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自分でも強引なのは分かってる。

女の家に入りたいなんて今まで一度だって思った事もなかったが、今はこのまま帰りたくねぇと心の底から思ってる。

「少しだけ話したら帰るから、いいだろ?」

「ほんと?」

「お前がいれって言うなら何時間でもいて…」

「言ってないし。」

俺の言葉を遮るように言ったあと、牧野は口を尖らせて部屋の鍵を取り出した。



牧野の部屋に入るのはこれで3度目だが、
彼氏として入るのは今日がはじめて。

お互い妙な雰囲気になり、部屋に入って早々、
牧野はキッチンへと逃げやがった。

その間、俺はリビングに腰をおろし部屋をぐるっと見回すと、テレビ台の下にアルバムらしきものを発見。

チラッとキッチンの牧野に視線を泳がせたあと、そのアルバムを取り出し開いた。

「…クッ……どの写真も食ってるとこばっか。」

「ちょっとー!何勝手に見てんのよ」

「いいだろ別に。っつーか、おまえ昔からあんまり変わってねーな。」

「え?そう?」

「これは?」

「あ、弟の進。」

「ふーん、二人姉弟か?」

「ん、そう。」

ガキの頃から高校生の頃まできれいに整理されている写真たち。
愛されて育ってきたんだろーなこいつは。

そう思いながら、そのアルバムの最後のページをめくると、そこに見慣れた奴の顔があった。

「類かよ。」

「あっ、…それは、花沢類が卒業する時に撮ったの。」

「すげー、泣き顔。」

「いやっ、これは、色々と事情があって」

「類が卒業することがそんなに悲しかったのかよ?」

「そうじゃないけど」

「もしかして、おまえらってやっぱ付き合ってたのか?」

「はぁ?まさかあり得ない。」

「好きでもねぇ奴の為にここまで泣くかよ。」

「だからっ、それは違うって!」


ダメな俺。
せっかく二人になれたっつーのに、相変わらずこんな風に言い合って……。

悪かった。
そう言おうとしたその時、牧野が先に小さく何かを言った。


「それは、……の日に撮った写真。」

「…あ?」

「だから、その写真はあんたがNYに旅立った日に撮った写真なの。」

こいつの言った意味がいまいち理解できねぇ俺。

「俺が?NYに?」
俯いている牧野に向かって聞く。

「ん。」

「おまえが泣いてんのは」

「好きな人が遠くに行っちゃうんだから、
悲しくて泣くのは当然でしょ。」

「…好きな人って」

「この話はそこまでっ。さっ、お茶入れたから飲んで早く帰って。」

勝手に話をたたんで、俺の手に強引に茶碗を持たせた牧野は、さっきよりも顔が赤い。

「牧野」

「おしゃべり禁止」

「プ…なんだよそれ。牧野」

「……」

「牧野」

「……」

「俺のどこがそんなに好きだった?」

「はぁ?知らないっ。」

「言えよ。そんな泣くほど好きだったんだろ?」

「フッ……若気の至りって言葉があるでしょ。
あの頃のあたしは若かったの。今なら絶対に好きにならないっつーの。」

「俺のこと好きじゃねーのかよ。」

「えっ、いや、だから……、」


こいつをからかうのはすげぇ楽しい。
でも、からかってるはずの俺のほうがドツボに嵌まる。


「牧野、すげぇ、可愛いからやめろ。」

「…は?」

「おまえがムキになったり怒ったりする度に、ムチャクチャ…好きだって自覚すんだよ。」

「…な、なにそれ」

「高校のとき、あと1ヶ月おまえと早く知り合ってたら、たぶん俺はおまえに惹かれてたと思う。
そしたら、こんなに俺たち無駄な時間過ごさなくても良かったのかもな。」

「……」

「そしたら、泣くほど好きだって想ってくれるおまえの気持ちと、ムチャクチャ好きで貯まんねぇと想ってる俺の気持ちも釣り合ったかもしれねぇし。」

「道明寺、」

「どうしたら、あのときみてぇに俺を好きになる?」

あの頃は牧野の一方通行だった想いは、今は両想いとは言え、ほとんど俺の一方通行。
少しでも道を広げたい。

そんな俺に牧野が怒ったように小さく言った。

「だから、……好きだって言ったでしょ。」

「ん?」

「あの頃は自分でも訳のわからないままあんたを好きになってたけど、今は違う。
今はあんたを好きな理由ちゃんと言える。
わかりづらいけど、優しい所とか、
強引だけど、あたしの気持ち優先してくれる所とか、笑ったとき目尻がさがって優しい顔になる所とか、それとか、んーと、」

「牧野、もういい。」

もう言葉では十分。
あとは、触れて確かめたい。

牧野を引き寄せて唇を重ねる。
想いが溢れすぎて優しいキスが出来ないのは許してほしい。
唇から伝わるぬくもりに、全身が痺れるほどの快感に包まれていく。
たぶん、今日は帰れそうにねぇ。



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 2019_02_08


小話 13

Category: 小話  



今日は俺の誕生日。
超高層マンションの最上階にある自分の部屋で
顔見知りだけをを呼んだ25回目のパーティー

「あきら、おめでとう」
「美作さん、おめでとうございます」

総二郎と桜子が柄にもなく大きな花束を持ち、
少し遅れてパーティーにやって来た。

「滋さんは?」
桜子のその問いに

「牧野とデザート食ってる。
類もその隣でウトウトしてるぞ。」
と、奥の部屋を指して答えると、

「えっ、先輩も来てるんですか?」
と、桜子が眉間にシワを寄せる。

「ああ。司からあんなに言われたのに、滋が言うこと聞かねーから。」
と、俺も参ったという表情を見せる。


今日のパーティーにはいつものメンバーに招待状を送っていたが、NY住まい3年目の司は来ないだろうと思っていた。
が、思いもよらず
「行くぞ。」
と電話がきて、

「来れるのか?」
と聞き返す俺に、

「久しぶりに顔見てぇし。」
と照れる台詞。

でも、これは俺にではなく、目に入れても痛くねぇほど惚れてる牧野に対してだと理解するのにそんなに時間はかからなかった。

パーティーの日の午前中には日本につく予定だったのに、天候不順で大幅に遅れ、さっき邸に着いたと連絡が来た。

その時にはすでに牧野はここに来ていて、その事を司に告げると、
「滋のヤローっ。牧野は俺が連れて行くからって言ったのに勝手に行きやがったな」
と、舌打ちしている。

今日は俺の誕生日だぞ。
頼むから乱闘だけはやめてくれ。
そう願うしかない俺。


今日の牧野は、司が今日の為に送ったという淡いパープルのドレス姿。
他の女性客はルームパーティーだという事で、肌の露出が高い中、牧野のドレスは肩もすっぽり隠し上品さが際立っている。

さすが、司のセンスだけあって、
幼児体型の牧野にもよく似合ってる。


今来た総二郎と桜子と共に、奥の部屋に行くと
滋と一緒にいると思っていた牧野は
男と何やら楽しそう話してやがる。

あれは、昔からの俺の知り合いで、気の優しい良い奴だ。
普通の状況なら、お似合いだと放っておくのだが、
相手が牧野だからそうも行かない。

この状況をあの野獣が見たら
暴れ狂うだろうから。

そう思って「牧野」と声をかけようとしたその時、
「滋てめぇぶっ殺すぞ」と、低い声が俺の耳に届いた。

後ろを振り向くと、
カジュアルなスーツ姿に身を包み、ポケットに手を入れて滋を威嚇する猛獣現る。

「お、おう、司来たのか。」

「ああ、遅れてわりぃ。
お前の好きなワイン、持ってきたから秘書の竹田に預けてある」

そう言って1本100万するワインをプレゼントに持ってきた司の視線はもうすでに牧野にロックオン。

「あいつは?」

「あー、俺の知り合い。
仕事関係で昔から世話になってる奴で、悪い奴じゃねーから大丈夫。」

と、なぜか必死にこの状況を説明する俺は
何に怯えてるんだよ。

「あら、司、早かったね〜。」

「滋、てめぇ勝手に牧野連れて来んな。」

「だって、司が何時になるか分かんないって言うから、せっかく可愛くドレスアップしたのに部屋で待ってるなんて勿体無いでしょ」

「そんで、連れてきたあとは放置かよ」

「んー、まぁ、つくしが可愛いから色んな虫が寄ってきちゃうのよね〜。」

これ以上、司を怒らせるな滋。
そんなハラハラしてる俺の横を通り過ぎた司は、まっすぐに牧野へ突き進む。

頼むからこんなところで喧嘩すんなよ。
そう心から願う俺の気持ちが通じたのか、
牧野に近付いた司は、さり気なく腰に手を回し、
相手の男に何かを言ったあと、部屋のバルコニーの方へと歩いていく。


「道明寺さん、暴れなかったですね。」
俺と同じ気持ちだったのか桜子もホッとした声を出す。

「ああ、まぁ、あいつら久しぶりの再会だし、
自らムード壊すほどバカじゃねーだろ司も。
俺らも座ってゆっくりしよーぜ。」

そう言って俺たちは部屋の大きなソファに寛ぐ事にした。
今日は午前中の雨が嘘のように晴れて、空には満開の星が出ている。

部屋は大きなガラス張りになっているので、部屋の中からもその美しさが見て取れる。

それぞれがグラスを手に持ちながら外に目をやると、
そこにはバルコニーにいる司と牧野の姿もはっきり見える。


2人向き合って何やら言い合ってるあいつらは、
まさか喧嘩でもしてんのか?と思ったその瞬間、
司がさっとかがみ、牧野に軽くキスをした。

それを見て、総二郎がヒューっと口を鳴らし、
「見せつけてくれるじゃん」と言う。

あの道明寺司が、女にキスをしたとなれば
パーティーに来ている奴らもコソコソと
視線を窓の外に向け始める。

そんな中、当の本人たちはと言うと、
キスをした司を見上げて牧野が何か抗議したのか、司の胸を軽く叩き、部屋の中を伺う様子を見せる。

そんな牧野の怒った顔を両手で包み込む司は、
さらに上を向かせてさっきよりも長いキス。

「おいおい、どこまでやる司くん。」
総二郎は完全に面白がっている。

「あいつらはこっちから見えてるの知らねぇんじゃねーの?」

「そうかもしれないですね。先輩見られてたら絶対にあんなことさせないと思いますよ。」


その総二郎と桜子の会話に俺はピンときた。
司は確実に確信犯だろう。
この部屋を内装するときにこの窓のことで司に相談したのを思い出した。

司の邸にある大きなバルコニー付きの部屋はガラス張りになっていてカーテンが付いていない。
夜でも開けっ放しか?と聞いたとき、
「特殊なガラスを使っていて、中からは外が見えるが、外からは中が見えないようになっている」
と司に教えてもらい、
この部屋も同じガラスにしたのだ。

ということは、今あそこでキスをしている司は、
中にいる俺たちから完全に丸見えなのは承知のはずだ。

知らないのは牧野だけ。
牧野からしたら、ガラスは真っ暗でまさか見られているとは思っていないだろう。


司からの長いキスに牧野が暴れだし、
唇を離した司は俺らが見た事もないような
甘い顔をしてやがる。

牧野に胸を強く叩かれ抵抗されても、嬉しそうに笑いながらその手を包み込み、牧野の顔を覗き込みながら笑う司。

全く……。
遠距離で喧嘩ばっかして、甘い雰囲気も出さねぇくせに、二人でいる時はラブラブなのかよあいつらは。

俺はグラスを総二郎に預けると、離れたソファに座る男の所に近付いた言った。


「わりぃ、見ての通り、牧野は俺のダチの大事な彼女なんだ。あいつは絶対に牧野を手放さねーから、おまえも違う女あたってくれ。」


遠距離恋愛中の司と牧野。
俺は相変わらずあいつらのキューピット役のようだ。


お久しぶりです。なんとか生きております笑
皆さんもお元気でしょうか?

 2019_02_07





牧野からあれほど止められたというのに、黙って従えるはずもなく、目覚めるとすぐに一ノ宮にアポを取った。

仕事が終わったら連絡すると言っていたはずだが、9時を過ぎても携帯が鳴らない。
イライラしてる所にようやく一ノ宮からメールで場所を指定された。

それは人通りの多い街の中心部。
カフェや居酒屋が並ぶその通りに車で来てくれと指示され不思議に思いながらもそこへ行くと、通りの角に立つ一ノ宮の姿があった。
そして、その隣には一ノ宮と楽しそうに笑う牧野。

先手を打ったつもりが、牧野に先を越されたらしい。
それとも、一ノ宮が俺よりも牧野の方を優先したのか。

どちらでもいい。
もう、俺の話したい事は一ノ宮に伝わってるだろうから、あとはあいつに一発殴られる覚悟は出来ている。

そう思いながら二人が立つ通りに車を滑り込ませると、一ノ宮がすぐに車に気付き牧野に何かを囁いた。そして、牧野の手を取り車へ近付いてくる。

「司、こんな所に悪かったな。」

「どういう事だよ。」

助手席の窓を開け一ノ宮にそう言うと、

「牧野さんとの話が長引いちゃってね。」
と、楽しそうに笑いやがる。

隣に立つ牧野をチラッと見ると、俺が来たことに文句がありそうな顔で睨みつけてきやがるのが面白くねぇ。

「場所変えて話せるか?」

牧野の視線も無視して一ノ宮にそう言うと、

「牧野さんに話は聞いた。まぁ、二人にはかなり長い歴史があるようだから俺は潔く身を引くよ。」

と、助手席のドアを開け牧野を車に押し込む一ノ宮。

そして、
「牧野さん、お酒以外だったらいつでも付き合うから連絡して。」
そう言うと、こともあろうか牧野のおでこにチュッとキスをしやがった。

「おいっ!」

咄嗟に怒鳴る俺に、助手席のドアをバタンと閉め、
「アメリカンスタ〜イル」
と、おかしそうに笑いながらあいつは車から離れていった。








「一ノ宮と何話した?」

「別に……あんたと付き合うってこと。」

「他には?」

「他に?…特にないけど?」

牧野の部屋に向かう車中。
さっきのキスが響いて不機嫌な俺。

「歴史が長いとか訳分かんねぇこと言ってたよなあいつ。」

「あー、それね。」

そう言ったまま気まずそうに窓の外に目をやる牧野。

「なんの事だよ。」

「んー、まぁ、昔のことを少し。」

「答えになってねえ。」

「だから……んー、……高校生のときにあたしがあんたの事好きだったって話。
そしたら一ノ宮さん、あたしたちには何か隠し事があるような気がしてたけどそういう事だったのかって。」

「それが長い歴史って事か。」

「まぁ、……そんなかんじ。」

そのまま無言で車を走らせて牧野のマンションへと向かう。






「送ってくれてありがと。」

マンションの前まで来て車の駐車スペースを探す俺にそう言い放ち車から下りようとするこいつ。

「おい、待てよ。」

「ん?なに?」

「部屋に寄ってく。」

「はぁ?」

心底驚いた顔でそう叫ぶこいつに頭が痛てぇ。

「当たり前だろ。付き合ってるんだぞ俺たち。」

「でも、もう時間遅いでしょ。」

「関係なくねぇ?」

「関係大あり。」

恋人同士の会話とは到底思えねぇ。

「今日はこれで終わりかよ。」

「……まぁ、」

「明るい所で顔も見てねぇのにもう帰れってかよ。」

「そういう訳じゃ……、」

「一ノ宮にちゃんと話して、おまえの言ってた、付き合う上での壁は超えたんだろ俺たち。
だから、待ったはなしで、俺のことちゃんとみろよ。」


こんな言い方しか出来ねぇけど、この年になってようやく自分から好きだと思える女に出会えたんだ。
真っ直ぐに直球でぶつかっていきたい。




ランキングに参加しています。
応援よろしくお願いします。

 2018_12_12



目覚めてすぐにシャワーを浴び、バスルームから出ると、携帯の画面に赤くランプが付いている。

こんな早くから誰だ?

そう思いながらメールを開くと、
『今日、少し時間を作ってくれ。』
と珍しい奴からの連絡。

司からこうして個人的に会いたいと言ってくるのには相当な理由があるはずで、その理由に俺は見当が付いてしまうところが辛い。

『仕事が終わったら連絡する。』
とだけ返信し、クローゼットの中にある1番上質なスーツに手をかけた。







午後になってようやく仕事の目処が付き、8時過ぎなら会社を出れそうだと司にメールしようとしたその時、またまた携帯の画面に珍しい人からの着信。

「もしもし。」

「一ノ宮さん?牧野です。」

彼女から、今日時間があれば会いたいと言われ、もう聞かされることはなんとなく分かったというのに、それでも彼女に会えると思うと、上質なスーツを着てきて良かったと苦笑する。






司か牧野さんか………もちろん、牧野さんを選ぶ。
司からの誘いのほうが早かったが、牧野さん優先だ。

仕事を早めに切り上げて彼女と7時に合う約束をした。

待ち合わせのカフェ。
早めに着いたというのに彼女はもう来ていて、奥の席に硬い表情で座っていた。

「お待たせ。」

「一ノ宮さん。……お疲れ様です。」

俺を見て微笑みながらお疲れ様と言う彼女に、仕事の疲れなんか一気に吹き飛ぶ。

「あんまり時間が無いんだ。
話があるんだろ?聞くよ。」

俺はどうやらかなりのお人好しらしい。
彼女が今日、俺に何を告げるのかは薄々分かっているのだから、つい先日まで彼氏だった俺としては不快感を表してもいいはずなのに、

緊張した顔で真っ直ぐに俺を見る牧野さんに、
『頑張れ。』
なんて、心の中でエールを送ったりして。大バカだ。

「一ノ宮さん。
あたし、一ノ宮さんに嘘をついてしまって。
お付き合いを解消したいと言ったとき、一ノ宮さんあたしに聞きましたよね、好きな人がいるのかって。
その時はいないって答えたけど、後になってあの時の答えは間違ってたって分かったんです。」

「うん。」

「あたし、好きな人がいて、ちゃんとその人と向き合いたくて。
でも、一ノ宮さんに嘘をついたままじゃ、先に進めなくて。」

「好きな人って」

「道明寺です。」

分かってても、彼女から名前を聞かされると胸がチクッと痛む。

「司はそのこと知ってるの?」

「……昨日、伝えました。」

「それで今日、二人とも俺に会いに?」

「えっ?道明寺もですか?」

どうやら、司が俺に連絡してきた事は牧野さんは知らないらしい。

「司は大変だよ。」

「……分かってます。」

「泣かされて終わるかもよ。」

「たぶん……そうかも。」

俺の言葉にフフフ……と笑いながら俯く彼女は、司で苦労することはもう百も承知なのかもしれない。

「どこまで耐えられるかやってみます。」

「そっかぁ。
司にここまで好かれたら逃げ切れないもんね。」

「へ?」

俺の言葉に不思議そうな顔で聞き返す彼女。

「司が牧野さんを好きなのはもうバレバレだったから。かなりしつこく言い寄られた?」

「道明寺が…ですか?」

今度は眉間にシワまで寄せて聞き返す彼女に、俺のほうが首を傾げたくなる。

「司から言ったんだろ?」

「えーと、結果的にはそうですけど、
高校のときにあたしが告白しそびれて……。
結果的にそれを今まで引きずっていたところがあって……。」


どうやら、司と牧野さんの恋愛は今に始まったことじゃないらしい。
司があんなに牧野さんへ熱い視線を送っているのに、彼女はそれに気付かず自分の気持ちに気付くのに精一杯。

恋愛ベタな男と、鈍感女が恋愛するとこうなるものなのか。


このあと、司との約束も忘れるくらい、牧野さんから昔の話を聞き出すことにした俺は、

とっくにヤキモチという感情は消え去り、
どうしたらこんなにくっつくのに時間がかかるんだよとこの二人に呆れるしかなかった。



いつも応援ありがとうございます!

 2018_12_10





「あたしも、……あんたが好き。」

小さくて聞こえないかもしれない、けど精一杯発したあたしの言葉。
それに道明寺は思いもかけない行動を返してきた。

「ちょ、ちょっと!」

「なんだよ。」

「急に……、こんなこと」

「付き合ってんだからこれ位いいだろ。」

当たり前のようにそう言ってあたしの体を腕の中に閉じ込めた道明寺。


「付き合ってるって……、」

「違うのかよ。」

「いや、そういう事じゃなくて、」

「何なら、この先もするか?」

「はぁ?!あんたバカじゃないのっ、離してっ」

「暴れるなって。」

「変態っ、痴漢っ、離せっ。」

ソファに座りながら上半身は道明寺にホールドされたままのあたし。バタバタと暴れてみてもこの図体だけは大きい男から逃げ出せそうにない。

そんなあたしにクックツ…と笑いながら、
「怒んなって。」
と言って道明寺はあたしを解放してくれた。

「牧野。」

「なによ?」

「ちゃんと俺と付き合おうぜ。」

「……うん。………でも、」

あたしもあんたが好き。
でも、素直にあんたの胸に飛び込めない理由もあって、今すぐに道明寺の目を見て返事ができない。

そんなあたしに、
「分かってる。俺からちゃんと話す。」
と、真っ直ぐに道明寺が言った。

「え?」

「一ノ宮だろ。」

「……。」

「俺もあいつにちゃんとおまえとの事話さなきゃなんねーし。だから、俺に任せろ。」

あたしの迷いをこの人はちゃんと分かっている。
でも、これはあたしと一ノ宮さんの問題だから、こうして自分の気持ちにはっきりけじめを付けた以上、自分から彼には伝えなきゃ。

「ううん。あたしの口から一ノ宮さんにちゃんと伝える。」

「やめろ。俺が一ノ宮に会ってくる。」

「でもっ、それじゃ一ノ宮さんに悪いし、」

「ダメだ。」

あたしの言葉を遮るようにしてそう言う道明寺。
せっかく気持ちを確かめあったのに、相変わらずあたしたちは喧嘩してばかり。

「おまえさ、少しは考えろっつーの。」

「はぁ?」

「あいつはおまえのことまだ好きなんだぞ。
諦めねぇって言われたんだろ。」

「……。」

「そんな奴に、好きな女をノコノコ会いに行かせるほどバカじゃねーよ俺は。」

「……どういう意味?」

道明寺が言いづらそうに言ったその言葉の意味が咄嗟に理解できないあたしに、

「だからっ、
また一ノ宮に会ったら、おまえの気持ちがグラつくかもしれねーだろ。
もう、おまえのこと……離したくねぇんだよ。」

今度は確実に照れてると分かる仕草でそう言った道明寺に迂闊にもあたしの心臓は壊れそうなほど鳴り響く。


「道明寺……、あ、ありがとね。」

「…おう。」

「でもね、」

「てめぇ、まだ言うか?」

「んー、分かってる。分かってるけどっ、でもね、あたし自分の口でちゃんと言いたいの。」

「うるせぇ、ダメだ。」

「一ノ宮さんにきちんと、道明寺が好きって伝えたいの。そうしないと、あんたと堂々と付き合えない。」


一ノ宮さんとはこれからも仕事で付き合っていくことになるだろう。
だからこそ、真実を伝えて彼に許してもらいたい。

「はぁーー。……ったくしょーがねーな。
キョトキョトすんなよっ。」

「え?」

「だから、一ノ宮の前で可愛いことしたら許さねーからな。」

「はぁ?あんた何言ってんの。」

「おまえは鈍感だから分かってねーんだよ。」

「鈍感って、どこがよっ。」

言い返すあたしの顔をジッと見つめた道明寺は、今度はゆっくりとあたしの体を引き寄せるようにして抱きしめたあと言った。


「おまえの仕草一つ一つが堪んなく可愛いと思ってんのは俺だけじゃねぇ。だから、他の男の前でフラフラしたら許さねーからな。」





お付き合いありがとうございます。
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 2018_12_09




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司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
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