に扉がガバっと開き、
「ったく、昼間っからイチャつくんじゃねーよ。」
と道明寺が現れ、非常階段に座った。

「イチャつくって、勘違いしないでよっ。
あたしたちはダンスの練習してたんだからっ。」

今日の道明寺は学園の制服ではなく、スーツ姿。
いつもより少し大人っぽく見えるその姿にキュンと鳴るバカな胸。

「司、なんか用だった?」

「おう。類おまえ、喜多川かおるの連絡先知ってるか?総二郎に聞こうと思ったらあいつ帰りやがってたからよ。」

「喜多川かおるって、喜多川建設の娘?」

「ああ。」

「俺は連絡先知らないけど…。
司はなんで知りたいの?」

「今日の約束、遅れるって連絡してーんだ。」

道明寺のその言葉に思わず顔をあげるあたしに、花沢類はクスっと笑い、

「もしかしてデート?」
と、道明寺に聞いた。 

「あ。んな訳ねーだろ。」

「じゃあ、何?」

「ババァに勝手にセッティングされた。」

その言葉に今度は声を出して花沢類が笑った。

「それは、デートじゃなくてお見合いだね。
司の母さんにセッティングされたって事は相当本気かも。」

「ふざけんなっ。」

道明寺はただでさえクルクルの頭を、ワシャワシャと自分で掻き乱しため息を付いている。

お見合いか……。
しかも、喜多川建設のご令嬢と。
だから今日はそんなスーツ姿だったのに、バカみたいにかっこいいと思ってしまった自分を殴ってやりたい。

そんなあたしの気も知らずに、

「牧野、司お見合いだってさ。
いつもと違うスーツ姿はどう?」

なんて、いじわるな質問をしてくる花沢類に、あたしは即答でかえす。


「全然、似合ってない。
すっごくダサくてかっこ悪い。」

「ブッ……腹痛い……。」
「……てめぇーー!」




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 2018_04_19





『司が好きなの?』

唐突に聞かれたその言葉にうまく返すことが出来ないあたしを見て、

『へぇ〜、新鮮。』

と、クスクス笑い花沢類は非常階段から去って行った。



それから今日まで一週間。
あたしは地獄のような日々を送っている。

なぜかと言えば、
「ま〜きの。」
と、どこからともなく聞こえる花沢類の声。

あたしを校内で見つけるたびに、ニッコリと笑いながら呼ぶ花沢類に、あたしは一生の汚点である秘密を握られているのだ。

「ま〜きの。」

ほら、今日もまた花沢類の声に背筋がゾクッとしながら振り向くと、そこには最悪、まさかの道明寺の姿も。
F4勢揃いであたしの方をみている。

「こんな所で食事?」

あなたに会いたくないからここでお昼を食べていますだなんて、その栗色の瞳に言えるはずもなく、

「あ、はいー、天気がいいので…」
なんて曖昧な返事で誤魔化したけれど、

「誰?類の知り合い?」
と、西門さんと美作さんが興味ありげにあたしのお弁当を覗いてくる。


「2年の牧野つくし。
非常階段でよく会うんだ。
それに、司に興味が」

「花沢類っ!」

「あー、ごめんごめん、他の女子みたいにオープンじゃないんだったよね牧野は。」

「はぁ?」

「秘密の」

「花沢類っ、それ以上言ったら殴りますっ。」

「ハハハ…新鮮すぎる。」


あたしの弱みを握り確実に楽しんでいるこの人は、ある意味道明寺よりも極悪だ。

あたしをからかって楽しそうに笑う花沢類。
その隣に立つ道明寺にチラッと視線を送ると、
あたしの話になんか興味も無いようで携帯をいじっている。

そんな態度をみると腹が立つ。
勝手に抱いている恋心だってことは充分理解しているけれど、ここまで一方通行だとドキドキを通り越して腹が立つ。

「タ、タマさんは元気?」

「ああ。」

唯一の共通の話題も呆気なく終了。

「なに?司と牧野って知り合い?」

「…ああ、ちょっとな。
それより、おまえが食ってるそれ、なんだよ。」

あたしのお弁当に入っているおかずを指差しそう言う道明寺。

「あ、これ?
きゅうり入りちくわ。こっちはチーズ入り。
道明寺、食べてみる?」

「いらねぇ。」

「…あっ、そう。」

せっかく交わした会話も、またまた呆気なく終了。

そんなあたしたちの様子を眺めていた西門さんと美作さんが、なぜかニヤニヤした顔で言った。


「つくしちゃん、お兄さんたちは君のこと気に入ったよ〜。」

「はい?」

「司のことなんて呼んでるの?」

「……道明寺…ですか?」



「プッ……クックック……腹痛てぇ。」
「司おまえ、呼び捨てにされてんのかよ。」

「うるせぇ。
てめぇも、俺のこと道明寺様って呼べ!」

「はぁ?なんで様なんかつけなきゃなんないのよっ。」

「…てめぇ、ぶっ殺されたいのかっ。」

「やれるもんならやってみなさいよっ。
名前くらいでちっちゃい男ねっ!」


好きな男にこんな事を言ってしまうバカはあたしぐらいだろう。
恋愛なんてする環境になかったあたしは、どうやら恋愛に向かないらしい。

「ケンカすんなって二人とも。
司、こんど司の邸で開かれる卒業パーティーだけど、俺、牧野同伴で行ってもいい?」

「あ?」

「パートナー同伴でって書いてあったよね?
牧野、ダンスは踊れる?」

「え?ダンス?」

「俺のパートナーとして踊ろう。」


何を考えているのだろう。
ニコリと笑う花沢類があたしには悪魔に見えてしょうがない。




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 2018_04_18


雑談

Category: 未分類  



こんにちは、司一筋の管理人です。
いつもコメント、拍手ありがとうございます!

コメントは返信をさせて頂いておりませんが、とても嬉しく読ませて頂いています。
私の毎日の楽しみです。

2週間ほど前のコメントにとても面白い質問がありましたので、ここで回答させて頂きたいと思います。

質問
管理人さんの書いたお話の中でどの司が1番エロいですか?

回答
ずばり総務課の牧野さんです。
読んで頂けるとちょいちょいエロい司が出てきます。

っていうか、この質問、爆笑してしまいました。
そして、一週間ほど悩みました(笑)
一番エロい司探しに必死の一週間を過ごさせて頂きました。貴重な時間を下さいまして感謝です!




今日は『花のち晴れ』が放送されますね。
楽しみのような怖いような。

原作の漫画はつい最近まで読んでいませんでしたが、この間一巻から九巻まで大人買いをし、一気に読みました。
やっぱり面白かったです。
神楽木さん、最高でした。
彼の『〜だが。』という話し方にやられました。
まだ読んでいらっしゃらない方、是非どうぞ〜。


これからも原作に負けないよう、キュンキュンさせる司を目指していきたいと思っております。
よろしくお願い致します。




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 2018_04_17





道明寺の笑顔は、あたしの胸を鳴らすのに充分過ぎるほどだった。


英徳学園の非常階段でひとつ大きく深呼吸をする。
ここがあたしの学園内で唯一気が休まる場所。

コンクリートの壁によし掛かり下を眺めると、学園内の噴水が見える。
その周りをぐるりと車が通過でき、朝は運転手付きの外車で溢れかえる。
その中でも一際目立つ長く黒光りしている車が道明寺家のものだ。

その車が学園の門を通過すると、他の生徒たちの車は自然と前を開け、生徒たちは一斉にその車を見つめる。
中から道明寺が現れると女子たちの歓声が聞こえ、螺旋階段で目をつぶっていても分かる。
道明寺が登校したことが。


「相変わらず、派手な登場だこと。」

車から降りてきた道明寺を見て、思わずそう呟いたあたしは、昨日のあいつの笑顔を思い出して頬が熱くなる。

「腹立つ、腹立つ、腹立つ。
なんで鳴るのよこの胸はっ。」

ムカつく男なのに一瞬の笑顔だけで人を惹き付けるあいつもそうだし、それを見て頬が熱くなる自分にも腹が立つ。

「なんでよっ、どうしちゃったのあたし。
あー、ほんと、腹立つぅーーー!」

道明寺の周りを囲む女子生徒の黄色い歓声にかき消されるよう、控えめにそう叫んだあたしは、
階段に再び腰を下ろした。

と、その時、
どこからかクスッと笑う音がして、
「相当、ご立腹なようだね。」
と、声が聞こえた。

「えっ!」

あたしが座る三階の階段より1つ上から長い足がスラリと見えた。そして、ゆっくりと下りてきた人を見てあたしは再び叫んだ。

「花沢類っ!?」

「プッ…その呼び方、新鮮。」

「ど、どうして?」

「ここ、俺の昼寝場所だから。」

「えっ、嘘。
すみません、うるさくて。」

「いいの、いいの。
俺はいつも四階、あんたは三階でしょ。」

入学してから何度となく使っていたこの場所。
今日みたいに愚痴を叫んだことも一度や二度ではない。
たぶん、それを全部知っているかのように、花沢類は言った。

「いつも楽しませて貰ってるよ。
あんた、名前は?」

「牧野つくしです。」

「何年?」

「2年生です。」

そう言ってペコリと頭を下げたあたしに、花沢類は面白いおもちゃを見つけた子供のようなキラキラした目でとんでもない事を言った。

「牧野、
あんた司が好きなの?」



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 2018_04_17





「……おう。」

道明寺の返事のあと、すぐにママとタマさんが病室に帰ってきた。

無事に退院が決まった二人は、荷物の整理も終わっているのであとは着替えるだけ。

「つくし、外で待ってて。」
「坊っちゃん、来てくれたんですか。
着替えるので少しお待ちを。」

ママとタマさんにそう言われ、並ぶようにして病室の前で立つ事になったあたしたち。
道明寺との近い距離に、緊張してまっすぐしか見れないあたしと、壁に背中を預けて無駄に長い足を投げ出して立つ道明寺。

中から
「いいわよ〜。」
なんてママの声がして、緊張から逃げ出したいあたしは急いで病室へと入った。

すでに退院準備完了の2人は、
「それでは、お元気で。」
「退屈しない入院生活だったよ。」
なんて話し深々と頭を下げあっている。

あたしもタマさんに頭を下げ挨拶すると、
「タマ行くぞ。」
と、ぶっきらぼうに道明寺が言い、タマさんが病室を出ていった。



あたしとママも遅れて病室を出て、会計で退院の手続きなどを済ませると、病院に近いタクシー乗り場まで歩くことにした。

タクシーなんて勿体無いからバスで帰ろうというママに、退院した日ぐらい無理しないでタクシーに乗ろうと言うあたしが押し問答をしていると、
あたしたちの横にスゥーと1台の車が止まった。

黒いダックスフンドみたいなその車の窓がゆっくりと下り、さっき別れたばかりのタマさんが顔をだす。

「牧野さん、どうしたんだい?」

「い、いえっ、」

「何か困った事でも?」

「いいえ、ありません。
そこのバス停まで行く途中だったもので。」

あたしの意見なんか聞かず、まだバスで帰ろうとしているママにタマさんが思いもよらない事を言った。


「一緒にお乗りになりませんか?
坊っちゃん、牧野さんにはお世話になったのでよろしいでしょうか?」

そうタマさんが言うのが聞こえ、あたしは慌てて
「け、結構ですっ。」
と叫びママの退院荷物を抱え歩き出した。

道明寺の車に乗るなんてありえないっ。
これ以上近付いたら緊張で死ぬ。

そんなあたしの気も知らずに、
「つくしー、お言葉に甘えましょー。」
と、嬉しそうなママの声がした。






ダックスフンドの車はたぶんリムジンと言うのだろう。
その中は想像をはるかに超えていて、ゴージャスそのもの。

ゆったりとした座席にこじんまりと座るタマさん。
その横にママが座り、その向かい側にあたしと道明寺が並んで座る形になった。

車の中全体に立ち込めるいい香り。
道明寺の隣に座ってはじめて気付く。
その香りは道明寺から発せられているものだと。

チラッと隣の道明寺に視線を向けても、この人はあたしの存在なんて無いかのように窓の外を涼しげに見ているだけ。

そんな道明寺にママが言った。

「お孫さんですか?」

「いいえ。
こちらは、私がお仕えするお屋敷の坊っちゃんでして。」

タマさんが代わりに答えたけれど、『お屋敷』『坊っちゃん』という言葉にママが反応しない訳がない。

「あらまぁ、そうですか。
つくしとそう歳も変わらないように見えますけど、高校生ですか?」

「ママっ、」

「いいじゃない、歳くらい聞いたって。」

「もういいから、そのぐらいにしてっ、」

道明寺を怒らせたら何をするか分からない。
もう、黙っててとママにアイコンタクトを送りヒヤヒヤしながら乗っていること数分で、うちのマンションが見えてきた。

「あっ、ここでいいです。」

そう言うと、道明寺が運転手さんへ合図を送り、ゆっくりと車が止まった。

「ありがとうございました。」

ママとあたしが車から下りようとしたとき、今まで無言だった道明寺が口を開いた。

「おまえの家、どこだよ。」

「え?ここだけど?」

二階建てのマンションを指差してそう答えるあたしに、

「ちっせぇな。」
と、失礼にも呟くこいつ。

「4人家族には充分な広さよっ。
部屋だって3つもあるし。」

「3つ?この建物ならもう少しあるだろ。」

「は?うちは2階のあの部屋だけど。」

どうも、会話が噛み合わないあたしたち。
首を傾げるあたしに、道明寺もさも不思議そうに言った。

「っつーか、この建物全体がおまえの家じゃねーのかよ。」

「はぁ?ここはマンションなの。
あたしの家はあそこの玄関を入ってあの一画だけ。」

あたしが指差して教えてあげると、
隣の道明寺が、
「マジかよっ、英徳にこんな奴がいるとはな……。」
と言って笑った。


笑った。
道明寺司が笑った。

それも、口角が少しだけ上がり、目尻がほんの少しだけ下がる、あたしが今まで盗み見していたそれとは違って、

白い歯が少しだけ見えて、顔をクシャッと崩し、
ほんとに楽しそうに……笑った。


その顔を見て、
あたしは、

この人に本格的に…落ちてしまった。


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 2018_04_16




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