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今日は都内のホテルで、神崎社長が運営するショッピングサイトのパーティーが開かれている。
そこで、あたしたちが開発にお手伝いした化粧品のPRとショッピングサイトでの販売が発表されることになっていた。

つい先日、一ノ宮さんにはお付き合いを解消したいと伝えたばかり。
『とにかく、今は牧野さんの気持ちを尊重して友達に戻るけど、』
と呆気なく了承してくれた彼だけど、
『いつでも、彼氏に戻れる距離にいさせてよ。
男として意識してもらえる様に頑張るからさ、』
と、あたしには勿体無い言葉をもらった。



仕事が終わり、パーティー会場であるホテルへと向かう。
一緒に仕事をした仲間と会うのも久しぶりで、待ち合わせであるロビーで一人立っていると、タイトなロングドレスをまとった素敵な女性と目があった。

どこかで会ったことがあるような……。

あたしが脳内の記憶を総動員している間に、女性があたしへと近付いてきた。

「こんにちは。
この間はどうも。」

「あ、こんにちは。」

女性が微笑むのを見て思い出した。
レストランで道明寺と一緒にいた女性だ。

「お一人?」

「いえ、ここで待ち合わせです。」

「そう。
もしかして、この間一緒にいた彼かしら?」

「え?」

一瞬言葉に詰まったが、一ノ宮さんの事だと気付き、

「いえ、違います。」
と、答えたあと、

「神崎社長のパーティーへいらっしゃるんですか?」
と、聞いてみる。

「ええ、そう。
もうすく司も来るはずなんだけど。」

「道明寺も?」

「道明寺…?…それって司のこと?」

「あっ、すみません!呼び捨てにして。」

いつもの癖であいつを呼び捨てにしてしまったあたしに、女性は
「いいの、いいの。気にしないで。」
と、笑ったあと、
「司のバカ、ドSかと思ってたけど、案外Mも入ってるのね。」
と、意味の分からないことを呟いて楽しそうに笑った。

「お名前伺ってもいいかしら。」

「あっ、牧野つくしです。」

「つくしちゃん?かわいい名前ね。」

「ありがとうございます。
失礼ですが、……」

「あ、私はど、……椿って呼んで。」

「椿さん…。」

「仕事の関係でほとんど海外にいるけど、時々こうして帰ってくるの。
日本にいる時はほとんど司にくっついて出歩いてるわ。
司への情報収集は私の生き甲斐だから。」

最後の言葉はピンと来なかったけれど、女性と道明寺が深い関係だと言うことは分かる。

美人でスタイルも良くて、性格もよし。
雑誌の中から抜け出してきたような素敵な女性。

道明寺が好きになるのはこういう女性なんだろう。
大人で落ち着いていてかっこいい。

どれを取ってもあたしとは正反対。

「つくしちゃん、どうかした?」

「…いえ。」

「私、お先に行くわね。
また、会いましょう。」

「はい、……また。」


もう出来ることなら……会いたくない。
会ったら、思い知らされる。
道明寺が遠い存在だって事を。






パーティーがはじまってすぐ、その広い会場で道明寺を見つけた。
相変わらずその目立つオーラはどこにいても分かる。

一瞬、道明寺と目があったような気がした。
けれど、すぐに反らされた。

道明寺の隣には椿さんがいて、みんなそれが当たり前のように挨拶を交わしていく。
道明寺と椿さんは公認の仲。

『お似合いだな。』

そう呟いたあたしの目がなぜかかすむ。
会場の中もお料理もお酒のグラスも、どれもグラグラと揺れている。

涙で目が潤んでいるんだと気付くまでに数秒。
そして、もう一つ気付いた。

この間からの胸のざわつきは道明寺が原因だと。



いつも応援ありがとうございます。


小話11ですが、きっとお叱りを受けるだろうと思っていましたが、意外にも皆さんお優しい!
唯一、お一人『なんてモノを書いてんだっ』と、怒っておられました。
理由を読み進めると、
『このクソ暑い毎日なのに、小話もクソ熱いじゃないかっ。』というお叱り。
真摯にお受けいたしました。

連日、猛暑が続いており大変かと思われますが、どうぞ皆様お体ご自愛くださいませ。
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 2018_07_19


小話 11

Category: 小話  



昨夜はあのまま牧野の部屋に泊まった。
そして、今日はいつもより1時間早く起きて、熱いシャワーを頭から浴びている。

昨日の牧野はいつもと違った。
酒のせいなのか、総二郎のアホなアドバイスがきいたのか、いつもよりガードが低く俺の攻めを受け入れてくれる。

愛撫だけでたっぷり時間をかけた牧野の体は、指を入れただけでトロトロと溢れ出すほど敏感になっていた。

そんな牧野を見て限界の俺。
そろそろ中に挿れてもいいか……と準備をしようとした時、牧野が動いた。

かなり張りつめている俺のものを口に含みゆっくりと上下しはじめた牧野。
その動きに、堪らず声が漏れる。

「牧野、今日はヤバイ。
もうおまえに挿れたい。」

そんな俺の要求なんてあっけなく無視されて、下半身は熱を増す一方。
何年たっても牧野のその行為は、慎重にゆっくりと俺を傷付けないように優しくて、それがかえって焦らされているようで堪らない。
ずっとしてて欲しい…そんな気持ちにもなるが、もう限界がきてる。

「牧野、マジでヤバイ。」

「……ん。」

「んっ……もう、…離せ。」

「……気持ちぃ?」


バカ。
この状況でその上目遣いで、そんなこと聞くんじゃねーよ。
必死に抑えてたものが一気に溢れ出す。

「ヤバイっ、マジで離せ。」

「…。」

「うっ、…んっ、……それ以上したら出るぞ。」

これ以上はマジでヤバイ。。
そう思い牧野の身体を持ち上げようとした時、牧野の口内からゆっくりと引き離された俺のものは限界を迎え、先から白濁の汁が溢れ出した。

「バカっ、だから言っただろっ。
口あけろ。ごめんっ、牧野。」

かろうじて口内ではイッてない。
でも、口から抜ける寸前に漏れたのは自覚してる。

「ごめん、我慢できなかった。」

「大丈夫。」

「大丈夫じゃねーよっ。
おまえにそんなことさせたくねぇ。」

「うん、わかってる。
でも、大丈夫、……道明寺のものだから。」

俺はこの言葉を聞いて、
二度とこいつには2杯以上の酒は飲ませねぇって誓った。







熱いシャワーを浴びながら、そんな昨夜のことを思い出し再び熱をおびる下半身。
どんだけ俺は牧野に惚れてんだよ。


バスルームから出るとキッチンで牧野が朝ごはんの用意をしている。
そんなこいつに近付くと後ろから抱きしめて首に顔を埋めた。

「道明寺、仕事に遅れるよ。」

「ん。」

「ちょっと、聞いてる?」

「ああ。でももう少しだけ。」

俺より先にシャワーに入った牧野の体からは俺と同じボディーソープの香りがする。

「牧野。」

「ん?」

「……無理すんな。」

「……え?」

「総二郎がくだらねぇこと言ったかもしれねーけどよ、」

「…うん、」

「俺がおまえのこと一番よく知ってる。
口に出さなくても、おまえがちゃんと俺のこと
愛してるってのは分かってるからよ。」

牧野の頭のてっぺんに俺の顎を乗せながらそう言ってやると、

「あ、あ、愛してるって…。」
と、相変わらずおもしれぇ反応のこいつ。

「愛してねーのかよ。」

「……愛してるよ。」

「だろ?」

「バカじゃないの朝から。
早く用意しなさいよっ。
遅刻したら西田さんに怒られるのあたしなんだから。」

「愛してる、牧野。」

「だーからっ、分かったから、早く準備してっ。」



総二郎。
今回は許してやる。
でも、おまえのアドバイスはいらねーんだよ。
俺らは俺ららしく成長してるから、
心配すんな。




いつも応援ありがとうございます!

ヤバイものが書き上がりました。
書きながら反省してます。
 2018_07_17


小話 10

Category: 小話  



小話9の続きです。

………………………………………


道明寺はあれから20分ほどでお店に来た。

その頃にはあたしは完全に酔っ払い。
道明寺がいつも『2杯までにしておけ』という意味がやっと分かる。

あたしの顔を見るなり、
「俺のいない所で呑ますんじゃねーよ。」
と、西門さんに軽く蹴りを入れたあと、あたしの横にドカッと座った。

「どんだけ呑んだ?」

「…3杯。」

「ったく、相手が総二郎じゃなきゃ説教もんだぞ。」

「ごめん。」

さすがに自分でも酔ってることが分かるだけに、ここは素直に謝るしかない。

道明寺の腕に自分の腕を絡ませながら店を出ると、プライベートで道明寺が乗っている車が店の前に停められていた。

「おまえも乗ってくか?」
西門さんに道明寺がそう聞くと、

「いや、俺はいい。もう一つ約束があるからよ。」
と、相変わらずの返事をして笑いながらあたしたちを見送ってくれた。






「道明寺、こんな時間にごめんね。」

助手席から運転する道明寺にそう言うと、
無言でこの人はあたしの頭をクシャッと撫でた。

運転する横顔も、慣れた手付きも、どれも相変わらず見惚れるほど格好いい。

そんな道明寺をじっと見つめるあたしに、
「どうした?」
と、チラッと視線を向ける。

「道明寺、……西門さんがね……」

「総二郎が?」

「西門さんが……、」

あんたにちゃんと想いをぶつけろって。
道明寺は凄く喜ぶって。
ほんと?

そう心の中で呟く。




あたしのマンションについた頃にはもう12時近く。
明日も仕事だって分かってるけど、このままこの人と離れたくない。

鍵を開けて玄関に入ったところで、
「道明寺…」
と、小さく呼んだ。

「ん?どうした?具合悪いか?」

「違う。
今日、……泊まっていける?」

「……牧野?」

いつもあたしからこんなお誘いしたことはない。
あたしがする前に道明寺が強引に決めるから。
でも、今日はちゃんと言葉にして、

「泊まっていける?」
と、もう一度聞く。

「ああ。」

その返事と共にいつものように優しいキスが降ってきた。
初めてしたキスは何年前だっただろう。
でも、あの時と変わらず道明寺のキスはいつも優しい。
あたしに合わせてくれてるのが分かるキスに、今日はあたしもきちんと答える。

薄く開いた唇から道明寺の舌がすべりこんでくる。
それだけで全身が痺れてくるのは酔ってるだけだからではない。

道明寺の首に腕を回し、口内をねっとりと動き回る道明寺の舌に身を任せていると、一度唇を離した道明寺が、

「今日のおまえ、いつもと違うな。」
と、呟いた。

「……別に。」

「なんか、いつもより積極的じゃねぇ?」
からかう様に言った道明寺は、次に言ったあたしの言葉で一気に怖い顔に変わった。

「…西門さんに……」

そう言ったとたん、道明寺は眉間にシワを寄せて怒ったような顔で、あたしを腰から抱き上げた。
そして、ズンズンと部屋に入り、ベッドの上にあたしを座らせる。

「道明寺?」

「おまえ、さっきから総二郎が…って言うけど、あいつになんかされたか?」

「へ?」

「総二郎がおまえになんかしたのかよっ。」

玄関の明かりだけが差し込むベッドルーム。
その暗さだけでも分かる。
道明寺が怒ってる事。

「違うっ、ちがうよ。」

「ちゃんと話せ。」

「だから、違うって。
西門さんに、言われたの。」

「何、言われたんだよ。」

「……あんたに、ちゃんと好きだって伝えろって。
ちゃんと言葉と態度で伝えろって。」

「あ?」

突然の告白に拍子抜けしたようにベッドに座り込む道明寺に、西門さんと話した内容をポツリポツリと話し出すあたし。

全部話したあと、
「心臓が持たねぇ。」
と、道明寺が呟いた。

「え?」

「ったく、おまえは。
総二郎と二人で呑んで、寝落ち寸前まで呑みやがって、挙げ句の果にあいつの名前ばっか言うからよ、マジで…心配になるだろーが。」

今日は素直になって気持ちを伝えて、この人を喜ばせたいと思ったのに、結局はまた心配かけて不安にさせて。

いつもそんな風に、道明寺を満たせてあげれないあたし。


「道明寺…、」

「ん?」

「どうしたら、あたし、あんたを満たせる?」

「…牧野?」

「こんなに好きで堪んないのに、こんなに触れていたくて堪らないのに、いつもうまく言えなくて、だから、いつもあんたが心配し…」

そこまで言ったあたしに、道明寺が噛み付くようなキスをした。

さっきまでの優しいキスじゃなくて、激しくて余裕がなくて、それでいて
……やっぱり優しいキス。

そして、

「続きはあとでゆっくり聞いてやる。
だから、今は、……おまえが欲しい。」




西門さん。
やっぱりあたし、上手に伝えられなかった。
でも、それでも、8対2なんかじゃない。
それだけは言えるの。
だって、こんなにあたしの想いは溢れてるんだから。



応援いつもありがとうございます!

えーと、もう一話続きそうです。。。
 2018_07_15


小話 9

Category: 小話  




「西門さんと二人で呑むなんてなんか変なカンジ……。」

洒落た店の個室。
目の前には、ほろ酔い加減で頬を赤く染め、潤んだ目で俺を見つめる女。

少しでも好意を抱いていれば、このままお持ち帰りするだろうこの状況も、相手がこの女だから絶対あり得ない。

それは親友に殺されかねない自殺行為だから。



「優紀、西門さんと食事するの凄く楽しみにしてたのになぁ。」

「誘われればいつでもOKだけどね俺は。」

「ほんとっ、軽いんだから西門さんは。」

今日は牧野のダチの優希ちゃんに誘われて食事に来る予定だった。
はじめるきっかけは俺だったとしても、優紀ちゃんは茶道の道に興味を持ってくれて、今では月一で俺の教室にも通ってくれている。

『今度食事に行きませんか?』

そんな優紀ちゃんからの誘いを受けたのは先月で、今日がまちに待ったデートの日だったはずなのに、親戚の不幸で来れなくなった。

そして、このドタキャンを急遽埋めたのは優紀ちゃんの親友でもあり、司が目の中に入れても痛くないほど惚れてる牧野。


「牧野、次は何のむ?」

「えー、どうしよ。
もう一杯くらい大丈夫かな。」

えへへーなんて笑いながらメニューを眺める牧野は、相変わらず俺から見たらちんちくりんの女だが、綺麗な肌や髪、童顔の顔なんかはたぶん男にモテるだろうなと思わせるには十分だ。

「こんなに呑んだの久しぶりかも。」
3杯目の酒を注文したあとそう呟く牧野。

「普段はのまねーの?」

「呑んでも2杯までって道明寺がうるさいから。」

「マジかよ。」

何年たっても司は牧野に過保護で甘々だ。
俺らからしてみれば胸焼けするほどこいつにベタぼれなのに、当の本人が超がつくほど鈍感だから、相変わらず喧嘩ばっかしてやがる。

「司はお前が大事なんだろ。」

「そーなのかなー。そういうもんなの?
西門さんも彼女に対してそんなかんじ?」

「まさか。」

即答する俺に、
「でしょ。ほらね。」
と、口を尖らせる牧野。

「束縛しすぎでしょ道明寺は。
酒は飲むな、男と話すな、男に笑いかけるなって、そんな事してたら働けないっつーの。」

「まぁ、そんなに怒んなって。
それだけおまえに惚れてるってことだろ。」

「惚れてるって……。」

今更、顔を赤くして照れるなよ。
司だってきちんとおまえに伝えてるんだろ?
それだけおまえに惚れてるって。

「牧野はどうなんだよ。」

「なにが?」

「司のこと束縛したりしねーの?」

「ないない。そんな事、しないよ。」

即答するこの女はこういう所が鈍感だっつーんだよ。

「おまえさ、司にきちんと伝えてるか?」

「ん?なにを?」

「好きだってこと。」

「はぁ?」

酒で赤い頬を更に赤くして顔を上げるこいつに言ってやる。

「昔からおまえら見てて思うんだけどよ、
俺らの前でも司はきちんとおまえに想いを伝えてんのに、牧野はいつもはぐらかすだろ。
二人のときもそーなのかよ。
だとしたら、司は我慢してんじゃねーの?」

「……我慢?」

「束縛だって、牧野がちゃんと司に好きだから心配すんなって言ってやれば落ち着くだろ。
おまえがそれをはぐらかすから司はいつも不安なんじゃねーのかな。」


別に牧野に説教するつもりなんてねーよ。
でも、もしも、もしも俺が司の立場だったら、
同じかも知れねーから。


「俺からしたら、おまえらは8対2ってとこか。」

「8対2?」

「お互いの想いの強さっつーのが、司が8でおまえが2。」

俺のその言葉に、
「そんな事ないっ。」
と、今日一番のでかい声を上げる牧野。

「あたしの方が……」

「ん?」

「あたしの方が強いくらいだから。」

消えそうな声でそんな事を言うこいつを見てるとなんとなく分かる。
司が堪らなく牧野に惚れる事を。

「牧野、今から司がおまえのことどれくらい大事に想ってるか見せてやる。
だから、おまえも帰ったら司にきちんと伝えてやれ。」

俺はそう言うと携帯で司にコールする。
時計を見れば10時過ぎ。
会社にいるか、それとも邸か。


『おう、どうした?』
コール3回目で司が出た。

「司、おまえ今どこにいる?」

「邸に帰ってきてる。」

「少し出てこねぇ?呑んでるからよ。」

いつものように誘う俺に、
「行かねーよ。明日も早いんだよ。」
と、つれない返事。

そんな司に爆弾投下。

「牧野が酔って寝落ちしそうだぞ。」

「あ?」

「俺がマンションまで送ってやろうか?」

「てめぇ、ふざけんなっ。
どこにいる、すぐ行くから待ってろ。
どうしてそーなったかは、あとで聞く。」

店の場所を説明する間も、司の声の後ろから鍵の音やエンジンをかける音が響く。


「道明寺、来るって?」

「ああ。
牧野の名前だしたらすっ飛んで来るってよ。
なぁ?言ったとおりだろ?
ぜってぇおまえに手なんか出さねぇ俺でさえ、おまえと二人でいるって言っただけでぶっ殺される勢いだからな。」

「ちょっと、それ、なんか失礼なんですけど。」

「まぁ、こんなに分かりやすい司なんだから、おまえももっと分かりやすく優しくしてやれよ。
司はたぶんすげぇ喜ぶぞ。」


だろ?司。
今日はおまえに黙って牧野を独占した罰として、
少しだけおまえに加勢してやるよ。




応援いつもありがとうございます!

この続きも書きたいと思っています。
 2018_07_14






牧野さんと付き合ってから、いや彼女と知り合ってから初めて、彼女から着信があった。

「今日、空いてますか?」

嬉しい誘いのはずなのに、
すぐに返事が出来なかった。
なぜなら、僕たちの関係が変わりそうで怖かったから。



待ち合わせ場所に来た牧野さんは、淡いブルーのシャツに細身のパンツ。髪は一つにまとめ、いつものように清潔感が溢れている。
僕はそんな彼女にはじめから惹かれていた。


「珍しいね、牧野さんから電話くれるなんて。」

「……一ノ宮さんにお話があって。」

僕の予感は的中したようだ。

「この間のキスのこと?」

「えっ?」

「あんな不意打ちでしたから怒った?」

「いえっ、そうじゃなくて。」

「じゃあ、……悲しかった?」

「え?」

「キスしたあと、牧野さん泣きそうだったから。」


軽く触れるだけのキスだった。
でも、司への牽制の意味も込めて顔を近づけたまま彼女から離れなかった。

それで確信した。
司は間違いなく牧野さんに好意を持っている。
それが知りたかったはずなのに、
僕は知りたくない事まで知ることになってしまった。

牧野さんの泣きそうな顔を見れば分かる。
これ以上は僕たちは進めないことを。



「一ノ宮さん、ごめんなさい。
あたし、このまま一ノ宮さんとお付き合いすることが出来そうになくて」

「理由を聞いてもいいかな。」 

「あたし、……恋愛には不向きで……、
自分でも分からないんです。
好きっていう気持ちがどこからが恋愛で、どこからがそうじゃないのか。」

「それってつまり、僕のことが恋愛対象として、好きかどうかはっきりしないってこと?」

「一ノ宮さんのことは好きです。
でも、……手をつないだり、キスしたり、…それ以上のことを……そういうのが想像出来なくて…。」

「想像なんてしなくていいよ。
やってみればいいんだよ。」

「えっ!」

漆黒の瞳を大きく開け、すごく驚いた顔で僕を見る彼女。
僕は彼女のこういう所も好きで堪らないのだと思う。

「嘘ウソ。今のは冗談。
でも、それって男としては傷つくなぁ。
人としては好きだけど、男としてはダメってことでしょ。」

「…そういう訳じゃ……」

「もしかして、他に好きな人でもいる?」

「えっ、いません!」

即答で完全否定してくれる彼女に思わず笑ってしまう。

「例えば、司とか。」

「道明寺?…あり得ない。」


もしかしたら二人はもう、互いの気持ちを確認し合ったのかもしれない、なんて彼女を少しでも疑った自分が情けない。

司が彼女を好きなのは確定事項だが、彼女はそうじゃないのかもしれない。
いや、もしかしたら自分の気持ちに気付いていないだけか。

どちらにしても、目の前の彼女を簡単に手放すつもりなんてないよ。
欲しいなら奪いに来いよ司。



応援ありがとうございます!


この度の豪雨により被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
このような大変な時に、被災地からコメントありがとうございます。
私の文章を楽しみにして頂けてるなんて、ほんと嬉しい限りです。

遠い地から私に何が出来るのかずっと考えております。
ささやかな募金とお話の更新が唯一私が皆さんと繋がるものですので、
一話一話エールを込めて送らせて頂きます。
 2018_07_14




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プロフィール

司一筋

Author:司一筋
花より男子の二次小説サイトです。
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